＜登山電車＞
モンブラン登頂（13）：電車で登山用品談義
（アルパインツアー）
２００５年９月５日（月）。その３。晴。
■登山電車に乗る
メールドグラス氷河歩きを終えた私たちは地獄のような長い鉄バシゴをやっとの思いで登って，14時19分にモンタンベールの駅（1913m）へ辿り着いた。約200メートルほど，氷河から登ったことになる。その大半が鉄バシゴの連続だった。駅前の広場には沢山の観光客が集まっている。どうやら，殆どの観光客は，モンタンベール駅でメールドグラス氷河を見下ろすか，リフトで氷河の下流へ降りるだけで観光を済ませてしまい，わざわざ氷河の上を歩くようなバカな真似はしないようである。
やがて，電車が駅に入ってくる。赤色の車輌が２両連結である。大勢の観光客に混じって，私たちも電車に乗る。私たちは１両目の後ろの座席に乗車する。
＜モンタンベール駅＞
＜登山電車の車内＞
向かって一番右に，私が「40歳代ですか？」と質問した若い24歳のステファンさんが座る。
15時11分，私たちが乗った電車はモンタンベール駅を発車する。ゴットン，ゴットンとトロッコのような音を出しながら，すぐに急勾配の下り坂に差し掛かる。
■登山靴談義
電車の中で登山談義が始まる。
その内に，ガイドが私たち全員が履いている登山靴が，果たしてモンブラン登頂に耐えうるかのチェックが始まる。フクロウと私の登山靴は，文句なく合格。消防署長，ドッジさん，ノシイカさんの靴は，問題があるものの，まあ，今回は見逃し。大阪のＴさんの靴は，軽登山靴で不合格。Ｔさんは，シャモニーの登山専門店で重登山靴をレンタルすることが，モンブラン登頂の条件となった。
可愛そうなのは消防署長である。横浜の某大手登山専門店で，わざわざ「モンブランに登るため」と念を押して購入した靴が，結果的にモンブラン登頂には不適になってしまった。さらに，昨年の残雪期に，某有名国際ガイドが指導するモンブラン登頂準備の八ヶ岳特別山行に参加したときも，その国際ガイドからこの登山靴は不適との評価はなかった。
添乗員のＳさんが，気の毒がる。
「お店の従業員が知識不足だったのかな・・・お店によっては，ダメだと分かっていても売ってしまうことがあるんでしょうね。それに，あの有名なガイドが，「この登山靴は不適」と指導しなかったのはオカシイですね。まあ，あのガイドさんは某大手登山専門店と関係があるので，指摘できなかったのかな・・」
と誰かを庇うような，庇わないようなあいまいな発言をする。結局，大阪のＴさんと，消防署長の2人は，シャモニーに着いてから，登山専門店に立ち寄って，重登山靴をレンタルすることにした。
登山談義はピッケルにも及ぶ。ドッジさんのピッケルは，ブレードのすぐ下，10センチメートルほどの所でシャフトが曲がっている。Ｓガイドによれば，縦走用のピッケルのシャフトは真っ直ぐでなければまずいという。その理由は，シャフトが曲がっていると，雪の中に深く差し込むことが困難になるからである。シャフトが曲がっているのは，アイスクライミングにも使えることを意識しているようだが，アイスクライミング用としては中途半端で使えない。結局，縦走用でもなく，アイスクライミング用でもない中途半端なピッケルだと，Ｓさんは評価する。Ｓさんが，
「お店の人が，このピッケルを勧めたんですか」
とドッジさんに聞く。
「いえ，曲がっている方が何となく格好が良かったんで，自分でこれを選んだんです」
とドッジさんが答える。
■シャモニーへ戻る
15時33分，登山電車はシャモニーの駅に到着する。たった2日間，山に入っていただけなのに，沢山の人が行き交う町中に戻るとホッとする。駅前広場に向かし懐かしいＳＬが飾られている。昔，汽車マニアだった私は，蒸気機関車が大好きである。早速写真を撮る。
＜蒸気機関車が展示されている＞ 
＜花壇が素晴らしい市街＞
＜街中を散策＞
ゆっくりと商店街を歩きながら，繁華街の中にある登山専門店に向かう。途中で，美しい花が咲き誇る広場の脇を通過する。
（つづく）
「モンブラン登頂記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a278dd9bfeb1aa4f1435d4c5f498e04e
「モンブラン登頂記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b4df6ff9c708e85b77407d79ecdc1181
