NHKは12日、公式ウェブサイトなどで24時間ライブ配信している国際放送の中国語字幕に、尖閣諸島の中国側呼称である「釣魚島」と表示されていたと発表した。英語のテレビ放送の音声を基に、グーグルのAI翻訳機能を使用して9言語10種類の多言語字幕を表示していたが、NHKは翻訳の精度が不安定だとして、全ての字幕をとりやめた。
NHKによると、10日午後4時に配信を開始したニュースの中で、日米首脳会談を受けた中国側の反応を伝えた際に、「沖縄県の尖閣諸島」「日本が実効支配する尖閣諸島」と英語で放送した。その内容を中国語字幕にしたところ、中国側の呼称である「釣魚島」と表示されていた。ライブ配信をチェックしていた職員が気付いた。
NHKは同日中に全ての言語の字幕サービスを終了した。国際放送を担当する原聖樹理事は「正確な情報発信が重要であり、不正確なものが出た以上、NHKのサービスとしては適さず、速やかに止めるべきだと考えた」と述べた。NHKは記録が残っている過去1週間分の字幕を調査する方針だが、すでに同様の誤りが確認されているという。
NHKの国際放送を巡っては昨年8月、ラジオ放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を「中国の領土」と主張し、「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言した。この問題を受け、NHKは再発防止策として令和7年度から、ラジオ中国語ニュースでAI音声による読み上げの本格導入を目指している。今回の問題とは異なるシステムを使用しており、影響はないという。
産経新聞
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