:::::
小川 和久
1945年熊本県生まれ。77歳。
陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。
同志社大学神学部中退。
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。外交・安全保障・危機管理の分野で政府の政策立案に関わり、国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、日本紛争予防センター理事、総務省消防庁消防審議会委員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。
小渕内閣ではドクター・ヘリ実現に中心的役割を果たした。
2012年4月から、川勝平太静岡県知事の要請で静岡県立大学特任教授として静岡県の危機管理体制の改善に取り組んでいる。
2011年3月に、シンクタンク・国際変動研究所を設立、そのホームページでメールマガジン『NEWSを疑え!』を配信している。
著書に『日米同盟のリアリズム』『日本人が知らない集団的自衛権』『危機管理の死角』『中国の戦争力』『ヘリはなぜ飛ばなかったか』『在日米軍』『原潜回廊』など。最新刊に『フテンマ戦記』。
:::::
ロシアのウクライナ侵攻以後、「中国の台湾侵攻も現実味を帯びた」と叫ばれることも多いが、本当のところはどうなのか。
国防意識は高まりを見せるなか、事実とデータをリアルにとらえ、冷静に分析・評価はなされているのか―ー。
陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校を修了し、外交・安全保障・危機管理の分野で政府の政策立案にも関わってきた軍事アナリストで静岡県立大学特任教授の小川和久氏の新刊『メディアが報じない戦争のリアル』(SB新書)より一部を再編集してお届けする。
<
>
〇軍事的合理性のない「台湾有事論」
Q:ロシアのウクライナ侵攻で、「次は中国の台湾侵攻では」とおそれる台湾有事論が広がっています。どう考えますか?
A.『メディアが報じない戦争のリアル』でもっとも強調したい、と私が考えていることを最初に申し上げます。
それは、日本で取り沙汰されている「台湾有事論」には“科学的な視点”が欠け、 軍事的合理性もない、ということです。
「軍事を語る際に必要な合理的でリアルな視点」 や「軍事に関する常識」が欠如している、と言い換えてもよいでしょう。
<
陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。
同志社大学神学部中退。
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。
・・・
>
2021年春、そんな視点に欠けた台湾有事論を、インド太平洋軍司令官を務めるアメリカの海軍大将が公言して波紋を広げました。
日本では、自衛隊の将官OBの多くが「そのとおり」と、その発言に同調しました。
「専門家である軍の高官が?」と思うでしょうが、困ったことに事実だったのです。
〇台湾をめぐる中国の「リアルな狙い」
しかも、無責任なことに日本のマスコミは、科学的な視点に欠ける台湾有事論をきちんと検証しないまま、大々的に報道しました。
その結果、「近い将来のある日、中国人民解放軍が台湾に攻め込んで軍事占領し、武力による台湾統一をはたすに違いない」という、単純な中国脅威論が拡散しました。
SNSはじめインターネットでも荒唐無稽な議論が繰り返される。
社会のリーダーたる政治家までもが、テレビに出ては「中国の台湾侵攻が近い。日本はどうする?」と危機感を煽りたてる。
<
台湾侵攻は近い?ベトナム書記長がいち早く中国に駆けつけたことの大きな意味2022.11.21(月)川島 博之
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/045970f7e04d725fc356cd5fd5394a9c
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/045970f7e04d725fc356cd5fd5394a9c
>
<
習近平と会談、バイデンが「台湾侵攻はすぐにはない」と判断した危ない根拠2022.11.17(木)
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/4814104aaa28326d0dee595c0e0ebcfe
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/4814104aaa28326d0dee595c0e0ebcfe
>
<
【台湾海峡危機】諸刃の剣〜「台湾封鎖」と中国経済15分2022年8月17日 興梠一郎
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/3eb3fcacdaf54b86d0f125585b101614
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/3eb3fcacdaf54b86d0f125585b101614
>
国政に関わる政治家や自衛隊の将官OBが社会をミスリードすれば、日本の国益を大きく損ないかねない事態です。
これは捨てておけません。
そこで、まず2021年の台湾有事論を紹介し、どこがどのように非科学的なのか、お話しします。
この点は、ロシアのウクライナ侵攻でますます広がった台湾有事論でも、基本的に変わりません。
そのあと中国軍の実態はどうなっているか、台湾をめぐる中国のリアルな狙いとは何か、中国の戦い方とはどんなものか、みていくことにします。
そこで、まず2021年の台湾有事論を紹介し、どこがどのように非科学的なのか、お話しします。
この点は、ロシアのウクライナ侵攻でますます広がった台湾有事論でも、基本的に変わりません。
そのあと中国軍の実態はどうなっているか、台湾をめぐる中国のリアルな狙いとは何か、中国の戦い方とはどんなものか、みていくことにします。
〇デビッドソン海軍大将の「証言」
2021年3月、台湾有事の問題に火がついたきっかけは、インド太平洋軍司令官だったデビッドソン海軍大将が上院軍事委員会の公聴会で「中国の脅威は6年以内に明らかになる」と証言したことでした。こんな内容です。
「彼ら(中国)は、ルールにのっとった国際秩序におけるアメリカのリーダーとしての役割に、取って代わろうという野心を強めている、と私は憂慮している。2050年までにである」
「台湾は、それ以前に実現させたい野望の一つであることは間違いない。
「台湾は、それ以前に実現させたい野望の一つであることは間違いない。
その脅威はむこう10年、実際には今後6年で明らかになると思う」
「中国は、資源の豊富な南シナ海大半の領有権を主張するだけでなく、アメリカ領のグアムを奪う構えすら見せている」
「インド洋のディエゴガルシア島やグアム島にある米軍基地に酷似した基地への模擬攻撃の動画も公表している。
「中国は、資源の豊富な南シナ海大半の領有権を主張するだけでなく、アメリカ領のグアムを奪う構えすら見せている」
「インド洋のディエゴガルシア島やグアム島にある米軍基地に酷似した基地への模擬攻撃の動画も公表している。
デビッドソン大将はこう指摘し、中国のミサイルを防御する「イージス・アショア」(地上配備型イージス・システム)のグアムへの配備を求めたほか、「やろうとしていることの代償は高くつく、と中国に知らしめるため」に、攻撃兵器の予算の拡充を議会に求めました。
〇米軍トップのミリー統合参謀本部議長の「発言」
なにしろインド洋と太平洋を担当する米統合軍のトップが、中国は台湾を狙っており、 6年後、つまり2027年までに脅威が現実となる、と期限付きで明言したのです。デビッドソン証言は、日本でも大きく取り上げられ、各方面に波紋が広がりました。
ところが、火元のアメリカでは証言3か月後の2021年6月17日、米軍トップのミリー統合参謀本部議長が、上院歳出委員会の公聴会で次のように発言します。
「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い」
「中国には現時点で(武力統一の)意図や動機もほとんどないし、理由もない」
「近い将来、起こる可能性は低い」
「中国には現時点で(武力統一の)意図や動機もほとんどないし、理由もない」
「近い将来、起こる可能性は低い」
つまり、米軍のトップがデビッドソン証言をはっきりと否定したわけです。
このデビッドソン証言については、アメリカでは海軍予算を増やすためのアピール、中国の脅威への警鐘という評価だけでなく、上陸作戦に無知だったという酷評さえ出ています。
意外かもしれませんが、米軍でも上陸作戦のことを教育されるのは海兵隊と陸軍のエリートだけで、海軍と空軍の大部分には知識がないのです。
<
陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。
同志社大学神学部中退。
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。
・・・
>
〇思い出す「北方脅威論」
しかし、不思議なことに日本のマスコミの多くは、デビッドソン証言のトーンを変えないまま台湾有事を報道し続け、ミリー証言に目を向けようとはしませんでした。
ミリー統合参謀本部議長は軍事的な根拠を持って証言したわけですが、マスコミはもとより、研究者や自衛隊OBまでもが、その根拠を知ろうとはせず、関心を払わなかったのです。
この状況を見て私が思い出したのは、1970年代後半の「北方脅威論」です。米ソ冷戦が激しさを増した当時、日本国内では「何十個師団ものソ連軍が北海道に上陸侵攻してくる」という危機感が高まり、マスコミも煽るような報道を繰り返しました。
ここでいう「師団」とは、戦闘のほか補給・管理・衛生などを含む総合的な機能があり、独立して作戦を遂行できる陸軍の基本単位で、1個師団は数千~2万人くらい(国や時代で異なる)です。
とにかく、半世紀近く前の日本では、何十万人かのソ連兵が海を渡って攻めてくる、と叫ばれていたのです。
ところが現実には、ソ連の海上輸送能力には明らかな限界がありました。
リアルな姿をとらえれば、ソ連が北海道に投入できるのは3個自動車化狙撃師団(注 機械化歩兵師団のソ連側の呼称。狙撃兵の部隊ではない)、1個空挺師団、1個海軍歩兵旅団(ソ連版の海兵隊)、1個空中機動旅団にすぎません。
まだ弱体だった自衛隊ですが、米軍と力を合わせれば、攻めてくるソ連軍の半数を海に沈めるだけの能力はありました。
そんなことはソ連側も自覚していますから、全滅を覚悟しない限り作戦が発動される可能性はありませんでした。
〇防衛大学校の1期生が「教えてくれたこと」
意外に思われるかもしれませんが、軍事はそんな角度から科学的にとらえる必要があると私に教えてくれたのは、当時一等陸佐になったばかりの防衛大学校の1期生たちです。
結局、当時の騒ぎはアメリカのワシントン発、さらには東京・永田町発のきわめて“政治的な”ソ連脅威論にすぎませんでした。
空騒ぎから醒めたあと、日本人にまともな防衛意識が高まるまでに長い年月がかかりました。
今回の台湾有事論にも同じ側面が色濃く出ている、と私は考えています。
<<<
<
>
★媚中煽り?情報情報配信か「メディア〇〇〇さんには嘘をつかない正直者のお手伝いさん6W3H=9人態勢整備必須か。その者達の名前は1.「なに? (What) 」さん、2.「なぜ? (Why) 」さん、3.「いつ? (When) 」さん、4.「どこ? (Where) 」さん、5.「どんなふうに? (How) 」さん、それから「だれ? 6.(Who) 」さんと言うんだよ。更に、7.誰に(Whom)8.どのくらいの数で(How many)9.いくらで(How much)」。
「メディア〇〇〇さんは現場・現物・現実の取材予算要員体制を強化加速して“正直者のお手伝いさん6W3H”=9人体制整備加速してきください」。
https://ja.wikipedia.org/wiki/5W1H
「メディア〇〇〇さんは現場・現物・現実の取材予算要員体制を強化加速して“正直者のお手伝いさん6W3H”=9人体制整備加速してきください」。
https://ja.wikipedia.org/wiki/5W1H
>>>