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ヴァーミリアン】 〝世界を狙う王者の走り〟
飛節炎のため予定していた川崎記念を自重。暮れの東京大賞典以来の実践となる。その前走は不良馬場の平均ペースの流れを、四肢を気持ちよく伸ばし余裕十分の手応えで好位の外め追走。終始、前のフリオーソを射程圏内に入れながら。3角から除々に気合いを付けながら仕掛けを開始。先に動いたフリオーソに4角で馬体を併せ、直線半ばで脚力の違いを見せ付け抜き去り、グングン加速。最後まで脚色鈍ることなく圧勝した。前々走のジャパンCダート1着は、エイシンロンバートが作る縦長の淀みない流れを中団追走。終始、抜群の手応えで鞍上と一体となって追走。3角で自らハミを取るやる気を見せ、満を持して進出を開始させる4角で大外に回すも、ロスのない誘導。直線の残り300㍍地点で左ステッキが入り、一完歩毎にグングン加速。最後まで脚色乱れることなく着差以上の内容で圧勝した。3走前のJBCクラシック1着は、JBCクラシック1着は、好発から引っ張り切りの手応えで好位の中を追走。終始、折り合いもスムーズで鞍上と一体となる。三分三厘で他馬が手綱を押して仕掛けるなか、武豊の手綱は全く動かない。それで位置取りを少し後ろに下げたが、4角から直線入り口にかけて内側にできた僅かな隙間を突く。鞍上のゴーサインに対してグイッと反応。抜群の脚力でグングン突き抜けた。蹄の病で万全の状態には程遠いなかでの圧勝。恐れ入った。2年前のこのレースではマイルの速い流れに戸惑い、脚をタメられずに惨敗している。今回も流れに対応できるかがポイントに。当時から劇的に力を付けているのは確かだが、ゆったり追走したいクチであるのも確か。死角はある。中途半端に前へ行くより、差しに徹するほうが良い。鞍上も心得ている。攻め駆けしないタイプで調子は掴みづらいが、調教量には注意。1週前の動きは上々。ブックのフォトパドックにてJCダート時と今回を見比べてみると、アバラがうっすら浮いた前者に対し、後者はトモはどっしりしていても腹や腰回りに明らかな太め残りの跡が…。厳寒期に順調さを欠いたハンデは想像以上に重いのかも。底力、実績は断然の存在!
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フィールドルージュ】 〝初タイトル手にリベンジへ〟
前走の川崎記念1着で悲願のGI制覇。ヴァーミリアン、サンライズバッカスといった強豪の回避で、相手はフリオーソ一頭だけ。1番枠からテンは手綱を押して前へ。決して行きっぷり自体は良くないが、追い込み脚質のこの馬にとっては積極策。一周目の4角では、フリオーソの1馬身半の、3番手のインをガッチリキープ。スタンド前で極端に流れが落ち着き、抑えるのに苦労する感じ。向こう正面でオーソが動き出す。自身も手綱を押して付いて行こうとするも、ズブさを見せる。3,4角で馬体を併せることができたものの、依然として手応えは悪い。ようやく直線半ばから行き脚がつき、グンとひと伸び。逆手前のまま押し切った。ゴール直後に手前を替えていたように、まだまだ余力を残していた。着差以上の強さだ。前々走の名古屋グランプリ1着は、道中は無理することなく中団からの追走。2周目の向こう正面でロングが先に動く。この馬も手綱を押していくも、やはりズブさを見せる。ようやく4角あたりで行き脚がつき、直線で左手前に替えてグイッと突き放した。3走前のジャパンCダート2着は、縦長のHペース。これを後方よりのポディションから追走。縦長で馬群がバラけたお陰で、向こう正面ではインがガラッと開く。そこをスイスイと通って進出。4角では先頭から0秒7差まで詰める。手応えも十分のまま直線を向き、馬場の内めの狭いところを割って伸びる。直線半ばでは単独先頭に踊り出る。最後は勝ち馬の底力に屈したものの、レコード決着で力を出し切っている。府中は勝ち星こそないものの、ズブさがある同馬にとっては間違いなくベストコース。前走も直線がもっとあれば突き放していた。ここ3走は、2100、2500、2100㍍を使われている。ただでさえズブいのに、マイルへの距離短縮で道中の追走や勝負どころでの反応が悪化する可能性がある。内枠を引いて馬込みに包まれると苦しいだろう。
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ドラゴンファイヤー】 〝若さで強豪撃破〟
前走の平安S9着は発馬で行き脚つかず手綱を押しても前に進まず後方からの競馬。前のメイショウトウコンを見ながらの競馬。3角でトウコンが進出を開始するも、この馬はズブさを見せて置かれてしまう。4角では3馬身ほど水を明けられ、直線を大外へ持ち出さざるを得ず。直線入り口では内へモタれて立て直すロスもあった。減速した影響もあっただろうが、ゴール前は完全に脚が止まっていた。不満。前々走のジャパンCダート6着は煽り気味の発馬で後方から。前のヴァーミリアンをマークする形。3角で連れて動きを開始させるも、ズブさを見せて手応えで圧倒される。直線を向き、バテてはいないものの、ジリ脚。レコード決着の流れで力差が出た。東京マイルは3戦2勝だが、近走の内容を見る限りはズブくて時計の掛かる馬場でこそ。マイル向きではない。いかにもパワータイプ。ひと叩きされて1週前の動きは絶好。上積みは相当望める。
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ワイルドワンダー】 〝得意舞台で末脚炸裂〟
前走の根岸S1着は、発馬で行き脚が今ひとつで半馬身ほどの出負け。だが、4番枠からバックストレッチで前がパカッと開き、後方で閉じ込められることなく三分三厘では先頭からコンマ8秒差まで迫る。抑え切れないくらいの行きっぷり。道中をロスなく回り、直線も内から馬3頭分のところを突く。慌てることなくジョッキーがゴーグルを変える余裕ぶり。残り1ハロン地点手前からスパートを開始させるも、前が詰まって右手綱を引いて立て直す。この時に右手前から左手前に替えて一旦は減速。すぐさま右手前に替えてエンジンが掛かる。スパッとは切れなかったが、ジワジワ詰め寄り差し切った。久々で貫禄勝ち。休養前のジャパンCダート5着は、発馬でそれほど行き脚がつかず。少し気合いを付けて後方のインに潜り込む。だが、縦長の速い流れになったために2角から前がパカッと開き、ハミにモタれて力みながら一気に離れた4番手までポディションを上げる。このために3,4角で他馬がスパートを開始させるなかで、ただ一頭手綱を抑えて懸命に脚をタメる。直線でもインを突き、坂上で一瞬は先頭に踊り出るも脚が上がってしまった。3走前の武蔵野S2着や前走を見ると、
手応えほど伸び切れない面がある。ハミにモタれる面があるのが影響している のかも。出負け癖があるので馬群がギュッと凝縮した時に前が壁にならないといいが。
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クワイエットデイ】 〝自在性の強み生かし〟
前走の平安S1着は、4番枠から手綱を押して好位のインへ。終始、スムーズな追走で経済コースを立ち回る。直線でロスなく馬場の3分どころへ誘導すると、ジワジワ伸びて僅かに先着した。先行馬有利の流れを好位のインでぴったりと回り、直線もスムーズに出せた。これ以上ない完璧な競馬だった。今回は初のマイル戦になるし、相手も強化される。
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メイショウトウコン】 〝流れを味方につける〟
前走の平安S2着は道中、例によって後方に控える。落ち着いた流れで3角からは4着馬に競られ、動かざるを得ず。しかし、4角手前からの反応が悪く、右ステッキが一発入って被される。並みの馬なら馬群に沈んでおかしくないケースだが、直線で狭いところを力強い脚力で伸びる。勝ち馬には僅かに及ばなかったものの、58㌔を背負い底力を見せ付けた。前々走の東京大賞典3着は、縦長の緩みない流れを後方の外め追走。コーナーでの口向きの悪さが目立った。かなり馬群の外めを通り、ロスの多い競馬。加えて3角から大外を捲って勝ち馬に競りかける。4角では加速力の違いで突き放され、直線は3着を死守するのが精一杯だった。圧巻だったのは4走前の札幌のエルムS。フサイチパンドラの作るスローペースを後方3番手から追走。3角で大外からジワッと詰め寄り、4角手前で一気に捲る。直線入り口で楽々先頭に並びかけると、直線でグングン加速。後続を一気に突き放した。早めに動きながらラスト1Fを11秒8でまとめる脚力は凄まじかった。2000㍍以上でもそれなりに善戦してきたが、
武器である切れる脚を生かすにはマイルあたりがベストなのは間違いない。昨年のこのレースは惨敗しているが、430㌔台の小柄な馬体で、精神的にも不安定で初の東京遠征でイレ込んだ。今は関東圏での競馬でも馬体減りしなくなったし、460㌔前後まで成長した。充実度が違う。手薄なメンバーのここなら一気の戴冠がある。
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ブルーコンコルド】 〝マイルで古豪復活へ〟
前走の東京大賞典5着は、2番枠からテンに好位を伺うも、行きたがって折り合いに四苦八苦。向こう正面は少しポディションを下げて懸命になだめる。しかし、ペースの上がる勝負どころでのズブさは相変わらずで、置かれてしまう。直線入り口では加速力の差でかなりの差があったが、直線で渋太く伸びた。前々走のジャパンCダート7着も積極策が裏目に出てハイペースに巻き込まれた。それでも、大崩れしなかったあたりが底力。中距離もこなせないことはないが、折り合いに難があって競馬がしづらい。その点、マイルは交流GI4勝をしていて、昨年のこのレースも2着。3,4角で内へモタれ、従来のズブさをも加わって前に進まない。直線入り口では絶望的な位置にいたが、残り2ハロンから怒涛の追い込みを見せ、グイグイと加速。最後は勝ち馬を凌ぐ脚色だった。ズブさはあるが、直線の長い府中ならそれをカバーできる決め手を持っている。近走は先行しての競馬が目立つが、本来は後ろから行ってこそ。8歳馬でも衰えはない。
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ヴィクトリー】 〝マイルで替わるスピード性能〟
ダートで新境地を開こうとしている。掛かり癖は相変わらずで、菊花賞ではモロに掛かり前走のジャパンCでも力んでいた。中距離以上では力を出し切れない。出負け癖もあり、それでテンに仕掛けて前に行くために余計そうなっている。今回は関東の後藤をヤネに迎え、積極策が予想される。芝スタートで行き脚がつけばハナへ行けるだろか。コロンとした体型からワンペースの走りをするタイプ。ダートは合うかも。マイルへの距離延長はプラスだろうが、気難しさを出せば楽ではない。追い不足。
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ロングプライド】 〝若さで一戦毎に台頭〟
前走の平安S4着は、発馬で行き脚つかず最後方からの競馬。前のメイショウトウコンをマークする形。3角から大外を通って競りかけていき、4角で被せる。自身も緩い流れで外々を通らされる苦しい形だったが、直線も大きくバテることなく差してきた。及第点。雨の高速馬場だと極端に末脚が鈍り、パサパサのダートでこそのタイプ。それでも、上位陣とは決め手に差がある。定量の57㌔になり、ペリエの腕が加わってどこまで。
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メイショウバトラー】 〝スピード生かし〟
明け8歳馬。暖かい季節に良績が集中。冬場は良くない。前走の根岸S6着は、テンに掛かり、3角でバッチン食らった。ワンペースで中央場所では決め手不足。スピードを生かしてどこまで。ハナを切れれば。
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アンパサンド】 〝能力高い〟
前走の川崎記念4着は、テンに追っつけて前へ。逃げるフリオーソを徹底マークする積極的な競馬。だが、ペースの上がった3角で付いていけず3番手まで後退。直線もバテる一方で3着馬に交わされた。フットワークに硬さが目立っていたし、ペースを考えてもあれだけ負けるのは久々を叩いた反動があったのか。休み明けで22㌔増えていた前々走から2㌔しか減っておらず太目残りでもあった。休養前の東京ダービーでは、正攻法の競馬から直線でフリオーソに迫られながらも押し切る強い競馬だった。昨年7月のジャパンDD2着後に骨片の除去手術を行ったが、聞けば東京ダービー優勝時から骨片を気にして歩様がスムーズではなかったそうだ。それでフリオーソと好勝負を演じるのだから能力の高さは疑いようがない。血統的にはマイル向き。叩き3走目で馬体が絞れれば。調教でフットワークに注意したい。
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