胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

collagenous colitis (バンドに目を奪われないで)

2008-10-02 | 大腸炎症
 もう一枚collagenous colitisの写真をアップします。先ほどと同じ方の違う部位です。所見はだいたい一緒です。研究会仲間の先生のクリニックから海を越えてやってきた標本です。内視鏡的には異常がなかったそうです。このクリニックではちょっと前にもcollagenous colitisがありました。収集例が22例になったのですが、どうやってアプローチしようか思案中です。
 8月号の病理と臨床を是非ご覧下さい。先の話になりますが、2009年12月にIとCho誌でcollagenous colitisの特集号が組まれる予定になっているそうですよ。
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collagenous colitis (バンドにとらわれないで)

2008-10-02 | 大腸炎症
 またもcollagenous colitisがありました。もはや稀な腸疾患ではありません。胃薬を飲んで下痢をされている方です。collagenous colitisの病理診断基準について最近よく質問されますので、私なりのポイントを提示します。写真をクリックしてください。いきなり、collagen bandに目を奪われることなく、バンドを見る前に、まずは慢性の「腸炎」であることを認識しましょう。
1) IBD (UC)ほどではありませんが、形質細胞浸潤が目立ち、深部(陰窩底部と筋板の間)まで認められます。消化管粘膜で、形質細胞は生理的には固有層上部にあります。
2) 表層被蓋上皮が変性し、剥がれそうです。
3) 好酸球もそこそこ認められます。
4) さてcollagen bandですが、「collagen bandが肥厚する」と表現される方が多いのですが、この表現では「基底膜が肥厚する」ものだと誤解されてしまいます。肥厚するのではなく「collagen bandが形成される」のです。collagenous gastritisではしばしば、被蓋上皮直下ではなく、少し下の腺頚部あたりにバンドができることがあります。バンドの中には毛細血管がトラップされています。
2,4)の所見で、水分が吸収されず難治性下痢になるというイメージに結びつきます。
5) IBDではありませんから、陰窩上皮の直線性は保たれています。
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