「何じゃこりゃ」がまた。
カーボランダム Carborundum。
人工の炭化ケイ素結晶。一般的には「シリコン・カーバイド(silicon carbide)」。カーボランダムという呼称は19世紀末に工業化した会社の商品名から。
またの名をモアッサナイト(Moissanite)。そう、あの美しい人工宝石と同じなのです。「これ、モアッサナイトの原石だぜ」と言って出したら驚かれそう。(詐欺はやめなさい)
組成は SiC で、炭素とケイ素の1:1の化合物。天然では隕石やキンバーライトの中にごく稀に見つかるだけ。
《ダイヤモンドとシリコンの中間的な性質を持ち、硬度、耐熱性、化学的安定性に優れることから、研磨材、耐火物、発熱体などに使われ、また半導体でもあることから電子素子の素材にもなる。》
ということで今は特許が切れてばんばん作られて利用されている。日本では屋久島で作られているとか。
これはその途中品かな。中国産。長さ27ミリ。なんとヤフオクで250円。(また安さ自慢か)
しかしこれ、美しいのですよ。結晶表面が虹色にキラキラと輝く。
写真じゃうまく伝わらない。動画はこちら。
こういう虹色キラキラは「虹の石」とか「ピーコック・オア」とかいろいろありますけど、このカーボランダムは輝きがとても強い。なんてったってモアッサナイトですからね。
前にも書きましたけど、モアッサナイトは屈折率2.65~2.69でダイヤモンドの2.42より高く、分散度も0.104でダイヤモンドの0.044より大きい。すげえ。さらにダイヤモンドは複屈折なしなのに対してモアッサナイトは六方晶系で複屈折あり。つまり干渉による色彩変化や方向変色(多色性)がある。熱伝導率でも、ダイヤモンドの2000にはかなわないけど、モアッサナイトは490と図抜けている。だから、触るととても冷たい。さらに硬度もダイヤの10にはかなわないけど9.25~9.5でトパーズより硬い。靭性も耐熱性もダイヤより高い。と、すんばらしい石なのですね。
同じような人工鉱物で超高純度シリカのテラヘルツというのは、ヒーリング界隈で人気ですけど、これはそういう効果はあまりないのか、あんまり出回っていないみたい。
これから出るのかな。観賞石としてもとてもいいのではないかと思います。