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街の灯

2009-09-13 | 時代の光景U+203CU+FE0E
写真は、数年前のある夏の日の午後。

何とも味のある背中に、思わずシャッターしたビッグイシュー販売のおじさんである。

このおじさんとは、日本ビッグイシュー創刊号からのお付き合いだから、いまじゃすっかり仲良しとなってしまった。

そんなこのおじさんのことが、先日の経済雑誌にデカく掲てると切り抜きを頂いた。

何とおじさんは、月間1500部あまりを販売する全国でトップクラスの販売員なんだそうだ。

なんだか自分のことのように嬉しかった。

駅前でのビッグイシュー販売員は最近ではよくみかける風景だ。

感傷的なことばかりを口にする人もいる。

賞賛ばかりする人もいる。

そこに社会や政治や時代を語ろうとする人もいる。

一冊300円

彼らが手にすることはない。

“売る”がテーマ。

他のトップクラスの販売者は、購読者を携帯登録DMしたり、ネットワーク化したり、この業界もハイテク化される中、このおじさんだけは、毎日朝8時~10時間以上こうして立ち尽くし、アナログ販売で全国トップクラスの販売数だったようだ。

駅前を行き交う人は、毎日こうしてひたすら立ち尽くす、そのおじさんの存在にある日気づいて、ある日ビッグイシューを買ってくれるのだそうだ。

今では、このおじさんの存在はある意味、勇気と真実の存在を確認させてくれる街の灯となっているようだ。

街の灯の認識はとてつもない時間を要する。

きっと七十年の月日の中で、たくさん見てしまわれたのかもしれない。

そして、おじさんにしてみれば、自分がたどり着いたものをやってるに過ぎないのかもしれない。

おじさんは、理屈じゃなく人間のそこに賭けているようだ。
究極の確信犯だ。

そして僕もまた、まさにそこにまんまとやられた中の一人なのだ。

実際のご本人は、とても真面目で誠実で、丁寧でとても低姿勢な方だ。

日焼けされた笑顔が実に気持ちよく伝わってくる。

背中に力がある。

まさに営業の鏡だ。

一冊300円で販売し160円がおじさんの利益となる。

粗利を計算すると気が遠くなり、たいがいの人はめげてしまうだろう。

一冊買ってもらうために、どれだけ多くの通りすがりを見送り、我が身を映すことか。

雨の日、風の日、暑い日、寒い日。

おじさんは、いつしか街の灯となっていた。

街の灯と気づいた時、それは心の灯となるのだ。