野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

名前に似合わぬ美しい色と形のヤブヘビイチゴ

2019年05月12日 16時29分41秒 | 
名前は悪いが、くっきりとした黄色の花が目立つヤブヘビイチゴ
野草図鑑(ヤブヘビイチゴ)に示された果実のアップの写真は色っぽい。しかし命名のひどさはどうにかならないものか。
(2019-05 神奈川県川崎市 東高根森林公園)





ヤブヘビイチゴ
ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺、学名: Potentilla indica)は、バラ科キジムシロ属の多年草。以前は、ヘビイチゴと共にヘビイチゴ属(Duchesnea)に分類され、Duchesnea indica の学名が与えられていた。種小名の indica は、ラテン語で「インドの」という意味である。

形態・生態
イチゴ(オランダイチゴ属)と似た葉や果実を持つが、異なる属に分類され、白色あるいは薄ピンク色の花を付けるイチゴとは異なり、黄色の花を付ける。

匍匐茎を出して地面を這って伸び、根を付けそれぞれの節にクラウンが生じる。葉は三出複葉、楕円形の小葉には細かい鋸歯があって深緑、しばしば冬の間持続される。

黄色の花は春中頃に咲き、その後成長シーズンを通じて散発的に咲く。果実は白色あるいは赤色で、赤い種子のような痩果で全体が覆われている。この果実は食べられるが、味はほとんどしない。

ヘビイチゴに比べて一般的に葉や果実は大きい。また、ヤブヘビイチゴは萼より副萼片の大きい[4]。


人麻呂にも歌われたミツマタ

2019年05月12日 11時22分23秒 | 
ついでに製紙に使われる樹木としてミツマタを紹介しておこう。
春先に道端で突然に咲きだして驚かされた。
思わぬところで思わぬ木に出会うことがあるのが
こうした予想外の出会いがあるだけに、散歩は欠かせない。
サキクサという古い呼名が三枝という人名につながっているという
Wikiの説明は珍しく(笑)面白い。

(2019-03 神奈川県川崎市 道端)





ミツマタ
ミツマタ(三椏、学名:Edgeworthia chrysantha)は、冬になれば葉を落とす落葉性の低木であり、ジンチョウゲ科のミツマタ属に属する。中国中南部・ヒマラヤ地方が原産地とされる。3月から4月ごろにかけて、三つ叉(また)に分かれた枝の先に黄色い花を咲かせる。そのため、「ミツマタの花」は日本においては仲春(啓蟄〔3月6日ごろ〕から清明の前日〔4月4日ごろ〕まで)の季語とされている[1]。皮は和紙の原料として用いられる[2]。

概要
ミツマタは、その枝が必ず三叉、すなわち三つに分かれる持ち前があるために「ミツマタ」と名付けられた。三枝、三又とも書く。中国語では「結香」(ジエシアン)と称している。

古代には「サキクサの」という言葉が「三(み)つ」という言端(ことば)に係る枕詞とされており(例:「三枝〔サキクサ〕の三つば四つばの中に殿づくりせりや」〔催馬楽・この殿は〕)、枝が三つに分かれるミツマタは昔は「サキクサ」と呼ばれていたと考えられている。そう名付けられた訳(わけ)としては、ミツマタはあたかも春を告げるかのごとく一足先に淡い黄色の花を一斉に開(ひ)らくため、その故(ゆえ)をもって「先草=サキクサ」と呼ばれたのだとの考えがある。但(ただ)し他にも、ミツマタが縁起の良い吉兆の草とされていたため「幸草(サキクサ)」と呼ばれたのだとも言われる。最も古い用例である万葉歌人・柿本人麻呂の和歌(ヤマトうた)では、

●春されば まず三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあれば 後にも逢む な恋ひそ吾妹(『万葉集』10巻-1895) (春になればまず先に咲く「サキ」クサのように「幸〔さき〕」く〔つつが無く〕あることが出来たならば、のちにまた会いましょう。恋しがらないでください、わが愛しい人よ)

とあり、三枝(さきくさ)という言端(ことば)の元が「先草(サキクサ)」とも「幸草(サキクサ)」とも とれる表現となっている。(いずれにせよ、この「サキクサ」が三枝[さいぐさ、さえぐさ]という姓の語源とされる)。

日本の公共放送局である日本放送協会(NHK)のラジオ番組・「ラジオ深夜便」では、日本の季節に合わせて このミツマタの花を2月21日の「誕生日の花」とし、その花言葉を「壮健」としている[3][4]。

園芸種では、オレンジ色から朱色の花を付けるものもあり、赤花三椏(あかばなみつまた)と称する。

利用
和紙の原料として重要である。ミツマタが和紙の原料として登場するのは、16世紀(戦国時代)になってからであるとするのが一般的である。しかし、『万葉集』にも度々登場する良く知られたミツマタが、和紙の原料として使われなかったはずがないという説がある。

平安時代の貴族たちに詠草(えいそう)料紙として愛用された斐紙(雁皮紙、美紙ともいう)の原料である雁皮(ガンピ)も、ミツマタと同じジンチョウゲ科に属する。古い時代には、植物の明確な識別が曖昧で混同することも多かったために、雁皮紙だけでなく、ミツマタを原料とした紙も斐紙(ひし)と総称されて、近世まで文献に紙の原料としてのミツマタという名がなかった。後に植物の知識も増え、製紙技術の高度化により、ガンピとミツマタを識別するようになったとも考えられる。

「みつまた」が紙の原料として表れる最初の文献は、徳川家康がまだ将軍になる前の慶長3年(1598年)に、伊豆修善寺にいた製紙工の文左右衛門にミツマタの使用を許可した黒印状(諸大名の発行する公文書)である(当時は公用の紙を漉くための原料植物の伐採は、特定の許可を得たもの以外は禁じられていた)。 

「豆州ニテハ 鳥子草、カンヒ ミツマタハ 何方ニ候トモ 修善寺文左右衛門 ヨリ外ニハ切ルヘカラス」

とある。「カンヒ」は、ガンピのことで、鳥子草が何であるかは不明であるが、ミツマタの使用が許可されている。

天保7年(1836年)稿の大蔵永常『紙漉必要』には、ミツマタについて「常陸、駿河、甲斐の辺りにて専ら作りて漉き出せり」とある。武蔵の中野島付近で漉いた和唐紙は、このミツマタが主原料であった。佐藤信淵の『草木六部畊種法』には、

「三又木の皮は 性の弱きものなるを以て 其の紙の下品(品質が最低の意)なるを なんともすること無し」

として、コウゾと混合して用いることを勧めている。

明治になって、政府はガンピを使い紙幣を作ることを試みた。ガンピの栽培が困難であるため、栽培が容易なミツマタを原料として研究。明治12年(1879年)、大蔵省印刷局(現・国立印刷局)抄紙部で苛性ソーダ煮熟法を活用することで、日本の紙幣に使用されるようになっている。国立印刷局に納める「局納みつまた」は、2005年の時点で島根県、岡山県、高知県、徳島県、愛媛県、山口県の6県が生産契約を結んで生産されており、納入価格は山口県を除く5県が毎年輪番で印刷局長と交渉をして決定された[5]。しかし、生産地の過疎化や農家の高齢化、後継者不足により、2005年度以降は生産量が激減し[6]、2016年の時点で使用量の約9割はネパールや中国から輸入されたものであった。国内では岡山県、徳島県、島根県の3県だけで生産されており、出荷もこの3県の農協に限定された[7]。

手漉き和紙業界でも、野生だけで供給量の限定されたガンピの代用原料として栽培し、現代の手漉き和紙では、コウゾに次ぐ主要な原料となっている。現代の手漉き鳥の子和紙ふすま紙は、ミツマタを主原料としている。

徳島県では、通常は廃棄されるミツマタの幹を使った木炭とそれを成分とした石鹸が製造されている[8]。



予想外に美しいコウゾの花

2019年05月12日 10時40分38秒 | 
ミツマタとともに製紙に使われたことで有名なコウゾ。
まだ花が残っていた。雌雄同株で紫色の糸状の花序を出しているのが
雌花序で、右側で固まっているのが雄花序である。
東高根森林公園の古代植物園で撮影。
日本では五世紀には確実に和紙の製造が始まっているというから、西洋に中国から製紙技術が伝わるはるか前から
製紙が行われていたことになる。


(2019-05 神奈川県川崎市 東高根森林公園)





コウゾ

コウゾ(楮、学名:Broussonetia kazinoki × B. papyrifera)はクワ科の植物で、ヒメコウゾ(学名:Broussonetia kazinoki)とカジノキ(学名:B. papyrifera)の雑種である。和紙の原料としても使われている。

但し、ヒメコウゾの別名をコウゾとする場合もあるので注意を要する。
特徴
コウゾは落葉低木で、厳密にはカジノキとは異なるものであり、楮の字を用い、カジノキには梶、構、榖の字をあてているが識別は容易ではない。

古代では、植物の名前も地方によって呼び名が異なり、混同や混乱が多い。『本草綱目』や『農業全書』でも両者の差は葉に切れ込みがあるのは楮、ないのは構(=梶、カジノキ)」とするだけで種別としては「楮」に纏められてしまっている。

「紙麻(かみそ)」と言う語の音便より「こうぞ(かうぞ)」という語が生まれたとする説も存在するほど、古くから和紙材料として知られており、今日でも和紙の主要原料の楮としている。楮の皮の繊維は、麻に次いで長く繊維が絡み合う性質が強く、その紙は粘りが強く揉んでも丈夫な紙となる。古くは、檀紙は真弓紙とされているが、平安後期以後の檀紙はダンシと読まれ、楮紙とされている。

楮の皮の繊維を蒸して水にさらし、細かく割いて作った糸を木綿(ゆう)と言う。同じ字の木綿(もめん。ワタの繊維)とは別のものである。神道の祭事に用いられるが、後に紙で作られた紙垂も用いられるようになった。

コウゾの果実は集合果で、甘味があって食べられる。ただし、花糸部分が残っていてねば付き、舌触りが悪いので、クワの実のような商品価値はない。

生産・流通

山間地の傾斜地に栽培されることが多い。しかし、シカによる食害などがあるため、生産意欲が減退した地域もある。

日本国内では、高知県本山町・いの町、茨城県大子町・常陸大宮市などが主な産地であるが、越前和紙・美濃和紙など、多くの漉き手から高い評価を得ているのが大子町産の「那須楮」である。海外の有力輸入先としてタイ王国・中華人民共和国・パラグアイなどが挙げられ、うち中国産とパラグアイ産の品質が高く、価格も比較的に安い。現在、日本国内で流通しているコウゾのおよそ半数は外国産と見られている[1]。

特に好きな花の一つのオモダカ

2019年05月12日 10時25分23秒 | 
オモダカという花は「面高」という名前も素敵だし
シンプルな花も美しい。Wikiにも掲載されているように家紋に
使われるだけでなく、多くの模様に愛用されている。
ぼくの愛用のお椀もオモダカのシンプルなデザインだ。
あれやこれやで、ぼくのお気に入りの花である。
(2019-05 神奈川県川崎市 東高根森林公園)





オモダカ
オモダカ(沢瀉・澤瀉・面高)(Sagittaria trifolia L.)は、オモダカ科オモダカ属の水生植物である。ハナグワイ、サンカクグサ、イモグサ、オトゲナシなど多くの別名がある[2]。オモダカの語源ははっきりとはしておらず、人の顔に似た葉を高く伸ばしている様子を指して「面高」とされたとも、中国語で湿地を意味する涵澤(オムダク)からとられたとも言われる[2]。

分布
アジアと東ヨーロッパの温帯域から熱帯域に広く分布し、日本でも各地で見られる[3]。水田や湿地、ため池などに自生する。

生態
春に、種子と塊茎から発芽する。発生初期は線形の葉をつけるが、生長が進むと矢尻形をした葉をつける。葉の長さは最大で60cmほどになるが、葉の形態は種内変異に富む[2]。花は単性花で、雌雄同株、白い花弁を3枚つける。楕円形の種子には翼をもつ。また種子のほかに、地中に伸ばした地下茎の先に塊茎をつけ、それによって繁殖する。染色体数は2n=22[4]。

類似種
同じオモダカ属のアギナシとよく似ているが、アギナシは根元に粒状の球芽(むかご)を多数形成する一方で地下には走出枝を出さないが、オモダカは走出枝を出し、球芽をつけることはないため、草体を引き抜けば区別できる。そのほか、アギナシの花は葉より高い位置につくという傾向や、オモダカでは矢尻型の葉の先が尖るのに対してアギナシでは先が丸みを帯びるという点も異なるが、花の位置や葉の形態には変異が大きく決め手とはなりがたい。また、アギナシは「顎無し」の名の通り、矢尻型でないヘラ状の葉をつけることも多いが、同様の葉はオモダカでも見られるため、ヘラ状の葉の有無では区別できない。

人間との関係
オモダカは観賞用に栽培されることもあるが、通常利用されることは少ない。前述のように種子のほかに塊茎でも繁殖するため、難防除性の水田雑草として扱われることもある[5]。ただし、オモダカの栽培変種であるクワイは、塊茎が肥大化して食用となるため栽培され、おせち料理などに利用される。クワイはその外形から「芽が出る」ことを連想させるため、縁起物として扱われる。日本では、オモダカの葉や花を図案化した沢瀉紋(おもだかもん)という種類の家紋がある。また、慶事用の切手(90円)にも、ツルと共にオモダカの文様が描かれている。

沢瀉 の例句

おもだかのふとり過たるあつさ哉 嵐雪
おもだかのなほ咲きつづき秋涼し 山口青邨
おもだかの一茎青き刈田径 山口青邨
おもだかの土臭までさかりかな 寥松
おもだかの白き花見ゆ朝涼し 山口青邨
おもだかの花の一茎けふは挿す 山口青邨
おもだかの花の白きを湯尻の田 山口青邨
おもだかの花了りたる草の水 山口青邨
おもだかの花咲きながら末枯るゝ 高野素十
おもだかも田草の数にひかれけり 如行
おもだかよ鷺にふまれむこゝにさけ 支考
三伏の慈姑沢瀉いづれぞや 岡井省二 前後
人の家の鏡に映り沢瀉売 岡井省二 山色
我やどの沢瀉さきぬくひなゝけ 加藤曉台
朝光のおもだかの花いや白し 山口青邨
沢瀉が咲いたる足のうらおもて 岡井省二 鯛の鯛
沢瀉に河骨まじる小川かな 正岡子規 河骨
沢瀉のこのあたりなら吃るなし 岡井省二 有時
沢瀉の夕ほとりなる蹠かな 岡井省二 有時
沢瀉の花覗く足取られけり 右城暮石 一芸
沢瀉の葉かげの蜘蛛や梅雨曇り 飯田蛇笏 山廬集
沢瀉の鉢に溢るる懈怠かな 石塚友二 曠日
沢瀉や水鏡亡き妻の顔 森澄雄
沢瀉や田より立ちたる雲の峯 森澄雄
沢瀉や花の数そふ魚の泡 炭太祇
沢瀉をうなぎの濁す沢辺哉 嵐蘭
破壷(やれつぼ)におもだか細く咲にけり 上島鬼貫
紫陽花は七変化沢瀉は十変化 水原秋櫻子 蘆雁
肴町おもだかの花落ちてゐる 飯島晴子
花慈姑ほそみの門に喜捨の箱 石川桂郎 高蘆
荒莚沢瀉細く活けて住む 石田波郷
長月といふ沢瀉のあきらけく 岡井省二 五劫集
閨掃くが見えて沢瀉日和かな 岡井省二 山色