民平的幸せ体感記3【40代編】

かつて世界一周一人旅をした「みんぺ~」のユルくてどうでもいいブログ。ちょっとハッピーな気持ちになれるとかなれないとか。

児童養護施設職員と嬉しい瞬間

2020年04月18日 | 児童養護施設の仕事
児童養護施設には、様々な事情の子どもがやってくる。

Aくんは、いわゆる色んな場所をたらい回しにされた末にやってきたコだ。

その経過の中で何度も大人を信じようとしてきたんだろう。

でも色んな事情あって、そこが安心出来る居場所にはならなかった。

そしてボクが働く施設に。

大人は信じられない。

大人は裏切るもの。

大人には叱られる。

大人は見捨てる。

大人は気持ちを分かってくれない。

大人なんて、大人なんて、大人なんて。

そんなイメージを持った彼にとって、ボクもまたそんな「大人」の一人だったんだろう。

出会った頃の彼はボクと目を合わせるコトはなかった。

ボクに甘えるコトはなかった。

「死ね」

「殺す」

何度そう叫ばれたコトだろう。

名前を呼ばれるコトだってない。

彼にとってのボクは、今まで助けてくれなかった「大人」の一人だったんだろう。

そんなコに対しては、無理に距離を縮めないようにしている。

理不尽な暴言を浴びせられてもグッと堪えるようにしている。

そこでキレたら今まで出会ってきた「大人」と同じになるから。

とにかく気長にブレない存在で居続ける。

と書けば何だかボクがスゴい人に思えるけどそんなコトはない。

こちらがどう思っていようが、どう丁寧に関わろうが、それはボクのエゴだったり自己満足だったってコトもあるだろう。

結果として、ボクが彼の望まない「大人」だった時もいくらだってあっただろう。

そんなボクみたいな完璧ではない「大人」達が知恵を絞り合って、彼みたいなコ達を支えながら生活を共にするのが児童養護施設だ。

Aくんと出会って数年経ったある日、体調を崩した彼を連れてとある病院に行った。

先に靴を脱いで、下駄箱からスリッパを取った彼。

そしたら手に取ったスリッパを「はい」とボクの足元に置いてくれたのである。

ありがとう。

そう言ってボクはスリッパを履いた。

何も知らない人から見ると、別に自然な光景かもしれない。

特別な反応をしちゃいけないので、サラッと口にしたけれど、内心は心躍りまくったボク。

うぉー!

ありがとよー!

心から嬉しい瞬間だった。

人の優しさを素直に受け止められず、人に優しくなんて出来ず、対人トラブルが絶えないAくん。

そういう自然な優しさを出すAくんの姿を見たコトがなかった。

少なくともボクに対してそんな行動をしたコトはなかった。

だからこそ嬉しかった。

そして最近、時々、本当に時々だけど、ボクを名前で呼ぶコトがある。

みんぺーちゃん。

そんな時も特別な反応はしない様にしているけれど、実は内心嬉しく思っている。

おっ!

名前で呼んでくれた!

嬉しいなぁ。

どんなコも本当は優しい。

本当は素直な面を持っている。

本当は「大人」に優しくされたいし、必要とされたいし、感謝されたい。

頼りたい、甘えたい、褒められたい。

そんな本当の姿をどうやって出させてあげられるか。

幸せになって良いんだよって伝えてあげられるか。

きっとそんな仕事なんだと思う。

ボクは児童養護施設の職員だ。

傷ついた子ども達を受け止めて支える最後の砦で働いている。

そんな誇りを忘れない様にしたい。
心身共に余裕を失いがちな今だからこそそんなコトを思う。

穏やかで「当たり前」の日々が早く戻って来ますように。


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