卯月の三日は、時折強風あれども、青空で陽光温かく、桜は見頃だった。
御成道を北へ、荒川を渡れば川口。
西川口駅から少し西へ行くと、水路に行き当たる。
仙台なら広瀬川が町を貫くが、川口も芝川が町を貫く。
治水のために様々な水路を通して、運輸にも利用した。
そういう風土が、ちょっと似ている町だ。
少し水路に沿って北へ進むと、左手に桜が見えた。
桜の方へ行くと、なんと、見事な並木道であった。
この辺りは、川口と戸田と蕨の三市が接している。
桜並木の道は、戸田と蕨市の遊歩道がつながっていた。
戸田側は「喜沢の桜」、蕨側は「南町桜並木」。
露店も出ており、明るく楽しい。
戦後、急速に町は変わっていく。
昔の風景、自然が失われゆく事を憂い、有志が環境整備に取り組んだ。
この遊歩道も、かつては水路だったが暗渠とし、桜も植え替えられたという。
市民の思いが、桜花爛漫の並木道を作り上げたのだった。
おかげで、春は花、夏は木陰の道で、人々が喜びや楽しみを分かち合える。