ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

ゆくりなく会ったゆかりの品

2017-11-18 19:04:06 | ゆるゆる歩き:町や通り

思いがけず見つけたそれは、川口納豆の酒瓶。

 

大塚の商店街をゆるゆる歩く宵の口。

灯りが町の風情を、より濃く浮かび上がらせる。

 

 

 

川口納豆は、昭和24年(1949年)から納豆造りをしている、宮城県栗原市一迫にある会社。

社長が農業人としての思いも強く、この会社は原料の大豆栽培はもちろん、米や野菜も栽培している。


川口納豆では、酒造に適した米の美山錦も栽培する。

その米を使い、同じ一迫にある金の井酒造にて醸造したのが、酒の「川口納豆」だ。


川口納豆はよく食べたものだが、この酒のほうは、好機に恵まれず、残念ながら未だ味わっていない。

飲んでみたいと思いながら、栗原の景色と空気がまざまざと浮かぶ一瞬を楽しむ。

そしてまた、大塚の町をゆるゆると歩いた。


(注/ゆくりなく=縁なく:偶然、思いがけずの意。ゆかり=所縁・縁:つながり、かかわりあいの意。)


うまい福島の桃とお福分け:2012年8月17日の記録

2017-11-18 12:20:55 | 東北被災地の歩み:福島

先月(2012年7月)に再び福島へ行った折、道の駅で桃を買った。

光センサーで、一定の糖度のものを揃えた美味しい桃だ。

果肉も果汁も多く、実に満足。



もぎたての硬い桃を好む人もいるが、私らはやはり、桃は追熟した柔らかいのがいい。

北東北では、かりりと噛んで音がする果実なら、旨いリンゴがたくさんあるもの。

桃ならば、あのとろけるような柔らかな食感で、果汁たっぷりに甘いのが美味しいと思うのだ。

 

 

食卓に新聞紙を敷いて、桃を真ん中に乗せる。


ちなみに、この新聞紙は、なかなか重要な任務を負っている。

たっぷりの果汁は、うっかりすると後々、べたべたと人を机や床にくっつけさせるが、新聞紙作戦でこれを阻止できる。

しかも、食べた後の皮や種は、これに包んで始末でき、見事に美しく片付くのだ。



さてさて、新聞紙の真ん中で、素晴らしい香りを放って桃が鎮座している。


追熟して柔らかい桃は、手で果皮がするりと剥がれ、白く淡い紅のさしたビロードみたいな実が現れる。

これに、丸ごと噛り付いて食むのが、本当に旨い。


「桃だ、桃だぞ」と、体中をちび桃太郎が走って伝達し、頭に灯りがつくがごとく、かぶりついて目を張り、旨い旨いと喜んで食べた。


さらに、到来物もあった。


嬉しいことに、今年はその後も、幾人かの心温かき知人から、立派な桃を頂戴したのだ。

よって、我が家では度々桃を食み、満ち足りた夕餉を得ている。



福島の生産者は、震災後の原発事故による風評被害で、随分と泣かされた。


安全が確認されたにも関わらず、「福島産」というだけで売れなくなったという。

それまでの3分の1ほど、桃の売り上げが減った農園もあったそうだ。

そんな報道を知るたび、胸が痛んだ。


福島の桃は、丹精して作られ、とても良い出来だった。

そうした良さを、正しく認められる世の中でありたい。


一巡り 桃と笑顔の お福分け