胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

早期胃癌研究会

2008-10-18 | 研究会、学会
 10月度の早期胃癌研究会が高輪大木戸跡の近くでありました。
1) 大腸内視鏡でMLP様の所見があり、大小不同で不整なびらんが無数みられました。CMMoLがAMMoLにクライシスした方で、大腸粘膜固有層の主に表層部にleukemic cellsの浸潤がありました。これらの細胞はKIT陽性、CD34(-), p53+で、MIB-1 high indexでした。固有層内へのleukemic cellsの浸潤程度のよりpolypoidでerosiveな病変の大小不同性がみられたようです。
2) 1cm未満の小型大腸carcinomaです。clinicalにはIIa+IIc, sm-massiveという意見が多いようでした。Is+IIcという意見もありました。真ん中のあたりがVi-pitを呈していました。ひだのひきつれを伴っていました。病理ではde novoがん、高分化・高異型度で、築地の親方のいうNPGの進行がんでした。しかし、粘膜筋板が比較的よく残っていました。不思議です。主病変の直下ではないところにEX因子がありました。主病変からはなれたところにあるtumor tissueは、深達度には反映されません。
3) 食道のM. melanomaです。周囲に広範なmelanosisがあります。melanomaとmelanosisの鑑別はいつものことながら大変困難です。MMであろうところは領域内の色素の濃淡があります。病理学的には色素細胞系の特染やp53, Ki-67も役立つことがありますが、核小体の目立つ丸い核、基底層と関係など注目します。切除範囲、断端評価も大変難しいです。
4) 胃型・高分化、低異型度Adenocarcinomaです。ドクトル・クッシーが興奮するタイプの症例です。腺管構造がくずれず、基底膜を維持したまま浸潤するので腺管周囲を取り囲むような線維化がみられます。この浸潤様式は10年以上前に独逸のボルヒャルト先生に教わりました。表層性に乳頭状・絨毛状構造があるのも胃型高分化型がんの特徴です。低異型度の分化型腺癌では、胃型でも腸型でも腺管構造をくずさずに(未分化型にならずに)浸潤する場合、台形状のIIa+IIc病変(またはType 2)の形態になることがあります。火山のカルデラみたいになります。本例では中央部に少し隆起もありました。ちょうど御殿場からみた箱根山カルデラの感じで、中央部で駒ケ岳、神山あたりが隆起しています。芦ノ湖のようなびらんはありません。画像的には上皮性悪性腫瘍とすぐにわかる形態ですが、病理がなかなかGroup Vにしてくれないというパターンの症例です。運営委員会では発赤の強さが問題になりました。もう一度標本をみたい!。
5) 十二指腸のSMTで、一部膵臓に浸潤するようなGISTの症例でした。Dr.Dandyが病理コメントをされました。
 この翌日にびわ湖の近くでも研究会がありましたが、疲労困憊と症例もうまくまとまっていませんでしたので、投稿はやめにします。本日はcollagenous colitisに関する会議がありますので、再度上京いたします。
コメント (1)
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