Hiroko Inagaki 絵のおはなし

絵描きの小さな日常をつづりました。
Hiroko Inagaki のブログ

声なき声

2017-08-19 | 青いアトリエ美術教室


今日は最近の夏のアトリエの様子をお伝えします。アトリエにはいろいろなお子さんが来てくれるんですが、今日は先日来てくれた、自閉症の10歳のKくんのお話を少ししようと思います。Kくんは療育センターに通われていて、言葉もまだ発せられなくて、お母さんはちゃんと座ってられるかな?迷惑かけないかなって、沢山、心配をされながら、アトリエに連れてきて下さいました。このKくんとの出逢いはもう5年前に療育センターに美術のワークショップをしに行ったことがきっかけでした。その頃は言葉が理解できなかったのもあり、Kくんはなかなか授業には参加出来ませんでした。私自身の力不足もあり、何か出来ないかなとずっと心にとめていたお子さんでした。
去年の夏はお母さんと、そして今年は以前アトリエに来ていたお姉さんとの参加でした。お母さんはやはり離れるのを心配されていましたが、いざ始まってみると、ずーと座って作品を作り続けてるんですね。気の散る要素さえなければ、私の言うことも、全て理解できているようでした。今回はシール状のインクシートを切って貼り、版画紙に転写する版画をやってもらったんですが、色選び、ハサミ入れ、貼るまでをほとんど自分でやっていました。シートをカットして捨てる小さなカットしたシートも、一生懸命拾って、貼っていくんです。何か彼の中に決められて秩序があって、全部、必然的に迷いなく貼っているようでした。シートを貼るのも決して綺麗にカラーシートも貼れないんですが、そのシワも版画紙に刷った時、とても美しい表情を出しています。Kくんの中に何か色々な感覚が目覚めているのを、まるで作品が教えてくれているようでした。
出来ないことを数えるより、出来ることを伸ばしたら、いろんなことが知らぬ間にできるようになっていたりしないだろうか。。とKくん見ていると、ふと思う今日この頃です。

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