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2022年は客観的な予想を心がけます。

安田記念(GI)展望

2007-05-31 16:04:27 | 見解
今年も香港から4頭の刺客が参戦し、混戦に拍車をかけている。対する日本勢の中心はダイワメジャーとスズカフェニックス。前者は前走のドバイデューティフリーで3着。世界でも通用するマイラーであることを証明した。後者は前走の高松宮記念で抜群の行きっぷりから鮮やかや差し切り勝ち。マイルでも怖い決め手を持っている。スズカは2ヶ月の間隔が開き、その他は海外からの転戦。仕上がり状態には細心の注意が必要だ。今年のGIは荒れに荒れている。安田記念も例外ではなさそう。

キストゥヘヴン
昨年の桜花賞馬が長かったスランプから立ち直り、完全復活を遂げようとしている。前走のヴィクトリアM4着は発馬直後から抑え切れない手応えで3番手へ。終始、抜群の行きっぷりで3角で早めに2番手へ。直線で馬群に飲み込まれそうになったが、渋太い脚で粘りに粘り、勝ち馬からコンマ3秒差だった。前々走の中山牝馬S5着は1角でゴチャつき、最後方からの競馬。腹を括って最後方から直線でインを突く。だが、狭いところに入ってしまい、なかなか抜け出せなかった。昨年の桜花賞1着では道中、縦長の平均ペースの流れを後方からAキッスをマークするように進む。直線で大外へ持ち出し、ジワジワと差を詰め、坂上でもうひと伸びでV。速い流れのなかでの切れ味が武器で、横山典騎手がレースのなかで競馬を覚えさせ、それが戻ってきている。前走で見せたテンの行きっぷりを中団で我慢して終いの脚に生かせれば。南関東の豪腕・内田博なら楽しみ。

ダイワメジャー
前走のドバイデューフリティー3着は好発を決めて先行策。だが、思ったほどペースが上がらず馬群が固まる。そのため終始、馬4頭分ほど外を回らされる苦しい展開。更に、直線を向いての瞬発力勝負となり、切れる脚が使えない同馬にとっては厳しい競馬だった。前々走の有馬記念3着は距離適性外の2500㍍。アドマイヤメインが逃げる平均ペースの流れを離れた2番手から折り合いに専念。距離が距離だけに、道中に下手な動きはできない。仕方なく直線勝負に持ち込むも、勝ち馬にスケールの違いを見せつけられた。3走前のマイルCS1着は道中、淀みない流れを例によって2番手へ。終始、スムーズなレース運びでフワフワしながら抜群の手応え。残り800㍍の下り坂で外目を回って進出を開始。4角で左ステッキが手綱に絡まるアクシデントがあったが、すぐに解消。直線で猛追するダンスダンスインザムードに並びかけられるともう一伸び。どこまで行っても抜かせない着差以上の強さでGI連勝を飾った。以前は左回り不安説を囁かれていたが、昨秋の毎日王冠、天皇賞制覇で一蹴。回りの不安はない。安田記念はここ2年参戦し、8着、4着。いずれも内枠で馬込みに包まれ、切れ負けしている。

スズカフェニックス
前走の高松宮記念1着は下見どころで外めを気分よく周回。デキの良さは明らかだった。道中は好発から馬場のいい外めを追走。初のスプリント戦にも苦労するどころか、抜群の行きっぷりで3角では早めにポディションを上げる意欲的な内容。4角でプリサイスマシーンに早々並びかけると、直線も大外を一頭だけ違う脚色で駆け抜け、決め手の鋭さを発揮して圧勝した。前々走の阪急杯3着は好発を決めるもスッと最後方に控える。脚をタメることに専念。直線で大外へ持ち出すロスがありながら、最後は鋭い末脚で猛追。首の上げ下げで負けたが、内容はピカイチだった。決め手は日本馬のなかで間違いなくNO.1。武豊が競馬の中で教育してきた賜物だ。今回は府中のマイル戦になる。陣営は「行かせればビューッと行く脚はある」と。一にも二にも折り合いが課題。東京新聞杯1着時も道中は四苦八苦していた。スプリントの前走で攻めの競馬をしているだけに余計に心配だ。

ディアデラノビア
前走のヴィクトリアM5着は攻め強化で凄い気合い乗り。2番枠から発馬直後に抑え切れない手応えで前へ。何とか鞍上がなだめて中団で控える。直線で逃げ馬の内めを突くも、今ひとつ伸び切れなかった。前々走の阪神牝馬S3着は1400㍍の速い流れを好位から積極策で追いかける。だが、直線で内へモタれ一瞬は伸びたが、そこからはジリ脚になってしまった。タメれば3走前の京都牝馬Sのように爆発的な一瞬の脚が使える。しかし、前へ行き過ぎるとなし崩しに脚を使わされるし、長く脚を使えるタイプではないので府中の長い直線だと仕掛けどころが難しい。展開の恩恵もないといけない。牡馬相手でこれだけ注文がついては。

エイシンドーバー
前走の京王杯SC1着はMスケルツッィの作る緩みない流れを好位追走。直線を向いて逃げるスケルツィとの差はかなりなったが、力強い脚捌きで一完歩毎に迫り、長く脚を使って差し切った。前々走のマイラーズC7着はコンゴウリキシオーが作るスローの大逃げの展開。2番手以下は大きく離れ、瞬発力勝負。加えて1分32台前半の決着という異様な競馬。33秒台の脚が求められる展開では切れ負けするが、前半から淀みなく流れ、自身が34秒台前半の脚で差して来られるのが理想。

シンボリエスケープ
前走の京王杯SC2着は大外枠発走から馬群がギュッと固まった中団の外めを追走。3角で外めをジワッと仕掛けて進出。スッとは反応できなかったが、長く脚を使って先行馬がバテたゴール前を差してきた。時計も速く、上がりも速い展開を後方からよく差している。バクシンオー産駒だが、ズブくて長く脚を使えるタイプ。マイルへの距離延長は問題ないと見る。体が絞れて動けるようになった。

エアシェイディ
前走のマイラーズC11着は直前の攻めで、長めをビシッと追ったうえに長距離輸送。18㌔減は誤算だった。最後方から流れが向かなかったとはいえ、あまりにも伸びなさ過ぎだった。3走前の東京新聞杯2着では道中、後方のインでスズカを見ながらの競馬。直線で大外へ持ちしたスズカに対し、インを選択。持ったまま痺れる手応えで中団馬群まで取り付き、ラスト1ハロン地点で満を持して追い出すと、ビュッと一瞬の鋭い脚で一気に突き抜ける。勝ち馬の決め手が上だったが、見せ場たっぷりだった。いい脚は使えるものの、それが長続きしない現状。追い込み馬だけに仕掛けどころも難しく。この中間は2週前まで、坂路調教でオーバーワークを回避させたことで馬体が回復している。

アドマイヤキッス
前走のヴィクトリアM7着は道中、中団群の外めを追走。馬場のいいところをロスなく運ばれて直線へ。外めへ持ち出し、ジリジリ伸びてはいるものの届かなかった。展開が向かなかったとはいえ、もう少し脚を使ってほしかった。前々走のマイラーズC4着は久々でも仕上がり良好。道中はスローの流れを中団馬群から追走。たっぷり脚をタメて直線へ。だが、前のエイシンドーバー、ローエングリンの間に挟まれ抜け出せない。ようやくラスト1ハロン手前で追い出されるとジワジワと追い上げた。強豪牡馬相手に直線でスムーズさを欠きながらも善戦した。昨年のGI戦線は、常に人気を背負いながら決め手不足を露呈して勝ち切れず。今年の2戦を見てもそう成長している感じはない。8㌔減の前走から中2週で再度の長距離輸送。厳しい条件だ。

ジョリーダンス
前走のヴィクトリアM5着は大外枠発走からアサヒの作る流れを中団の外め追走。流れを考えればもう少し前の位置どりでも良かったが、横に人気馬がいただけに動くに動けず。直線勝負に賭けた。大外から32秒9の脚を使うも、時計も速く上がりも速い展開では成す術なく。ただ、直線で右前→左前→右前と何度も手前を替えていた。調教では抜群の動きを披露していたが、目に見えない疲れがあったのかもしれない。前々走の阪神牝馬S1着は1400㍍特有の速い流れを中団追走から、早めに抜け出したディアデラを直線でワンテンポ遅らせた仕掛けで差し切った。少し上がりの掛かる展開が理想で、今の府中マイルは向かないのかも。中2週で疲れも心配。

オレハマッテルゼ
前走の京王杯SC3着はチークピーシーズ着用で行きっぷりが良化。速い流れも抑え切れない手応えで先行策。4角でも引っ張り切りなほど。持ったまま坂上から追い出しを開始するも、伸びず下がらず。これはいつもどおり。手応えほど終いは伸びない。理想は小回りで一瞬の脚で押し切る競馬。昨年の安田記念でザデュークに突進されて以来、他馬を怖がりスタンプに陥っていたが、前走で復調の兆しを見せた。マイルへの距離延長はプラスとはいえず。

サクラメガワンダー
前走のマイラーズC5着は久々でも速い攻めが1本だけで、直前もセーブした内容。それで2㌔減だったのは不満。レースへ行っても仕掛けて好位を奪いにいった分、ハミに頼った走りとなり、道中で余計な体力を消耗。伸び切れなかった。前々走の京都金杯3着は道中、好発から好位を奪うも、抑え切れない感じで2番手へ。やや気負った走り。直線入り口でマイネルに並びかけるも、そこから突き抜ける脚は残っておらず。3着を死守するのがやっとだった。緩い馬場に脚を取られた影響もあった。ハミに敏感なタイプでテンに仕掛けて行くと良くない。マイルでもジックリ乗ったほうがいい。テン乗りの鮫島がどう乗るか。

コンゴウリキシオー
突如として現れたマイル界の新星。いきなりのGIでも楽しみな素材だ。前走のマイラーズC1着は、発馬直後は行き脚がつかず手綱を押して押して前へ。ようやく2ハロン目からハナを奪うと、そこから11秒台の軽快なラップを刻む。3~4角でも、そのスピードは緩むことなく後続を大きく引き離す形。直線でスピードを保ったまま10秒7と加速し、突き抜ける。最後も11秒9としっかり踏ん張って逃げ切った。1分32秒2の勝ち時計は文句なしで、しかも右前脚を落鉄してのもの。恐れ入った。テンのダッシュ力はないが、トビが大きく一度流れに乗れば相当に渋太い脚を使う。新装阪神の広いコースも向いた。以前は、小回り中京の中距離戦を使われ、他馬のマークが厳しく失速していたが、マイルならスタミナの心配をしなくていい。ダッシュ力がないだけに内枠で包まれるのだけは避けたい。外枠を引ければ上位争いは必至と見ていい。府中マイルなら前走同様、バックストレッチが長い。

マイネルスケルツィ
年明けの金杯を制し、紆余曲折を経て春の大目標を迎える。前走の京王杯SC4着は爪の不安で攻め不足。レースでは好発を決め2ハロン目から10秒9-10秒9と速めのラップを刻む。4角で少し息を入れ、直線で再び加速して突き放す。直線半ばまではセフティードかと思われたが、最後脚が止まってしまい差された。前々走のマイラーズC3着は宮記念の疲れが残っていた。レースでもスローの流れを離れた2番手から流れに乗るも、最後は失速気味。不満の残る内容だった。3走前の高松宮記念6着はスプリントの速い流れに戸惑い、本来の先行策が取れなかった。年明けの京都金杯1着では、道中は逃げ馬不在でスッとハナへ。2番手以下が無理に競りかけることなく楽なペース。残り800㍍の下り坂で加速し、直線入り口で一気に仕掛ける。迫るサクラメガワンダーに並びかけられても、そこから二枚腰を使って突き放した。ハナを切ったほうがいいタイプだが、揉まれなければ2番手でも大丈夫。スピードを維持してそのまま押し切るのが勝利パターン。陣営は「ようやく宮記念の疲れが取れた」と。この中間は中2週でもビシッとやられてきた。