佛歴2562年 12月6日
G線上のアリア。
私はこのアリアというのは、てっきり女性の名前か何かと思っていたのですが、先日知人から聞いたところによると、単に「歌謡」という意味合いだったそうで……またひとつ勉強させて頂きました。
そして今朝。
こちらの川を跨ぐ高圧線上で繰り広げられた鳥たちのアリアは、錚々たるメンバーによる大変なアップロー(大騒ぎ)でした。
みんなおはよ。
今朝も高圧線上に最初にお出ましくださったのは、このところよくお見かけするブサ(ハヤブサ)さんです。
こちらのブサさんがいらっしゃっている時は、いつも私より先にいらっしゃっています。
私は大体日の出時刻のおよそ二十分前、薄明の頃に到着しているのですが、いつもそれよりも早くいらっしゃっているブサさんって……一体。
もしかしたら闇夜の空を飛んで来ているのかもしれませんが。いや、それよりも、もしかしたらこの高圧線上を寝床にしているのかもしれないんじゃないかなと、疑っています。
時間があれば一度キャンプでもしながら、じっくり調査してみたいところです。
やがてカラス警備隊の合唱がはじまります。
カラスたちの戦歌を理解したであろうブサさんは、無益な争いを避けるかのようにこの場から去り──その時、私の足元の小枝には。
ジョビ子さん登場。
ジョウビタキがナンキンハゼの実を食するところは初めて見ました。
そしてジョビ子が視線を上空に向けているのに連られた私も、彼女の視線の先を追ってみると。
カラス同士のドッグファイトが繰り広げられていました。
カラス同士のちょっとした小競り合い程度なら珍しくもないのですが、およそ五分以上も継続する空中戦となると、これは結構(私にとっては)珍しいことです。
そして、ふと気づくと。
今度は高圧線上にトンビさんが一羽。そしてカラス警備員が一羽、二羽と。
そしてさらに高圧線とは異なる方角から「ピィィィーー!ヒャロロロロー!」と、もう一羽のトンビさんの雄叫びが響きます。
またしても珍しい事に、トンビさんがカラスくんの後ろを取っていました。
しかしトンビさんに攻撃する意図はないようで、カラスくんの方が勝手に焦ってパニクっていた模様。
やがてこの二羽が高圧線上に接近すると。
そこにはカラス警備隊の本隊が、もう一羽のトンビさんを包囲していました。
上空を通過するトンビさんと、高圧線上に佇むトンビさんのどちらにレンズを向けようかと、私がグズグズ悩んでいる間に、高圧線上のトンビさんも飛去りました。
しかし彼を包囲していた本隊の皆さんは特に動きません。
大体の場合、ここら辺りを縄張りとしているカラスくん達は猛禽達に「二度と顔を見せるな!」とばかりにある程度の追い込みをかけるのが普通なんですけれどね。
どうしたんだろ? そう思ってズームアップしてみると。
ここら辺では珍しくハシボソカラスさんと、ハシブトカラスくんが混ざっていたみたいですね。
ちなみに大きな方がブトさん。小さな方がボソさんです。
おそらくは彼らはそれぞれ別の猛禽達を追っていて、各々がこの高圧線上でたまたまかち合い、なんだか気まずくなってしまったような感じでした。
そんな高圧線上の騒ぎを尻目に。
カルガモ達は恋のお相手を探す求愛ダンスに精を出していました(笑)。
どうもここ数日はお天気も妙な具合となっている事ですし、鳥たちだって色々大変だったり、おかしな事になったりしていますけれど、そのおかげで今朝は、少し珍しい光景を沢山見られた川っぺりでした。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
230 拝