2024年1月13日(台湾時間)、4年に1度行われる台湾の総統選挙の投開票が行われ、558万6019票を獲得した与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が当選しました。
頼氏は同年5月、2016年から2期8年総統を務めた現職・民進党の蔡英文氏の後を継ぎ、総統に就任する予定です。
同選挙には、最大野党・国民党から新北市長の侯友宜氏(467万1021票)、野党第2
党・民衆党から前 台北市長の柯文哲氏(369万466票)の合計3人が立候補していました。
今回の選挙戦で1つの争点となったのが、中国との向き合い方です。頼氏は、蔡氏が
掲げた「中国と台湾は別だ」という路線の継承(現状維持)を訴えたのに対し、侯
氏および柯氏は、中国との対話や交流拡大などを訴えていました。
BBCの報道によると、中国政府は同日、選挙結果を受けて談話を発表し、民進党が「(台湾)島内の主流の民意を代表できないことを示した。今回の選挙は、祖国がやがて必ずや統一されるという、阻止できない流れを妨げられない」と、台湾が中国の一部だと改めて強調しました。
頼氏は、2023年9月に開かれた「SEMICON TAIWAN」の関連イベントに登壇。同氏のX(旧Twitter)ではその際の写真と合わせて、「半導体産業は台湾の強みであると同時に責任でもある。
われわれは今後も他の民主主義諸国と協力して安全で強靱なグローバルサプライチェーンを構築していく」とコメントを投稿していました。
また、同年5月にも、衆院議員の坂本哲志氏率いる代表団と、TSMC熊本工場建設や経済連携に関する意見交換も行っています。
台湾と日本は同年9月、日台間の産業分野における交流を目的としたイベント
「日本・台湾スタートアップサミット 2023」を開催。
NDC主任委員(日本における「大臣」に相当)のMing-Hsin Kung氏や、衆議院議員で自民党政務調査会長の萩生田光一氏が登壇し、「日台は最高の友人だ」と友好関係を強調していました。
▼日本進出を目指し、台湾スタートアップ40社が集結
頼氏も親日家としても知られていて、2011年の「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」、2016年の「平成28年熊本地震」、2018年の「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」などにおいて、追悼メッセージの発信や積極的な復興支援を行っています。
2024年1月1日の「令和6年能登半島地震」の際には、自身のXで「日本の能登半島で発生した地震で被害を受けた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。台湾はいつも日本の皆さまとともにあります。
日本がこの困難な時期を乗り越えることができるよう、私たちはいつでも必要な支援を行うことができるよう準備をしています」と日本語で投稿しました。
筆者は、頼氏の政治的な方針や思想についてコメントはできませんが、日本に好意
的な人が台湾総統に就任することをうれしく思います。台中関係ならびに世界が平
和的に発展していくことを願いながら、今後も動向を追っていきたいと思います。
(EE Times Japan/EDN Japan 半田 翔希)