電気代節約術、家庭でどう防衛する? マイホーム発電、契約メニュー見直し、高圧一括受電…
6月から関西電力が家庭向け電気料金を再値上げするのに対し、節電以外の家計防衛策に関心が高まっている。家で電気をつくる「マイホーム発電」や関電との契約メニューの見直しのほか、契約する電力会社を変えることも可能だ。
売電で光熱費賄う
堺市北区の男性会社員(33)は、3年前に新築した家にマイホーム発電として、家庭用燃料電池「エネファーム」と太陽光発電を導入した。妻と4歳の長女に、生まれたばかりの次女。夏場は冷房が欠かせないが、「月の電気代は1500円程度に収まる。売電収入で光熱費をまかなえる」と話す。
エネファーム単体でも4人家族で光熱費を年8万6千円引き下げる効果があるという。大阪ガスでは昨年9月、累計販売台数が3万台を突破した。
担当者は「東日本大震災以降、非常時の電源確保に関心が高く、本体価格の引き下げが導入を後押しした」と話す。今年度は販売目標に1万2300台を掲げている。
ただエネファームは値下がりしたとはいえ実勢で約140万円。太陽光発電も出力1キロワットあたり37万円前後かかり、一般的なものでも100万円を上回る。多額な初期投資が課題だ。
昼間不在なら得?
簡単な電気代節約術は料金メニューの見直しだ。
東京電力や中部電力では電流量の上限を引き下げて基本料金を安くできる「アンペア契約」があるが、関電にはない。ただ、ほかにも料金のメニューがあるので、詳細に分析すれば契約見直しによる節約は可能だ。
関電は、電力消費が少ない午後11時から翌午前7時までの夜間帯を安くした「時間帯別電灯」、夏場の電力消費のピーク(午後1〜4時)を割高にして節電を促し、ほかの時間帯を割安にした「季時別電灯PS」などのメニューを設けている。
共働きなど昼間の不在が多い場合、こうしたメニューで料金が下がる可能性があり、関電は料金試算のサイトを設け「節約になりうるので、ぜひ活用してほしい」と呼びかけている。
マンションでまとめ買い
50戸以上の分譲マンションでは、電気を安くまとめ買いすることも可能だ。家庭で一般的に使われる低圧より安い「高圧一括受電」契約を結び、各世帯に分配、それぞれの料金を抑えるサービスだ。
経済産業省によると提供業者は27社あり、26年度の契約数は22年度の約3・6倍、約44万戸とみられる。「新築ファミリーマンションの9割は高圧一括受電」(業界関係者)というほど急拡大している。
既築マンションでは管理組合の決議などの手続きが必要だが、マンション関連サービスの長谷工アネシス(東京)によると、同社の高圧一括受電契約630棟9万戸のうち既築は約310棟4万戸を占め、関西では約160棟2万戸に上る。同社は「共有部分の電気代割引で管理費の上昇を抑えるという提案ならば、同意を得やすい」と説明する。
大口電力の小売りは自由化されていることから、一括受電サービス業者の中には、関電のような大手電力会社ではなく低料金の特定規模電気事業者(新電力)から電気を仕入れているところもある。
関電から新電力に乗り換えた大口顧客は26年度までに累計1万2529件に達した。28年4月には家庭用の小口電力の小売りも自由化される。大手広告代理店、博報堂が今年1月にまとめた消費者向けアンケートでは、64%が電力会社を「変えてみたい」と回答しており、家庭でも関電離れが加速する可能性は高まっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます