先日、パット・メセニーの最新のコンサートツアー オーケストリオンを聴きに行きました。自動演奏楽器群「オーケストリオン」とパット・メセニーだけなのでリサイタルのような気もしますが、全体としてはパット・メセニー・グループ バンドのようになっているので、コンサートです。この「オーケストリオン」とは楽器にロボットアームや電磁ソレノイドを付けて自動的に演奏ずる技術・機械です。
パット・メセニーは学生の頃からよく聴いている大好きなギタリストです。ジャズを中心とした創作・演奏活動をしていてます。作曲の良さ、演奏の良さ、サウンド泳さ、何をとっても非の打ち所のないパット・メセニーですが、楽器を自分で開発したりと、かなりとんがった音楽家です。それでいて聞きやすい、いいサウンドの音楽なのです。
実は事前にあまり情報収集せずに演奏を聴いたのもありますが、かなりの衝撃でした。単純にバックバンドを全部オーケストリオンににして、コンピューターの自動演奏バックバンドの前でパット・メセニーがギターを弾くだけだろうと思っていたからです。
違っていました。パット・メセニーはコンピューターの力を借りながらも、全ての楽器を即興演奏していたのです。
コンピューターを利用した音楽は、メロディーやリズムを奏でる演奏と音を鳴らす楽器(音源)を分離する事が出来ます。音源は実際に楽器を鳴らしてサンプリングしたものを使う事も出来ます。トランペットの音をサンプリングして、ギターでメロディーを入力して、ギターでトランペットを演奏することも出来ます。オーケストリオンの場合音源は本物の楽器を機械が演奏します。
簡単に言うと、最初にギターを普通に演奏しながら即興で音をサンプリングし、1フレーズ演奏するとそれをコンピューターで反復させ、ギターの入力を他の楽器に切り替えて演奏します。これを繰り返してオーケストレーションします。
オーケストリオンの構成は、
ピアノ2台
ギター、ベース
ドラムセット
パーカッション群
バイブラフォン2台
ブロッケン
パイプ(ガラス製)オルガンらしきもの2台
それと得体の知れない楽器2台
(明和電気も真っ青の出来の良さです。)
それとパット・メセニーの「生」ギターです。
ステージ上の光景も異様なものです。
ちょっとリトル・ジャマーのような感じ(演出かも)もありますが、
それでいて、いつものパット・メセニーの曲、いつものサウンドなのです。もちろんオーケストリオンのために編曲されているのですが、ほとばしるセンス、ほとばしる演奏、ほとばしる空間でした。
オーケストリオンのCDもあり、それなりに楽しめますが、CDではその20%くらいしか伝わりません。絶対にコンサートホールでの演奏を聴くべきなのです。
Youtubeを探してみたら、いいのがありました。視聴してみてください。
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どうでしょうか?
以前テクノロジーはかならずしも人間を幸せにしないといった内容のエントリーを書きましたが、テクノロジーを完全に使いこなしている人なら幸せなのですね。
それにしても、この閉塞感漂う世の中こんな楽しい事をやっている人がいるのです。世の中捨てたものではありません。