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・芦屋のタローは震災で飼い主の老夫婦の手を離れる。
妻(74)は死亡、夫(79)は重傷で入院中。
タローは壊れた家のそばを離れようともせず、
帰ってくる飼い主を待っている。
新聞のカラー写真では白と茶色、
焦茶も混じった雑種らしい犬。
近所の人がみかねて傘や布団で仮小屋を作ってやって、
配給の食料の残りを与えているそうな。
里親の申し込みは十分チェックして、
七割ほど成立したということだ。
衰弱して点滴で生きていた犬が、
犬好きのお嬢さんにもらわれて、
すっかり元気を取り戻したという話や、
はじめは仔犬をという里親の希望だったが、
母犬も共に飼っていただけませんかと、
避難所のボランティアの人に頼まれ、
一応、連れて帰った人が、
もう二匹とも可愛くて、どちらも手放せない、
といった話など私を楽しませた。
犬の餌代にと義援金が、
被災ペット避難所に送られてくるという話も嬉しかった。
飼えないから安楽死させて下さい、
と持ち込む飼い主もいたようである。
避難所ではそれを断り、
里親をさがすからと引き取った。
また全国から猛烈に要望されたのは、
純血種の高級犬だった。
繁殖業者たちらしい。
動物ボランティアたちはそれらを厳しくチェックする。
ほんとうにペットを愛し、世話の出来る人、
犬好き、猫好きな人に無償で、
ということになっている。
ペットの里親さがしは首都圏にまで拡げられた。
話がまとまってたくさんの犬が東京へ空輸された。
私の東京の知人にも、
被災犬を引き取って下さった方がいる。
ご多聞にもれずその犬も震災ショックで、
沈んであまり鳴かない犬だった。
それでも追い追い、
引き取り家庭の家族の愛情に馴染んでいった。
ある夜、知人が遅く帰宅すると、
その靴音を聞きつけ遠くから鳴いた。
はじめて犬(あいつ)の声を聞いたなあ、
と知人は気付いたそうである。
<やっとこれでウチの犬になった、と思いましたよ>
やはりペット避難所から犬をもらってきた人の投書。
京都のA・Nさん。主婦(64)
(新聞には記名してあるがこれも頭文字で)
「あなたの愛犬、私が育てます」というもの。
(1995・2・25 大阪朝日)
「先日、神戸市東灘区から、
柴犬らしいメスのワンちゃんをいただいてきました。
『ミカンちゃん』と名づけられていました。
避妊手術も済んでいて、避難所では、
ボランティアの人たちが手厚い世話をしていました。
避難所に来たときは、
ノミ取り首輪をつけていたそうです。
年齢はわかりませんが、毛並みから二、三才とのことです。
歯がカットしてあります。
私は、きっとあなたが震災直後に、
安楽死させるかどうか、悩まれた末、
歯をカットしてもらい、
人に噛みついても大丈夫なようにして、
放されたのではないだろうかと思うのです。
東灘区から京都のわが家まで長い長い車の旅でしたが、
とても元気で食欲もあり、散歩も喜んでしています。
おとなしいワンちゃんで、
私たち家族はとても気に入っています。
一年でも十年でも、大事に大事にお預かりいたします。
どうかご心配なく、ご自分たちの幸せへ向けて、
一日も早く立ち直って下さることを祈っています。
いつかお返しできる日がくるまで・・・」
世間の犬好きはこの投書にきっと心が熱くなったと思う。
京都のA・Nさん、ありがとう。
柴犬<ミカンちゃん>の顔も目に見えるようだ。
私はこの投書も忘れられない。
それでも避難所へ収容された犬・猫はいい。
彼らを捜し求めている飼い主とめぐりあえるチャンスもある。
彷徨して迷子になる犬・猫もあわれだが、
捜し続ける飼い主もせつないことであろう。
避難所の伝言板や町角の焼け残った建物の壁に、
飼い主は手作りのチラシを貼る。
「三毛。三才。前足が黒い。連絡乞う、TEL〇〇番」
添えられた猫のイラスト。
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(次回へ)