若いころ、服のサイズは体重に比例して
どれだけでも小さくなるものだと思っていた。
しかし残念ながらそれは違っている。
同じ体重でも7号サイズの人もいれば
9号サイズの人もいる。持って生まれた体格、骨格で
どうにもならないものなのだ。
Eさんがなぜ7号のスーツにこだわったのかは
よく分からないが、多分11号~の服を着ていたEさんにとって
7号の服は夢のように華奢で小さくて、
美しい人が着るように思えたのだろうと思う。
Eさんの体重はかなり減った。が、
元々がっしりした体格の彼女が
体重が減ったことでめでたく華奢に、という訳には
いかなかった。
Eさんは焦った。痩せたというのに7号のスーツに
身体が入らないばかりか、
…容姿もただ痩せただけで、これといった変化がない。
筋肉や骨まで痩せるには病気になるしかない。
しかしEさんは更に体重を落とそうとした。
痩せた段階でもがりがり、というほどではないが
やはり最初からの変化が劇的すぎる。
これ以上は止めさせた方が良いんじゃないかと
私、私の友人、Eさんの同僚とで相談していたら
偶然のタイミングで
Eさんの恋は唐突に終わる事となる。
Mが結婚することになったのだ。
相手は同じ会社の事務の女性で
五千人くらいいる社員の中で
ダントツの美人と評判だった人だ。
私も初めて食堂で見かけた時、同性にも関わらず
あまりに美しくて思わず振り返った。
髪が長く、色が白く、背の高さの割には
腰の位置が異様に高い。足がとんでもなく細い。
彼女がMと結婚すると聞いたとき、あまりに出来すぎた話で
思わず笑った。彼女の服のサイズは6号だそうだ。
努力の及ぶところではない。ああ、やれやれと思った。
Eさんは「仕事が合わないから」という理由で
会社を辞めて地方に帰った。
Eさんが早く新しい恋を見つけ、
幸せになるといいなと思ったが
********
食堂で友人とうどんを食べていて、Eさんの事を思い出した。
新入社員歓迎会の席で
彼女はうどんに大量の一味唐辛子を
それこそ小山のようにかけて食べていた。
まわりの皆が驚き、「かけすぎだろ」とか突っ込む中
Eさんは「えー、おいしいですよ」と
平気な顔で食べていたのだ。
「そういえばEちゃんは辛いものが好きだったね」
と話していたら、同席していたMが笑った。
「あれは話題作りだって」
そん時俺が隣に座ってたからね。
**********
Eさんが次に恋するのも
同じような男なんじゃないだろうかと思う。
恋は病のようなもので
この男に恋したって事はさ
重体だ。
(終)
どれだけでも小さくなるものだと思っていた。
しかし残念ながらそれは違っている。
同じ体重でも7号サイズの人もいれば
9号サイズの人もいる。持って生まれた体格、骨格で
どうにもならないものなのだ。
Eさんがなぜ7号のスーツにこだわったのかは
よく分からないが、多分11号~の服を着ていたEさんにとって
7号の服は夢のように華奢で小さくて、
美しい人が着るように思えたのだろうと思う。
Eさんの体重はかなり減った。が、
元々がっしりした体格の彼女が
体重が減ったことでめでたく華奢に、という訳には
いかなかった。
Eさんは焦った。痩せたというのに7号のスーツに
身体が入らないばかりか、
…容姿もただ痩せただけで、これといった変化がない。
筋肉や骨まで痩せるには病気になるしかない。
しかしEさんは更に体重を落とそうとした。
痩せた段階でもがりがり、というほどではないが
やはり最初からの変化が劇的すぎる。
これ以上は止めさせた方が良いんじゃないかと
私、私の友人、Eさんの同僚とで相談していたら
偶然のタイミングで
Eさんの恋は唐突に終わる事となる。
Mが結婚することになったのだ。
相手は同じ会社の事務の女性で
五千人くらいいる社員の中で
ダントツの美人と評判だった人だ。
私も初めて食堂で見かけた時、同性にも関わらず
あまりに美しくて思わず振り返った。
髪が長く、色が白く、背の高さの割には
腰の位置が異様に高い。足がとんでもなく細い。
彼女がMと結婚すると聞いたとき、あまりに出来すぎた話で
思わず笑った。彼女の服のサイズは6号だそうだ。
努力の及ぶところではない。ああ、やれやれと思った。
Eさんは「仕事が合わないから」という理由で
会社を辞めて地方に帰った。
Eさんが早く新しい恋を見つけ、
幸せになるといいなと思ったが
********
食堂で友人とうどんを食べていて、Eさんの事を思い出した。
新入社員歓迎会の席で
彼女はうどんに大量の一味唐辛子を
それこそ小山のようにかけて食べていた。
まわりの皆が驚き、「かけすぎだろ」とか突っ込む中
Eさんは「えー、おいしいですよ」と
平気な顔で食べていたのだ。
「そういえばEちゃんは辛いものが好きだったね」
と話していたら、同席していたMが笑った。
「あれは話題作りだって」
そん時俺が隣に座ってたからね。
**********
Eさんが次に恋するのも
同じような男なんじゃないだろうかと思う。
恋は病のようなもので
この男に恋したって事はさ
重体だ。
(終)