ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
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思い出す 小萩堂の気骨 文化の日

2017-11-03 14:22:23 | 食べ歩記

まさに、「平和を噛みしめる」である。


杜の都の宮町の端っこで、上杉近くにある、こぢんまりとした店。

地球瓶やガラス棚が並び、その中には煎餅がいっぱいだ。


「小萩堂」である。


震災前から知る店で、震災後に大丈夫かと寄ってみた。

店は以前のままでほっとした。


連れ合いは、ここの「いか煎餅」が気に入っていた。

私にとっては「いか煎餅」というと、岩手の宮古が思い浮かぶが、確かに、小萩堂の「いか煎餅」も美味いのだ。


だが、小萩堂の煎餅と言えば、焼き印も売りである。


仙台城に味噌樽や、七夕に萩といった、歴史や風物の絵柄が素敵だ。

風流な焼き印のせんべいが並ぶ中、一風変わった文字を刻むものがあった。


「九条せんべい」である。

 


仙台も、空襲で焼け野原になった。

堂々たる大手門も、軒を並べた店も住まいも、そして逃げ惑う人々をも火焔は襲い、痛ましい有様が広がった。


これを目の当たりにし、乗り越えた人々は、移り変わる時代の波にも、決して再びこの惨禍を繰り返さぬようにと願うのだ。


そして、戦禍を潜り抜けた店主の気骨が、せんべいに刻まれた。

世界へ、平和憲法を広めようと。



今日は文化の日。

自由と平和を愛し、文化をすすめる日である。(内閣府記載 「国民の祝日に関する法律」)


杜の都の九条せんべいを思い出して、関東の地でも東北に続く青空を仰いだ。