事に臨み責務果たせる自衛隊に 帝京大学教授・志方俊之
このところ、「言わずもがな」のことを言い、内外で顰蹙(ひんしゅく)を買う政治任用者らがいるのには驚くが、政治で最も大切なのは「言うべきは言う」ことだ。
≪もう許されぬ政治の先送り≫
目下、衆院予算委員会で審議されている個別的自衛権、集団的自衛権、集団安全保障への参加という3つの基本的問題は、冷戦時代とは異なり、わが国を取り巻く安全保障環境が大きく変わったにもかかわらず、政治が「先送り」してきたことばかりだ。
これらの問題では、わが国の政治は、国民への説明が不十分、に始まって、政府が与党に了承を取っていない、与党内部の論議がされていない、国会で与野党間の論議が不十分、で終わる、ただ先延ばしするためとしか思えない論議を延々と続けている。
しっかり討議する必要があるとはいえ、国会に提起されてから半世紀余も時間をかけている。百歩譲って、周辺の戦略環境が激変しだした冷戦後を起点としても20年以上である。この基本的問題に果敢に取り組む安倍晋三政権の勇気に期待してやまない。
政府の有識者会議、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)での論議のうち何をどの程度、そしていつ、政治が現実のものとして取り込めるか、なお定かでない。