夏目漱石の「坊っちゃん」に出てくる登場人物の設定とネーミングには感心させられる。
それぞれにあだ名をつけて人格の特長を表現している。これは発明だ。
そういう訳でいまだに坊っちゃんの本名を憶い出せない。
中でも赤シャツというのは特にいい。この時代も今の時代も赤いシャツを着る奴なんて気障に決まっている。
それにしてもこの時代、赤い服は囚人服と決まっているのだが、あえて赤シャツと設定したのにはそういう意味も込めての事であろうか。
最近のドラマや映画などを観ると、さすがに囚人服の赤は見かけない。青系の灰色色と記憶する。
昔は男が赤い服を着るという慣習はなく、囚人に赤い服を着せるのは刑罰のひとつだと何かで読んだ気がする。
男が、女性や子供が好む赤を身に付ける事は屈辱的とされる明治の世に赤シャツと表記するいうことは、最初から犯罪人扱いの設定なのだろう。
勧善懲悪の原型だ。
今年は没後百年とか、後で知った。
素晴らしい。