中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

安田記念(GI)展望

2007-05-31 16:04:27 | 見解
今年も香港から4頭の刺客が参戦し、混戦に拍車をかけている。対する日本勢の中心はダイワメジャーとスズカフェニックス。前者は前走のドバイデューティフリーで3着。世界でも通用するマイラーであることを証明した。後者は前走の高松宮記念で抜群の行きっぷりから鮮やかや差し切り勝ち。マイルでも怖い決め手を持っている。スズカは2ヶ月の間隔が開き、その他は海外からの転戦。仕上がり状態には細心の注意が必要だ。今年のGIは荒れに荒れている。安田記念も例外ではなさそう。

キストゥヘヴン
昨年の桜花賞馬が長かったスランプから立ち直り、完全復活を遂げようとしている。前走のヴィクトリアM4着は発馬直後から抑え切れない手応えで3番手へ。終始、抜群の行きっぷりで3角で早めに2番手へ。直線で馬群に飲み込まれそうになったが、渋太い脚で粘りに粘り、勝ち馬からコンマ3秒差だった。前々走の中山牝馬S5着は1角でゴチャつき、最後方からの競馬。腹を括って最後方から直線でインを突く。だが、狭いところに入ってしまい、なかなか抜け出せなかった。昨年の桜花賞1着では道中、縦長の平均ペースの流れを後方からAキッスをマークするように進む。直線で大外へ持ち出し、ジワジワと差を詰め、坂上でもうひと伸びでV。速い流れのなかでの切れ味が武器で、横山典騎手がレースのなかで競馬を覚えさせ、それが戻ってきている。前走で見せたテンの行きっぷりを中団で我慢して終いの脚に生かせれば。南関東の豪腕・内田博なら楽しみ。

ダイワメジャー
前走のドバイデューフリティー3着は好発を決めて先行策。だが、思ったほどペースが上がらず馬群が固まる。そのため終始、馬4頭分ほど外を回らされる苦しい展開。更に、直線を向いての瞬発力勝負となり、切れる脚が使えない同馬にとっては厳しい競馬だった。前々走の有馬記念3着は距離適性外の2500㍍。アドマイヤメインが逃げる平均ペースの流れを離れた2番手から折り合いに専念。距離が距離だけに、道中に下手な動きはできない。仕方なく直線勝負に持ち込むも、勝ち馬にスケールの違いを見せつけられた。3走前のマイルCS1着は道中、淀みない流れを例によって2番手へ。終始、スムーズなレース運びでフワフワしながら抜群の手応え。残り800㍍の下り坂で外目を回って進出を開始。4角で左ステッキが手綱に絡まるアクシデントがあったが、すぐに解消。直線で猛追するダンスダンスインザムードに並びかけられるともう一伸び。どこまで行っても抜かせない着差以上の強さでGI連勝を飾った。以前は左回り不安説を囁かれていたが、昨秋の毎日王冠、天皇賞制覇で一蹴。回りの不安はない。安田記念はここ2年参戦し、8着、4着。いずれも内枠で馬込みに包まれ、切れ負けしている。

スズカフェニックス
前走の高松宮記念1着は下見どころで外めを気分よく周回。デキの良さは明らかだった。道中は好発から馬場のいい外めを追走。初のスプリント戦にも苦労するどころか、抜群の行きっぷりで3角では早めにポディションを上げる意欲的な内容。4角でプリサイスマシーンに早々並びかけると、直線も大外を一頭だけ違う脚色で駆け抜け、決め手の鋭さを発揮して圧勝した。前々走の阪急杯3着は好発を決めるもスッと最後方に控える。脚をタメることに専念。直線で大外へ持ち出すロスがありながら、最後は鋭い末脚で猛追。首の上げ下げで負けたが、内容はピカイチだった。決め手は日本馬のなかで間違いなくNO.1。武豊が競馬の中で教育してきた賜物だ。今回は府中のマイル戦になる。陣営は「行かせればビューッと行く脚はある」と。一にも二にも折り合いが課題。東京新聞杯1着時も道中は四苦八苦していた。スプリントの前走で攻めの競馬をしているだけに余計に心配だ。

ディアデラノビア
前走のヴィクトリアM5着は攻め強化で凄い気合い乗り。2番枠から発馬直後に抑え切れない手応えで前へ。何とか鞍上がなだめて中団で控える。直線で逃げ馬の内めを突くも、今ひとつ伸び切れなかった。前々走の阪神牝馬S3着は1400㍍の速い流れを好位から積極策で追いかける。だが、直線で内へモタれ一瞬は伸びたが、そこからはジリ脚になってしまった。タメれば3走前の京都牝馬Sのように爆発的な一瞬の脚が使える。しかし、前へ行き過ぎるとなし崩しに脚を使わされるし、長く脚を使えるタイプではないので府中の長い直線だと仕掛けどころが難しい。展開の恩恵もないといけない。牡馬相手でこれだけ注文がついては。

エイシンドーバー
前走の京王杯SC1着はMスケルツッィの作る緩みない流れを好位追走。直線を向いて逃げるスケルツィとの差はかなりなったが、力強い脚捌きで一完歩毎に迫り、長く脚を使って差し切った。前々走のマイラーズC7着はコンゴウリキシオーが作るスローの大逃げの展開。2番手以下は大きく離れ、瞬発力勝負。加えて1分32台前半の決着という異様な競馬。33秒台の脚が求められる展開では切れ負けするが、前半から淀みなく流れ、自身が34秒台前半の脚で差して来られるのが理想。

シンボリエスケープ
前走の京王杯SC2着は大外枠発走から馬群がギュッと固まった中団の外めを追走。3角で外めをジワッと仕掛けて進出。スッとは反応できなかったが、長く脚を使って先行馬がバテたゴール前を差してきた。時計も速く、上がりも速い展開を後方からよく差している。バクシンオー産駒だが、ズブくて長く脚を使えるタイプ。マイルへの距離延長は問題ないと見る。体が絞れて動けるようになった。

エアシェイディ
前走のマイラーズC11着は直前の攻めで、長めをビシッと追ったうえに長距離輸送。18㌔減は誤算だった。最後方から流れが向かなかったとはいえ、あまりにも伸びなさ過ぎだった。3走前の東京新聞杯2着では道中、後方のインでスズカを見ながらの競馬。直線で大外へ持ちしたスズカに対し、インを選択。持ったまま痺れる手応えで中団馬群まで取り付き、ラスト1ハロン地点で満を持して追い出すと、ビュッと一瞬の鋭い脚で一気に突き抜ける。勝ち馬の決め手が上だったが、見せ場たっぷりだった。いい脚は使えるものの、それが長続きしない現状。追い込み馬だけに仕掛けどころも難しく。この中間は2週前まで、坂路調教でオーバーワークを回避させたことで馬体が回復している。

アドマイヤキッス
前走のヴィクトリアM7着は道中、中団群の外めを追走。馬場のいいところをロスなく運ばれて直線へ。外めへ持ち出し、ジリジリ伸びてはいるものの届かなかった。展開が向かなかったとはいえ、もう少し脚を使ってほしかった。前々走のマイラーズC4着は久々でも仕上がり良好。道中はスローの流れを中団馬群から追走。たっぷり脚をタメて直線へ。だが、前のエイシンドーバー、ローエングリンの間に挟まれ抜け出せない。ようやくラスト1ハロン手前で追い出されるとジワジワと追い上げた。強豪牡馬相手に直線でスムーズさを欠きながらも善戦した。昨年のGI戦線は、常に人気を背負いながら決め手不足を露呈して勝ち切れず。今年の2戦を見てもそう成長している感じはない。8㌔減の前走から中2週で再度の長距離輸送。厳しい条件だ。

ジョリーダンス
前走のヴィクトリアM5着は大外枠発走からアサヒの作る流れを中団の外め追走。流れを考えればもう少し前の位置どりでも良かったが、横に人気馬がいただけに動くに動けず。直線勝負に賭けた。大外から32秒9の脚を使うも、時計も速く上がりも速い展開では成す術なく。ただ、直線で右前→左前→右前と何度も手前を替えていた。調教では抜群の動きを披露していたが、目に見えない疲れがあったのかもしれない。前々走の阪神牝馬S1着は1400㍍特有の速い流れを中団追走から、早めに抜け出したディアデラを直線でワンテンポ遅らせた仕掛けで差し切った。少し上がりの掛かる展開が理想で、今の府中マイルは向かないのかも。中2週で疲れも心配。

オレハマッテルゼ
前走の京王杯SC3着はチークピーシーズ着用で行きっぷりが良化。速い流れも抑え切れない手応えで先行策。4角でも引っ張り切りなほど。持ったまま坂上から追い出しを開始するも、伸びず下がらず。これはいつもどおり。手応えほど終いは伸びない。理想は小回りで一瞬の脚で押し切る競馬。昨年の安田記念でザデュークに突進されて以来、他馬を怖がりスタンプに陥っていたが、前走で復調の兆しを見せた。マイルへの距離延長はプラスとはいえず。

サクラメガワンダー
前走のマイラーズC5着は久々でも速い攻めが1本だけで、直前もセーブした内容。それで2㌔減だったのは不満。レースへ行っても仕掛けて好位を奪いにいった分、ハミに頼った走りとなり、道中で余計な体力を消耗。伸び切れなかった。前々走の京都金杯3着は道中、好発から好位を奪うも、抑え切れない感じで2番手へ。やや気負った走り。直線入り口でマイネルに並びかけるも、そこから突き抜ける脚は残っておらず。3着を死守するのがやっとだった。緩い馬場に脚を取られた影響もあった。ハミに敏感なタイプでテンに仕掛けて行くと良くない。マイルでもジックリ乗ったほうがいい。テン乗りの鮫島がどう乗るか。

コンゴウリキシオー
突如として現れたマイル界の新星。いきなりのGIでも楽しみな素材だ。前走のマイラーズC1着は、発馬直後は行き脚がつかず手綱を押して押して前へ。ようやく2ハロン目からハナを奪うと、そこから11秒台の軽快なラップを刻む。3~4角でも、そのスピードは緩むことなく後続を大きく引き離す形。直線でスピードを保ったまま10秒7と加速し、突き抜ける。最後も11秒9としっかり踏ん張って逃げ切った。1分32秒2の勝ち時計は文句なしで、しかも右前脚を落鉄してのもの。恐れ入った。テンのダッシュ力はないが、トビが大きく一度流れに乗れば相当に渋太い脚を使う。新装阪神の広いコースも向いた。以前は、小回り中京の中距離戦を使われ、他馬のマークが厳しく失速していたが、マイルならスタミナの心配をしなくていい。ダッシュ力がないだけに内枠で包まれるのだけは避けたい。外枠を引ければ上位争いは必至と見ていい。府中マイルなら前走同様、バックストレッチが長い。

マイネルスケルツィ
年明けの金杯を制し、紆余曲折を経て春の大目標を迎える。前走の京王杯SC4着は爪の不安で攻め不足。レースでは好発を決め2ハロン目から10秒9-10秒9と速めのラップを刻む。4角で少し息を入れ、直線で再び加速して突き放す。直線半ばまではセフティードかと思われたが、最後脚が止まってしまい差された。前々走のマイラーズC3着は宮記念の疲れが残っていた。レースでもスローの流れを離れた2番手から流れに乗るも、最後は失速気味。不満の残る内容だった。3走前の高松宮記念6着はスプリントの速い流れに戸惑い、本来の先行策が取れなかった。年明けの京都金杯1着では、道中は逃げ馬不在でスッとハナへ。2番手以下が無理に競りかけることなく楽なペース。残り800㍍の下り坂で加速し、直線入り口で一気に仕掛ける。迫るサクラメガワンダーに並びかけられても、そこから二枚腰を使って突き放した。ハナを切ったほうがいいタイプだが、揉まれなければ2番手でも大丈夫。スピードを維持してそのまま押し切るのが勝利パターン。陣営は「ようやく宮記念の疲れが取れた」と。この中間は中2週でもビシッとやられてきた。

東京優駿(GI)回顧

2007-05-29 00:01:01 | 回顧
【馬場】Cコース。絶好の馬場状態。大一番に相応しい最高の状態。

12.6 - 10.9 - 12.3 - 12.6 - 12.1 - 12.1 - 12.7 - 12.6 - 12.2 - 11.4 - 11.4 - 11.6

【展開】ヴィクトリーが発馬で出負けし、ハナへ立てず。変わってアサクサキングスがハナを奪い、スタンド前はゴチャつくも、1角で落ち着く。その後、向こう正面で12秒1-12秒1とピッチを少し上げて後続との差を広げる。1000㍍通過60秒5のスローなのに縦長の展開。先行馬が少なかったことも確かだが、フサイチホウオーをはじめ有力どころが折り合いに不安を持ち、慎重に運ばざるを得なかったことも大きい。前残りの馬場と展開を勝ち馬が猛スパート。

 とてつもない女傑だ。64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇。ウオッカの強さには誰しもが驚愕した。下見どころから17頭の牡馬に臆することなく落ち着き払った姿。フサイチホウオーが発汗でテンションが上がっていたのとは対照的。発馬直後は中団のインで我慢。初距離だけにスタンド前は口を割って行きたがる。だが、1角で平静を取り戻す。その後は至極順調に運び、3角では痺れるほどの手応え。ここで勝利を確信するほどだった。直線で前残りを図るアサクサキングスを一完歩毎に力強い末脚で迫り、ガァーッと伸びる伸びる。最後は3馬身の差を付ける圧勝。上がり3ハロンは驚異の33秒0。決め手を生かせる流れで存分に力を発揮した。批判の声に耳を傾けず、英断に踏み切った角居師に心から拍手を送りたい。秋はディープインパクトが3着(のちに薬物問題で失格)に敗れた凱旋門賞に挑戦することになる。3歳馬牝馬だけに斤量の恩恵が大きい。夢は膨らむ一方だ。
 
 2着にはアサクサキングスと目覚めしい騎乗が光る福永が入った。発馬直後に手綱を押してハナへ。スタンド前は位置取り合戦でゴチャついたが、1角から実にスムーズな流れ。3ハロン目から12秒3-12秒6と息を入れる。その後、向こう正面で12秒1-12秒1と少しペースアップして後続を引き離す。再び3角で息を入れる絶妙な騎乗で後続を誘惑。それでも、馬群が固まらなかったのはフサイチにマークが集中していたのと、向こう正面でペースを上げたことが大きい。直線で二の脚を使い、突き抜ける。直線半ばまでは逃げ切り濃厚かと思われたが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。大トビで流れに乗ると渋太い。攻めでも抜群の動きだった。

 突然の乗り替わりとなったアドマイヤオーラ。前走とは違い、きっちり発馬を決めて中団へ。だが、攻めの競馬をしたために口を割って行きたがる。だが、この日の馬場を考えれば間違っていない。その後は何とか折り合うことに成功。向こう正面で掛かったフサイチホウオーが進出して行ったが、慌てず自分の競馬に徹する。直線で大外へ持ち出すも、激しく内へモタれる。鞍上が懸命に左ステッキを放つも、尚うち内へ。そして、ラスト100㍍地点で急に大外へ膨れる。そこから再び立て直すも、次は内へモタれる。内→外→内の蛇行運転ながら3着へ来たのは立派。スムーズに競馬できていたら2着だっただろう。決め手の高さを示せた。スローで切れ味勝負になったのは向いた。

サンツェッペリンはレース前のテンションが少し高く、発汗が目立った。道中はアサクサキングスが作る緩い流れを離れずピッタリと2番手追走。皐月賞同様、2頭で後続を離す展開。だが、テンションが上がっていた分、ハミをグッと噛んで力みながらの追走。直線で満を持して追い出し、懸命に前のアサクサを追いかけるもなかなか抜かせない。やはり、力んだ分伸び切れなかった。

 ドリームジャーニーは発馬直後から最後方に控えてタメる競馬に専念。終い一辺倒のため仕方ない。直線で大外からジワジワと追い上げるも、内へモタれて満足に追えなかった。スローで位置取りとコース差が出たのは確かだが、決め手勝負になったのは有り難かった。この距離では注文が多すぎる。マイルならGI級。

 単勝160円の圧倒的人気を背負ったフサイチホウオー。だが、見せ場すら作れず馬群に沈んだ。敗因は何か。確かに、下見どころからテンションが高く、かなりの発汗をしていた。レースでも向こう正面で折り合いを欠き、かなりの体力を消耗していた。これも大きく結果に影響しただろう。だが、まともに競馬ができていたとしてもウオッカに先着することはなかっただろう。現時点での「決め手」の差がハッキリ出ていた。高速決着になったのもこの日が初めて。左回りでは、どうしても逆手前になって伸びを欠いてしまう。今回はそれにイレ込みと折り合いを欠いたことで余計に伸びなかった。目標のレースでこの中間はビシビシ攻めを積まれて体調はピークに達していたが、仕上げ過ぎたことで気性面の悪化を招いてしまった。これが競馬。

ヴィクトリーは前走と同様、返し馬を行わず厩務員さんが付き添う形で輪乗りへ。それほどテンションも高くなかった。良いリズムでゲート入りすることができたが、肝心の発馬で痛恨の出負け。皐月賞はそこからスッとハナへ立てたが、今回は鞍上が控える競馬を選択したことで、無理に行くことなく後方に抑えた。その分、1角までに他馬との差ができた。この決断が裏目に出た。行く気になったヴィクトリーは制御に逆らって前へ。だが、縦長の馬群となっていたためにハナへは立てず。仕方なく、アサクサの作るスローの流れに合わせざるを得なかった。33秒台の脚が求められる流れでは成す術なく馬群に沈んだ。鞍上の判断と馬の気持ちに開きがあったことが最大の敗因だ。

ゴールデンダリアは後方で折り合いに専念し、直線でインを通って一瞬は脚を使うも、最後は力の差を痛感させる内容。強行軍の影響もあったか。もう少し馬体がフックラしれくれば。

ヒラボクロイヤルは発馬直後にゴチャつき、位置取りを悪くしたし、瞬発力勝負も良くなかった。武幸もうまく乗れていない。

フィニステールは瞬発力勝負になったのも痛かったが、鞍上曰く「ビビッていた」とのこと。前走の後遺症が残っていたか。

凱旋門賞へ行けるよう頑張ります

第74回東京優駿・日本ダービー(GI)最終結論

2007-05-27 01:59:26 | 最終結論
東京10R 東京優駿 (GI 芝・2400㍍)
◎ゴールデンダリア
○フサイチホウオー
▲ヴィクトリー
△ウオッカ
×ゴールドアグリ
×ヒラボクロイヤル

【見解】
 世代NO.1を決める東京優駿・日本ダービー(GI)が遂にやってきた。断然人気を背負うのはフサイチホウオー。前走の皐月賞が発馬で出負けし、道中は終始、馬込みに包まれ脚を余してしまった。不器用なタイプ中山も合わなかった。今回は広い府中に替わり、目標のレースで調整も万全。だが、今回はヴィクトリーを追いかける形になるだろう。他馬のマークもきつい。なし崩しに脚を使わされる展開で最後の脚が残っているのか。そこに隙がある。そして、この馬は回りに関係なく最後は左前脚になる。共同通信杯も坂上で抜群の手応えで伸びかけながら、鞍上のステッキにバカつき、逆手前にしたために思ったほど突き放せなかった。前走でステッキに対して真っ直ぐ走っていただけに成長してる可能性はある。2番手に評価を下げた。
 本命は関東の上昇馬ゴールデンダリア。前走のプリンシパルS1着は掛かったビンチェロが作る淀みない流れを離れた6番手追走。直線で外めへ持ち出されると、スッと右手前に替え、鋭い末脚で一気に差し切った。テンにある程度脚を使い、終いは33秒8。勝ち時計1分59秒6も優秀だ。前々走の山藤S1着はスローで馬群が固まる展開を3角からずっと外を通らされる展開。位置取りの差が出やすい流れだったが、坂下でエンジンが掛かると一気の脚で差し切ってしまった。強い。まだ、ソエを気にするところがあり、馬体も一戦毎に減り続けている。条件は楽ではないが、決して攻め馬を手控えられているわけではないし、動きもいい。フサイチホウオーが動く展開をワンテンポ遅らせて直線で爆発させる。決め手はNo.1。
 ヴィクトリーの皐月賞制覇は決してフロックではない。大外枠発走から馬の行く気に任せ2角でハナへ。ここで11秒6と加速する。その後も12秒3-12秒3-12秒3と決して緩んでいない。そして、三分三厘で11秒6と再び加速して後続を突き放す。直線で一旦はサンツェッペリンに先頭へ立たれながら、左手前にスッと替えて差し返した。しかも、3角から直線入り口までずっと右手前だった事実は大きい。着差以上に強かったし、楽な競馬ではなかった。この日の中山の馬場は力が要る馬場だったことも忘れてならない。今回はフサイチのマークが厳しくなることは間違いないが、2400㍍を克服するスタミナを要する。
 紅一点のウオッカは牡馬相手に通用する力を持つ。牝馬離れした馬格を持ち、常にマイルで1分33秒台で駆け、馬なりでスッーと加速する凄まじいエンジンを搭載している。スピード一本調子ではないし、フットワークが大きく、折り合いさえ付けば距離は問題ない。
 夢を見るならゴールドアグリ。一度使われ、攻めの動きが良化している。前走のNHKマイルC惨敗は発馬が良過ぎて折り合いを欠き、先行争いに巻き込まれては万事休す。見直せる。キャリア一戦で集中力を欠きながら新潟2歳Sを一気に差し切った素質馬。タメての競馬で巻き返す。

◎アドマイヤタイトル
前走は坂下で掛かって正攻法の競馬。厳しいレースを経験し、55㌔でグランプリへ。

第74回東京優駿(GI)調教診断

2007-05-25 10:34:38 | 調教診断
第74回東京優駿(GI)展望はこちら

中京10R ビンチェロの単・複、馬連、3連複で軍資金を

【タスカータソルテ】○ ゴール前でグイッと先着
CWで武豊を背に2頭併せの内。持ったまま馬体を併せ、ゴール前で軽く気合いを付けられると、力強い脚捌きでグイッと先着。推進力満点の走りだった。中2週で6ハロン81秒0-11秒8。好調キープ。

ゴールドアグリ】◎ 四肢を目一杯伸ばし
南Wで2頭併せの内。四肢を目一杯伸ばした大きなストライドで貫禄の先着。馬の気迫がヒシヒシと伝わってきた。骨折明けの前走を使われ、確実に良化の一途をたどっている。

ウオッカ】◎ 坂路でサッと流し万全
四位を背に坂路でサッと流した。見た目はそれほどスピードを感じさせないが、実際はラスト1ハロン12秒2。これはトビが大きく、自然に時計が出るため。走る馬の証拠。万全。

【ゴールデンダリア】○ 馬体細化懸念も動き良し
南Wで2頭併せの内。直線で少し気合いを付けられると、グイグイと併走馬を突き放した。連戦の疲れも見せず、キビキビとしたフットワークだった。ただ、一戦毎に馬体が減り続け、この日の追い切りでもゼッケンから下が寂しく映った。当日の馬体重には注意。

【トーセンマーチ】○ 好時計で先着
南Wで2頭併せの外。直線で馬体を併せたところから仕掛けられると、渋太く先着。切れる感じではなかったが、力強さは十分だった。5ハロン64秒4-12秒0なら文句なし。

【マイネルフォーグ】○ ビシビシ追われ
CWで大外を回り単走でビシッと。直線でステッキが数発入り、目一杯に追われた。スピード感十分で6ハロン78秒4-12秒0。中2週の小柄な馬でこれだけやられれば十分。

【フィニステール】○ 馬体接触も先着
坂路で藤田を背にサイボーグ(古馬1600万下)との併せ馬。馬体を併せたままゴール前で気合いを付けられると、併走馬と接触し左手前に替える。それでも怯まず先着したことに好感が持てる。

【ドリームジャーニー】○ いい意味で平行線 
DWで単走を馬任せで。例によって逆手前のままだったが、全身を使った切れ味満点の動きで好調をアピール。

【ヒラボクロイヤル】○ 力強い脚捌き
坂路で2頭併せ。馬体を併せたままゴール前で気合いを付けられると、スッとは引き離せなかったが、力強い脚捌きで先着。頭の高さはあるも、大トビで雄大なフットワークが目立った。

【プラテアード】○ キビキビとしたフットワーク
坂路で2頭併せ。終始、持ったままの手応えで同入。ピッチの利いた回転の速い脚捌きが一際目を引いた。もう少し、首をうまく使えれば言うことはないが。

ナムラマース】◎ 動きだけは文句なし
藤岡を背に芝コースで単走。直線で気合いを付けられると、前脚を高く突き上げたダイナミックなフォームでラスト1ハロン10秒6の猛時計。動きだけは文句なし。

サンツェッペリン】◎ デキ絶好
斉藤誠師を背に南Wで2頭併せ。直線で手綱を軽く緩められると、四肢を目一杯伸ばした迫力満点のフットワークで一気に突き放した。一週前には松岡を背に5ハロン61秒8-12秒3。生涯最高のデキを自信に大舞台へと挑む。

【ローレルゲレイロ】○ 坂路で好時計
池添を背に坂路で単走。ピッチの利いた回転の速いフットワークで、軽く追われて50秒7-12秒3と好時計。走りやすい馬場だったとはいえ、手応えにはまだまだ余裕があり文句なし。実践同様、ゴール前でもう少し重心が低くなれば。

アドマイヤオーラ】◎ 攻め強化に好感
DWで2頭併せも4角で早くも突き放す形。直線で追い出されると、グッと首を沈め、重心の低いフットワークで抜群の動きを披露。終い重点の前走よりも動きは良かった。2週続けて長めをビシッと追われてきた。馬体もフックラ見せ、皮膚病で攻めが手緩かった前走から、すべての面で上積みを望める

【フサイチホウオー】○ 前走以上の動き
安藤勝を背に坂路で併せ馬。馬体を併せたままゴール前で追われると、筒一杯の併走馬をスッと突き放せなかったが、何とか先着。左前脚を高く突き上げた独特のフォームは健在で、攻め駆けしない同馬にしては合格点。前走よりも良化しているのは明らか。

アサクサキングス】◎ パワー満点のフットワーク
福永を背に坂路を単走で。ラスト1ハロンで追われると、パワー満点の力強いフットワークで11秒9と抜群の動きを披露。まだまだスタミナが有り余っていた。相変わらず攻めは動く。一週前にも坂路で時計を出し、中2週でも中身は濃い。

【ヴィクトリー】○ この馬なりに順調
例によって坂路を単走で。時計、動きともに平凡もいつものこと。順調に攻めを積まれていることを評価したい。力は出せる。

【フライングアップル】○ 鞍上と呼吸ピタリ
坂路で横山典を背に併せ馬。終始、持ったままの余力残しで同入。鞍上との呼吸はピタリで、一寸の乱れもない動きだった。

第74回東京優駿(GI)徹底研究!

2007-05-23 21:16:38 | 見解
1月から続けてきた就職活動に終止符を打つ時が来た。これまで、就職活動の相談に乗ってくださった最強の男の大谷内泰久さんうまー日記のいれぶんさんには大変お世話になり、感謝の言葉が何個あっても足りないくらいです。本当にありがとうございました。残りの学生生活を満喫するとともに、より一層に深い研究をしていきます。

さあ同世代の頂点を決める第74回東京優駿(GI)がやってきた。先日、これまで日本の競馬界を引っ張ってきた武豊が、オーナーの意向によりアドマイヤオーラの騎乗を降板させられる衝撃が走った。不振に陥っているとはいえ、あまりにも非情。改めて勝負の世界の厳しさを思い知らされた。そして、96年のビワハイジ(13着)以来、11年ぶりの牝馬の出走となるウオッカがどんな走りを見せてくれるかにも注目が集まる。

フィニステール
陣営が素質の高さに期待して、ジックリ育ててきた素質馬が大舞台でベールを脱ぐ。前走の青葉賞3着は緩みない流れを好位のインでジワッと追走。終始、経済コースで脚をタメる。流れの落ち着いた三分三厘で差を詰め直線へ。だが、狭いところを割って突き抜けた直線半ばでエルソルダートに突進される大きな不利。それでも、一旦は単独先頭に踊り出る見せ場を作った。トビが大きく、エンジンの掛かりが遅いタイプだけに余計に不利は大きかった。負けて強しの内容だった。前々走の500万戦は超スローの直線勝負。逆手前のまま伸び切れなかった。3走前のすみれSもスローの瞬発力勝負では仕方なし。トビが大きく、スッと反応できず、スローで緩急が求められる展開を得意としない。前走のようなミドル→ミドルが理想的。ヴィクトリー、サンツェッペリンの存在は有り難い。好位に行く脚があり、そこから35秒前半の脚で勝てる展開が理想。

ゴールデンダリア
ダービーTRとしては最も関連性が薄いプリンシパルS。しかし、今年はひょっとしたらひょっとするかもしれない。その前走のは縦長の淀みない流れを中団馬群から引っ張り切りの手応えで追走。先行馬が早めに押し上げてもジッと我慢。坂を上り切ったところから追い出しを開始させると、独特のフットワークで差し切った。1分59秒6は優秀だし、テンからある程度脚を使い、11秒2-11秒5-11秒9の流れを好位から33秒8の脚を使ったのだから高く評価できる。前々走の山藤賞も圧巻。発馬直後にスッと中団に控える。向こう正面から13秒1-12秒6-12秒9とペースが緩む中、ずっと外を通らされる苦しい競馬。それでも、ゴール前で一気の末脚で差し切ってしまった。あれだけスローだと位置取りの差が出るし、かなりのロスを強いられながら、自身のラスト1ハロンは推定11秒3。しかも、最後は手綱を抑える余裕があった。恐ろしい。決め手はここでも十二分に通用する。少しエンジンの掛かりが遅いところがあり、広い府中も歓迎。ソエが残る現状で万全とはいかないが、それでも楽しみな素材。

タスカータソルテ
前走の京都新聞杯1着は平均ペースの流れを後方のインで我慢。終始、抑え切れない手応え。ペースの落ち着いた向こう正面から3角で他馬が差を詰めるなか、まだ動かない。ワンテンポ遅らせて4角で一気の仕掛け。先団へ取り付くまでの脚は速かった。直線でフェザースケープを抑え、突き抜けたものの、離れたインを伸びてきた2着馬が迫る。際どかったが、最後まで脚色が衰えることなく駆け抜けた。前々走の毎日杯8着は直線で前が詰まり、手綱を引っ張ったままゴール版を迎えた。完全な消化不良の競馬だった。3走前の弥生賞7着は小回りの中山でコーナーワークにぎこちなさを残し、外々を回される展開。流れに乗り切れぬまま終わってしまった。ジャングルポケット産駒で器用さに欠ける。広い府中は歓迎だし、鞍上には燃える武豊。中京のレコードホルダーだが、時計は掛かったほうがいい。

ヒラボクロイヤル
父子2代制覇へ一戦毎に力を付けてきた。前走の青葉賞1着は雨馬場で平均ペースの流れを後方から追走。大きなトビで前のオーシャンエイプスを見ながら余裕十分の追走。直線で大外へ回るのではなく、真ん中を突く。一旦は前が狭くなり一瞬ヒヤッとしたが、残り300㍍地点でVロードが開き、一完歩毎に鋭く迫り、逆手前のままだったが豪快に差し切った。前々走の毎日杯2着は後方3番手から前のナムラを見ながらの競馬。三分三厘でナムラが進出を開始させ、同馬も外めへ。直線で一旦は突き放されるも、ジワジワ詰めより、急坂で猛追。僅かに届かなかったが、距離不足でもあった。雄大なフットワークで急がせたくないタイプ。前走で示したように府中2400㍍は理想のステージだ。長くいい脚を使える馬で、スローよりは平均ペース以上で上がりの掛かる展開がいい。

フサイチホオー
前走の皐月賞3着は発馬で行き脚がつかず、スッと後方に控える。だが、ヴィクトリー、サンツェッペリンがスムーズに先行するなか、馬込みに包まれ動くに動けない。その状態が4角まで続く。ようやく、4角で進路が開くと強引に外へ。ここで大きく膨らみ、他馬に迷惑をかけてしまう。直線で獲物を捕らえるかのような迫力満点の走りで猛追するも、僅かに届かず。中山2000㍍で33秒9の脚。完全に脚を余してしまった。前々走の共同通信杯1着は中間に3週連続で鞍上が追い切りに騎乗。刺さり癖解消に懸命だった。10㌔増で馬体を大きく見せ、落ち着き十分。発馬直後は若干行きたがるも、その後は中団馬群で我慢する。流れの落ち着いた三分三厘で、外めをジワッと良い手応えで進出。直線で満を持して追い出されると、アッサリ先頭へ並びかける。が、直線半ばで左ステッキが放たれると、口向きの悪さを出して逆手前に。そこからジワジワとしか伸びなかったが、ゴール前で外から2着馬に来られると、再び突き放した。他馬より1㌔多い57㌔を背負い、逆手前ながらの勝利。中身は相当濃い。前走で見せた三分三厘での反応の鋭さ、ステッキが入れられても真っ直ぐ走った点は高く評価したい。広い府中で直線待機できるのは歓迎だし、距離も望むところ。あとは左回りでは過去3戦、いずれもゴール前で逆手前なり伸びを欠いている。それが克服されているかどうか。

アドマイヤオーラ
前走の皐月賞4着は発馬で行き脚がつかず後方に下げる。終始、前のフサイチホウオーを見ながらの競馬。だが、前2頭がスイスイ逃げる展開でフサイチが馬込みに包まれ、この馬も動けない。ようやく4角で動いた進路が開きフサイチが一気に仕掛ける。だが、そこで反応の鈍さを露呈し、突き放される。直線で狭いところに入り、若干追いづらい面はあったものの、33秒9の脚の割に直線の伸びは物足りなかった。攻めが終い重点で皮膚病の影響もあったか。前々走の弥生賞1着は平均ペースの流れを仕掛けて好位へ。その後は馬群のなかで折り合いに専念。三分三厘で除々に仕掛けを開始させると、ズブさを出して手応えは良くない。それでも、鞍上の懸命なシェイクによって突き抜ける。だが、残り1ハロン地点で右ステッキが飛ぶと外へ膨れる。意外と突き放せなかったが、きっちり先着した。ズブはあるが、エンジンが掛かってからの脚は鋭い。2週続けてDWで長目をビシッと追われ中身が違う。ブックのFHOTOを見ても、前走より馬体に身が入っている。だが、胴詰まりで切れを生かすタイプ。府中2400㍍の底力勝負に不安が残るのは確か。

ヴィクトリー
唯一、3冠馬の可能性を秘めている。前走の皐月賞1着は発馬直後に大外枠からスッと好位へ。だが、気分良く走らせることを考えた鞍上は、手綱を緩めて1角で迷わず前へ。2角では11秒6と加速し、果敢にハナを奪う。ここで後続を大きく引き離す形になる。その後も12秒3を3F続け、決して緩めず。4角を回りきった時点で後続とはかなりの差。直線で2着馬との激しい叩き合いで一旦は鼻っ面を並べられる。だが、ゴール直線で左手前に替えてもう一伸び。根性で振り切った。向こう正面ではスッと左手前に替えたが、3角からゴール手前までずっと右手前のまま。2角で突き放した時に他馬の競りかけがなかったことは恵まれたが、着差以上に強さを感じさせる内容だった。前々走の若葉S1着は久々で八分の仕上げ。道中はポンと掛かり気味に2番手へ。終始、抑え切れないくらいの行きっぷり。三分三厘で業を煮やして先頭へ躍り出る。残り3ハロン地点から11秒5-11秒8と加速。さすがに急坂で脚色が鈍ったが、鞍上の懸命なステッキに応えて粘り切った。3走前のラジオNIKKEI賞2歳S2着も大外枠発走から掛かり気味に2番手へ。若葉S同様、早めに仕掛け押し切りを図る競馬をするも、勝ち馬の決め手が一枚上だった。それでも、キャリア1戦で大外枠から終始、掛かりながらも着差は僅か。強い内容だった。ワンペースで押し切る競馬を持ち味とし、府中2400㍍も克服できるスタミナを持っている。ここも鞍上との呼吸次第。2番手でも大丈夫。

サンツェッペリン
前走の皐月賞2着は発馬直後に手綱を押してハナへ。だが、外のヴィクトリーにスッとハナを奪い返される。その後は直後に付けて3番手以下を離す。三分三厘でステッキが入り、直線でジワジワと差を詰め、坂上では先頭へ躍り出る。だが、勝ち馬が左手前に替えてもう一伸び。上げ下げで負けた。前々走のスプリングS8着は一頓挫明けで鞍上も無理せず。3走前の京成杯1着は逃げ馬不在でスッとハナへ。2角までは緩いペースに落として逃げたが、残り1000㍍からジワッと加速し、4角から直線にかけて11秒4-11秒4。ここで競りかけた先行馬が脱落すると、最後も12秒2としっかりと踏ん張って逃げ切った。ダッシュ力はないが、流れに乗ってからの渋太い脚には目を見張るものがある。血統は地味も、馬体を見る限りはムチムチの筋肉質。スタミナの塊といった感じ。攻め強化にも好感が持てる。

トーセンマーチ
前走の青葉賞2着は縦長の平均ペースの流れを離れた4番手追走。大きなフットワークで余裕十分の追走。流れが緩んだ三分三厘で前との差を詰めるも、手応えが悪い。気を抜く癖を見せる。それでも、直線で盛り返してジワジワ伸びている。B着用で集中力がUPしている。トビが大きく、府中2400㍍はいい。

ローレルゲレイロ
前走のNHKマイルC2着は道中、好位の外め追走。歴戦の馬だけあって折り合いは完璧。だが、人気を背負っていたこともあり早め早めの競馬を強いられる。馬場のいいところを選んで大外へ持ち出し、坂を上り切ったところで追い出しを開始。追ってから頭が高くなるだけに、決め手が今ひとつな所を露呈してしまった。前々走の皐月賞6着は距離を意識して慎重に中団のインで乗られるも、ジワジワとしか伸びず。堅実さはあるが、距離延長はプラスにはならない。

アサクサキングス
前走のNHKマイルC11着は最内枠発走で終始、馬場の悪いインを通らされては万事休す。前々走の皐月賞7着はヴィクトリー、サンツェッペリンが絶妙に縦長で逃げる展開を4番追走。確かに、中途半端な位置で乗り難しかったが、最後の伸びはいかにも物足りなかった。3走前のきさらぎ賞1着も超スローでも離し逃げと絶好の展開。それでいて、ラスト1ハロン12秒3は大いに不満ふぁ残った。少し、底力に欠ける面があり、距離延長はプラスとは思えない。

ウオッカ
96年のビワハイジ以来、11年ぶりの牝馬参戦となる。前走の桜花賞2着はアンカツにやられた。逃げ馬不在でペースが落ち着く中、掛かったアストンが動き、連れてダイワも進出。それを好位の外めから前を見るように追走。ここまでは完璧だった。だが、4角でジワッと進出し、直線で仕掛けを開始させたとことで、ダイワに左手綱を引かれプレッシャーをかけられる。そこで少し外へ膨らむ。そして、立て直して伸びかけたところで、馬体をぶつけられて怯んでしまう。これで万事休す。完全に消化不良の競馬だった。前々走のチューリップ賞1着は道中、中団の外めを追走するも、口を割って行きたり鞍上が必死に抑える。3角手前でようやく折り合い、4角でジワッと進出を開始し、痺れる痺れる手応えでダイワスカーレットに並びかけると、牝馬離れした豪快なフットワークでグイグイ加速。着差はクビだったが、手応えには歴然とした差があった。この馬の持ち味は豪快なフットワークで、4角から直線にかけて馬なりのままスーッと加速できるところ。見ていて痺れる。ここ4走、マイルを使い続けているが、すべて1分33秒台で駆けている。加速力に加えて牝馬離れしていることは間違いない。先週のオークスが2分25秒3と優秀な時計で駆けている。勝ち馬のローブデとは3戦して全て突き放している。今年の牝馬路線は相当にレベルが高いし、スピードタイプではなく、トビも大きいし、折り合い次第では距離は関係ない。楽しみ一戦だ。




優駿牝馬・オークス(GI)最終結論ほか

2007-05-20 02:04:43 | 最終結論
ダービーで巻き返します

東京11R 優駿牝馬・オークス(GI)
◎トウカイオスカー
○カタマチボタン
▲ローブデコルテ
△ベッラレイア
×ザレマ
×アマノチェリーラン
【見解】
 ダイワスカーレットの回避で一気に戦国模様と化したオークス(GI)。一番人気のベッラレイアは距離も問題ないし、決め手もNO.1。ただ、決め手を武器にして最後方から大外を回る競馬では辛い面もある。決して確勝タイプではない。
 父にトウカイテイオーを持ち、リアルシャダイの肌。純国産血統のトウカイオスカーが混戦の樫に断を打つ。前走のスイートピーS6着は中間にソエ気味で予定していたフローラSを回避。一週スライドさせての出走で直前の攻めをセーブ。デキは万全ではなかった。前々走のミモザ賞1着は中団追走から直線の坂下まで反応は一息。だが、坂上で極上の切れ味を発揮して一気の差し切り勝ち。実質、100㍍だけの競馬。凄まじかった。トビが大きく急がせたくないタイプ。展望でも書いたが、マイルのアネモネS敗戦には納得がいく。勿論、距離延長は歓迎。ゆったりと中団を追走し、決め手を生かせる。今週の坂路では、持ったままの手応えで雄大で軽やかなフットワークを披露。確実にデキは上向いている。単勝で勝負。

中京11R 東海S(GⅡ)
◎ラッキーブレイク
○アルドラゴン
▲キクノアロー
△タガノサイクロン
×マイネルボウノット
×メイショウトウコン
【見解】
 伏兵ラッキーブレイクを狙い打つ。前走のオアシスS10着は久々のマイル戦で積極策。直線入り口でインを通ったためにゴチャつき、追えず。それでも、戦意を喪失することなく最後まで集中して駆けていた。タメての切れ味はファイナルS2着で証明済み。ダートの中距離では底を見せていない。中1週でも坂路で馬なりで52秒1-12秒5。楽しみな一戦。
 アルドラゴンの前走は発馬直後は中団のインで末脚を我慢させ、前のキクノアローを目標にする。向こう正面で進出を開始させ、三分三厘でキクノアローに被せていく。そこからの反応が鋭く、一気に捲り切り押し切った。前々走のスプリントの速い流れを経験したことで道中の反応が良くなった。折り合いに全く不安のないタイプ。今回も前のキクノアローを目標にできる恩恵がある。攻めも熱心。

中京6Rのアドマイヤハートの単・複で軍資金稼ぎ

優駿牝馬・オークス(GI)調教診断

2007-05-18 21:10:21 | 調教診断
トウカイオスカー
このブログは武豊騎手を応援しています


スマートストーム】○ 素軽い動きで好調キープ
坂路で馬任せのまま53秒8-12秒5。左前脚が多少硬い気もするが、全体に素軽い動きで好調キープ。中2週で再度の長距離輸送があるだけに、これで十分。

ローブデコルテ】○ 軽快な脚捌き目立ち
DWで福永を背に単走。終始、持ったまま全身を使った迫力ある動きでラスト1ハロン11秒9。ゴール前で左手前に替えたが、これは前走でも見せていた。問題ない。1週前にDWで6ハロンを81秒3-12秒7とビシッと追われ、万全の調整だ。

マイネルーチェ】◎ 独特のストライドで文句なし
横幅のある独特のストライドで坂路を単走で。ゴール前で軽く気合いを付けられ、豪快にフィニッシュ。文句なし。

ハロースピード】○ 大きなストライドで先着
南Wで2頭併せの内を5ハロンから追走。大きなストライドで目一杯追われ、重心が高くスッとは突き放せなかったが、豪快な脚捌きで先着。好調キープ。

ミンティエアー】○ 見せムチを放たれ
北Cコースで単走。直線、鞍上から見せムチが放たれ、それに応えて前脚をピンと伸ばしたストライドで5ハロン66秒4-12秒5。頭の高さは目立ったが、これだけビシッとやられ上積みが望める。

ミルクトーレル】○ ビシビシ追われ
DWで2頭併せの内。頭の位置は高いものの手綱を激しくシェイクされ同入。完歩の大きいストライドで迫力ある動きだった。これだけビシッとやれれば文句なし。

ベッラレイア】○ 長距離輸送控えるだけに
長距離輸送が控えており、坂路で馬なりのまま流した。回転の速い脚捌きで真一文字に駆け抜けた。いい意味で平行線。一週前にある程度の時計を出し、これで十分だろう。あとは当日の馬体重に注目。

ピンクカメオ】○ 疲れなく順調
坂路で2頭併せの内を追走。ピッチの利いた回転の速いフットワークで、手応えで見劣ったものの、中1週で50秒1-12秒4なら十分。強行軍による硬さは見られない。

レインダンス】△ 攻め手控えられ
坂路で馬任せのままサッと。多少口向きが悪く、頭も高い。前脚にももう少し推進力が欲しい感じ。前走の東京遠征で馬体減りしているだけに、この中間は坂路で軽めを2本。上積みは望めない。

トウカイオスカー】◎ 迫力満点の動き
坂路で馬任せのまま単走。終始、引っ張り切りの痺れる手応え。頭の位置は高いものの、大きなストライドで迫力満点の動き。ソエの影響で手控えられた前走から大幅な上積みを望んでいいのでは。

カタマチボタン】◎ 抑え切れない手応えで先着
南Wで2頭併せの内。直線でスッと左手前に替えられると、シャープな脚捌きで半馬身先着。抑え切れない感じで文句なしの動きだった。

ラブカーナ】○ 力強いフットワークで
CWで2頭併せの内を先行。直線で目一杯追われると併走馬を突き放した。頭が高く、お世辞にもいい動きとはいえないが、力強いフットワークでビシビシやられた点を評価したい。

ウィンナワルツ】△ 馬体細化懸念
坂路で全くの馬なり。一戦毎に馬体が減り続けている小柄な馬。強調材料はない。

ラストベガ】○ 余裕残しで好時計
南Wで2頭併せの内。終始、手綱を抑えたままゴール前で半馬身遅れたが、問題ない。小柄な馬だけに完歩が小さく、推進力は今ひとつ。5ハロン64秒7-12秒8なら悪くない。

アマノチェリーラン】◎ ダイナミックなフォーム
坂路で池添を背に単走。直線でハミを何度も掛け直され、手綱をシェイク。頭は高いが、前脚を高く突き上げたダイナミックなフォームで51秒7-12秒0。元々、攻め駆けするタイプだが、それにしても素晴らしい脚捌きだった。

アドマイヤスペース】○ 軽快な脚捌き
南Wで単走。終始、持ったままの手応えで軽快なフットワークが目に付いた。もう少し推進力が出てくれば文句ないが、柔らかいフィームだった。

ザリーン】○ 中1週だけに軽め
中1週続きだけに坂路でサッと流した。最後まで集中を切ることなくフィニッシュ。遠征続きでも馬体が増え続けている点は評価できる。

ザレマ】◎ 好時計連発。
坂路で単走。ピッチの利いた回転の速いフットークで、少し気合いを付けられただけで50秒1-12秒8。文句なし。欲を言えばもう少し首をうまく使えるといいが。牝馬ながら3週続けて速い時計を出せるのは、500㌔を雄に超す馬格だからか。

優駿牝馬・オークス(GI)展望

2007-05-16 19:56:16 | 見解
ローブデコルテ
皐月賞から先週のヴィクトリアMまでのGI4戦は、3連単がすべて100万馬券という荒れ様。この流れを引き継ぐのはこの馬。前走の桜花賞4着は発馬で後手を踏み後方から。終始、インで脚をタメるも前の馬がズルズル後退したことで、4角では最後方まで位置取りを落とす。流れを考えれば致命的だった。それでも、上位2頭には突き放されたものの最後まで伸び続けたのは評価できる。鞍上曰く「フワフワしていて距離延長にも対応できそう」と。完歩はそう大きくないし、コジーン産駒だが、折り合いに不安のないタイプで鞍上には成長著しい福永。道中に遊びもある。一瞬の脚ではダイワに劣るが、ジワジワ伸びるタイプ。ザレマが早めに動き、ダイワが追いかけける形を後方からこの馬が差してくる。前走後は大山ヒルズに放牧に出され、帰栗後はプール調教と坂路で時計を出し、2週前にCWで6ハロン85秒5-12秒5、一週前は同じく6ハロン81秒3-12秒7を一杯に追われた。ビシビシ攻められている点にも好感が持てる。

ザレマ
前走の忘れな草賞1着はスローの流れを1番枠からジワリと好位へ。終始、インで脚をタメて4角で一気の進出。直線で食い下がるヒカルアモーレを突き放し、押し切った。広いコースに替わりゆったり競馬できたことが大きかった。前々走のあざみ賞3着は道中で鞍上とケンカしたり、小回り中京のコーナーで外へ膨れるなど、トビの大きいこの馬にとって不向きだった。度外視。前々走の500万下2着は直線を向いての瞬発力勝負でクレスコワールドに見劣った。トビが大きく、タメての切れ味勝負では分が悪い。理想は前走のように早めに進出して押し切る競馬。広い府中に替わるのは歓迎だが、直線の長いコースはマイナス。ダイワにマークされそうなのもどうか。

ダイワスカーレット
デビュー戦で2000㍍を使われ、師が単調なスピード馬にならないよう大事に育てられてきた。その後、桜女王の称号を手にし、自信を確信に変えて樫の舞台へと上がる。前走の桜花賞1着は道中、大外枠発走から掛かったアストンを目標に3角で好位へ。自身も少し行きたがる。その後はペースも落ち着き、我慢、我慢。4角でジワッと仕掛けを開始させると、直線の外めへ。ウオッカが外から迫ると見るや、左手綱を引きプレッシャーをかける。残り300㍍付近で右ステッキを数発かまし、再び馬体を併せる。怯んだウオッカを置き去り、一気に突き放す。最後までその脚色が衰えることはなかった。早めの競馬で押し切る作戦を取った鞍上の勝利だった。前々走のチューリップ賞2着は発馬直後から抑え切れない手応えでハナへ。3ハロン目から12秒1-12秒2-12秒2とすぐにペースを落として息を入れる。抑え切れない手応えで4角から直線入り口で11秒1と加速。持ったままの手応えでウオッカから並びかけてくるのを待ち、そこからの追い比べ勝負。瞬発力の差は出たが、着差は僅かで、仕掛け次第では逆転できる内容だった。大きなトビだが、加速力があり、チューリップ賞のように追い比べに持ち込むのではなく、桜花賞のスッと流れに乗りスピードを持続できれば、終いも速い脚を使えるのが特徴。デビュー戦では2000㍍の緩い競馬でも我慢できたが、その後はマイル戦を立て続けに使われ、桜花賞よりもトモ高になり、気性もマイラーになっている。胴長で大トビであるが。2角までが勝負。直線の長い府中で踏ん張れるか。

ベッラレイア
前走のフローラS1着はイクスキューズが作る淀みない流れを中団から抑え切れない手応えで追走。だが、馬群が固まり、4角から直線入り口にかけても前が開かない。残り300㍍地点で仕方なく、立て直して大外へ。その時点でイクスキューズとかなりの差があったが、一完歩毎に鋭く迫り、ゴール前で捕らえた。直線入り口のロスはかなりあったことを考えれば着差以上に強い内容だった。前々走のあざみ賞1着は小回り中京にもかかわらず最後方から末脚を信じての競馬。314㍍しかない直線でも4角で最後方。しかも、大外へ持ち出す大きなロス。それがどうだ。豪快な末脚で一気に差し切ってしまったのだ。レースのラスト1ハロンのラップが11秒4だから、推定でも10秒台半ばの脚を使っている。しかも、最後は手綱を抑える余裕があった。末恐ろしい。前々走のすみれ賞3着は道中、外々を回らされるロスが響き、なし崩しに脚を使わされた。直線まで脚をタメる競馬が合っている。距離延長が不安視されているが、折り合いに不安はないし、トビも大きく長く脚を使えるタイプ。全く問題ない。それよりも、中2週で再度の長距離輸送。これ以上馬体が減っているとどうか。先週までのAコースで逃げ馬が外を通る競馬だと厳しいが、今週からCコースに替わるのは助かった。鞍上がどう操るか。

タマチボタン
前走の桜花賞3着は好発を決め先行策。大きなフットワークで流れに乗り、折り合いもスムーズ。だが、スローの瞬発力勝負になったために追い比べで上位2頭に突き放されてしまった。前々走のクイーンC2着は発馬直後から掛かり気味。直線でずっと左手前で走り、手前を替えなかった。4走前のひいらぎ賞1着は前傾ラップの流れを好位の外目追走。三分三厘で3番手までポディションを押し上げ、そのまま直線で振り切った。首差しが長く、胴長のスラリとした体形。トビも大きめで距離延長はプラスに出そう。ソラを使ったり、逆手前で走ったりした若さが解消してきている。

ミンティエアー
前走のフローラS2着は平均ペースの流れを後方のインで、前のベッラレイアを見る形。3角でインを通って並びかけると、馬群をうまく縫って直線で抜けてくる。この馬自身もいい脚を使っているものの、勝ち馬の規格外の末脚にやられてしまった。前々走のミモザ賞3着も馬群を割って鋭く伸びたところを大外からの強襲に遭った。キャリア3戦ながら、馬群を苦にしない勝負根性は高く評価できる。一戦毎の成長にも期待が持てる。

ラブカーナ
前走のスイートピーS2着は離れた中団追走。流れの緩んだ3,4角で除々にポディションを押し上げ、直線入り口では前から3馬身圏内に。そこからジワジワと脚を伸ばすも首の上げ下げで屈した。前々走の忘れな草賞2着も中団のインで脚をタメて直線勝負に持ち込むも、先に抜け出した勝ち馬を捕らえることはできなかった。少し決め手不足。

ピンクカメオ
前走のNHKマイルC1着は雨馬場で先行馬がいい位置を取ろうと、テンから激しい攻防が繰り広げられる展開を最後方追走。極力ロスを避け、外を通るのではなく最短距離を通る。直線でも他の差し馬が仕掛けても、尚もワンテンポ遅らせた仕掛け。満を持して大外へ持ち出すと、先行馬がバテたラスト100㍍のところを豪快に差し切った。鞍上の巧みなペース判断とコース取りも光ったが、自身も桜花賞時の栗東でのトレーニングが奏功し、動きが良化。馬体も絞れていた。寸の詰まったマイラーだが、再び我慢の旅を続ければ穴党を喜ばせることも。激戦続きだけに、最終追いの脚捌きは要チェック。

ハロースピード
2歳時からの成長が今ひとつの現状。前走のスイートピーS3着もインで我慢し、3角で前へ行く競馬。直線で理想的に前が開くも、そこからがジリ脚。そういう競馬が続いている。決め手不足は否めない。

ザリーン
前走の矢車賞1着はかなりの雨馬場。道中は後方のインで我慢し、直線で内を渋太い脚で消耗戦を制した。前々走のフローラ8着は道中は中団外めを追走するも、直線での追い比べで伸び切れず。まだ、良馬場での時計勝負ではフローラSの内容から差がある。雨が欲しい。

トウカイオスカー
前走のスイートピーS6着は予定していた前週のフローラSをソエの影響でスライドさせた。最終追いも坂路で57秒3-13秒6と物足りないものだった。発馬で出負けし、最後方から直線で大外に持ち出して勝負したが、タメた割には今ひとつ伸び切れなかった。前々走のミモザ賞1着が凄い脚。坂下での反応は今ひとつだったが、ゴール前100㍍は凄まじかった。ゆったりしたフットワークで急がせたくないタイプ。マイル戦だったアネモネSの敗戦には納得がいく。距離延長は勿論、歓迎。大舞台でトウカイテイオーに、リアルシャダイの肌が爆発するか。直前の攻めには十分注意。

ヴィクトリアM(GI)回顧

2007-05-15 09:36:23 | Weblog
【馬場】Aコース。内から馬3頭分は壊滅状態。逃げ馬が4分どころ通る。高速馬場。

12.3 - 10.8 - 11.7 - 11.8 - 11.6 - 11.2 - 11.2 - 11.9=1:32.5

【展開】アサヒライジングの単騎逃げ。3ハロン目から11秒7-11秒8と少しペースダウン。それでも、テン3ハロン34秒8と決して遅くなく、前走で1400㍍の速い競馬を経験した逃げ馬が軽快なラップを刻む。4角でペースアップし、直線は11秒2-11秒2。それでいてラスト1ハロンが11秒9。テンも速くこの上がりを使った先行馬も立派だが、後続は成す術なく。

競走中止のアクシデントから1年、苦杯を味わったコイウタが生涯最高のデキで大仕事をやってのけた。一週前に南Wで64秒0-11秒9を出し、最終追いでは坂路でピッチの利いた抜群の動きを披露。陣営もデキの良さに太鼓判を押し、自信を持っていた。道中はアサヒの作る平均ペースの流れを好位追走。前々走の敗因を胸に刻み、鞍上は慌てず脚をタメることに専念。直線で逃げ馬が馬場の4分どころを通る異様な雰囲気のなか、その内目のギリギリ馬場の良い所を通る。残り2ハロン手前で仕掛けを開始させると、一瞬の脚で先団へ。逃げ馬も11秒2と速い脚を使っていただけに捕らえるのは容易ではなかったが、残り100㍍のところで追い付き、突き放した。勝ち時計は1分32秒5。高速馬場を考えても優秀だし、残り400~200㍍のところでは10秒台の脚を使っている。テンも速かったし、最後の決め手は強烈だった。この日、スタンドに両親を招待していた鞍上の松岡にとって、最高の「母の日」となった。

 2走続けて惨敗を続けたアサヒライジングは〝変貌〟した。この中間は、変化を与える意味で本馬場で追い、浅いブリンカーも着用した。鞍上の柴田善もゴール版を過ぎた後も追い続ける熱の入れようだった。道中は3番枠からスッとハナへ。前走で1400㍍の速い流れを経験しているだけ2ハロン目から10秒8-11秒7-11秒8のラップを楽に刻む。4角手前からペースアップし、直線は馬場の良い4分どころへ。そこから11秒2-11秒2と一気にスパート。本来なら押し切っても不思議でないが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。それでも、テン3ハロンを34秒8で入り、直線入り口で11秒2-11秒2の脚を使ったのは立派。決してフロックではない。揉まれ弱いだけにいかにスムーズな競馬ができるかが鍵。

デアリングハートは叩き良化型の真骨頂を見せ付けた。例によって好発を決めると、無理せず外めの6番手。課題だった折り合いは完璧。鞍上との呼吸はバッチリ。すぐ内の勝ち馬と同じ位置。直線で馬群が馬場の4分~5分どころに集中する異様な雰囲気のなか、大外ではなく馬群に突っ込む。一瞬の脚の差で勝ち馬には引き離されたが、ジワジワと差を詰めてきた。スピードの持続力を生かせた。

 4着のキストゥヘヴンは完全復活まであと僅か。好発から抑え切れない手応えで3番手へ。終始、抜群の行きっぷりで3角で早めに2番手へ。直線での追い比べでは見劣ったものの、中山のようなワンペースで乗り切れるコース向き。完全復活は近い。

ジョリーダンスは大外枠発走から中団の外め。終始、カワカミ、スイープの近くを進み、マークする形。だが、結果的に前が止まらない流れだったし、位置取りが致命的になった。直線で何度も手前を替えていたのも響いた。

ディアデラノビアは攻め強化で凄い気合い乗り。発馬直後から抑え切れない手応えで前へ。何とか鞍上がなだめて中団で控える。直線で逃げ馬の内めを突くも、今ひとつ伸び切れなかった。一瞬の爆発力を武器としているだけに直線の長い府中は乗り難しいということか。

 フサイチパンドラはマイルの上がり勝負では辛かった。やはり、中距離の上がりの掛かる展開がベスト。鞍上は「だいぶトモが良くなった」と。

 スイープトウショウはマイラーズCから中3週ながら時計を出し始めたのが、一週前。最終追いも満足にはできなかった。しかも、ゲートが先入れで係員にムチを数発打たれ尻っぱね。レース前にテンションが上がってしまった。坂上で右手前に替えて追い込むも、再び左手前に替えて失速。集中力もなかった。難しい。

断然人気を背負った実質無敗の女王カワカミプリンセス。帰厩当初は理想の馬体重から30㌔近くも減っていたとのこと。調教も本数こそこなしていたものの、ビシッと追われたのは1回だけ。状態が懸念されたが、下見どころでは筋肉が盛り上がり、グイグイ引っ張る抜群の気配。発馬で後手を踏み、仕掛けて中団へ。だが、そこで内から突進してきたアグネスラズベリと接触する不利が。外に弾き飛ばされてしまう。その後は後方でジッと我慢。直線で追い出しを開始するも案の定、反応が鈍い。外へ出すにもジョリーダンスが被せて出せない。残り1ハロン地点では立て直して大外へ持ち出すチグハグな競馬。これでは勝てない。全く良いところがなかった。マイルの速い流れに戸惑ったところもあるが、鞍上もテン乗りで戸惑っていた。

ヴィクトリアM(GI)最終結論

2007-05-12 20:27:10 | 最終結論
◎ ジョリーダンス
○ カワカミプリンセス

【ポイント】
アサヒライジングが楽にハナ。スローではなく、平均ペースで粘り込む競馬を得意とし、テンは緩みない流れ。それを外からデアリング、コスモ、ジョリーが追う形。人気のカワカミは中団から。それを直後でスイープが見る形。4角で前のアドマイヤが動き、連れてカワカミ、スイープも。差し脚を生かす後方勢に前々で粘るジョリーの争い。

【見解】
充実期に入ったジョリーダンスを本命視。前走の阪神牝馬S1着は湿った馬場でもしっかりとした脚取りで好位から脚をタメ、サウス、アサヒの作る速い流れを直線で突き抜けてV。瞬発力勝負では分が悪いが、平均ペースを好位から突き抜けるのを得意とし、府中マイルは2年前に内、外のコース差がありながらオレハマッテルゼと小差の2着があるほか、3戦2勝。アサヒライジングが引っ張る平均ペースの流れを好位から突き抜ける。時計勝負は望むところだ。最終追いは併走のビーナスラインを手応えで圧倒。脚力を十二分に見せ付けた。黒ずんだ芦毛の馬体は好調馬のそれ。6歳でもまだまだ若い。

実質無敗の女王カワカミプリンセスがここから始動する。帰厩当初は馬体がガレて本調子には程遠いデキだったそうだが、十分な間隔を持ち入念な乗り込みで万全ではないものの態勢は整った。問題はマイルへの適性。掛かり気味に行く気性で道中の追走には問題ないだろうが、エンジンの掛かりの遅いタイプ。距離があったほうが楽に違いない。長い直線で外めへ持ち出しギリギリ、カバーできるか。鞍上の乗り方ひとつ。