故郷に帰ってくるまで58年という歳月が流れた
過酷な一生を描く韓国漫画「草」と
「慰安婦」とされた女性の過酷な一生を描いた韓国漫画「草」(풀プル)が2017年に出版されました。その後、英語、イタリア語、フランス語に翻訳され、それぞれの国で高い評価を受けました。そしてついに、2020年2月、日本語訳が出版されました。
主人公は、李玉善(イオクソン)さんです。彼女は1927年慶尚南道釜山に生まれました。父は日雇い、母は下働きで、貧しさのため、学校に行けませんでした。14歳の時「学校に通える」と言われ、うどん屋の養女になりましたが、学校に行かせてもらえず、朝から夜中まで働かされました。そして、主人の言うことを聞かなかったため、数ヵ月後に蔚山(ウルサン)の飲み屋に売られました。
1942年7月29日、主人の使いで買い物に行く途中、知らない日本人と朝鮮人の男に捕まり、トラックの荷台に投げ込まれ、中国の延吉(イェンチー)にある日本軍の飛行場に連れて行かれ、「トミコ」と名付けられ、3年間性奴隷生活をさせられました。
その後、置き去りにされた彼女は中国・延吉で暮らし、2000年にやっと祖国に帰りました。今は「ナヌムの家」でハルモニたちと暮らしています。
以上、本の中味の一部分を紹介しました。日本では「慰安婦」問題がきちんと伝えられない社会情勢がある中で、漫画なら若い人にも読みやすいと思います。たくさんの人たちに「草(プル)」を読んでいただきたいと思います。
また、4月18日(土)1時30分より、大阪市立東成区民センター小ホールで、李玉善ハルモニがナレーションをするドキュメンタリー映画があります。
「まわり道(에움길エウムギル)」です。
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