知り合いの大工さんに頼まれて、ある住宅を見に行った。
その住宅の外観は洋風のデザインで屋根はスパニッシュ瓦、外壁は鏝あとを
残した左官の塗り壁である。
室内に入ると、広々とした玄関。ホールから扉を開けるとドーンという感じで
吹き抜けのあるリビングがあり、各室へとつながっている。
堂々とした面構えの住宅であった。
が、しかし、外壁はクラックが多数入り、土台水切りがついておらず、
どう見ても壁の裏に水が回っており、内部の吹き抜け部はボードのすべての
ジョイント部にクラックが入っていた。
実は欠陥住宅で裁判にもなった建物である。
詳細はわからないので書かない。ただ、調査書が残っていたので拝見した。
やはり、というか耐力壁不足。この住宅は枠組み壁工法(一般的にいう、
2×4工法)であり、壁の耐力が不足するということは建物の寿命にかかわる
ことなのである。
内部の耐力壁はすべてラワン合板にビス止め。この時点で内部耐力壁は
すべて耐力不足。外部の耐力壁も釘の種類が違い、耐力壁不足。
この段階で、少しの揺れ(地震、強風)で外壁の塗り壁にクラックが入ると
予想される。その通りに外壁前面にクラックが入り、水がまわり 建物の
命である構造用合板が腐り、中の2×4の部材までが一部ダメになっている。
外壁をはがした時に水が出てきたそうであるから相当なことだ。
施工不良なんてものではない。明らかに欠陥住宅といってもよい。
故意にそういう施工をしたのか、知識が足りない結果そうなったのかは
わからない。ただ、プロとしてやっている限り、許されないことである。
まだ、こんな施工をしているところがあるのかと愕然とした。
他にもいろいろとあるが、きりがないので書かない。
構造耐力を構造用合板に頼る2×4工法の脆弱さを改めて
思い知った感じである。内部結露の怖さを実感した。