統一教会は、設立当初から宗教活動にとどまらず、さまざまなメディアを買収して活動範囲を広げ、武器や食品産業で実りあるビジネスを展開した。
書影『ウルグアイを侵食するカルトと新宗教 (Las sectas y nuevas religiones a la conquista del Uruguay)』
中南米地域での統一教会の主な政治団体は、アメリカ社会統一協会連合 CAUSA (Confederación de Asociaciones para la Unificación de las Sociedades Americanas)で、「アメリカ大陸における共産主義と戦う」ことを名目にしている。カトリック司祭フリオ・セサル・エリサガの著書『ウルグアイを侵食するカルトと新宗教 (Las sectas y nuevas religiones a la conquista del Uruguay)』によると、CAUSAは1964年、元CIAの韓国諜報員だった朴普煕がCIAを退職し、統一教会の政治活動に専念して、設立されたとされている。1970年代から1980年代にかけては、この地域の政治と宗教をつなげるものとして影響力を持つようになった。
フリアン・サフィという人物は、独裁政権時代に国家広報局のトップを務めながら、途中から2012年まで統一教会所有の「ウルティマス・ノティシアス」の編集長を務め、現在、週刊誌「ラ・マニャーナ」に記事を執筆している。
書影『文帝国』
フランスのジャーナリスト、ジャン・フランソワ・ボワイエ氏の著書『文帝国 (El Imperio Moon)』(1987年)によると、サフィのオフィスにはレーガン大統領が朴普煕元大佐と握手している写真が飾られており、彼は、来客に繰り返し、こう説明していた。
「私はビジネスマンではありません。ここまで来られたのは、私が金融の天才だからではなく、文先生の信頼があったからです」。
サフィのジャーナリストとしてのキャリアは、1960年、コロラド党の最右派のリーダー(で、後に軍事政権下で内務大臣を務める)カルロス・マニーニ・リオスが経営する「ラ・マニャーナ」誌で始まった。その後、カルロスの兄アルベルト・マニーニの娘であるマルガリータと結婚し、1970年から極右学生団体JUP(Juventud Uruguaya de Pie 立つウルグアイ青年団)のコーディネーターである義兄のウーゴ・マニーニとともに政治にもどっぷりと関与するようになる。
その後、彼は4つ星ホテル「ビクトリア・プラザ」のオーナーになった。この買収を企てたのは、20世紀最後のウルグアイの軍事独裁者グレゴリオ・アルバレス将軍の義父であるベナンシオ・セグンド・フローレスとサフィらである。