響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

ちっっちゃい子が弾く、完璧なバッハのパルティータ

2008-09-15 | バイオリン・レッスン
全日本学生音楽コンクール2008
毎年開かれているクラシック音楽の登竜門「全日本学生音楽コンクール」が開かれている。非常にレベルが高いので、予選であれば、もしかしたら小さい子もいて参考になるかもしれないから、聴いてきてはどうですか、とバイオリンの先生が教えてくれたので、のんきな親子3匹は昨日の日曜日の午後、ぶらぶらとバイオリン部門東京会場である千駄ヶ谷「津田ホール」へ出かけて行った。

ところが所用があって、遅れていった──というのもコンクールは朝の11時から始まっていて、弾く曲は全員

J.S.Bach:Partita for solo violin No.3 E major BWV1006から Gavotte en Rondeau

という1曲なのである。全部聴くのは審査員だけなのだ。ごくろうさまです。

で、私たちはいくらなんでも遅すぎたらしい。受付へ着くと
「3人で6,000円です。ただ……あと2人ですけど、よろしいですか?」
「えっ? あと2人?」
「今弾いている子が102番で、104番までです」

その子の演奏は、モニターでロビーへ流れていた。いい意味でも、悪い意味でも、その演奏はロビーに小さく流れる音楽として違和感がなかった。少なくとも少しでも欠損があれば、おや、とおかしく思うはずだ。

「で、どうする?」
親たちは頭をかかえた。
すったもんだしていたのだが、これが終わってしまうと、また1曲ぶん中へ入れないという。
「ヒビキだけ行ったらどうかなあ」
と私は言ったが、そうはうまくいかないだろうと思っていた。というのもこれはコンクールだし、会場にはそれなりの雰囲気というものがある。

ところが「じゃあ僕行くよ」とヒビキは簡単に言ったのだ。そしてスタスタとホールの中へ吸い込まれていった。

出てきたヒビキに、どうだった? と訊くと、「最後の子なんか、すごく小さい子だったんだ」と言った。「それなのに、2つの曲(メロディ)を弾いたんだよ」と。バッハのパルティータが二声なのだ。するとオトナが、巻上公一さんのホーメイを聴いた時のオドロキに近いものだったのかもしれない。