Genの思いつ記(Gen建築設計所)

人はいろいろであります。いろいろな日常を思いつくままに記録していく建築設計事務所のブログです。

欠陥住宅

2012年06月08日 | 建築、設計

知り合いの大工さんに頼まれて、ある住宅を見に行った。

その住宅の外観は洋風のデザインで屋根はスパニッシュ瓦、外壁は鏝あとを

残した左官の塗り壁である。

室内に入ると、広々とした玄関。ホールから扉を開けるとドーンという感じで

吹き抜けのあるリビングがあり、各室へとつながっている。

堂々とした面構えの住宅であった。

 

が、しかし、外壁はクラックが多数入り、土台水切りがついておらず、

どう見ても壁の裏に水が回っており、内部の吹き抜け部はボードのすべての

ジョイント部にクラックが入っていた。

 

実は欠陥住宅で裁判にもなった建物である。

詳細はわからないので書かない。ただ、調査書が残っていたので拝見した。

 

やはり、というか耐力壁不足。この住宅は枠組み壁工法(一般的にいう、

2×4工法)であり、壁の耐力が不足するということは建物の寿命にかかわる

ことなのである。

 

内部の耐力壁はすべてラワン合板にビス止め。この時点で内部耐力壁は

すべて耐力不足。外部の耐力壁も釘の種類が違い、耐力壁不足。

この段階で、少しの揺れ(地震、強風)で外壁の塗り壁にクラックが入ると

予想される。その通りに外壁前面にクラックが入り、水がまわり 建物の

命である構造用合板が腐り、中の2×4の部材までが一部ダメになっている。

 

外壁をはがした時に水が出てきたそうであるから相当なことだ。

施工不良なんてものではない。明らかに欠陥住宅といってもよい。

故意にそういう施工をしたのか、知識が足りない結果そうなったのかは

わからない。ただ、プロとしてやっている限り、許されないことである。

 

まだ、こんな施工をしているところがあるのかと愕然とした。

他にもいろいろとあるが、きりがないので書かない。

構造耐力を構造用合板に頼る2×4工法の脆弱さを改めて

思い知った感じである。内部結露の怖さを実感した。