何十年ぶりに訪れた父の家
襖の書は父の書いた
宮澤賢治の「雨にも負けず」
山本有三 「心に太陽を持て」
古い布団を敷いてここで相撲を取るのが恒例だった
天井の梁
父の描いた油絵も健在だった
お正月
決まってこの部屋の掘りごたつで
くすぶった炭の煙で目をこすりながら
坊主めくりをした
百人一首の絵札で坊主が出たらたまった札を返す
お姫さんが出たらそれをもらえる
たくさん札をもらった人が勝ち
おじいちゃんおばあちゃん2歳の孫までみんなができた
1等2等3等 賞品はミカンと落花生
みかんを半分にしたり4分の1にしたりした
何十年前のあの光景がそのまま浮かんでくる
家のつくりは何も覚えていなかったが
その情景は今でも鮮明に思い出せる
その時孫だった子供たち
子供を連れてわが家でも受け継がれている