詳しいいきさつは覚えていないがMM教に入信することになった。洗礼の儀式を行うので教団本部に集合が命じられる。
教団本部の建物はもともとアメリカ発祥の新興宗教らしく教会風であり、入口を入ると一瞬懐かしいアメリカの香りがする。子供の時に通っていたY十字路近くの琉米文化センターの英語本のインクの香りと同一であり、その記憶が呼び起こされ連想されたからなのだろう。しばらく大広間のような廊下を歩き奥の特別室に向かう。
しかし、同時に何故か湿度の高さを感じる。洗礼を受ける部屋は大きな健康増進センターのような銭湯のようなあたかもレジャーセンターのような場違いな場所であった。更衣室で洗礼用の衣装に着替えるよう指示され、男女左右に別れる。洗礼用の衣装はそのまま、健康ランド温泉などで利用されている上下に分かれたアロハのような代物であり、ただ、外国の教団らしくメイドインUSAのサイズ表示がL5・LSSなど訳の解らん物であったので着替えに戸惑う。
まぬけなアロハ姿の男女200人ぐらい戸惑いつつ集合。足元をバスタオルで敷き詰められた部屋の中にはMARIO、モンロー、門弟、同居人など見知った顔もちらほら。洗礼はさらに奥のプールの設置されたホールで行うと係のステーブ・マックイーンにそっくりの白人男性片言の日本語で説明。
説明を聞いている最中、頭の真ん中で一瞬閃光が走り全てを理解した。私は「暗殺者」
MM教には30年前すでに入信している。バンドマンをやっている頃、当時酒女薬煙草の真夜中人生に疲れ果ての揚句、清く正しく美しい長老(宣教師)の若者が眩しく誘われるまま同棲していた女と洗礼を受けたのだ。その後6カ月は教義の人生を送り、しかしこれではこの世間ではやっていけないと脱会し、元の黙阿弥。教本の最後に「いったん入信したるもの余を裏切り教えを去ればその罪人は入信せざる者の100万倍苦しめられるであろう」との脅し文句に震え、その後の不幸な出来事は全て教祖の呪いであったかと自問自答で苦悩の日々。
「今は幸せで~す。脱会して良かったね~。」なので恨みで暗殺するのではなく多分私の人格の何処かの部分が落とし前を要求していて、それに答えましょうが真相でしょうね。
頭脳明晰な我が読者諸君すでにお気づきの事であろう。これはHACHI公の夢の中の世界でする。
現実の洗礼と同様プールに水の中に仰向けで長老に支えられて沈められ纏う白無垢の衣装がアロハに変わり長老の代わりに洗礼を施すのは教祖。
形状記憶合金の針にて速やかに教祖の延髄を一突きし、神経細胞を切断。教祖自己の死を認識することなく絶命。周辺の誰も気づかぬまま立ったまま死ぬ。HACHI公速やかに立ち去り普段通りの歩調で逃亡。
まだまだ続きます。