新型コロナウイルス禍で先進国の出生数が減る懸念が強まっている。若年層には雇用不安などから結婚・出産を先送りにする動きがある。英調査会社ユーロモニターは先進国全体の出生数が20年に0.3%、21年に1.3%減るとの予測をまとめた。コロナ前は前年並みとみていた。長期的に人口や労働力の低下につながれば世界の成長の足かせになる恐れもある。
米国では1~6月の結婚式の6割が先送りになったとの調査がある。米ブルッキングス研究所によると、21年に米国で生まれる子どもの数は前年比で30万~50万人減る懸念がある。国連によると20年の先進国の人口は約12億7千万人。1950年以降、一貫して増加してきた。ただ晩婚化や女性の社会進出を背景に出生数が減少する国が増えてきた。先進国人口はここ数年、かろうじて前年を上回るペースで推移しており、21年に初めて減少に転じる可能性もある。
日本の少子化は特に深刻だ。厚生労働省によると、1~9月の出生数は前年同期比で約2.2%減。年85万人を初めて割り込むペースで推移している。5年連続で過去最少を更新するのは確実だ。1~7月の妊娠届の数は5.1%減ったため、21年は「70万人台まで落ち込む恐れがある」(厚労省幹部)。
出生数の動向に影を落とすのは雇用情勢の悪化だ。ユーロモニター人口調査マネジャーのラン・ハ氏は「先行き不透明感が強くなり、若年カップルは子育てを含むあらゆる長期的な投資を先延ばしするようになりうる」と分析する。野村総合研究所の木内登英氏は「出生数の低下が続けば労働供給力が落ち、世界の潜在成長率が低下する」と警告する。各国は国境を越えた往来の制限などで移民の受け入れも細っている。需給両面で世界経済への悪影響も尾を引きそうだ。
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