参拝者らが砂をかけ合い、今年の五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る砂かけ祭が11日、奈良県河合町の廣瀬大社であった。境内は砂よけのマスクやゴーグルをつけた大勢の参拝者でにぎわい、砂をかけ合っていた。

 午後2時、拝殿前の田んぼに見立てた砂地に面をつけた田人(たびと)役と牛役が登場。農具の鋤(すき)や鍬(くわ)などを使い、田んぼを耕す動作をした後、農具を使って砂地の砂を勢いよく参拝者にふりまいた。参拝者も手で地面の砂をつかんで、田人役や牛役にかけ返した。砂をかけられた人であちこちから悲鳴と歓声が上がった。

 樋口俊夫宮司によると、砂は雨水に見立てられ、砂のかけ合いが盛んなほど雨が多く降り、豊作になるとされる。砂をかけられると厄よけにもなるという。

 河合町から訪れた大山さち子さん(61)は孫の燈奈里(ひなり)ちゃん(2)を腕に抱いていた。2人とも帽子が砂まみれだ。「砂から逃げようと思ってもだめでした。でも燈奈里は砂をかけられて笑っていましたよ」とさち子さんは話した。