金杯から始まった今年の中央競馬も、いよいよグランプリ有馬記念(GI)で終幕を迎える。〝英雄〟ディープインパクトの参戦で、近年にない盛り上がりを見せることは間違いない。対する古馬勢では昨年の覇者ゼンノロブロイをはじめ、昨年の菊花賞馬デルタブルース、決め手鋭いハーツクライなど相当たるメンバー。今から本当に楽しみだ。
人気blogランキングありがとうございます!
【ディープインパクト】
〝英雄〟が菊花賞以来のターフに戻ってきた。3冠のかかった前走の菊花賞1着は好発を決めると、道中は中団馬群からの競馬。だが、最初の3~4角で鞍上と喧嘩して折り合いを欠いてしまう。これは3000㍍を戦ううえでは、かなりのロス。それでも、ゴール板あたりを過ぎると平静を取り戻し、いつものディープに。勝負どころで、スムーズに折り合って粘るアドマイヤジャパンとはかなりの差があったが、一完歩ごとに強烈な伸び脚で迫ると、ラスト100㍍で捕らえて圧勝。
着差は2馬身だが、実際は10馬身差くらいの内容だった。鞍上が「まるで空を飛んでいるよう」と表現するように、
追い出されてからの瞬発力と推進力の長さは凄まじく、他馬とは次元が違う。ここは古馬と初対戦となる。だが、ディープなら楽々と突破できる壁だ。怖いのはコーナー6回の競馬による紛れだけ。
【ゼンノロブロイ】
前走の天皇賞3着は道中、タップダンスシチーの作る速い流れのなか、後方の位置取り。ここまでは良かった。だが、4角でのロスがのちに大きく影響することになってしまう。1、2着馬がロスなく直線を向くなか、同馬は大外へ膨れてしまう。これは
2,3馬身くらいのロスに相当する。そこから一気に追い上げて一旦は先頭へ立つも、残り100㍍で完全に脚が止まってしまった。それでも、王者の意地は示した。長くいい脚を使っているし、この着差なら十分。
スムーズな競馬だったら戴冠も十分有り得た。前々走の天皇賞2着は道中、超スローの流れを中団外目追走。直線入り口でアサクサデンエンに前をカットされて立て直すロス。わずかではあったが、この流れではそれが致命傷となる。それでも、勝ち馬と同じ上がり32秒7の脚はさすが。最後は苦しくなって内にモタれていた。久々で速い時計を出したのは最終追い切りのみ。いくら藤沢和厩舎とはいえ軽かったか。昨年の秋GIロードを3連勝したものの、今年は2、3着。力の衰えが懸念されているが、
若干のスブさ出はているものの、心配ない。この馬の持ち味はスピードと瞬発力。好位をロスなく追走できれば。
【ハーツクライ】
前走のジャパンC2着は道中、いつもどおり後方3番手で末脚を温存。タップダンスシチーの作る速い流れは同馬にとって好都合だった。直線を向いて大外へ持ち出すのではなく、ロスのない最内へ。残り300㍍地点では、まだ中団。だが、そこからの伸びが違った。最内を突くとグイグイ
一頭だけ違う脚色で急追。ゴール前は完全に脚色で上回っていた。それでも、わずか3㌢届かなかった。不運としか言いようがない。直前の攻めで絶好の動きを披露。状態は完璧。道中の位置取り、4角の鞍上の判断も完璧だった。エンジンの掛かりの遅い同馬にとって、府中の長い直線と速い流れで上がりが掛かったのも良かった。それでも、レコード決着の流れを後方から追い込んできたのは優秀。前々走の天皇賞・秋6着は未勝利戦並みの超スローの流れ。そこから直線で鋭い脚で追撃するも、前が詰まる不利も重なって脚を余してしまった。消化不良の内容だった。ダービー激走の反動があった昨秋とは雲泥の差。今は充実している。
この馬の持ち味はスピードに乗ってからの強烈な末脚。その反面トップスピードになるまでに時間が掛かる弱点も兼ね備えている。今回の課題はコーナー6回の中山2500㍍になること。
不向きな条件であることは間違いない。スムーズに馬群が捌けるかどうか。相変わらず攻めでは破格の時計、動きを披露している。
【リンカーン】
前走のジャパンC4着は好発を決めるとスッと中団前目のインを追走。終始、スムーズな追走で直線を向くと
ギリギリまで追い出しを我慢。残り2ハロン地点で満を持して追い出すと、ジワジワと差を詰める。ゴール前でロブロイに寄られて追えなくなることはあったものの、力は出し切った。
速い流れを、ウィジャボードが早めに動く展開を読んで追い出しを我慢した鞍上の判断はさすがだった。前々走の天皇賞・秋15着はフワッとした発馬で後手を踏み、後方のまま、展開不向きで力を出し切れずに終わった。3走前の京都大賞典1着でメンバーが弱かったとはいえ、スローの瞬発力勝負の流れで結果を出せたのは収穫だった。正直、GI級のメンバー相手ではワンパンチ欠ける。一昨年の有馬記念同様、勝負どころでマクって粘り込む競馬がベストだろう。
【サンライズペガサス】
前走のジャパンC6着では本命を打った。道中はタップダンスシチーの作る速い流れを、ゼンノロブロイのすぐ直後という完璧な位置取り。終始、折り合いもスムーズで手応えも十分。4角手前までは完璧な競馬だった。だが、4角から直線を向くまでの騎乗が残念だった。
外へ膨らんだゼンノロブロイよりも更に外へ持ち出されてしまう。当日の馬場を考えれば無謀。それでも、残り1ハロン地点までは
ビュッといい脚を繰り出してあわやのシーンを演出。ゴール前で脚が上がってしまったのは、
4角のロスを考えれば仕方ない。見せ場十分だった。本命にして間違いなかった。ここ2走は長距離輸送で馬体が減っていたが、中3週で中間に速い時計を2本出しながら、この日はプラス6㌔。いい材料だった。前々走の天皇賞・秋12着は超スローの展開のなか、外枠発走から終始、馬群の外を通らされてなし崩しに脚を使わされた。流れを考えれば致命的だった。鞍上によれば「内面的なイレ込みがあった」とのこと。3走前の毎日王冠1着はスローの流れを道中は好位を追走からコスモバルクを徹底マーク。3角でバルクが掛かって先頭へ躍り出ると、同馬も連れて進出。直線で上がり33秒5の鋭い末脚を繰り出して突き抜けた。7歳馬でもまだまだやれることを示した。今夏の宝塚記念5着は直線で2度の大きな不利。それがなければ好勝負に持ち込めていた。ここは2500㍍が課題になるが、府中の2400㍍だった前走で最後は脚が止まったものの、4角のロスと直線入り口で一気に脚を使ったことを考えれば、コーナー6回の中山なら
中団馬群で脚を溜めればこなせる。2度の屈腱炎を克服したスーパーホース。是非とも戴冠させてあげたい。
【デルタブルース】
菊花賞馬がジャパンC除外の無念を晴らすか。前走のステイヤーズS1着は道中、13秒台のラップが続き、ラスト6,5ハロン標識からペースアップする流れを中団の外目を追走。ペースアップした3角あたりから激しく手綱が動いて、手応えは良くないが、これはいつものこと。外目を通って前へ進出すると、直線でジリジリと差を詰めてインで粘るエルノヴァを競り落とした。叩き2走目できっちり変わり身を見せたのは立派。前々走のアルゼンチン共和国杯5着は大型馬の久々と59㌔で仕方ない結果。見せ場はあった。
昨年の菊花賞を勝負どころからのロングスパートで制しているように、バテない末脚が持ち味。その反面、速い脚に欠け、瞬発力勝負では苦しい面がある。昨年の有馬記念のような高速決着では限界がある。幸い、
今の中山は例年より時計の掛かる馬場。叩き3走目の今回、完璧に仕上げてくるだろうし、上積みは十分。好位から早めに抜け出す。
【タップダンスシチー】
果たして復活なるか。前走のジャパンC10着は叩き2走目でマイナス10㌔と絞れて体調は上向いていた。スローの前走とは違い、発馬後、手綱を押してハナへ立つ。道中、残り2ハロンまで12秒台のラップは一度だけという速いラップを刻む。さすがに
テン5ハロン58秒3、10ハロン1分57秒7は速すぎた。前々走の天皇賞・秋は久々で急仕上げ。そのため、鞍上も無理な競馬を避けた。この馬の持ち味は昨年の宝塚記念1着時のような、勝負どころからのロングスパート。末脚勝負型の後続になし崩しに脚を使わせて粘り込むのが必勝パターン。だが、近走はそれに陰りが出ている。やはり、年齢的な衰えが隠せないのか。
ここはディープインパクトの出走でマークが甘くなることは必至。うまく、テンを平均ペースに抑えて、3~4角で早めスパートで押し切りを図る。
【ヘヴンリーロマンス】
前走のジャパンC8着は道中、中団外目を追走。折り合いはスムーズ。しかし、
3角~4角にかけて馬群の内に入れることができず、外を通らされたのが痛かった。この速い流れと内有利の馬場を考えれば想像以上に大きいロス。
一瞬はいい脚を繰り出して見せ場は作った。レコード決着の速い時計勝負では厳しかった。前々走の天皇賞1着は14番人気での戴冠。超スローの流れを最内枠発走から中団のインをロスなく気分よく追走。しかも、周りに馬がいなかったためプレッシャーもなかった。直線を向いて最内を突く。残り1ハロンを切って、早め先頭で押し切りを図るダンスインザムード、外から強襲するゼンノロブロイとの激しい叩き合いを制してエアグルーヴ以来8年ぶりの牝馬Vを成し遂げた。ゴール前の切れ味は凄まじかった。2ヶ月ぶりの実践だったが、最終追い切りで破格の時計を叩き出して仕上がりは良かった。確かにこの流れで終始、内の経済コースを通った恩恵は大きかったが、これまで持久力のある流れで台頭してきた馬が、瞬発力勝負にも対応した。これも
牝馬離れした馬格の持ち主で攻めをビシビシ行って成長したからだろう。一瞬の爆発力が持ち味で、ベストは2000㍍に映る。100㍍延長の2500㍍は楽ではないが、コーナー6回の中山で、うまくインで末脚を温存できれば。
【スズカマンボ】
前走のジャパンC9着は大外枠発走で速い流れのため、馬群のインに入ることができず、置かれ気味の追走になってしまった。直線で少しずつ外へ出して伸びてはいるものの、このレコードの流れも厳しかったか。1着馬が発馬後、思い切って内へ切れ込んだようなことができれば良かった。前々走の天皇賞・秋13着は久々でイレ込みが激しく、道中揉まれたことで力みながら走っていた。度外視。今春の天皇賞・春1着では有力どころが折り合いを欠くなか、中団のインでジッと末脚を温存。直線で満を持して追い出すと鋭く伸びて天皇賞戴冠。鞍上の好騎乗が光ったが、持久力のあるところを示した。舞台は中山2500㍍。後方のインで末脚を温存する形だが、速い時計決着になると厳しい。デルタ同様、
今の時計の掛かる中山は歓迎のクチ。
【オペラシチー】前走の京阪杯11着は有馬記念へ向けた叩き台と見ていい。1800㍍の距離も忙しいし、速い時計は出しているものの、急仕上げ気味だった。前々走の札幌記念も上滑りする馬場と小回りコースに苦しんだ。3走前の目黒記念1着はスローの流れを好位で折り合い、流れに乗る。直線を向いて早めに先頭へ躍り出ると、ジワジワと脚を伸ばす。最後は激しい叩き合いを制した。
速い脚に欠け、ステイヤータイプ。距離はあればあるほどいい。好位から渋太い脚で粘り込みを図る。
人気blogランキングありがとうございます!