満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『ミス・ダンデライオン』/『あした・あなた・あいたい』

2006-05-07 01:38:39 | 雑記

皆様ごきげんよう。黒猫でございます。

今更ですが、伸ばし伸ばしにしていたGWに入る前に観た舞台の感想を。

劇団キャラメルボックスの『ミス・ダンデライオン』と『あした・あなた・あいたい』の二本を観て参りました。

これは両方ともわたしの好きなSF作家梶尾真治さんの短編集『クロノス・ジョウンターの伝説』より『鈴谷樹里の軌跡』と『布川輝良の軌跡』をそれぞれ舞台化したものです。

今回はハーフタイムシアターというシステムで、通常の舞台だと二時間程度のものですが、半分の一時間で楽しめる短めの舞台、というコンセプトだそうです。わたしは二本を通しで観ましたが、一本だけでも、別の日に観てもよかったようです。

しかし短編とはいえSFですし、「クロノス・ジョウンター」という時間を遡行できる機械の特性や登場人物たちの背景などをすべて一時間の枠に収めようとしたらやはり大変なんでしょうねー。『ミス・ダンデライオン』のほうは良かったですが、『あした・あなた・あいたい』はちょっと厳しかったような気がします。カジシン(=梶尾真治さん)ファンの方ならこれに先立って舞台化された『クロノス』(『吹原和彦の軌跡』を舞台化)との関連性からすんなり入れると思いますが、舞台だけだとちょっと厳しかったような気もします。まあわたしは当然のように舞台前にも読み込んで行きましたので、原作との違いやファンには嬉しい密かな関連性などを楽しむことができましたが。

以下あらすじです。

『ミス・ダンデライオン』
9歳の頃入院していた病院で仲良くなったが亡くなった難病の青年、ヒー兄ちゃんが忘れられず、医者になった鈴原樹里。彼女は30歳になった時、ヒー兄ちゃんと同じ病気の子どもの担当になる。未だ特効薬も有効な治療法もないと思われていたその病気だったが、実はアメリカで特効薬が開発されており、出入りの薬品業者から入手したサンプルで子どもは回復する。
あのとき、この薬があったなら。ヒー兄ちゃんを助けることができたのに・・・。そんなことを思う彼女は、ひょんなことから時間を遡ることができる「クロノス・ジョウンター」の存在を知り・・・?

『あした・あなた・あいたい』
今は亡き無名の建築家、廣妻隆一郎の建築物に魅せられている布川輝良。しかし廣妻の建築物は既にすべてが取り壊され、この世には存在しない。
ある日、布川は勤務先にて別部署の上司に呼び出される。極秘で何かを開発しているらしいその部署では、実は「クロノス・ジョウンター」というタイムマシンを作っていたのだ。更なる改良のために、万が一戻ってこられなくても悲しむ肉親がいない被験者を募っているという。天涯孤独の布川は、廣妻隆一郎の設計した建築物の最後のひとつが取り壊される前にこの眼で見られるのなら、と、この申し出を受けて過去へと飛ぶが・・・?

それぞれこんな話です。
タイムトラベルものなので、過去と現在が入り混じって舞台化は難しいだろうなあと思っていましたが、キャラメルボックスさんお見事でした。しかし双方とも主役の方はとても忙しく大変そうでした(当たり前ですが)。
わたしは子どもと老人に滅法弱いので、『ミス~』のほうはもう子役が出てきた時点で目が潤み(笑)、大筋は知っているくせにやっぱり泣いてしまいました。うおーん。『あした~』はヒロインの周辺環境がだいぶ原作と違っていたのに驚きました・・・探偵役はいらなかったような・・・(笑)。でも『クロノス』でのヒロイン蕗さんが出てきたのは嬉しかったvちゃんとカエルのブローチしてたし。

やはり同性の主人公のほうが感情移入しやすいのか、個人的には『ミス~』のほうが楽しめました。
それにしても、この話(原作の小説も)の元ネタになっている『たんぽぽ娘』(ロバート・F・ヤング著)はタイムトラベルロマンスの名作らしく、SFマガジン等でよく名前が挙がり、いろんな方がオマージュを捧げていたりするのですが、実質上現在読むのは非常に難しい作品です。収録した本がすべて絶版なのです。

「おとといはウサギを見たわ。きのうは鹿、そしてきょうは、あなた」

読んでもないのに名台詞覚えちゃったよ!!そして読んでもないのにストーリー知ってるよ!!(笑)

しかし河出書房より刊行中の奇想コレクションシリーズにて刊行が決まっているようなので、期待して待ちたいと思います。早く出して~!期待は膨らむばかりです。読んでもないのに。

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