貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

蛍光 ①UV解禁 アレキサンドライト

2021-10-31 17:38:34 | 単品

まあ正直に言いますとですね(普段は正直じゃないのね)、紫外線蛍光というのは、忌避していたのです。紫外線で光らせて何が面白い、それもあんな毒々しい色で、と。(まあちょっとけばい色ではある)
だから、UVライトなんて買うつもりはなかった。
けど、心変わりしたのです。(いろいろ変心するね)

きっかけは、アレキサンドライト。高いから買うつもりはなかった。
ところが、エヌズミネラルという石屋さんが、期間限定で25%オフをおやりになった。
ありがたいはありがたいけど、いけませんねえ。欲望が激しく刺激された。
で、つい血迷って、お安めのアレキサンドライトをぽちっしてしまった。(また変心だね)まあ貧石価格(何だそれ)をちょこっとオーバーしただけ。ラッキー。
小さいし、透明度もそこそこだけれど、青が美しい。

で、やっぱり「カラーチェンジ」を見たくなる。
で、UVペンライトと電球色ペンライトを買ってしまった。大出費。
アレキサンドライトは大災厄の石である。(石のせいにするな)
まあ、電球色のほうは別の石のせいもあったのですけど。安かったし。

最初電球色ライトを当てて、「変わらないじゃん。やっぱ高級品でないとだめか」と思っていたけど、はっと気がついて、透過光で見てみた。赤くなる。ああ、そういうことかと。

UVライトでは少し毒々しい赤紫色に光る。写真にはそのままの色では写らないみたい。

まあ、さすが名うての石ですね。

で、UVライトでうちにあるあれこれを照らしてみた。
まあ、びっくり。いくつかの石が驚嘆するほどの変貌を遂げる。
鉱物マニアがUVライトを常備するのは理由のないことではない、ただ毒々しく光らせて楽しんでいるわけではない、と納得したのでありました。偏見を反省。


異形・同形・固溶体

2021-10-30 23:00:09 | 漫筆

同じ材料を同じ数使ってものを作る。でも、違うものができる。
鉱物の場合でも、同じものを同じ数使って、別のものができる。
これを「同質異形」(polymorphorism)と言う(同質異像、多形とも言う。分野によって用語が違うらしい。素人としては統一していただきたいものだが。

ダイヤモンドと石墨は、炭素だけでできているけれど、石墨は六方晶系、ダイヤモンドは等軸晶系。かたや真っ黒で柔らかく、かたやきらきら透明で硬い。全然違いますね。
カルサイト(三方晶系)とアラゴナイト(斜方晶系)も有名。
アラゴナイトはいろいろと変な形の結晶を作る。カルサイトはそれほどでもない。
これはスプートニクという俗称があるアラゴナイトのクラスター。変なやつ。



同様のもので有名どころでは、
ルチル・ブルッカイト・アナテーズ=TiO2
カイヤナイト・アンダルサイト・シリマナイト=Al2SiO5
があります。

同じ材料を同じ数使っても、全然違う石ができるというのも、不思議ですねえ。
存在は構成要素にではなく構造に左右される。まあ人間だって同じような要素を持っていても、それをどう組み合わせるか、どう優先順位を付けるかで、全然違う人間になる。(話がかなり違うと思う)
いや、うどんとそうめんとスパゲティみたいなものか。(もう少しパンとか芸を付けたらどうかね)

で、今度は、「材料は違うのに、同じ形」というものもある。
「異質同形」(isomorphism)というもの(単に「同形」とも言う)。
いわゆる「グループ」になっているものが多いようです。
・長石
・ガーネット
・トルマリン
・輝石
・角閃石
などが有名どころ。まあだいたいケイ酸塩部分が同じで、それにいろいろな金属が乗っかるということね。
天ぷら蕎麦と月見蕎麦みたいなものかな。乗せるものが違うだけで同じ蕎麦だよ。(まあ……な)

で、こういうグループ内の鉱物は、構造が同じだから溶け合う。それを「固溶体」と呼ぶ。天玉蕎麦とか。(もうよしとけ)天玉とろろ蕎麦とか。(おいw)
固溶体というのは厄介で、「ラピスラズリは固溶体か否か」で議論があるようだし、どの成分が何%だったら名前が違う(長石とかスキャポライトとか)なんてこともある。天ぷら2本に卵1個なら天天玉そば、天ぷら1本に卵2個なら玉玉天そば、とかね。(もうそれやめい。だいたい卵2個載せるか?)

同じ材料から違う形を創る。
違う材料で同じ形を創る。
鉱物の創造主もあの手この手ですね。
われら人間もこのやり方を真似しているのでしょう。

さて、固溶体である天玉蕎麦を食いに行こう。
(お前、天玉蕎麦が言いたくてこれ書いたんちゃう?)


ヌーマイトとアストロフィライト/アルベゾナイト

2021-10-29 21:24:22 | ややレア

原宿のコスモスペースさんの廉価物コーナーで、ヌーマイトなるものを見つけた。
「地球で一番古い石」とかいう説明をどっかで見たことがある。
真っ黒な地にキラキラ光るものが入ってきれいで、安かったので、買った。500円。グリーンランド産。

ヌーマイトは、グリーンランドの30億年前の地層から出るもので(地球温暖化なんたらで地面が露出したとか)、どんな石より古いものだとか。まあできるところを誰も見たことがないし(当たり前だ)、年代測定法に関しては若干の疑義もあるので、話を全部真に受けているわけではないです。ヌーマイトの名前はグリーンランドの地名「ヌーク」から来ているとのこと。
ネットには「直閃石(Mg7Si8O22(OH)2)と礬土直閃石(Mg5Al2Si6Al2O22(OH)2)の混合物(変成岩)」という解説がある。直閃石は角閃石(アンフィボール)の一種だけど、この何たら閃石という連中(おい)、やたら種類があって(187とか)わけわからん。アスベストもその一部。トレモライト、アクチノライトなどは有名かな。

で、家に帰ってコレクションケースを見たら、どうも似た姿の石がある。
「アストロフィライト握り石」という名前のもの。
あれ、同じ物買ったか、と一瞬思った。キラキラした針状のものは色が違うけれど、あとはそっくり。これも老舗で買ったものなので、間違った名前を付けたりはまずしない。


左がアストロフィライト。

で、ネットを漁ってみた。どうもはっきりした解説はない。さらにアルベゾナイト(アルベゾン閃石)という名前のそっくりさんも出てきた。
はてさて。

今のところの推論は、
・アストロフィライト(星葉石)やアルベゾナイト(アルベゾン尖石)として売られているもの(ロシア、中国などが産地)は、それぞれの鉱物の針状結晶が母岩(石英か長石か?)にたくさん含まれているもの(まあインクルージョンというやつですかね)。アストロフィライトは金色、アルベゾナイトは青(実物を見ていないので確かなことは言えない)。ちなみにどちらの鉱物も単独の結晶が存在し売られている。

こちらはアストロフィライトの結晶。Weblioさんから拝借。
《 Ti Fe Mn Na Kなどを含む珪酸塩鉱物》とのこと(Vec Stoneさんより引用)



・ヌーマイトはグリーンランド産で、こちらはインクルージョンではなく、成分の違う直閃石の界面で光が乱反射するもの(ラブラドライトのあの輝きと同じものですね)。なぜかそれが面状ではなく針状になっている。
ではないかなと。
よく見ると(と言ってもジジイの目は怪しいけど)、ヌーマイトの燦光は角度を変えると消えるし、色も青や金に変化する。

仮の推論ですけど、これが正しいとすると、ヌーマイトとアストロフィライト/アルベゾナイト包含岩石は、いわば「異質同姿」なのかもしれない。材質や形成は全然違うけれども、姿はよく似ている。不思議ですねえ。


シリマナイト

2021-10-28 20:47:19 | 単品

カイヤナイト三姉妹の末妹(かね?)、シリマナイト(珪線石)。
これがなかなか。
透明な結晶は出ているけれど、どうももう一つ特色がないような。
キャッツアイは有名らしいけれど、カボッションはだいたい高い。高いだけの魅力があるかというと、どうも……
色つきの原石やカボッションもあるけれど、ううむ……
まあ、気長に探そうかと思っていたら、アマゾンで出てきた。
ティアドロップ型。透明でわずかに赤茶。5個で1500円。は? 何ですかこれ。
面白半分でぽちっとして、手元に来て、眺めてみた。
色は少しばかりアンダルサイトに似た、シェリー酒色。なかなかいい。



上の方に、細い穴が開いている。どうするものだろうか。太いテグスだと通らない。ピアスか何かに加工する? よくわからない。奇数だとピアスで1個余るぜ。
5個あっても困る。近所の子供にあげようかと思ったが、こんな地味な石は喜ばないだろう。
とまどいながら、大きめのルースケースに5個並べて、渋い色を楽しむ。少し間が抜けていなくもないけれど。
まあ、こういうこともあっていいかも。


キアストライト

2021-10-27 21:46:21 | 単品

お忘れでないかい? という声がして、あ、と気が付いた。
キアストライト。アンダルサイトの結晶中に十字の模様が浮かぶ石。

キリスト教にはちょっとばかし複雑な因縁があるので、「十字模様なんて買うかよ」と思っていたのだけれど、アンダルサイトがなかなか手に入らないので、半ば渋々買った。
セルフクリエーションさんで1200円とお安かったので。

手にしてみたら、いい味わいで、十字のもやもやも消えた。
むしろ古いケルトの香りすら漂って、少し気が遠くなるような感覚。

黒い模様は石墨だそうで。
何でこんな模様になるのか、不思議。
これもいい味わいです。