<ウクライナが「破壊した」と発表したロシアの揚陸艦は、
わずか数日前にロシア側が「港を占領した」
と豪語していた際に言及された艦だった>
ウクライナ軍は3月24日、ロシア軍に制圧されている南部ベルジャンスクの港で、停泊中だったロシア軍の揚陸艦を破壊したと発表した。この揚陸艦はつい数日前、ロシアが同港に入港したことを大々的に発表していたものだった。
【写真】ウクライナが発表した「攻撃を受けて炎上するオルスク」の写真を見る
ウクライナ国防省は24日、ツイッターに「ロシアに占領されているベルジャンスク港で、ロシア黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクを破壊した」と投稿した。ツイートには、炎に包まれたオルスクとみられる艦船の写真も添えられた。
このわずか数日前、ロシア軍の当局者たちは、ベルジャンスク港を占領し、オルスクを入港させたと自慢気に述べていた。 ロイター通信によれば、ロシア軍は21日に、オルスクがベルジャンスク港に入港したと発表。
「同港を使えることには、これ以上ないほどの重要な意味がある」という、ロシア国防省系のテレビ局「ズベズダ」の報道を引用していた。 ロシアの国営メディアRTも、23日にツイッターに投稿した動画の中で、ロシア軍がベルジャンスク港を占領したと報じていた。
この動画の中で、RTのムラド・ガズディエフ記者は、「ロシア軍の各部隊は陸、空、そして今では海からも、ウクライナへの進軍を続けている」と述べ、さらにこう続けている。「アゾフ海とそれに面する複数の港も町も、今やロシアが掌握している。これによりロシア黒海艦隊と大型揚陸艦オルスクが、作戦を展開できるようになった」
ガズディエフはさらに、次のように述べている。「この艦船の特徴は、複数の部隊や重い装備品を輸送できることだ。戦車20台、装甲車40台に加え、大勢の兵士を運ぶことができる」
■ベルジャンスク港の映像であることは確認
ウクライナ国防省がオルスクを破壊したと発表したすぐ後、ロイター通信は、攻撃の様子を捉えた映像を入手し、ベルジャンスク港で撮影されたものだと確認が取れたと報道した。だがロイターは、映像の中で攻撃を受けた艦船がオルスクだったかどうかについては、確認できなかったとしている。
ウクライナのハンナ・マリャール国防次官は24日、オンライン記者会見の中でオルスクについて質問を受け、「オルスクは確かに破壊された」と答えた。またニューヨーク・タイムズ紙が入手した声明の中で彼女は、「ウクライナ軍は、この巨大な標的を攻撃した」と述べた。
本誌はこの件について、ウクライナ国防省およびロシア外務省にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。 ウクライナでは、ロシアのウラジーミル・プーチンが「特別軍事作戦」の実施を発表して以降、数週間にわたって、ウクライナ軍とロシア軍の戦闘が続いている。
アメリカをはじめとする欧米諸国は、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し続けており、またロシアが化学兵器を使った攻撃を行う可能性があると警告している。
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