おとうさん、なんであたしたちは何にも選ぶことができないんだろう。
何かを選んだつもりになっても、ただ空をつかんでいるだけ。
自分の思う方向に、自分の足を踏み出すこともできない。
ねえおとうさん。
もしどこかでナナコがひどく傷ついて泣いていたら、あたしには何ができる?
駆け付けてやることも、懐中電灯で合図を送ることもできないじゃないか。
なんのためにあたしたちは大人になるの?
大人になれば自分で何か選べるようになるの?
大切だと思う人を失うことなく、いきたいと思う方向に、まっすぐ足を踏み出せるの?
ここ数日 日々 何度も何度も読み返してしまうのです
葵がとめどなく 涙をながしつつ 心の中でさけんでいるこの言葉
自分の経験を 葵のこの姿に、ダブらせているわけではないのですが・・
胸にせまってきて 涙がぼたぼた落ちる
私の遠い記憶のどこかに 似たようなことがあったかな、と 記憶の糸を一生懸命に手繰り寄せてみたりしても・・ う~ん たどりつけない
もしかして、今の私にとって 状況などなどは異なっているけど 誰かのことをこんな深刻に感じていることがあるのだろうか・・・ はてな?
と、自分の心の中を さぐっています
こたえは出ないままです
そんな訳で、この数日 日に何度もこのページを読み返すのでした
角田光代 著 「対岸の彼女」
心うちふるえた小説でした
こんなとき、最高に幸せだなと思います
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嗚咽とともに 涙をほとほとと流す
そのあと なぜだかとても 健やかな心になっているような気がします
これも 幸せなんだろうな