© サンケイスポーツ 提供 男子100メートル準決勝、1位のサニブラウン・ハキーム=ヤンマースタジアム長居(撮影・甘利慈)
日本選手権第1日(23日、ヤンマースタジアム長居)世界選手権(8月、ロンドン)代表選考会を兼ねて開幕。男子100メートル予選と準決勝で、18歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)が日本歴代6位の10秒06を連続マークした。世界選手権の標準記録(10秒12)も突破し、準決勝トップのタイムで24日の決勝に進んだ。桐生祥秀(21)=東洋大、ケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=らも順当に決勝進出。9秒台、そして3枠の代表争いも大注目だ。
大混戦の男子100メートル戦線。サニブラウンが、うなりを上げるような快走で主役に名乗り出た。夕方の予選(追い風0・4メートル)で日本歴代6位の10秒06をマークすると、4時間後の準決勝(同0・5メートル)でも同タイムをたたき出した。
「こんなにいいタイムをバンバン出せるとは。びっくりが一番です」
スケールが違う。準決勝では鋭く飛び出した多田修平(21)=関学大=に中盤までリードを許したが、1メートル87、72キロの体格が生み出すパワーをトップギアに高めて一気に差し切った。2レースとも全体のトップタイム。大器が進化を見せつけた。
今春、東京・城西高を卒業したばかり。進化を求めて選んだ米国のフロリダ大への進学を今秋に控え、単身オランダに渡った。同国代表のコーチで、各種目で名選手を育てているレナ・レイダー氏に師事し、腕の振りを改良。「上半身が安定してブレのない、いいフォームで走れている」。つかんだ手応えを形にした。
世界選手権の標準記録を突破した6人目となったが、本命の200メートルでも標準記録(20秒44)を突破しており、2003年の末続慎吾以来となる2冠も視界に捉えた。24日の100メートル決勝は大激戦必至。桐生、ケンブリッジ、多田、山県亮太(25)=セイコーホールディングス=の“4強”と、3枚のロンドン行きの切符を争う。
9秒台突入の期待は増すばかり。「出るときは出るんじゃないですか。明日(24日)が待ち遠しい」とサニブラウン。主役の座は譲らない。 (鈴木智紘)
予選で自己ベストの10秒08をマークし、決勝に進んだケンブリッジ飛鳥「シーズンで一番調子が良い。もう一段階、上に行けそう」
右足首痛から約3カ月ぶりに復帰し、準決勝2組の4着にすべり込んだ山県亮太「(決勝は)できることは全部やって、表彰台を目指してスタートから勝負を決めに行くレースをしたい」
サニブラウン・ハキーム
1999(平成11)年3月6日生まれ、18歳。東京・港区出身。ガーナ出身の父と日本人の母を持つ。小学3年で陸上を始める。東京・城西高2年時の2015年、世界ユース選手権で100メートルと200メートルで2冠を達成。昨年11月に米国のフロリダ大に今秋から進学すると発表した。1メートル87、72キロ。
世界選手権への道
男子100メートルの出場枠は最大3。日本選手権までに参加標準(10秒12)を突破したのは桐生、山県、ケンブリッジ、多田、飯塚の5人。代表選考優先順は(1)日本陸連が定める派遣設定記録S(9秒89)を突破。(2)参加標準を突破し同大会で優勝。(3)派遣設定記録A(9秒98)を突破した同大会3位以内の最上位。(4)参加標準を突破し同大会で3位以内、同大会以外の選考レースで日本人1位かつ同大会にも出場した選手、派遣設定記録Aを突破し同大会8位以内、強化委員会の推薦選手-となる。