アルミニウム単独塩基の続き。
Augelite。
さてどう読む。
アウゲライト、アウゲル石、オージェライト。
ずいぶん印象が違う。アウゲルだと石頭のドイツ人が出てきそう。
名前の由来はギリシャ語の「輝く」からだそうで。原音を尊重するならアウゲル石にならざるを得ないのかも。しかし古ギリシャ語の本当の発音なんて誰も知らないのだから、どうでもいいと言えば言える。アウゲルと読むのなら「石」の「ite」を「アイト」と読むのはおかしい。他の例と同じようにローマ字を英語風に読むのならオージェライト。(うざいな)
いっそ意訳して燦光石とか付ければよかっただろうに。
Al2(PO4)(OH)3。アルミニウムの燐酸塩鉱物。割合組成は単純。
バリッシャー石(Variscite、バリサイト、バリスシア石、バリスサイト、ヴァ[もういい])が Al(PO4)・2H2O だから、とても近い。水が付くか水酸基が付くかの違い。この違いはどうやって生まれるのか。(こまけえな)
ワーベライト(Wavellite 銀星石) Al3(PO4)2(OH,F)3・5H2O なんてのもある。なんかちょこちょこ変わり身をしているみたい。
そう言えば、前項のアルミ鉱物の記事でバリサイトは落っことしていた。何かちょっとわかりにくい石。
うちのバリスちゃんはちょっとミニサイズ。拡大写真だときらきらだけど、普通の光で普通に見ると緑色の紙やすりみたい。(ひどいな)大きい美結晶品は高い。
燐酸塩鉱物というのは結構いっぱいあって、有名どころでもアパタイト、トルコ石、ビビアナイト、フォスフォフィライトなどがある。
リンは地殻の構成元素としては第10位、0.1%。銅やニッケルなんかよりはるかに多い。へえ。
カルシウムと共に生物の骨格を作るし、植物の生育には燐酸肥料は欠かせない。生命体の超重要構成物。とはいえ、何となく身近に感じない。なぜだろう。マッチ棒はもう死滅したし。墓場で燃える火の玉が一番身近か。(そんなもん身近じゃねえw)
肥料を始め様々な用途を持つ燐鉱石(フォスフェイト)は、大部分が化石鉱床から採れる。つまり生物由来ということ。けれども石好きの対象となる美稀石は熱水作用で生まれる。このあたりはカルサイト・アラゴナイトに似ているかな。
このオージェライト、またまたエヌズミネラルさんのバーゲン。(また血迷ったのか)それほど高くなかった。
前々から欲しかった、というわけではなく、ついふらふらと。緑がきれいそうだったし、水晶に取り囲まれている姿も美しそうだったので。
というか、これ、少しばかりレア。素直に言うと、そういうものも持ってみたかった。
レアストーンというのは、マニアでなくても、心動くもの。
地球の総重量は6×10の24乗キログラム。そのうちせいぜい数百キロくらいしかない鉱物だとしたら、やはり「何じゃろ」となる。これはどういう心の欲求だろう。探究欲?
けれど、ほとんど名前を聞いたこともないレアストーンは、母岩にゴミのように(失礼)こびりついていて、あまり美的でないことが多い。よほどマニアックな収集家でないと、食指は動かない。あの熱烈な収集欲というのは、どういう心の欲求だろう。(今回は心理学者かね)
このオージェライトは、そこそこレアで、そこそこ大きくてきれいで、そこそこ安かった。で、食指が動いたというわけです。(少し中途半端じゃないのか?)
少しピンクがかった水晶に祝福されて浮かび上がる淡い小さな緑は、いかにもレアストーンの雰囲気。緑の石は多いけれど、この淡い緑はやはり独特のような感じがする。たくさんの石を見たわけではないから確かではないけど。
しかし、「レアストーン」というのは、何ですかね。
厳密な定義があるわけではない。普通に言えばあまり産出されず、流通もされないもの。とはいえ、時々は出る。鉱物学者や特権的収集家だけで収まっていたら一般コレクターの話題にはならない。
けれど、「見かけたら買っておけ」と言われていたような石、たとえばユークレースとかジェジェ何たらとか(こら)は、けっこう見かける。バイヤーさんたちの努力というか、商人魂のおかげかな。心理学的分析はしない。
レアものの中でもあまり見栄えのしないものは、さすがにごく一部のショップでしか扱っていない。そういうところを覗くと、聞いたこともない石がごろごろしていて、頭がくらくらする。
そういうレアものを揃えているところを、あちきが出会った範囲で挙げておくと、
・エヌズミネラル
・Vec Stone Club
がとにかくすごいかな。ないものはないみたいな感じ。エヌズさんの「新着標本」のページを見ると、聞いたこともないものばかりで唖然とする。
ほかに、
・セルフクリエーションの「ごちゃごちゃ標本箱」
・ミネラルストリート
・タケダ鉱物標本
といったところも面白いですね。
まあしかし、「レア」価値というのは社会的な概念であって、あまりそれに捉われ過ぎてはいけませんね。自戒。
それに、本当のレアものは、博物館か何かに収めるのがいいのでしょう。あちきのような世捨て貧老が持ってたりするのはいくない。ま、持てるわけもないけど。
おまけ。つか自分のためのノート。(一部追記)
◆リン酸塩鉱物
オージェライト(Augelite アウゲル石) Al2(PO4)(OH)3
モナザイト(Monazite モナズ石) CePO4
アパタイト(Apatite 燐灰石)(グループ)
パイロモルファイト(Pyromorphite 緑鉛鉱) Pb5(PO4)3Cl
ビビアナイト(Vivianite 藍鉄鉱) Fe3(PO4)2・8H2O
ラドラマイト(Ludlamite ラドラム鉄鉱 (Fe,Mg,Mn)3(PO4)2・4H2O)
ターコイズ(Tturquoise トルコ石) CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O
アンブリゴナイト/モンテブラサイト(Amblygonite/Montebrassite) (Li,Na)Al(PO4)(F,OH)
バリサイト(Variscite バリッシャー石) Al(PO4)・2H2O
フォスフォシデライト(Phosphosidelite 斜燐鉄鉱)Fe3PO4・2H2O
オートゥナイト(Autunite 燐灰ウラン石) Ca(UO2)2(PO4)2・10-12H2O
ベゼリアイト(Veszelyite ベゼリ石) (Cu,Zn)3(PO4)(OH)3・2H2O
ワーベライト(Wavellite 銀星石) Al3(PO4)2(OH,F)3・5H2O
カコクセナイト(Cacoxenite カコクセン石) AlFe3+24O6(OH)12(PO4)17・~75H2O
フォスフォフィライト(Phosphophyllite、燐葉石) Zn2Fe(PO4)2・4H2O
トリフィライト(グループ)(Triphylite) (Li,Fe,Mn)PO4(パープライトなど)
ラズライトL(Lazulite 天藍石) MgAl2(PO4)2(OH)2
スコルザライト(Scorzalite 鉄天藍石) FeAl2(PO4)2(OH)2
トロレアイト(Toroleite トローレ石) Al4(PO4)3(OH)3