↑2000年4月のマジソンスクエアガーデン前。クリスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのコンサートを当日券で観賞する。
いやはや、この何日か途惑っているのは、ニューヨークへ行った2000年から2008年までの8年間の間に、自分が何かを記録したり、記憶したり、それを引きだしてまとめたりするやり方が、思っていた以上に変化しているらしいことだ。
その違いをひと言で言うと、2000年には、体験とはただ受け止めることであり、それが何を意味するかはあとで考えるべきことだった。何事もリアルのフィルムを巻き取り終えてから、というわけだ。切ったり貼ったりするのは後でやることだったのである。
2008年の私は、そんなふうにひとつひとつが鮮やかなまま、それをどうまとめるかという視点を欠いたまま放置されている体験の断片と、どうアクセスしたものか迷う。せっかく方針を持って分け入るのに、なんとなくどこかしらに足を取られてしまう。もし今ニューヨークへ行ったなら、私が体験した先からどんどんアウトプットできるよう「処理」していくだろうことは確実である。
このようにふたつの自分を比べてみて思うのは、やはり圧倒的に2008年のほうがいいということだ。適量に分散して処理したからといって、大きな何かが失われるわけではない。何かが減ったのではなく、おそらくはむしろ単に編集の作業が増えたのだ。そこには、自分が何に価値を見出すかという点がより鮮明になるという利点がある。
とはいえ、写真を見ると2000年のわたしは、これがまた、別のわたしだ。夫のメモには、こうある。
3 April 2000 散歩・買い物 Mercy's csn&y
↑Google Street Viewより、2008年のニューヨーク、マジソンスクエアガーデン前
[ニューヨーク2000年滞在記、WTCツインタワーがあった頃。]
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