弟から突然、電話がかかってきた。
小さいころは家が狭く、身を寄せ合うように生活してきた家族であったが、
大人になってからは用件のみの連絡しかなくなってきていた。
そんな状態でかかってくる電話はあまりいいことの連絡は少ない。
父親が入院することとなった。
肺炎を起こしていて、それはたいしたことがないのだが、血液中の
酸素が不足しているらしく、7~10日ほど入院して酸素を取り入れて
身体を整えたほうがいいようだ、ということである。
手術もしないので肺炎の治療を兼ねての入院となる。
やっぱり平日に電話がかかってくるとあまりいい知らせは来ない。
父親も今年の10月で79歳。そろそろいろいろと身体に支障をきたす齢に
なってきたということか。
若いころには、かなり無茶なこともしていたようだが、仕事一筋の真面目な
職人さんである。そんな父親の背中をみて育った。
反発した時もあったが、今は尊敬できる父親である。
今もまだ少しだが仕事をしていたが、今度の入院で完全に引退に
なるかもしれない。
最近はゆっくり話もしていないので、お見舞いにいって話をしてみよう。
家にいるときに行けばいいのに、なかなか顔を出せずに申し訳なかった。
無口な父親であるが、ぽつりぽつりと話をしてくれる。
その話し方が職人の雰囲気を醸し出す。
将来はああいう人になりたいものだ。