野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

雑草扱いだけど不思議な植物カスノコグサ

2019年05月07日 15時40分30秒 | 
田んぼに生えている「雑草」の扱いのカズノコグサ。
牧野大先生の命名による。日本の植物の命名にはほとほと感心する。
この花からどうしてカズノコを思いついたのか(笑)
「小穂の中身はほとんど空っぽである。これが何を意味するのかはよくわからない。」そうです。
野草にもまだまだ不思議なところがあるようです。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)
写真なぜか横向きになってます。





カズノコグサ
カズノコグサ(数の子草、学名:Beckmannia syzigache)は、水田周辺によく生える比較的小柄なイネ科の越年草である。別名、ミノゴメ(蓑米)。

特徴
地下茎は持たず、少数の茎が根元で束になって出る。茎は直立して、節ごとに葉を出す。葉は長さ約20cm、幅は約1cmで、真っすぐ上に向かって立つ。植物全体が明るい黄緑色をしており、つやはない。

春に穂が出る。穂は葉より上に伸びて出て、左右に交互に枝が出る。下の方の枝ほど長く、その基部はさらに枝を出すこともある。最初はどの枝も主軸に沿う形で上に向かい、全体としては披針形のまとまった形になる。成熟するにつれてややばらける。それぞれの軸には小穂が片側によって二列に並ぶ。小穂はやや軍配型で両端が膨らんだもので、イネ科の小穂としては変わった形をしている。

日本では北海道から九州までに分布し。国外ではシベリア東部から朝鮮、それに北アメリカに分布する。

カズノコグサの和名は、牧野富太郎が、いくつかの枝に着いた膨らんだ小穂が互いに密着して、全体として披針形の整った型になっている様子を数の子に見立てて名付けた。別名のミノゴメは、江戸時代の植物学者・小野蘭山が名付けたが、牧野富太郎によって「カズノコグサは食用にならないため、ミノゴメではない(ミノゴメは、平安時代の七草のうちの一つ「葟(みの)」のことで食用になる)。食用になるムツオレグサをミノゴメとするべきところを間違えてカズノコグサにミノゴメと名付けてしまった」と指摘し、カズノコグサと改めた。

小穂
この種の小穂は、奇妙な形に見える。側面からは軍配型っぽい円形に見え、その両側がやや膨らんでいる。そのような小穂がほとんど柄がなくて軸につき、密着して並んでいる。

この、膨らんだ形のものは第一・第二包穎で、この二つが大きく膨らんで、その内側に残りの部分を包み込んだものである。その内側には、一個か、まれに二個の花のみが含まれる。それぞれの花は護穎と内穎に包まれており、細長い楕円形をしている。したがって、小穂の中身はほとんど空っぽである。これが何を意味するのかはよくわからない。

利害
田植え前の水田や、水田の周辺の溝回りなどによく出現する、水田雑草のひとつである。田植え前の水田なので、はえてきたからといって特に迷惑という訳ではない。水田のイネ科で、同じ季節にはスズメノテッポウやセトガヤが出るが、カズノコグサはそれらより一回り背が高く抜き出るのでよく目立つ。

役に立つ場面もあまりない。強いて言えば、子供がカエル釣りに使うくらいである。主にヌマガエルなど、水田のカエルを釣るときに、この植物がよく使われる。まず花茎を途中で折り取り、次にその最先端の小穂を一つだけ残し、それ以下の小穂や枝を取り去る。下向きにこすれば簡単に落ちる。そうしておいて、柄の下の方を持って、カエルの目の前に先端の小穂を差し出し、それを震わせるようにする。うまくすれば、蛙は飛びついてその小穂に咬みつき、釣り上げられる。イヌビエなどでもできるが、カズノコグサは小穂が大きめで引っ掛かりやすい。

近縁種
水田近辺のイネ科では、イヌビエなどと姿は似ているが、季節が春で、小穂が独特なので、花が咲けば区別に困ることはない。

カズノコグサ属には北半球の温帯に2種があるが、日本では本種だけである。

昔はどこにでも咲いていたケキツネノボタン

2019年05月07日 10時32分16秒 | 
田んぼに咲いていたケキツネノボタン。
キツネノボタンと比較して、果実の先が曲がっていないことで区別できる。
どちらも子供のころからなじみの春の花だ。
実をとって相手の服にくっつけようとした記憶がある。



ケキツネノボタン - 松江の花図鑑には、詳細な写真があって参考になる。


ケキツネノボタン

ケキツネノボタン(毛狐の牡丹、Ranunculus cantoniensis)は、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年生植物。水田のあぜなどに生える雑草。

和名は、キツネノボタンによく似ているが、全体に毛が生えていることによる。しかし、キツネノボタンにも毛の生えているものがある(ヤマキツネノボタンともいう)。痩果(そうか)の先がほとんど曲がらないことが、キツネノボタンとの違い。


白い釣鐘がかわいいドウダンツツジ

2019年05月07日 08時34分56秒 | 
馬酔木に似て、白い釣鐘型の花が可憐なドウダンツツジ。
あまりつつじに似ていないので、花の名前を聞かれて教えると
えっという顔をされる。
(2019-04 神奈川県秦野市 林間)




ドウダンツツジ

ドウダンツツジ(灯台躑躅、満天星、学名Enkianthus perulatus)は、ツツジ科ドウダンツツジ属の植物。「ドウダン」は、枝分かれしている様子が昔夜間の明かりに用いた灯台(結び灯台)の脚部と似通っており、その「トウダイ」から転じたもの。

特徴
落葉広葉樹。低木で、大きくても3メートル程。本州、四国、九州の温暖な岩山に生えるが、自生地は少ない。庭木や植え込みとしてはごく普通に植えられる。寒冷地でも耐えるが、関東以西の温暖な地に多く植えられる。花期は、葉が出てから約1週間後(4月上旬から5月中旬頃、地方によって違う)。花序は散形花序である。花は、白色、釣り鐘のような感じで、5ミリメートル程の大きさ。葉は、菱形に近く、大きさは通常約2センチメートル (cm)、大きなものは、約5 cmになる。ツツジ科の特徴として根が浅いので、乾燥に弱い。新緑、花期、紅葉と、見時が多い。紅葉は寒冷な地で10月中旬から11月上旬頃、温暖な地で11月中旬から12月中旬頃であり、まっ赤に紅葉する。

ドウダンツツジの品種に葉が広いヒロハドウダンツツジがあるが、自生地ではむしろヒロハドウダンツツジのタイプが多く、同一場所に両者やその中間型が混在して見られるため、厳密に区別する必要はないと思われる。


ドウダンツツジは「満天星」と書いて、俳句でもなじみの花だ。
釣鐘が星にみえれば、満天の星かもしれない。
あるいは個々の花弁をそれぞれが小さな鈴であるとみたてることもできる。
「どうだんの鈴の落花の石に鳴る 山口青邨」は空耳だろうが、美しい句だ。
秋には葉が美しく紅葉して、
「どうだんの紅見て仰ぐ山の雲 飯田龍太」のようになる。




満天星の花

いつせいに咲き満天星の千の花 鷹羽狩行
どうだんにまじりて咲けるつつじかな 山口青邨
どうだんの紅見て仰ぐ山の雲 飯田龍太
どうだんの花がこぼるる石遅日 山口青邨

子の声の花満天星や日の出前 齋藤玄 飛雪
揚羽またやすむ満天星若葉かな 岡井省二 明野
春めくとどうだん茜さしにけり 阿波野青畝
朝森に点き満天星の豆ラムプ 楠本憲吉 孤客
海老網を繰るや満天星の下 鈴木真砂女 夏帯
満天星に隠りし母をいつ見むや 石田波郷
満天星の鈴も更紗に染まるとは 後藤比奈夫
触れてみしどうだんの花かたきかな 星野立子
霧の禽満天星に瑠璃を点じけり 水原秋櫻子 玄魚