宝塚記念(GI)1週前追い切り診断はこちら
ツイッター始めました!
【ドリームジャーニー】
09年の年度代表馬が久々に輝きを取り戻す時がやってきた。前走の大阪杯9着の中間の調教は右前脚の状態を見ながらの調教で、坂路オンリー。これでは見た目の動きは良くても、攻め量が不足気味になり中身ができない。発馬後に古傷の球節を痛めるアクシデントもあった。前々走の有馬記念12着は、中間に脚部不安を発症。爪の状態を見ながらの調教で、コース追いができず坂路のみの調整だった。直前の動きはさすがのものだったが、中身はできていなかった。レースでは例によって一頭だけ行き脚がつかず。直後に少し気合い付けて出して行くと、下り坂で勢いが付き過ぎて最初の4角からハミを噛んでしまう。隣にいたダノンシャンティと接触したことで余計に馬が怒ってしまい、終始掛りっぱなしだった。3角まではインに潜り込んでいたが、そこからは前がびっしり壁になっていたために大外へ持ち出す強引な競馬。これでは脚は残せない。3走前のオールカマー2着は、GⅡとはいあえ59㌔を背負い楽な条件ではなかった。レースでは例によって発馬で行き脚がつかず。すぐに二の脚で後方馬群に取り付くと、道中はハミ噛んで少し力んでいた。勝負どころの3角から大外を通ってスーッと進出。直線は完歩の小さいピッチ走法で一旦は先頭に躍り出たが、坂上でも手前を替えずもうひとつのギアを発揮できず差し返されてしまった。オールカマー、宝塚記念、大阪杯はいずれも直線で右手前のまま手前を替えていない。一昨年の有馬記念ではゴール前で左手前に替えてブエナビスタを差し切っている。一瞬の切れ味は誰もが認めるが、出負けして勝負どころから大外ブン回しされ、ずっと右手前で走ってはさすがに末が鈍る。要は直線で左手前に替えられるかどうか。これができればブエナにも負けない決め手が発揮できる。今回はキャプテントゥーレが逃げ、アーネストリー、同厩舎のトーセンジョーダンが先行争いを構成し、流れは速くなり展開は向きそうだ。これに外差し馬場が加われば怖い。そして、何より強調できる点は中間の攻め過程である。これまでは右前脚を気遣い、距離の短い坂路オンリーの稽古が続いていた。GI馬だけに動きだけを見ればそれなりに格好は付けられるが、肝心の中身が伴わずに実践では息が保てなかった。それが今回は2週前、1週前とコースで長めから意欲的に追われてきたのである。明らかな攻め強化である。それ以外にも坂路で時計も出し、ビシビシやれている。1週前追い切りでは、池添騎手を背に抜群に回転の速いピッチ走法で、ゴール前で軽く気合いを付けられると、更に脚の回転が速くなる抜群の動きを披露。09年の有馬記念優勝時より遥かに今回のほうが動きは良い。最終追いもコースでやれれば戴冠がグッと近づく。
【ルーラーシップ】
前走の金鯱賞1着は、海外遠征明けで仕上がりはひと息だった。しかも、当日は大雨のなかでの一戦で不良馬場。大トビの同馬にとっては辛い条件であり、内回りコースも歓迎できる材料ではなかった。レースへ行ってはゲートのタイミングが合わず最後方からの競馬になるアクシデントが。トビが大きいため馬群に入れることができず1角からずっと外々を通る。向こう正面では馬群の大外を通って後方馬群に取り付く。3角からジワッと気合いを付けてスパートすると4角では先頭から5馬身のところまで迫る。だが、4角から直線にかけては外へ膨れ気味で鞍上が右手綱で修正しながらの誘導。その分、反応は今ひとつで先頭との差が広がってしまう。直線に入ってもグンとは反応せず。ラスト1ハロンから右手前に替えると、一完歩毎に大きな完歩で伸びる。ゴール前で勝ち馬が失速したところを差し切った。完全な負け材料が揃っていながら差し切ってしまった。強すぎる内容だった。3走前の日経新春杯1着は、発馬をスッと決めて大きなフットワークで好位の外めを取りに行く。2ハロン目から10秒8-10秒8と続く厳しい流れを道中は抑え切れない手応えで積極的に追走。ピッチが上がった3角の下り坂からジワッと仕掛けを開始し、4角で早くも先団に取り付く。直線の残り300㍍手前で先頭に立つと、雄大なフットワークからグングン加速。ラスト1ハロンを11秒8としっかり踏ん張って快勝した。厳しい流れを正攻法で押し切るのながら強い。負かした相手は後の天皇賞馬。強さは疑いようがない。暮れの有馬記念6着は、発馬後は無理することなく後方から3,4番手の外めを追走する。大きなフットワークで小回りの中山は走りづらそうだった。こういうタイプだけに馬込みの中に入れることができず、正面スタンド前で大外を通ってポディションを上げて行く。更に向こう正面に入ると一気にポディションを上げて行く。ここで連れて僚馬ヴィクトワールピサが反応してハナへ立ち、レースの流れが一気に速くなる。ここで一旦、ポディションを落として息を入れる。再び4角から大外を通ってスパートを開始させる。直線は伸びずバテずで入線した。道中からずっと大外を通らされ、息を入れられないい厳しい競馬だった。大きなフットワークで器用さに欠けるし、馬込みに入れないタイプ。常に大外を通らされるリスクは覚悟しなければならない。ハミにモタれて力む癖もある。気分良く行き過ぎて早めに先頭へ立つ競馬もできるが、前走のようにテンはじっくり構えてロングスパートする形が理想だろう。底力はこのメンバーではNo.1。前走で道悪はこなせることが分かったし、下を気にして慎重に運べる分、折り合いも付きやすい。
【ブエナビスタ】
前走のヴィクトリアM2着は、中間の攻め馬では気負って掛ったりしていたが、下見どころでは落ち着き十分だった。返し馬では前脚の出が硬く、推進力には欠けていた。レースでは、ゲートはすんなりと出たが、二の脚がつかず自然と後方からの競馬に。道中はすぐ前のアパパネをマークする形。4角から直線にかけて大外へ持ち出す。坂上で左ステッキが入った時に僅かに外へ膨らむ。そこで勝ち馬とは差を広げられる。一完歩毎に力強く差を詰め、末が鈍ったゴール前で急追したが僅かに届かなかった。久々の実践と距離不足のマイル戦を考えれば十分すぎる内容だった。暮れの有馬記念2着は、テンは無理に前へ行くことなく後方でじっくりと構える。鞍上は決め手に絶対の自信を持っていた。だが、向こう正面でもびっしりと馬込みに包まれる苦しい展開。インの経済コースを立ち回れたが、仕掛け遅れは否めなかった。3角手前でエイシンフラッシュとメイショウベルーガの間を割ってスパートを開始させる。三分三厘で馬込みをスムーズに捌いて4角では前のルーラーシップを目標に加速させる。スムーズに馬込みを捌けたのは瞬時に加速できる脚力があるからであり、ズブいタイプは馬込みでゴチャついて加速できない。直線でスッと左手前に替え、鞍上のステッキが唸る。坂上からグーンと凄まじい末脚で猛追する。坂を上がってからゴール前までの30㍍で更に伸びる。最後は差し切ったかに思えたが、首の上げ下げで僅かに屈した。内容的には勝ちに等しい内容だった。昨春から夏にかけては正攻法の競馬をしてきたが、やはりテンはじっくり後方で構えた方がいいタイプ。決め手の高さと瞬時の加速力は疑いようもない。前走から距離が600㍍伸びるのも勿論、歓迎材料だ。仕上がりひと息に映った前走からの上積みも相当見込める。内回りの阪神だけに、後方でじっくり構え過ぎて差し届かないケースが一番怖い。久々の美酒を初夏の仁川で。
【エイシンフラッシュ】
前走の天皇賞・春2着は、ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。前々走の大阪杯3着は、大外枠発走で好発を決めたものの、内の先行馬を行かせて後方馬群に潜り込む。向こう正面から一気にペースが速くなる流れで課題の折り合いはクリア。59㌔を背負っていることもあり、3角では大外から早めにスパートする形。4角手前で中団まで押し上げたところで一旦手綱を抑える。4角で再び加速し直線へ。大きなフットワークで一完毎歩毎に詰め寄ったが、2馬の脚色が勝り、競り負けた。休み明けで59㌔を背負っていたし、外々を通らされる苦しい形。格好はつけた。3走前の有馬記念7着は、発馬で手綱を引いて控える形に。これはジャパンCで出脚が良過ぎて押し出されるように先行したため。すぐにインに潜り込み、前に壁を作る。その甲斐あって道中は後方のインで折り合うことに成功。3角手前までは理想的に追走することができたが、そこは多頭数のトリッキーな中山コース。3角では馬込みに包まれ、手綱を引っ張るロスが。そこから再び加速したいが、前がびっしりと壁になって動けない。直線で左手綱を引いてブエナの外めに進路を求める。そこからジリジリと追い上げるも届かず。一瞬の切れ味では劣るため、三分三厘でスパートできないのは痛かった。また、鞍上によれば春のいい頃のデキにはなかったとのこと。前々走のジャパンC8着は、予定していた菊花賞を筋肉痛で回避し、順調さを欠いた中での参戦。レースでは、好発を決めるが逃げ馬不在で押し出されるように2番手へ。2角で4番手までポディションを抑えたが、道中はかなり行きたがっていた。なし崩しに脚を使わされた分、直線で追い出すとフワッと重心が高くなり、苦しくなって内へモタれてしまった。タメが利かなかった。GI初制覇となった東京優駿では、1番枠から好発を決めるも、直後から手綱をがっちりと抑えて後方に控える。歴史的な超スローということもあり、道中は引っ張り切りの物凄い手応え。4角までは馬込みで我慢させ、直線は馬場の5分どころへ。坂上でスパートを開始させると、大きなフットワークで一完歩毎に伸びる。長くいい脚を使って叩き合いを制した。以前はハミにモタれて掛るところがあったが、今季は落ち着いて走ることができている。精神状態が安定している。ダービーでは上がり3ハロン32秒台の脚を使って勝っているだけに瞬発力勝負のタイプに思えるが、実はエンジンの掛りが遅く上がりの掛る展開を理想とする。底力は血統からも折り紙付きで、テンからガンガン流れて外差しの生きる展開になれば。道悪は俄然有利になる。内回りコースだけに有馬記念のように馬込みに包まれてスパートが遅れては致命的。そこは安藤勝巳。テンは後方で折り合いに専念させ、三分三厘から大外ブン回しが有力。ダービーのように決まる可能性があるし、馬場と展開がマッチすれば。
【ローズキングダム】
前走の天皇賞・春11着は、レース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。前々走の日経新春杯3着は、攻め駆けするタイプとしては直前の坂路の動きが不満の残るもので、デキは今ひとつだったか。ポンと好発を決めると、馬任せで先団へ。1角からはインのトゥザグローリーをマークする形。流れの落ち着いた向こう正面中盤では引っ張り切りの痺れる手応え。3角で外から少しずつポディションを上げて行き、インのトゥザを被せに行こうとするが、相手がスッと動いたために閉じ込めることができず。4角では例によって内へモタれていたが、京都コースほどひどくはなかった。直線でも少し内へモタれて鞍上の武豊騎手が右ステッキで矯正しながらの追い。前のトゥザを目標に懸命に追い掛けるが、坂上で末が鈍り後ろのペルーサにも差されてしまった。デキが今ひとつで、59㌔を考えれば仕方ないか。3走前の日経新春杯3着は、菊花賞同様に内へモタれてしまった。道中は中団のインを理想的に追走できていたが、3角の下り坂で早くもステッキが抜かれて手応えが悪い。鞍上も右手綱を引きながらの誘導でスムーズに加速できない。直線を向いても同じような感じで、進路を何度も替える。しかも、内へモタれるのを矯正しながらの追い出し。これでは満足に伸びない。昨秋から馬体を大きく増やし、瞬発力に磨きがかかった。決め手ならここに入っても上位だ。だたし、右回りでは勝負所からどうしても内へモタれて減速してしまう。ここでギアチェンジが遅れて他馬と瞬発力で差を広げられてしまう。理想は府中の2400㍍。ウィリアムズの手腕で激変に期待したいところ。
【トゥザグローリー】
前走の天皇賞・春13着は、発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。前々走の日経賞1着は、1番枠から馬任せでジワッとした出方。緩い流れとインのコーナーワークを利して1角では4番手のインをキープする。向こう正面では抑えるのに苦労するほどの行きっぷりで、もの凄い手応え。3角でも制御するのに苦労していたが、外のミヤビが仕掛けて行ったことでレース流れが速くなった。ここで手綱をグッと抑えて脚をタメる。4角手前で少し手綱を緩めてインから進出開始。4角で先頭から1馬身圏内まで進出すると、直線入口で馬なりのまま先頭へ。レースのラップが10秒8のところだから、すごい脚力だ。直後に外のローズキングダムに迫られたが、坂上で左手前に替えるとグンともうひと伸び。最後は手綱を抑えてフィニッシュした。抜け出した時にフワッとするし、まだ頭の位置も高い。道中も行きたがるところがあり、気性はまだ若い。逆にいえば、それでこの強さ。3走前の京都記念1着は、8㌔増もそれほど太く見せず、厳寒期にしては毛ヅヤも良かった。レースでは好発からスーッと馬任せで3番手のインを取りに行く。逃げ馬不在でテンからゆったりした流れにも折り合いを欠くことなくスムーズな追走。終始、インの経済コースを通る。3角で外からシャドウが動いても慌てず。坂の頂上で少しづつ馬場の良い外めに進路を求めるも、スローで馬群がギュツと凝縮しているため出せない。4角から直線にかけても前5頭がびっしりと壁になってしまう。仕方なく直線は大外へ持ち出す。かなり仕掛けが遅れたが、そこからグングン加速。前のヒルノダムールをお交わすと、右手前に替えてもうひと伸び。追えばどこまでも伸びる感じで差し切った。昨秋のマイルCS7着で、マイルGIの激流を経験し急激に力を付けてきた印象がある。とにかく四肢の脚力が半端なく強い。レースが速くなる勝負どころの3,4角を馬なりでポディションを上げられるのが、その証拠だ。しかし、追ってから頭が高くなる分、ブエナ、ルーラーとの追い比べでは分が悪い。理想は早め先頭で押し切る競馬。阪神内回りは歓迎だろう。ここ数走はすべてスローペースでの競馬。今回はテンから締まった流れが予想される。テンからある程度脚を使った上での正攻法の競馬でどこまで粘れるか。テンに前へ行けないようだと辛い。天皇賞であれだけ激しい競馬をしただけに、仕上がりが重要になってくる。
【キャプテントゥーレ】
前走の金鯱賞2着は、発馬でノメったが、同型不在とコーナーワークを利して1角からマイペースの逃げ。他馬に競りかけらることなく向こう正面ではたっぷりと息を入れる。3角からジワッとペースを上げて後続を突き放しに掛り、4角では一気に後続を突き放す。直線入口では2番手のアーネストリーを突き放して手応えも十分。逃げ切り濃厚に思えたが、ラスト100㍍で僅かに末脚が鈍ったところを怪物候補に差されてしまった。前々走の大阪杯5着は、ピッチの利いた小刻みな走りでスーッとハナへ立つ。2角までは上手くペースを落とせたが、向こう正面からは外のトーホウアランが競りかけてきたこともあり、11秒4-11秒6-11秒6とかなり緊迫した流れになる。3角で2,3番手が早々と脱落したのは良かったが、それでも流れを緩めない。4角で再びピッチを上げ、後続を突き放す。直線入口は後続とかなり差があったが、さすがに坂上で末が鈍ってしまった。先行馬不利の流れのなか、よく頑張った。もう少し道中で息を入れられれば逃げ切っていた。スーッと先手を奪える中距離型のスピードを有しており、マイペースなら二の脚も使える。年齢を重ねて地力強化が窺える。前走は相手が悪く、2走前は展開が厳しく、3走前は世界一の勝ち馬が相手。今季3走はいずれも中身が濃い。攻め駆けするタイプだが、前走時の動きは今ひとつに映ったのでひと叩きした上積みも見込める。問題は展開だ。ハナを奪えるにしろ、池江厩舎4~5頭出しを考えるとペースメーカーを配する可能性もあるし、叩いたアーネストリーが前走以上に競りかけてくることも予想される。このあたりは残り期間にじっくりと考えたい。
【ナムラクレセント】
前走の天皇賞・春3着は、発馬で跳び上がる感じとなり、行き脚がつかず。直後に手綱をしごいてポディションを取りに行き、一周目の上り坂で中団のインまで取り付く。だが、元々が行きたがる気性であり、直後には下り坂が待っている。しかも、流れが落ち着いたことで案の定、掛ってしまう。幸い、インに潜り込んだことで前に壁ができていたのは良かった。一向にペースの上がらない流れに業を煮やした鞍上は、2角から向こう正面入口にかけて一気に仕掛けてハナ奪う積極策に打って出る。ここから一気にレースの流れが速くなる。三分三厘の下り坂を利して11秒7-11秒4とペースを上げると、4角で先行各馬が次々と脱落。直線入口では突き抜ける形となる。自身もかなり辛い流れであるのは間違いないが、鞍上の懸命のステッキに応えて粘りに粘る。さすがにラスト1ハロンは12秒8と脚が鈍って差されてしまったが、途中で動いた馬総崩れの流れで唯一、掲示板を確保したのは立派。強靭なスタミナを見せてくれた。前々走の阪神大賞典1着は、下見どころでは落ち着き十分で懸念された煩さを見せなかった。3番枠から少し気合いを付けて2番手を取りに行く。道中で少し行きたがる仕草は見せていたが、許容範囲で何とか我慢する。頭の高い走法だが、大きなフットワークでの追走。流れの緩んだ正面スタンド前から2角までも折り合いが付いた。向こう正面で逃げ馬がペースアップして引き離しに行くが、深追いすることなく我慢。3角でスパートを開始させると、4角では逃げ馬から1馬身後方まで迫る。しかし、手応えは決していいものではないし、外2頭のほうが勢いがある。直線を向いて飲み込まれるかと思ったが、鞍上の左ステッキが入るとグングン加速。力強いフットワークで後続を突き放してしまった。自ら勝ちに行く実に強い競馬だった。3走前の日経新春杯4着はハンデ戦で57㌔を背負わされた。発馬で行き脚がつかず手綱をしごいて先団へ。気合いを付けた分、道中は掛り気味になってしまう。1角で好位のインに潜り込む。流れが落ち着いた3角で馬群がギュッと凝縮。切れる脚がないだけに早めに動きたかったが、馬込みに包まれて動けず。4角で手綱では押して引いての誘導でなかなか加速できない。鞍上は思い切って馬群がバラける直線入口を想定し、逃げ馬のインに突っ込む。直線は馬場の悪い最内を通り、懸命に末脚を伸ばすが、勝ち馬の決め手に屈した形。緩急の激しい流れでよく頑張っているし、鞍上も手探りな部分もあった。追って頭が高い分、瞬発力勝負になると分が悪い。しかし、途中で動いた組が総崩れした天皇賞を、ゴール前まで先頭で粘ったように強靭なスタミナが持ち味。かなり長くいい脚が使える。年齢を重ねたことで精神的にも成長し、今なら折り合いの不安もないし鞍上も手の内に入れている。距離が2200㍍になるが、テンは中団で我慢してロングスパートできれば。雨は歓迎だ。怖い存在。
【トーセンジョーダン】
前走のAJCC1着は、厳寒期の坂路調教ということで太め残りが懸念されたが、当日はマイナス6㌔。下見どころではスッキリとした馬体で外めを気分よく周回していた。レースでは、出が今ひとつで少し気合いを付けて前へ。ゴール版前で態勢が落ち着き、前から5番手の位置で内のコスモファントムを見ながらの競馬。ミヤビランベリの作る緩い流れにも動じることなく折り合う。3角手前でペースアップする流れだったが、そこではジッと我慢。三分三厘から手綱をしごいてスパートすると、4角では先頭から2馬身差まで迫る。そこでバテたサンライズと接触し、直線入口では前が壁になっているために左手綱を引いて外めに進路を変える。そこで左手前に替えて猛追。楽なペースで行っているので先行勢もなかなか脚色が衰えなかったが、坂上の右ステッキでグンともうひと伸び。ゴール前で抜け出す時にフワッとしたが危なげなく差し切った。前半のペースが遅かっただけに勝ち時計は平凡だが、正攻法の強い競馬だった。前々走の有馬記念5着は、厳寒期で馬体が絞れずに苦労した。レースでは、逃げ馬不在と見て積極的にハナへ行く。うまくスローに落として2角まではたっぷりと息を入れる。向こう正面中盤からヴィクトワールピサが一気に捲って競りかけてくる。ここで引かずに応戦したことでペースが速くなる。三分三厘もびっしり競りかけれる展開で、直線も大きくバテずに粘ったが、最後は苦しくなった。強敵メンバー相手に積極てな競馬で見せ場を作った。底力があり、スッと先行できるスピードもあるが、強敵相手で久々では強気になれない。
【アーネストリー】
前走の金鯱賞3着は久々でもほぼ仕上がっていた。レースでは9番枠からスーッと先手を奪いにいく。2番手ですんなりと折り合い、息を入れる。3角でキャプテントゥーレがペースアップした際にズブさをみせて置かれてしまう。4角でも手応えが今ひとつ。直線に入り、手綱をしごいて追われうも前脚の出が今ひとつ。伸びずバテずといった感じで最後は差を縮めたが、完敗の3着だった。久々を考えれば及第点か。休養前の天皇賞3着は、発馬後にすぐに2角を迎える府中2000㍍。12番枠から先手を奪うにはかなりのリスクが伴う。鞍上は発馬後に馬にスイッチが入らないように慎重に誘導する。2角でできればもうひとつ前のポディションを取りたかったが、道中は5番手の馬込みから追走する。懸念された折り合い面もクリアし、道中はスムーズ。4角から直線にかけて外めに持ち出す。だが、鞍上が手綱をシェイクさせてハミを掛け直すも、反応が鈍い。結局、最後まで手前を替えないままジワジワとしか伸びなかった。結果は3着でも、上位2頭とはかなりの差を感じさせる内容だった。スパッと切れる脚がないだけに、府中の長い直線は厳しかった。3走前の札幌記念1着は、テンからドリームサンデーとロジユニヴァースが飛ばす縦長の緊迫した流れ。これを離れた3番手から追走する。流れが緩んだ3角で自然と前との差を縮め、4角で先頭に並びかける。そこからもうひと脚使い、押し切った。昨年のこのレースは3着。やや重で力の要る馬場で、テンから締まった厳しい流れ。これを道中は2番手から積極的に追走する。しかも、内回りコースで3角で他馬が早めに被せに来る苦しい展開。これを正攻法で勝ちにいく強気の競馬。一旦は直線で先頭に立つ見せ場を作ったが、坂上で脚が上がってしまった。先行馬総崩れの流れをブエナビスタから半馬身差に粘っているのだから高く評価できる。決して切れる脚はないが、ワンペースで底力のある走りが武器。力の要る馬場は苦にしないし、内回りの阪神コースなら持ち味を存分に発揮できる。条件はベスト。ひと叩きしてどこまで上積みが見込めるか。疲れが残りやすい体質だけに最終追いの動きには注目だ。前走は久々で鞍上も無理はしなかったが、今回は勝ち行く積極的な競馬で来るはずだ。ブエナとルーラーが後ろで牽制しあう展開なら怖い。
【ダノンヨーヨー】
前走の安田記念10着は例によって発馬で行き脚がつかず。直後に手綱をしごいて馬群に取り付いて行くが、終始手綱が動き通しでアクションに余裕がない。この手応えだけに馬込みに突っ込むことができず、直線は大外へ。だが、ここで内へモタれてしまいそれを矯正しながらの追い。これでは伸びることができず惨敗した。前々走のマイラーズC3着は、手綱をしごいて先団へ。2ハロン目から手綱をがっちりと抑えて好位の外めへ。スローの流れでも何とか折り合う。4角で少しコーナーワークにぎこちなさを見せ、直線へ。何度も手前を替え、坂下で右手前に替えると内へモタれる。鞍上は右ステッキと左手綱で矯正しながら必死に追うが、逃げ切られてしまった。デキも今ひとつだった。昨秋のマイルCS2着は、初めて経験するマイルGIの激流。発馬で行き脚がつかず道中は後方からの競馬。終始、手綱を押しながらの追走でアクションに余裕がない。4角でもまだ最後方。直線を向いて大外ではなく、馬群のバラけた真ん中へ突っ込む。スミヨンの迫力追いでモタれることなく力強く伸びる。最後は首の上げ下げで僅かに屈した。トモが非力な分、どうしても発馬で行き脚がつかないし、追ってモタれる癖。頭も高い。距離が600㍍伸びる分、追走が楽になって脚がタメられるかもしれないが、このメンバー相手でモタれて頭が高くては厳しい。ウィリアムズが2戦目の騎乗で策は打ってくるはずだし、最終追いでモタれずに走ることができるかどうかに注目。
ツイッター始めました!
【ドリームジャーニー】
09年の年度代表馬が久々に輝きを取り戻す時がやってきた。前走の大阪杯9着の中間の調教は右前脚の状態を見ながらの調教で、坂路オンリー。これでは見た目の動きは良くても、攻め量が不足気味になり中身ができない。発馬後に古傷の球節を痛めるアクシデントもあった。前々走の有馬記念12着は、中間に脚部不安を発症。爪の状態を見ながらの調教で、コース追いができず坂路のみの調整だった。直前の動きはさすがのものだったが、中身はできていなかった。レースでは例によって一頭だけ行き脚がつかず。直後に少し気合い付けて出して行くと、下り坂で勢いが付き過ぎて最初の4角からハミを噛んでしまう。隣にいたダノンシャンティと接触したことで余計に馬が怒ってしまい、終始掛りっぱなしだった。3角まではインに潜り込んでいたが、そこからは前がびっしり壁になっていたために大外へ持ち出す強引な競馬。これでは脚は残せない。3走前のオールカマー2着は、GⅡとはいあえ59㌔を背負い楽な条件ではなかった。レースでは例によって発馬で行き脚がつかず。すぐに二の脚で後方馬群に取り付くと、道中はハミ噛んで少し力んでいた。勝負どころの3角から大外を通ってスーッと進出。直線は完歩の小さいピッチ走法で一旦は先頭に躍り出たが、坂上でも手前を替えずもうひとつのギアを発揮できず差し返されてしまった。オールカマー、宝塚記念、大阪杯はいずれも直線で右手前のまま手前を替えていない。一昨年の有馬記念ではゴール前で左手前に替えてブエナビスタを差し切っている。一瞬の切れ味は誰もが認めるが、出負けして勝負どころから大外ブン回しされ、ずっと右手前で走ってはさすがに末が鈍る。要は直線で左手前に替えられるかどうか。これができればブエナにも負けない決め手が発揮できる。今回はキャプテントゥーレが逃げ、アーネストリー、同厩舎のトーセンジョーダンが先行争いを構成し、流れは速くなり展開は向きそうだ。これに外差し馬場が加われば怖い。そして、何より強調できる点は中間の攻め過程である。これまでは右前脚を気遣い、距離の短い坂路オンリーの稽古が続いていた。GI馬だけに動きだけを見ればそれなりに格好は付けられるが、肝心の中身が伴わずに実践では息が保てなかった。それが今回は2週前、1週前とコースで長めから意欲的に追われてきたのである。明らかな攻め強化である。それ以外にも坂路で時計も出し、ビシビシやれている。1週前追い切りでは、池添騎手を背に抜群に回転の速いピッチ走法で、ゴール前で軽く気合いを付けられると、更に脚の回転が速くなる抜群の動きを披露。09年の有馬記念優勝時より遥かに今回のほうが動きは良い。最終追いもコースでやれれば戴冠がグッと近づく。
【ルーラーシップ】
前走の金鯱賞1着は、海外遠征明けで仕上がりはひと息だった。しかも、当日は大雨のなかでの一戦で不良馬場。大トビの同馬にとっては辛い条件であり、内回りコースも歓迎できる材料ではなかった。レースへ行ってはゲートのタイミングが合わず最後方からの競馬になるアクシデントが。トビが大きいため馬群に入れることができず1角からずっと外々を通る。向こう正面では馬群の大外を通って後方馬群に取り付く。3角からジワッと気合いを付けてスパートすると4角では先頭から5馬身のところまで迫る。だが、4角から直線にかけては外へ膨れ気味で鞍上が右手綱で修正しながらの誘導。その分、反応は今ひとつで先頭との差が広がってしまう。直線に入ってもグンとは反応せず。ラスト1ハロンから右手前に替えると、一完歩毎に大きな完歩で伸びる。ゴール前で勝ち馬が失速したところを差し切った。完全な負け材料が揃っていながら差し切ってしまった。強すぎる内容だった。3走前の日経新春杯1着は、発馬をスッと決めて大きなフットワークで好位の外めを取りに行く。2ハロン目から10秒8-10秒8と続く厳しい流れを道中は抑え切れない手応えで積極的に追走。ピッチが上がった3角の下り坂からジワッと仕掛けを開始し、4角で早くも先団に取り付く。直線の残り300㍍手前で先頭に立つと、雄大なフットワークからグングン加速。ラスト1ハロンを11秒8としっかり踏ん張って快勝した。厳しい流れを正攻法で押し切るのながら強い。負かした相手は後の天皇賞馬。強さは疑いようがない。暮れの有馬記念6着は、発馬後は無理することなく後方から3,4番手の外めを追走する。大きなフットワークで小回りの中山は走りづらそうだった。こういうタイプだけに馬込みの中に入れることができず、正面スタンド前で大外を通ってポディションを上げて行く。更に向こう正面に入ると一気にポディションを上げて行く。ここで連れて僚馬ヴィクトワールピサが反応してハナへ立ち、レースの流れが一気に速くなる。ここで一旦、ポディションを落として息を入れる。再び4角から大外を通ってスパートを開始させる。直線は伸びずバテずで入線した。道中からずっと大外を通らされ、息を入れられないい厳しい競馬だった。大きなフットワークで器用さに欠けるし、馬込みに入れないタイプ。常に大外を通らされるリスクは覚悟しなければならない。ハミにモタれて力む癖もある。気分良く行き過ぎて早めに先頭へ立つ競馬もできるが、前走のようにテンはじっくり構えてロングスパートする形が理想だろう。底力はこのメンバーではNo.1。前走で道悪はこなせることが分かったし、下を気にして慎重に運べる分、折り合いも付きやすい。
【ブエナビスタ】
前走のヴィクトリアM2着は、中間の攻め馬では気負って掛ったりしていたが、下見どころでは落ち着き十分だった。返し馬では前脚の出が硬く、推進力には欠けていた。レースでは、ゲートはすんなりと出たが、二の脚がつかず自然と後方からの競馬に。道中はすぐ前のアパパネをマークする形。4角から直線にかけて大外へ持ち出す。坂上で左ステッキが入った時に僅かに外へ膨らむ。そこで勝ち馬とは差を広げられる。一完歩毎に力強く差を詰め、末が鈍ったゴール前で急追したが僅かに届かなかった。久々の実践と距離不足のマイル戦を考えれば十分すぎる内容だった。暮れの有馬記念2着は、テンは無理に前へ行くことなく後方でじっくりと構える。鞍上は決め手に絶対の自信を持っていた。だが、向こう正面でもびっしりと馬込みに包まれる苦しい展開。インの経済コースを立ち回れたが、仕掛け遅れは否めなかった。3角手前でエイシンフラッシュとメイショウベルーガの間を割ってスパートを開始させる。三分三厘で馬込みをスムーズに捌いて4角では前のルーラーシップを目標に加速させる。スムーズに馬込みを捌けたのは瞬時に加速できる脚力があるからであり、ズブいタイプは馬込みでゴチャついて加速できない。直線でスッと左手前に替え、鞍上のステッキが唸る。坂上からグーンと凄まじい末脚で猛追する。坂を上がってからゴール前までの30㍍で更に伸びる。最後は差し切ったかに思えたが、首の上げ下げで僅かに屈した。内容的には勝ちに等しい内容だった。昨春から夏にかけては正攻法の競馬をしてきたが、やはりテンはじっくり後方で構えた方がいいタイプ。決め手の高さと瞬時の加速力は疑いようもない。前走から距離が600㍍伸びるのも勿論、歓迎材料だ。仕上がりひと息に映った前走からの上積みも相当見込める。内回りの阪神だけに、後方でじっくり構え過ぎて差し届かないケースが一番怖い。久々の美酒を初夏の仁川で。
【エイシンフラッシュ】
前走の天皇賞・春2着は、ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。前々走の大阪杯3着は、大外枠発走で好発を決めたものの、内の先行馬を行かせて後方馬群に潜り込む。向こう正面から一気にペースが速くなる流れで課題の折り合いはクリア。59㌔を背負っていることもあり、3角では大外から早めにスパートする形。4角手前で中団まで押し上げたところで一旦手綱を抑える。4角で再び加速し直線へ。大きなフットワークで一完毎歩毎に詰め寄ったが、2馬の脚色が勝り、競り負けた。休み明けで59㌔を背負っていたし、外々を通らされる苦しい形。格好はつけた。3走前の有馬記念7着は、発馬で手綱を引いて控える形に。これはジャパンCで出脚が良過ぎて押し出されるように先行したため。すぐにインに潜り込み、前に壁を作る。その甲斐あって道中は後方のインで折り合うことに成功。3角手前までは理想的に追走することができたが、そこは多頭数のトリッキーな中山コース。3角では馬込みに包まれ、手綱を引っ張るロスが。そこから再び加速したいが、前がびっしりと壁になって動けない。直線で左手綱を引いてブエナの外めに進路を求める。そこからジリジリと追い上げるも届かず。一瞬の切れ味では劣るため、三分三厘でスパートできないのは痛かった。また、鞍上によれば春のいい頃のデキにはなかったとのこと。前々走のジャパンC8着は、予定していた菊花賞を筋肉痛で回避し、順調さを欠いた中での参戦。レースでは、好発を決めるが逃げ馬不在で押し出されるように2番手へ。2角で4番手までポディションを抑えたが、道中はかなり行きたがっていた。なし崩しに脚を使わされた分、直線で追い出すとフワッと重心が高くなり、苦しくなって内へモタれてしまった。タメが利かなかった。GI初制覇となった東京優駿では、1番枠から好発を決めるも、直後から手綱をがっちりと抑えて後方に控える。歴史的な超スローということもあり、道中は引っ張り切りの物凄い手応え。4角までは馬込みで我慢させ、直線は馬場の5分どころへ。坂上でスパートを開始させると、大きなフットワークで一完歩毎に伸びる。長くいい脚を使って叩き合いを制した。以前はハミにモタれて掛るところがあったが、今季は落ち着いて走ることができている。精神状態が安定している。ダービーでは上がり3ハロン32秒台の脚を使って勝っているだけに瞬発力勝負のタイプに思えるが、実はエンジンの掛りが遅く上がりの掛る展開を理想とする。底力は血統からも折り紙付きで、テンからガンガン流れて外差しの生きる展開になれば。道悪は俄然有利になる。内回りコースだけに有馬記念のように馬込みに包まれてスパートが遅れては致命的。そこは安藤勝巳。テンは後方で折り合いに専念させ、三分三厘から大外ブン回しが有力。ダービーのように決まる可能性があるし、馬場と展開がマッチすれば。
【ローズキングダム】
前走の天皇賞・春11着は、レース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。前々走の日経新春杯3着は、攻め駆けするタイプとしては直前の坂路の動きが不満の残るもので、デキは今ひとつだったか。ポンと好発を決めると、馬任せで先団へ。1角からはインのトゥザグローリーをマークする形。流れの落ち着いた向こう正面中盤では引っ張り切りの痺れる手応え。3角で外から少しずつポディションを上げて行き、インのトゥザを被せに行こうとするが、相手がスッと動いたために閉じ込めることができず。4角では例によって内へモタれていたが、京都コースほどひどくはなかった。直線でも少し内へモタれて鞍上の武豊騎手が右ステッキで矯正しながらの追い。前のトゥザを目標に懸命に追い掛けるが、坂上で末が鈍り後ろのペルーサにも差されてしまった。デキが今ひとつで、59㌔を考えれば仕方ないか。3走前の日経新春杯3着は、菊花賞同様に内へモタれてしまった。道中は中団のインを理想的に追走できていたが、3角の下り坂で早くもステッキが抜かれて手応えが悪い。鞍上も右手綱を引きながらの誘導でスムーズに加速できない。直線を向いても同じような感じで、進路を何度も替える。しかも、内へモタれるのを矯正しながらの追い出し。これでは満足に伸びない。昨秋から馬体を大きく増やし、瞬発力に磨きがかかった。決め手ならここに入っても上位だ。だたし、右回りでは勝負所からどうしても内へモタれて減速してしまう。ここでギアチェンジが遅れて他馬と瞬発力で差を広げられてしまう。理想は府中の2400㍍。ウィリアムズの手腕で激変に期待したいところ。
【トゥザグローリー】
前走の天皇賞・春13着は、発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。前々走の日経賞1着は、1番枠から馬任せでジワッとした出方。緩い流れとインのコーナーワークを利して1角では4番手のインをキープする。向こう正面では抑えるのに苦労するほどの行きっぷりで、もの凄い手応え。3角でも制御するのに苦労していたが、外のミヤビが仕掛けて行ったことでレース流れが速くなった。ここで手綱をグッと抑えて脚をタメる。4角手前で少し手綱を緩めてインから進出開始。4角で先頭から1馬身圏内まで進出すると、直線入口で馬なりのまま先頭へ。レースのラップが10秒8のところだから、すごい脚力だ。直後に外のローズキングダムに迫られたが、坂上で左手前に替えるとグンともうひと伸び。最後は手綱を抑えてフィニッシュした。抜け出した時にフワッとするし、まだ頭の位置も高い。道中も行きたがるところがあり、気性はまだ若い。逆にいえば、それでこの強さ。3走前の京都記念1着は、8㌔増もそれほど太く見せず、厳寒期にしては毛ヅヤも良かった。レースでは好発からスーッと馬任せで3番手のインを取りに行く。逃げ馬不在でテンからゆったりした流れにも折り合いを欠くことなくスムーズな追走。終始、インの経済コースを通る。3角で外からシャドウが動いても慌てず。坂の頂上で少しづつ馬場の良い外めに進路を求めるも、スローで馬群がギュツと凝縮しているため出せない。4角から直線にかけても前5頭がびっしりと壁になってしまう。仕方なく直線は大外へ持ち出す。かなり仕掛けが遅れたが、そこからグングン加速。前のヒルノダムールをお交わすと、右手前に替えてもうひと伸び。追えばどこまでも伸びる感じで差し切った。昨秋のマイルCS7着で、マイルGIの激流を経験し急激に力を付けてきた印象がある。とにかく四肢の脚力が半端なく強い。レースが速くなる勝負どころの3,4角を馬なりでポディションを上げられるのが、その証拠だ。しかし、追ってから頭が高くなる分、ブエナ、ルーラーとの追い比べでは分が悪い。理想は早め先頭で押し切る競馬。阪神内回りは歓迎だろう。ここ数走はすべてスローペースでの競馬。今回はテンから締まった流れが予想される。テンからある程度脚を使った上での正攻法の競馬でどこまで粘れるか。テンに前へ行けないようだと辛い。天皇賞であれだけ激しい競馬をしただけに、仕上がりが重要になってくる。
【キャプテントゥーレ】
前走の金鯱賞2着は、発馬でノメったが、同型不在とコーナーワークを利して1角からマイペースの逃げ。他馬に競りかけらることなく向こう正面ではたっぷりと息を入れる。3角からジワッとペースを上げて後続を突き放しに掛り、4角では一気に後続を突き放す。直線入口では2番手のアーネストリーを突き放して手応えも十分。逃げ切り濃厚に思えたが、ラスト100㍍で僅かに末脚が鈍ったところを怪物候補に差されてしまった。前々走の大阪杯5着は、ピッチの利いた小刻みな走りでスーッとハナへ立つ。2角までは上手くペースを落とせたが、向こう正面からは外のトーホウアランが競りかけてきたこともあり、11秒4-11秒6-11秒6とかなり緊迫した流れになる。3角で2,3番手が早々と脱落したのは良かったが、それでも流れを緩めない。4角で再びピッチを上げ、後続を突き放す。直線入口は後続とかなり差があったが、さすがに坂上で末が鈍ってしまった。先行馬不利の流れのなか、よく頑張った。もう少し道中で息を入れられれば逃げ切っていた。スーッと先手を奪える中距離型のスピードを有しており、マイペースなら二の脚も使える。年齢を重ねて地力強化が窺える。前走は相手が悪く、2走前は展開が厳しく、3走前は世界一の勝ち馬が相手。今季3走はいずれも中身が濃い。攻め駆けするタイプだが、前走時の動きは今ひとつに映ったのでひと叩きした上積みも見込める。問題は展開だ。ハナを奪えるにしろ、池江厩舎4~5頭出しを考えるとペースメーカーを配する可能性もあるし、叩いたアーネストリーが前走以上に競りかけてくることも予想される。このあたりは残り期間にじっくりと考えたい。
【ナムラクレセント】
前走の天皇賞・春3着は、発馬で跳び上がる感じとなり、行き脚がつかず。直後に手綱をしごいてポディションを取りに行き、一周目の上り坂で中団のインまで取り付く。だが、元々が行きたがる気性であり、直後には下り坂が待っている。しかも、流れが落ち着いたことで案の定、掛ってしまう。幸い、インに潜り込んだことで前に壁ができていたのは良かった。一向にペースの上がらない流れに業を煮やした鞍上は、2角から向こう正面入口にかけて一気に仕掛けてハナ奪う積極策に打って出る。ここから一気にレースの流れが速くなる。三分三厘の下り坂を利して11秒7-11秒4とペースを上げると、4角で先行各馬が次々と脱落。直線入口では突き抜ける形となる。自身もかなり辛い流れであるのは間違いないが、鞍上の懸命のステッキに応えて粘りに粘る。さすがにラスト1ハロンは12秒8と脚が鈍って差されてしまったが、途中で動いた馬総崩れの流れで唯一、掲示板を確保したのは立派。強靭なスタミナを見せてくれた。前々走の阪神大賞典1着は、下見どころでは落ち着き十分で懸念された煩さを見せなかった。3番枠から少し気合いを付けて2番手を取りに行く。道中で少し行きたがる仕草は見せていたが、許容範囲で何とか我慢する。頭の高い走法だが、大きなフットワークでの追走。流れの緩んだ正面スタンド前から2角までも折り合いが付いた。向こう正面で逃げ馬がペースアップして引き離しに行くが、深追いすることなく我慢。3角でスパートを開始させると、4角では逃げ馬から1馬身後方まで迫る。しかし、手応えは決していいものではないし、外2頭のほうが勢いがある。直線を向いて飲み込まれるかと思ったが、鞍上の左ステッキが入るとグングン加速。力強いフットワークで後続を突き放してしまった。自ら勝ちに行く実に強い競馬だった。3走前の日経新春杯4着はハンデ戦で57㌔を背負わされた。発馬で行き脚がつかず手綱をしごいて先団へ。気合いを付けた分、道中は掛り気味になってしまう。1角で好位のインに潜り込む。流れが落ち着いた3角で馬群がギュッと凝縮。切れる脚がないだけに早めに動きたかったが、馬込みに包まれて動けず。4角で手綱では押して引いての誘導でなかなか加速できない。鞍上は思い切って馬群がバラける直線入口を想定し、逃げ馬のインに突っ込む。直線は馬場の悪い最内を通り、懸命に末脚を伸ばすが、勝ち馬の決め手に屈した形。緩急の激しい流れでよく頑張っているし、鞍上も手探りな部分もあった。追って頭が高い分、瞬発力勝負になると分が悪い。しかし、途中で動いた組が総崩れした天皇賞を、ゴール前まで先頭で粘ったように強靭なスタミナが持ち味。かなり長くいい脚が使える。年齢を重ねたことで精神的にも成長し、今なら折り合いの不安もないし鞍上も手の内に入れている。距離が2200㍍になるが、テンは中団で我慢してロングスパートできれば。雨は歓迎だ。怖い存在。
【トーセンジョーダン】
前走のAJCC1着は、厳寒期の坂路調教ということで太め残りが懸念されたが、当日はマイナス6㌔。下見どころではスッキリとした馬体で外めを気分よく周回していた。レースでは、出が今ひとつで少し気合いを付けて前へ。ゴール版前で態勢が落ち着き、前から5番手の位置で内のコスモファントムを見ながらの競馬。ミヤビランベリの作る緩い流れにも動じることなく折り合う。3角手前でペースアップする流れだったが、そこではジッと我慢。三分三厘から手綱をしごいてスパートすると、4角では先頭から2馬身差まで迫る。そこでバテたサンライズと接触し、直線入口では前が壁になっているために左手綱を引いて外めに進路を変える。そこで左手前に替えて猛追。楽なペースで行っているので先行勢もなかなか脚色が衰えなかったが、坂上の右ステッキでグンともうひと伸び。ゴール前で抜け出す時にフワッとしたが危なげなく差し切った。前半のペースが遅かっただけに勝ち時計は平凡だが、正攻法の強い競馬だった。前々走の有馬記念5着は、厳寒期で馬体が絞れずに苦労した。レースでは、逃げ馬不在と見て積極的にハナへ行く。うまくスローに落として2角まではたっぷりと息を入れる。向こう正面中盤からヴィクトワールピサが一気に捲って競りかけてくる。ここで引かずに応戦したことでペースが速くなる。三分三厘もびっしり競りかけれる展開で、直線も大きくバテずに粘ったが、最後は苦しくなった。強敵メンバー相手に積極てな競馬で見せ場を作った。底力があり、スッと先行できるスピードもあるが、強敵相手で久々では強気になれない。
【アーネストリー】
前走の金鯱賞3着は久々でもほぼ仕上がっていた。レースでは9番枠からスーッと先手を奪いにいく。2番手ですんなりと折り合い、息を入れる。3角でキャプテントゥーレがペースアップした際にズブさをみせて置かれてしまう。4角でも手応えが今ひとつ。直線に入り、手綱をしごいて追われうも前脚の出が今ひとつ。伸びずバテずといった感じで最後は差を縮めたが、完敗の3着だった。久々を考えれば及第点か。休養前の天皇賞3着は、発馬後にすぐに2角を迎える府中2000㍍。12番枠から先手を奪うにはかなりのリスクが伴う。鞍上は発馬後に馬にスイッチが入らないように慎重に誘導する。2角でできればもうひとつ前のポディションを取りたかったが、道中は5番手の馬込みから追走する。懸念された折り合い面もクリアし、道中はスムーズ。4角から直線にかけて外めに持ち出す。だが、鞍上が手綱をシェイクさせてハミを掛け直すも、反応が鈍い。結局、最後まで手前を替えないままジワジワとしか伸びなかった。結果は3着でも、上位2頭とはかなりの差を感じさせる内容だった。スパッと切れる脚がないだけに、府中の長い直線は厳しかった。3走前の札幌記念1着は、テンからドリームサンデーとロジユニヴァースが飛ばす縦長の緊迫した流れ。これを離れた3番手から追走する。流れが緩んだ3角で自然と前との差を縮め、4角で先頭に並びかける。そこからもうひと脚使い、押し切った。昨年のこのレースは3着。やや重で力の要る馬場で、テンから締まった厳しい流れ。これを道中は2番手から積極的に追走する。しかも、内回りコースで3角で他馬が早めに被せに来る苦しい展開。これを正攻法で勝ちにいく強気の競馬。一旦は直線で先頭に立つ見せ場を作ったが、坂上で脚が上がってしまった。先行馬総崩れの流れをブエナビスタから半馬身差に粘っているのだから高く評価できる。決して切れる脚はないが、ワンペースで底力のある走りが武器。力の要る馬場は苦にしないし、内回りの阪神コースなら持ち味を存分に発揮できる。条件はベスト。ひと叩きしてどこまで上積みが見込めるか。疲れが残りやすい体質だけに最終追いの動きには注目だ。前走は久々で鞍上も無理はしなかったが、今回は勝ち行く積極的な競馬で来るはずだ。ブエナとルーラーが後ろで牽制しあう展開なら怖い。
【ダノンヨーヨー】
前走の安田記念10着は例によって発馬で行き脚がつかず。直後に手綱をしごいて馬群に取り付いて行くが、終始手綱が動き通しでアクションに余裕がない。この手応えだけに馬込みに突っ込むことができず、直線は大外へ。だが、ここで内へモタれてしまいそれを矯正しながらの追い。これでは伸びることができず惨敗した。前々走のマイラーズC3着は、手綱をしごいて先団へ。2ハロン目から手綱をがっちりと抑えて好位の外めへ。スローの流れでも何とか折り合う。4角で少しコーナーワークにぎこちなさを見せ、直線へ。何度も手前を替え、坂下で右手前に替えると内へモタれる。鞍上は右ステッキと左手綱で矯正しながら必死に追うが、逃げ切られてしまった。デキも今ひとつだった。昨秋のマイルCS2着は、初めて経験するマイルGIの激流。発馬で行き脚がつかず道中は後方からの競馬。終始、手綱を押しながらの追走でアクションに余裕がない。4角でもまだ最後方。直線を向いて大外ではなく、馬群のバラけた真ん中へ突っ込む。スミヨンの迫力追いでモタれることなく力強く伸びる。最後は首の上げ下げで僅かに屈した。トモが非力な分、どうしても発馬で行き脚がつかないし、追ってモタれる癖。頭も高い。距離が600㍍伸びる分、追走が楽になって脚がタメられるかもしれないが、このメンバー相手でモタれて頭が高くては厳しい。ウィリアムズが2戦目の騎乗で策は打ってくるはずだし、最終追いでモタれずに走ることができるかどうかに注目。