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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

ライドシェアってまともな国では禁止・規制されているのになんでいまさら?ライドシェア推進派の脳味噌って2016年頃で止まってるやんか😢

2023-09-01 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 「菅前首相、ライドシェア解禁に意欲」って発言があって、急に、今さらながら「ライドシェア解禁」が話題になっているが…。
すでに世界中のまともな国ではライドシェアって禁止・規制されていて、なんで今さらそんなものを日本に導入しろなんて言ってんのか意味が分からん。
「タクシーが足りない」、だからライドシェアってロジックって、例えば医者が足りないから医大生に手術や診察をさせろと、弁護士が足らんから自分のような社労士や、司法書士・行政処理など法律に関係する弁護士資格がない士業に、専門外の裁判や法律行為で弁護をさせろとかというのと同じだと思うが…。
責任が取れないのよ。
ウーバーイーツみたいなフードデリバリーでは運ぶものが食品とかなんだが、ライドシェアの場合は運ぶものが「人の命」なんだが…。
しかも、今、「ライドシェアだーっ❕」って言っている菅義偉前首相・河野太郎・橋下徹・ホリエモン、そして日本をぶっ潰した張本人の竹中平蔵の頭の中って、どうも2016年ごろで停止しているようで…。

 全自交労連が2023​年8月16~24日にツイッターで「ライドシェアのここが駄目①~⑦」ってのを投稿しているので、ここで紹介しておく。

①「危ない」
②「低所得化の負のスパイラル」
③「ブラックボックス」
④「安定しない供給」
⑤「安定しない価格」
⑥「運営会社に遵法意識がない」
⑦「得をするのは誰か」


①「危ない」
 【1】輸送回数 日本タク=約5.6億回 米ライドシェア企業=約6.5億回【2】交通事故死者数 日本タク16人 米ライドシェア企業42人【3】身体的暴行による死者数 日本タク0人、米ライドシェア11人【4】性的暴行件数 日本タク19件、米ライドシェア998件!
日本のタクシーとアメリカの主要ライドシェア企業との比較(2020年のデータ)。これは国会で政府が答弁したデータです。
ソース:第211回通常国会 衆議院国土交通委員会 2023年3月22日


 よく「ライドシェアは相互評価だからタクシーより安心」っていう人がいますが、事実ではありません。アメリカのテレビでは「ライドシェアに乗ってトラブルに会った人は是非、わが社に」という法律事務所のCMがたくさん流れているそうです。ドライバーの身元照会がずさんなためです。
公共交通を担うプロの職業ドライバーと、バイト感覚の素人ドライバーでは技術も心構えも背負う責任の重さも違います。今度触れますが、その相互評価のアルゴリズムもブラックボックスで全く透明性がないんです。
そして、日本のタクシーには世界のタクシーの中でも、トップレベルの安全性と品質がありますが、それは会社にドライバーの体調を含めた運行管理、車両管理、保険加入などが法律で厳格に義務付けられているから。ライドシェアに同じことはできません。
いま日本でコロナの影響が薄れ、インバウンドが急増し「タクシーがつかまりにくい」という利用者の声が高まっていることは、タクシー業界の労使として真摯に受け止めて対応しなければなりません。でもその解決策はライドシェア解禁じゃない。
タクシードライバーの低賃金を改善し、公共交通を支える労働の価値に相応しいだけの賃金を確保することこそ最優先。そしてタクシーを進化させていくことが必要です。浅い考えでライドシェアを導入すれば、どんな弊害が起きるのか、投稿していきたいと思います。
全自交ツイッター 2023.08.16


②「低所得化の負のスパイラル」
 ライドシェア運転者は、個人事業主で社会保険も最低賃金も関係なし▽ガソリン代も保険も運転者の自腹▽海外の実例で、10年前は手数料20%⇒最近では売り上げの50~60%が手数料として引かれる。
こんな条件で働かされるのもイヤだし、こんな条件で働いてる人に命を預けるのもイヤでしょ。プラットフォーマーが手数料を上げてきても、労使交渉もできないんですよ。「個人事業主で労働者じゃないから」って。
どの国も最初だけはライドシェアドライバーの収入は良いんです。でもすぐに搾取されるだけの存在になります。例えば、2014年ニューヨークでタクシーからウーバードライバーに転身した人はこう語りました。
最初の1年は週に1500~2000ドル稼げたが、2年目からウーバー側の運賃値下げや手数料値上げ、ドライバーの増加によって収入が激減。2年間で最終的に運賃は35%引き下げられた。またウーバーは売上税をドライバーに払う金から違法に控除していた。
インドでは2015年の収入が2018年には4分の1になりました。日本のUberEatsも同じでしたよね
アメリカには約90万人のウーバーのドライバーがいるそうですが、毎月5万人ほどが入れ替わるそうです。それだけ定着率が低い。ちなみに日本のタクシー乗務員の平均勤続年数は10.8年。全自交組合員に限れば12.8年になります。
そもそも既得権益なんて攻撃されるけど、日本のタクシー乗務員の収入は低すぎるんです。年収は全産業平均と比べて135万円低く、男性の全産業平均と比べれば191万円安い。これのどこが既得権益なのか。
この現状でライドシェアが解禁されたらどうなるか。タクシーの運転者の賃金もライドシェアの運転者の賃金もドンドン下がる。時間当たりの収入が下がれば、働く時間を長くするしかありません。低賃金・過労・睡眠不足で運転する人の車にあなたは命を預けることができますか。


 実際に、ライドシェアの導入により、生活苦となって自殺したタクシードライバーはニューヨークで8人、台湾で12人、オーストラリアで4人、世界中で相次いでいます。人の移動する権利を守るタクシードライバーの仕事の価値はそんなに安いものなのでしょうか。
世界中でタクシーの台数と運賃には国の規制がかかっています。無制限に台数を増やし、市場原理だけの価格競争を導入すれば、過当競争を招いて、運転者の健康や利用者の命、交通の安全が損なわれることがわかっているからです。ライドシェアで車を増やせばいいというのは短絡的すぎます。
全自交ツイッター 2023.08.17


③「ブラックボックス」
 ライドシェアの問題点の一つに透明性のなさがあります。UberやLyftなどのプラットフォーマーは運賃や報酬を決めるアルゴリズムをブラックボックスにしており、公平性・透明性が担保されません。
また、同じ時間に同じ出発地から同じ目的地まで利用しても、よく使う客と初めての客で運賃が違う(初めての客に安くする)ことも。天気や需要で運賃を変動させるだけでなく、個人情報まで紐づけて運賃を決めるダイナミックプライシングを行っているようですが、詳細は非公開。
乗客に示した運賃とドライバーに示した運賃が違うこともあるそうです。イギリスでは、運賃や報酬の不透明性・不正を検証するため、ドライバーがスマホを2台使って、利用者側に提示された運賃を調べると、それが「不正行為」としてアカウント停止になった事例があります。
ひげを剃っただけで顔認証ができず一方的にアカウント停止された事例が報告されています。抗議しても門前払いです。一方的なアカウント停止=解雇です。こんなに簡単に解雇することが許されていいのでしょうか。
今年カリフォルニア州のライドシェアドライバー810人に行われたアンケートでは、①8割が専業ドライバー②3分の2の人が、一時的または永久のアカウント停止を経験③アカ停されたケースの3割で「理由が示されなかった」④アカ停された人の内、18%が商売道具のマイカーを手放し、12%は自宅も失った。
「ライドシェアが解禁されたら俺も働く」という人もいますが、運営側がどれだけ理不尽なことをしてくるのか。そのことを知らないとしか思えません。
ドライバー管理もアルゴリズムで行われます。本来好きな時間に好きなだけ働けるはずなのに、インセンティブ(何時間以内に何件仕事したら報酬アップ等)を駆使して、ドライバーをあおります。
ゲーム感覚で仕事をするドライバーは安全よりもノルマ達成を優先に。これって、日本のUberEatsでも「クエスト」って言って問題になりましたよね。自転車でも一部の乱暴運転が問題になってるのに、それを車でされたらって想像するだけで怖くないですか。
ちなみに日本のタクシーの場合は売り上げが上げるほど歩合率が高まる「累進歩合」という賃金体系は厚生労働省から禁止されています。
全自交ツイッター 2023.08.18


④「安定しない供給」
 日本のライドシェア推進派は「過疎地でライドシェア」なんて言いますが、おとぎ話です。今回は供給と価格の面でライドシェアの駄目なところを見ていきましょう。
まずは供給の面。日本の人口減少と高齢化は本当に深刻です。地方のタクシー会社は需要がなく、利益を出せない構造になっています。そこにライドシェアを導入すれば問題は解決するのでしょうか。いいえもっと悪化します。
お客さんがいない場所では、ライドシェアも機能しません。「副業で空いた時間に」なんてことを言う人もいますが、儲からない場所で待機なんてしません。需要のある場所と時間を選んで仕事をします。仮にボランティア精神でがんばってくれる人がいても、それって長続きしますか?
一方でタクシー会社は需要の少ない地域や時間でも、なんとか供給を維持しようと努力しています。深夜でも例え 1 台でも車を動かして無線がつながるように。それが公共交通の使命です。でもライドシェアが解禁されて美味しい仕事だけをつまんでいったら、会社はもちません。
またタクシーは採算の取れない地域でも自治体と協力しながらデマンドや乗合のタクシーを運行するなど、工夫して地域の足を守る努力もしています。同じことがライドシェアにできますか?
タクシーがなければ、市役所はどこに交通空白地対策の話をもっていけばいいのですか?仮にプラットフォーマーが市役所の提案する話に乗ってきても、ドライバーに指示することはできません。個人事業主で、雇用関係がないわけですから。
また今のタクシードライバーの多くは障害者や高齢者の送迎について研修を受けていますが、ライドシェアドライバーに同じことを求められますか?雇用されてないのに。
過疎地の交通を維持するために、魔法のような手段はありません。移動手段の確保は「交通税」といった目的税の創設も含め、国や自治体で考えなくてはなりません。こんなこと言うと「増税反対!」って言われますね。
でも、地域から交通手段がなくなれば、住民が減って地価は下がり、自治体全体の税収が低下していくジリ貧状態になります。総合的に考える必要があります。
全自交ツイッター 2023.08.21


⑤「安定しない価格」
 価格の安定性の問題を指摘したいと思います。ライドシェアが導入されたら、最初の内は「安い!」となるでしょう。投資マネーなどで潤ってますから、最初は損を覚悟の低い料金でタクシーの需要を奪いにきます。でもその後は?
ライドシェアのダイナミックプライシングは、時と場所によってはメチャクチャ高い料金を請してきます。「こんなに高いなら、タクシーの方がよかった。朝でも夕方でも雨の日も同じ運賃で乗れたのに」と思っても、もう手遅れ。もうタクシー会社は潰れてしまって存在しません。
海外では、テロや災害が起きて、急いで逃げたい人が殺到した時に、むちゃくちゃ値段が上がった事例もあります。ドライバーが共謀し値段を吊り上げるためにあえてアプリを一斉に切って、アルゴリズムに車が足りないと判断させて値段を上げるなんて事例もあります。
また以前にも書きましたが、よく使う利用者と初めての利用者で値段が違うなんてこともあるようです。でも詳しい仕組みはブラックボックス。価格に関して安定性も透明性も望めません。
全自交ツイッター 2023.08.22


⑥「運営会社に遵法意識がない」
 Uber創業者のトラビス・カラニックの発言「法律は後からついてくる」。違法だとわかっていてもまずはサービスを始め、裁判で争っている間に、既成事実をつくるのが元々のUberのビジネスモデルでした。
カラニック時代のUberは警察の捜査をあざむくソフトや利用者の個人情報を盗むソフトを開発して使用したり、他社の情報を盗むためのチームを社内につくったり、セクハラがまん延したり、人種差別を放置するという悪質な企業風土を持っていました。
カラニックは2017年に経営から引いていますが、その後も別のルール違反が明らかになっています。
最近は個人事業主と言っても労働者に対する権利が適用されるという判例が世界各地で相次いでいますが、Uberは負けるとわかっていても、裁判を最後まで引っ張り、負けた後もルールを守らないのです。
イギリスではドライバーへの最低賃金の支払いを命じる最高裁判決が出ましたが、判決後も運転中しか最低賃金を払わず、待機中は未払いというルール違反を続けています。
ちなみにヨーロッパでは、厳密に言うともうライドシェアは認められていません。欧州司法裁判所が2017年12月「ウーバーはマッチングサービスではなく運輸業」という判決を出したからです。
判決は欧州全域に適用されるので、いまヨーロッパで営業中のUberは、ハイヤー配車サービスでライドシェアではないのです。台湾でも韓国でも一旦上陸した後に撤退しました。世界的にもライドシェアってけっこう「オワコン」なんですね。
世界的な税金逃れの問題もあります。2019年、Uberは世界で58億ドルの営業利益を上げたが、50社以上のトンネル会社を使って46億ドルの営業損失に転換する操作を行ったと報道されました。
バミューダ諸島などのタックスヘイブンも活用し、各国政府に対する税金の支払いをとことん回避する手法です。ライドシェアが仕事をする場所は道路ですが、道路を造り維持する原資は税金です。まともに税金も払わず利益だけをかすめ取る企業をのさばらせていいのでしょうか。
全自交ツイッター 2023.08.23


⑦「得をするのは誰か」
 ずっとシリーズで投稿してきましたが、これが最終回。ライドシェアで働く者も利用者も得なんてしないと伝えてきました。では誰が得をするのか。
ライドシェア導入で得をするのは、運営するプラットフォーマーと、そこに出資している会社です。いま日本でライドシェア推進を掲げている人。代表格の一人が橋下徹さんですね。その主張が掲載された新書のブランド「SB新書」って言います。ソフトバンク系列です。
そういえば、Zホールディングスの川邊健太郎会長。この人もすごいライドシェア言いまくってます。国の会議でも提案しました。で、Zホールディングスもソフトバンクのグループですね。みんな「国民のために」とか言いますね。本当ですかー?なんか気持ち悪く思いませんか。
2016年3月、楽天の三木谷さんは、アメリカのライドシェア「Lyft」に3億ドルを出資し、その翌月に、「新経済連盟」の会長として、政府にライドシェア解禁を要求しました。今起きているのは同じことでは。
ソフトバンクビジョンファンドが東南アジアのライドシェア「grab」やインドの「Ola」など、複数のライドシェアの企業に投資をしているのは周知の事実。詳しく知りたい方は「孫正義の無謀な投資がもたらすもの」で検索してみてください。詳細なレポートがあります。
私たち、ハイヤー・タクシー産業で働く労働者が、ライドシェア阻止を訴えるのは、生活を守り、乗客の命と安全を守り、地域の移動の足を守るためです。いまや菅前首相まで、解禁論を主張し、非常に危うい状況に突入しました。志ある皆さん一緒に闘っていきましょう。
全自交ツイッター 2023.08.24

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「ライドシェア解禁論を、いま、改めて考える集会~地域公共交通はこう担う~」をたましんRISURUホール(立川市市民会館)にて開催②

2023-08-07 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 交通の安全と労働を考える市民会議~ライドシェアを考える~は、2023年7月31日、「ライドシェア解禁論を、いま、改めて考える集会~地域公共交通はこう担う~」と題して、たましんRISURUホール(立川市市民会館)にて、多摩地区においては6年ぶりにシンポジウムを開催した。
①からの続き


管俊治(弁護士・日本労働弁護団常任幹事)「自由な働き方?~日本においてギグエコノミー・フリーランスで働く者の抱える課題」

ライドシェア解禁論がなぜ始まったのか、なぜ食い止めることが出来ているのか振り返りたい。
ライドシェアのビジネスモデルとは、公共交通を自由市場にし、ダンピングしてシェアを取りに行くというもの。
労働法を適用しないことでコストを抑制し利益を上げるビジネスモデルであるが、そのためにライドシェア事業者は業法(業種ごとの基本的な事業要件を定める法律。)を突破しないといけない。
しかしライドシェアは、日本ではその業法によって阻止できていることが特徴である。
2015年のウーバーの福岡での実証実験では国交省がいち早く業法違反として止め、業界や労働組合が反対運動を展開しロビー活動も功を奏し、行政や政府を巻き込んで、ライドシェアを阻止することが出来ている。
これは諸外国からしても優れたシステムで、私たちが誇ってもいい。
しかしこの成功に安穏としていてはいけない状況もある。
業法に頼っていると別の部分で弱点もある。
特に日本の場合、労働者性の問題に十分にチャレンジしていない、解決していない。
諸外国では、フードデリバリーなど、労働者性の問題について、この数年間に解決している。(労働者性を認めることについて判決を勝ち取っているし立法化も進んでいる)
また日本では、配車アプリ事業者がタクシー事業者の運賃収入を吸い取るシステムが広がっていることにも注意が必要。
そしてアルゴリズムの管理についての規制も、日本は遅れている。
指導や教育などもアプリに移管している、ウェアラブルカメラなどを使って収集した個人情報プロファイルをアルゴリズムと連携し人事考課や雇用管理する。
海外では、個人情報は目的外で使ってはいけない、アルゴリズムは労働条件に影響を与えるのだから情報を開示しろと、個人情報保護法と団体交渉権を使って闘いを始めている。
これはタクシーだけではなくすべての労働者の問題、日本だけでなく世界の問題、運動を広げていく必要がある。

「三多摩地域におけるラストワンマイルの課題」
大和田寛(東京交運労協三多摩ブロック協議会幹事)
神田康裕(東京ハイヤータクシー協会三多摩支部長)


住野敏彦(全国交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)議長)「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会について」

ライドシェアについてはもちろん反対ではあるが、ライドシェアがなくてもタクシーはじめ公共交通でいかに持続可能な交通を確保していくのかが重要である。
国交省の委員会や検討会で、わたしは働く者を代表する立場で参加し意見を言っている。
国鉄の民営化以降、すべての交通モードが規制緩和されてきたが、一番の問題は需給調整規制の撤廃から、運賃を上げていけない状況になり、少子高齢化での利用者減も相まって、成長できない産業になっていること。
JRの廃線や交通事業者の廃業もあり、また運転者不足によってバス・タクシーを動かせず、地方・観光地では移動の足が確保できない現状があって、またぞろライドシェアを解禁してはどうかという声が上がってきた。
どういった形で交通を復活していくか、どう持続可能なものとしていくのか、という問題意識で、検討会で議論してきた。

ラストワンマイル・モビリティを守るための検討の理念は5つ。
・地域住民が行きたいときに行きたい場所へ自由に移動できる環境を整備する必要。
・担い手不足が深刻化し、交通サービスが提供されておらず、供給力の回復・強化による地域ニーズに即した交通サービスの確保が急務。
・賃上げにつながる運賃改定や、快適な職場環境の整備により採用力を向上させ、制度の見直しや運用の弾力化により地域住民が交通サービスの選択肢を吟味・選択できる環境を整備。
・交通分野におけるDX/GXは交通サービスの生産性・効率性・利便性の向上を可能としており、これらを駆使して供給力の強化を図ることが重要。
・地域公共交通活性化再生法(地域交通法)に基づく関係者における連携・協働を通じて、持続的で利便性の高い交通サービスにリ・デザインしていく。

基本的な考え方として3つ
〇地域公共交通のあり方
・地域が主体性をもってデザインしていくことが重要。
・地域公共交通会議等において、サービスのあり方について議論を重ねていくことが重要(ラストワンマイル・モビリティについては特に実質的な議論や積極的な取組が必要)。
・交通事業者(緑ナンバー)による持続的で利便性の高い交通サービスを第一に検討・模索するとともに、交通事業者は旅客運送のプロとして、その実現に協力することが重要。不十分な場合には、自家用有償旅客運送も組み合わせることができる。
〇交通不便地域における公共交通サービスの維持・確保
・社会インフラであり、「地域の財産」として位置付け、最大限活用することが重要。
・担い手不足が深刻化するとともに、移動ニーズが小口化・多様化しており、これらに対応できる持続可能で利便性の高いサービス形態が求められる。
・タクシー及び乗合タクシーについて、「供給力の強化」や「地域実情に即した多様なサービスの提供」を実現するための制度の見直しや運用の弾力化により、地域公共交通会議等において様々な交通サービスの選択肢を吟味・選択できる環境を整備することが必要。
〇自家用有償旅客運送制度の活用
・自家用有償旅客運送は、バス・タクシーを補完する交通手段であり、交通事業者が深刻な担い手不足に陥る中、地方公共団体や住民が主体となって、交通サービスを供給する手段として活用されている。
・他方、非営利の取組であるため、持続可能性を向上させるための基盤の強化が必要。また、サービスの円滑な導入のための方策を講じることが必要。

そして12の改善策が出てきた。
(1)タクシー事業者の供給力の強化のための制度・運用の改善
【施策①】 営業所ごとのタクシー車両の最低車両台数の緩和
【施策②】 営業所等の施設設置要件の緩和
【施策③】 運行管理のDX の推進
【施策④】 地方部にU ターン等した個人タクシー事業の経験者の活用
(2)多様なサービスの提供の検討を可能とする制度・運用の改善
【施策⑤】 タクシー事業者による乗合タクシー展開にあたっての法令試験免除
【施策⑥】タクシーと乗合タクシーの事業用車両の併用の柔軟化
【施策⑦】 乗合タクシー事業における補完的な自家用車の活用
(3)自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性の向上のための制度・運用の改善
【施策⑧】 事業者協力型自家用有償旅客運送の活用促進
【施策⑨】 「交通空白地」に係る目安の設定及び「地域交通の把握に関するマニュアル」の活用促進
【施策⑩】「地域交通の検討プロセスガイドライン」の活用促進
【施策⑪】 自家用有償旅客運送に係る「運送の対価」の目安の適正化
【施策⑫】 自家用有償旅客運送に係る更新登録手続の簡素化

いくら制度改正してもそこで働く人がいなければどうしようもない。
ほとんど事業者が努力をして交通を維持してきたが、文教費や社会制度費も使って支え行く必要もあるのではないか。
税を使って地域の交通を支えていくというものにしていくのが本来の公共交通のあり方ではないかと思っている。

山口広弁護士
雇用社会は社会の安定の基盤であるはずながら雇用の基盤を壊すのは、社会基盤を壊す。
二種免許が安全の基盤でありながら、それを壊すと利用者や市民の安全の基盤を壊す。
私たちはこれらの二つの重要な基盤への、ライドシェアがもたらす弊害について、運動を展開していく。


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「ライドシェア解禁論を、いま、改めて考える集会~地域公共交通はこう担う~」をたましんRISURUホール(立川市市民会館)にて開催①

2023-08-01 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議~ライドシェアを考える~は、2023年7月31日、「ライドシェア解禁論を、いま、改めて考える集会~地域公共交通はこう担う~」と題して、たましんRISURUホール(立川市市民会館)にて、多摩地区においては6年ぶりにシンポジウムを開催した。

 開会にあたり、事務局である木下徹郎弁護士は、
「市民会議は2016年8月に立ち上げて以来、ライドシェアに反対し、市民の交通の安全を脅かす問題について検討し、警鐘を鳴らす運動を展開してきた。
市民運動、国交省の立場、海外の情勢の変化などがあって、日本では未だ、ライドシェアの導入を阻止することが出来ている。
立川では、以前にもシンポを開催してきた。
ここしばらくは、ライドシェアの日本上陸の動きは衰えたとも思われてきたが、今更になって解禁論の主張が出てきている。
市民会議でも、ここ2年ほど、ウーバーの租税回避やロビイングの問題などの周辺問題にスポットを当ててきたが、今回は初心に立ち返り、ライドシェアはどういう問題をはらんでいるのか、どうやって地域の公共交通を守っていくのか、論議をしたい。
本日の集会を契機に、皆様の知識をアップデートしてもらいたい。」
と、述べたのち、①「ライドシェアをめぐる海外の事情と日本の課題」浦田誠(国際運輸労連政策部長)、②「自由な働き方?~日本においてギグエコノミー・フリーランスで働く者の抱える課題」菅俊治(弁護士・日本労働弁護団常任幹事)、③「三多摩地域におけるラストワンマイルの課題」大和田實(東京交運労協三多摩ブロック協議会幹事)、神田康裕(一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会三多摩支部支部長)、④「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会について」住野俊彦 全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)議長、について、それぞれから報告を受けた。


浦田誠(国際運輸労連政策部長)「ライドシェアをめぐる海外の事情と日本の課題」

今日のシンポジウムの趣旨に沿って、改めて、ライドシェアは公共交通を担うには適正でないということ、ライドシェアとはいったいなになのか、皆さんと考えていきたい。
配車アプリとライドシェアはどう違うのか、配車アプリもウーバーなどのライドシェアのアプリも、①スマートフォンの普及、②GPSの民間開放(2000年)、③ビッグデータから有益情報を抽出するデータマイニングの技術、この3つの技術を組合わせたという点では、変わりはない。
最近ではまた、アルゴリズムを活用しているという点でも共通している。

ディスラプター(破壊者)とは、「デジタルテクノロジーを駆使して既存事業を破壊し、乗っ取り、急成長するもの」のことだが、ライドシェアはまさにこのディスラプターとして登場した。
ベンチャー企業から巨額の投資を受け、タクシー事業をカルテルと敵対視し、「マッチングサービス」と事業を正当化し、公然と法律を無視して営業し、運賃ダンピングと便乗値上げを繰り返し、ロビー活動を通じて、政治家や役人を取り組みながら「法律は後から付いてくればよい。」などと公然と発言してきた。
宮里邦夫弁護士(故人・市民会議代表世話人の一人)は「究極の規制緩和」だと警鐘されていた。
このような「究極の規制緩和」は、最初であって最後にしなければならない。

ライドシェア事業者の2つ目の特徴は、「コスト削減の追求」だ。
運転手は個人事業主で、最低賃金、年次有給休暇、社会保険や労働保険はない。燃料費や障害保険も自己負担。
事業者はまた、一方的に手数料を引き上げる、報酬計算をごまかす、労使関係を極力避けるなどしてきた。
ウーバーの場合、50を超えるトンネル会社を使い営業利益を営業損益に変えて租税回避している。
鉄道・バス・タクシーの公共交通事業者は、真面目に税金を支払っているのであり、このような租税回避をする会社が登場すると不公平競争を強いられることになる。
こうしたコスト抑制を続けても経営は各社とも赤字、ウーバー、リフトともに、ここ数年で社員の3割を削減している。

3つ目の特徴は、ライドシェア事業者が徹底して規制に背くということ。
主な事例として、①旅客輸送サービスではないと強弁、違反命令を無視し、運転者への罰金刑を肩代わりする。②労働者性を巡る裁判では、各国で最高裁判決まで争い、負けても命令を全面遵守しない。③ギグ労働者を保護する法律には反対するし守らない  などが挙げられる。
しかし労働者側も負けていない、各国で勝っている。
★タクシー規制を強化したデンマークから撤退
★欧州では、「ウーバーは運輸業」という欧州司法裁判所の判決
★韓国や 台湾は、徹底した罰金制裁 など でウーバーを駆逐
★NY市 では、 台車規制や最低賃金の保障 を確立
★フランス、英国、スイスでは、「ウーバー運転手は労働者」という最高裁判決

特に、欧州司法裁判の判決の結果、欧州ではライドシェアとしてはやっていけずハイヤーの配車サービスのみとなっている。
デンマークでは、反対するだけでは既得権益を守りたい労働組合の主張と思われるという問題意識があり、ユーモアを交えたキャンペーンを展開し、世論を味方につけて行った。
例えば、フェスティバルでUBEER(Uber+beer)という架空のビールブランドをつくり、6000本無料配布したところ、他の業者が不公平競争と怒り、警察を呼んだので、逆らわずもライドシェアもタクシー運転手には不公平競争ですとやりとりし、これを動画に載せた。
また、有名コメディアンを起用して、ウーバーのような租税回避の会社が増えると福祉国家という国の礎が崩壊するとアピールした。
これで、反対が17-70%に伸び、こうなると国会議員も味方に付く。



4つ目の特徴は、アルゴリズムを使った労務管理。
ライドシェアやフードデリバリーは、好きな時間に自由に働けるのが魅力であるはずが、インセンチブで労働をゲーム化させ、仕事に縛りつけている。
このためインセンチブを達成するために先を急いだりして、事故多発。
オーストラリアではこの6年間に食事配達員が12人も交通事故死している。
アルゴリズムはまた、運賃や手数料を一方的に変更するために使われている(天候や繁閑だけでなく、利用者個別による運賃の導入)
そして、最も大きな問題は一方的なアカウント停止だ(解雇問題)
カリフォルニアのあるアンケート調査では、運転手の3人に2人が一時的ないし永久アカウント停止を経験していて、3割は理由を明示されなかった。
結果、18%が自家用車を失い、12%がマイホームを失った。
こうした事例は世界各国にあり、欧州では情報開示を請求する訴訟やアルゴリズム差別を罰する裁判が進行中。
米国では多くの州で、解雇のルールづくりを法制化する動きが出ているが、各社ともこれに反対している。

では、こうしたライドシェアが台頭し、どのような結果をもたらしたか。
アメリカのタクシー産業は崩壊寸前まで行った。運転手の収入は激減し、離職が相次ぎ、メダリオンの価格は暴落し、NYでは8人の運転者が自殺している。
台湾(12人)、オーストラリア(4人)という報告もある。
また、身元のはっきりしない素人運転手が乗客を運ぶため、乗客へのレイプや殺人事件が多発しており、ライドシェアに乗る場合は家族や友人に乗車位置やライドシェア利用を知らせた方が良いとキャンペーンしている都市もあるし、弁護士がライドシェアでの問題を受任しますよという広告がテレビで多数見られる。
ぼったくりや乗車拒否も多い。
ウーバーとリフトは、多数の中の少数だから良いではないかという態度、そもそもあってはいけない。
安全文化を築き上げるという意識が欠如している。
ライドシェア運転手自身の困窮と受難も世界各国から報告されている。
「良かったのは最初だけ」であり、かつては20%だった手数料が50~60%に跳ね上がった事例もある。
最近の傾向としては、運転手(や配達員)自身が仕事中に殺されるケースが急増しているということ。
2017年に4件だった被害件数は、昨年31件となった。
同じ時期には、350件のカージャック事件も起きている。
一方的なアカウント停止も含めて、こうした理由から運転手が定着しない仕事となっている。
今日、米国でウーバー運転手は90万人いるが、毎月5万人が入れ替わっている。
単純計算で、18か月で総入れ替えということだ。反面、日本のタクシー運転手の平均勤続年数は11年を少し切るくらい。
比べものにならないのだ。
一方で、公共交通の利用者減(タクシーだけではなく地下鉄やバスも)に繋がってしまう。

ウーバーは、不祥事のデパートと報道したのは、日経新聞(2017年12月30日)。会社のトップが、「法律は後から付いてくればいい」と放言すると、その下で働く社員がどんなことをするか、想像するのは容易だ。
●警察の捜査をあざむくソフトや利用者の個人情報を盗むソフトを開発・使用。
●他社の情報を盗む諜報チームを社内に設置。
●顧客・運転手570万人のデータハッキングを隠蔽し、ハッカーに口止め料を払う。
●社内でセクハラが蔓延し、20人以上が解雇。処分されたある幹部は、「他者の気持ちを理解し、周囲と同調するための感受性訓練を受ける」よう指導される。
●人種差別に関する社内の苦情を意図的に無視。
●複数の社員がコカインパーティーを開く。


こうした事件が次々と明るみになり、当時のCEOは引責辞任し、後任者もさすがにこうしたことは改めると言った。
しかし不思議なことに橋下徹氏は、今になって、この頃のウーバーを称賛している、これでは、褒め殺しである。

ではこのライドシェア、最近はどんな特徴があるのか。
当初はウーバーの一強で独走していた、しかしリフト、ディディ、グラブなどの参入で戦国時代になり、現在は棲み分けが定着している。
また、ライドシェアからフードデリバリー、そしてスーパーアプリ(プラットフォームとしてタクシー・もの・金融サービス・公共料金などの利用)へと事業のあり方が変わってきている。
一見便利に見えるのだが、生活の隅々まで情報が持って行かれるから気をつけなければならないとも言える。
ソフトバンクグループがこうした企業に多く投資している点も見逃せない。
私たちは、ライドシャアをなにか外国から来た黒船のようにとらえがちだが、その財源を日本の大手企業が支えているのである。
同時に、日本発の新事業mobiはすでにシンガポールとマレーシアでサービスを始めるなど、世界に広がりつつあり注視が必要。
最後に、コロナ禍でライドシェアは運転手も利用者も激減し、今ようやく回復傾向にあるが、こうした理由からウーバーは各国でタクシー事業者と協業を始めている。
では日本はどうなるか。
ウーバーとGOが、今後どのように日本で展開していくのか、こちらも注視が必要。

最後に、日本で最近ライドシェア解禁論が申し合わせたように出てきているので、これを検証する。
橋下徹らが主張する解禁論。
橋下徹(2023 年 3 月、「日本再起動」など)
① 先進国で導入されていないのは日本くらいです。
⇒欧州ではライドシェアは現在なし。
② お客とドライバーが相互に評価し合い、アプリにそれが表示される仕組みになっていて、 悪い評価のドライバーは選ばれなくなり、悪い評価のお客は乗車拒否に遭う。⇒乗客の評価による悪い運転手の 淘汰は問題が起きた後のこと。
③ 料金は明朗で、ドライバーのサービスは好評だし、お客が事件を起こすことも少ない。⇒料金問題あり。レイプ事件は、ウーバー=2017ー18年に米国で 5,981件の性的暴行事件。リフト=2017ー19年に 4,158件の性的暴行事件。
④ 台数制限をかけられているわけではないので、乗車可能な車両が街中に数多く走っています 。
★思考が2017年くらいで止まっている。
勉強不足で一知半解。
ライドシェアを郊外や過疎地で導入すればよいと言っている川邊健太郎氏なども、ウーバーがそれが課題なのだと認めていることをご存じないのか。

一方、日本には日本独自のライドシャアを作るべきだと主張するものも増えている。
こうした主張にどう反論していくか。
ウーバーのCEOは、ニューヨークタイムス紙のインタビューで、「お子さんがライドシェア運転手をやると言ったらどうする」と聞かれ、「最初のうちはそれでもいいが、いずれは手に職をつけてほしい」と答えた。
要するに、一生の仕事ではないことを認めているのだ。
そういうことを理解した上で、日本型ライドシェアの導入と言っているのか?

いずれにせよ、彼ら解禁論者は、国交省やタクシー業界を追求するが、労働組合に矛先を持って行くことがないのはなぜか。
このことも考える必要がある。

《②に続く》

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こないだ行った台湾出張が現地の新聞に取り上げられた❗「台灣交通政策輸出日本 日本運輸業勞團訪台取經」

2023-07-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 こないだ行った台湾出張が現地の新聞に取り上げられた❗「台灣交通政策輸出日本 日本運輸業勞團訪台取經」
https://n.yam.com/Article/20230703497548?fbclid=IwAR3FdqorDClicgVW9rU4NhLdWV5FHqcqWRhw-XdiRoDhdpXaQUzQ5yoYNU4
中国語なので、Googleで翻訳して読んでみた。

【記者爆料網/王文吉 台北報導】台灣處理Uber共享平台的方向被日本運輸業借鏡,成為台灣交通運輸政策輸出的成功案例!
(台湾のシェアリングプラットフォーム「Uber」の取り扱いの方向性は日本の交通業界に取り入れられ、台湾の交通政策輸出の成功例となった!)

 日本運輸業勞工團體包括「全國自動車交通勞動組合聯合會」(日本計程車駕駛總工會)、「全國交通勞動組合總連合會」(運輸業勞工總工會)、日本私鐵勞動組合總連合會(日本私人鐵路勞工總工會)及國際運輸勞連ITF等日本四大工會團體日前聯袂抵台參訪,此次由「全國自動車交通勞動組合聯合會」(下稱全自交)中央執行委員長溝上泰央擔任團長,進行為期兩日的參訪,首日即拜會中華民國汽車運輸業駕駛員全國總工會並進行一場雙邊座談,針對台灣處理Uber問題及外送員權益保障等兩大議題進行交流,工會並代為安排日本勞團拜會勞動部、交通部及台灣大車隊。
(日本の運輸業界の労働団体には、「全国自動車運送労働組合連合会」(日本タクシー運転手連合会)、「全国運輸労働組合連合会」(運輸労連)、日本私鉄労働組合総連合会(日本民営鉄道労働組合連合会)などの日本の4大労働組合団体がある。私鉄労働総連合会(私鉄労働総連)と国際運輸労働総連合会(ITF)が共同で台湾を訪問し、2日間の訪問団団長を務め、初日は全国自動車運送運転手連合会を訪問した。中華民国との間で、台湾のウーバー問題への対応と配達員の権利・利益の保護という二大問題について二国間協議を行い、また労働組合は日本の労働団体の労働省訪問を手配し、逓信省と台湾の車列。)

 中華民國汽車運輸業駕駛員全國總工會(下稱汽駕總工會)為全台第一個駕駛員總工會,會員人數最高曾達20餘萬,是台灣最具影響力的駕駛員總工會。此次日本勞團特別選定駕駛員總工會為拜訪首站,雙方情誼的建立源於Uber,時間回溯至2019年,當時台灣正值Uber以租賃車跨業經營計程車引發兩業衝突高峰,交通部宣布Uber當時的營業模式違法,因此增訂汽車運輸業管理規則103之1條款來規範,並且要求Uber回歸計程車業管理。
(中華民国自動車交通運転者全国労働組合総連合会(以下、自動車運転者連合会)は台湾初の運転者組合であり、最大会員数は20万人を超え、台湾で最も影響力のある運転者組合です。日本の労働団体は最初の訪問先として運転者連合会を特別に選び、両者の友好関係はウーバーに端を発し、時は2019年に遡る。ウーバー社が自動車をリースしてタクシーを異業種間運営したことで生じた二業種間対立、当時のウーバー社のビジネスモデルは違法であるとして、自動車運送事業管理規則第103条第1項を追加して規制し、ウーバー社は返還を求められたタクシー業界の経営者へ。)

 而日本當時也因為即將到來的東京奧運(後來因疫情順延)帶來龐大國際旅客需求,時任首相安倍晉三有意開放Uber共享車輛模式進入日本,引發日本運輸業者及駕駛員勞工團體高度緊張,因此在2019年6月組團來台灣取經,希望拜會台灣領導對抗Uber運動的關鍵人物,雙方代表首次碰面即在汽駕總工會,台灣方面由汽駕總工會理事長鄭力嘉及計程車派遣協會秘書長曾弘義代表與日本運輸業勞團會談,日本勞團當時即邀約鄭力嘉理事長及曾弘義秘書長於2019年11月代表台灣赴日出席日本國會的院內學習會(相當於公聽會),報告台灣計程車產業對抗Uber的經驗。
(当時、日本には東京オリンピック(感染症の影響で延期)が控えており、海外からの観光客の需要も非常に大きく、当時の安倍晋三首相はウーバーの相乗り車両モデルを日本にも開放するつもりであったため、日本国内では緊張が高まった。日本の運送会社やドライバー労働団体の協力を得て、私は2019年6月に仏典を学ぶため台湾への代表団を組織し、台湾の反UBER運動を主導する主要人物たちに会いたいと考えた。台湾側は自動車運転者連盟の鄭立佳会長、タクシー配車協会の曽弘毅事務局長らが日本運輸産業労働協会と面談した。は、2019年11月に台湾を代表して鄭立佳・董事長と曽宏毅・事務総長を日本に招き、日本の国会での勉強会(公聴会に相当)に出席し、台湾のタクシー業界について報告した。)

 該場會議在日本眾議院第二議員會館一樓多功能會議室舉辦,包括日本運輸業勞資代表及三十餘位日本國會議員出席將座位擠滿,顯示當時日本運輸業及國會對於Uber議題的重視,日本運輸業也因為台灣兩位代表的深刻分析及建議而確立產業共識,運輸業勞資雙方團體共同攜手反對當時安倍首相原本準備開放共享車輛的政策,成功扭轉日本政府的政策方向,及至今日日本政府及產業界的主流看法仍然維持反對Uber共享模式,影響深遠,也是台灣計程車產業政策國際輸出的成功典範。
(2019年11月18日、日本の国会での勉強会に出席した台湾の代表者らは、ウーバーとの戦いにおける台湾の経験を報告した。
会合は衆議院第2議員会館1階の多機能会議室で開催され、日本の運輸業界の労資の代表と国会議員30名以上が出席した。これは、当時日本の運輸業界と議会がウーバー問題を重視していたことを示しており、台湾の両代表の綿密な分析と提案により、日本の運輸業界も業界のコンセンサスを確立していた。当時、安倍首相が当初予定していたシェアカーのオープン化政策に、運輸業界の関係者が団結して反対し、日本政府の政策方向を転換することに成功した 政府と業界の主流意見は今もウーバーに反対これは広範囲に影響を及ぼし、台湾のタクシー産業政策の国際輸出の成功例でもあります。)

 台灣、日本的計程車產業也因為該場會議而確立了共同立場:反對跨國財團挾龐大資本以不公平競爭的非法模式壟斷運輸業造成勞動權益及運輸業責任的減損。也因為有共同的價值而建立了深厚的情誼。所以在三年的Covid-19疫情結束後,日本勞團再度組團來台參訪汽駕總工會,並且希望追蹤Uber在台灣後續的情況及網路平台外送員勞動權益的問題,汽駕總工會也特別邀請台灣運輸業移動科技派遣平台協會的曾弘義秘書長參加座談,報告Uber在台灣的發展現況及規範重點。
(この会合により、台湾と日本のタクシー業界もまた、多国籍複合企業が巨大資本との不当な競争という違法な形態で運送業界を独占し、その結果労働者の権利と運送業界の責任が軽減されることに反対するという共通の立場を確立した。また、共通の価値観により深い友情を築きました。そこで、3年間にわたる新型コロナウイルス感染症の流行終息後、日本の労働団体は再び台湾への代表団を組織し、自動車労働組合総連合会を訪問し、台湾におけるウーバーと労働者の追跡状況を追跡したいと考えた。労働組合はまた、台湾交通産業モバイル技術配車プラットフォーム協会の曾紅儀事務局長を特別に招待し、議論に参加させ、台湾におけるウーバーの現在の発展と重要な問題について報告した。規制のポイント。)

 曾弘義秘書長表示,時隔三年多,當時在日本國會報告的台灣Uber情況與今已有不同,Uber在台灣政策規範下已經成為計程車產業的一環,Uber司機也已取得合法計程車司機身分,車輛數必須在符合計程車牌照總量管制前提下增加,且車資費率必須符合政府核定的費率區間,大大減少惡性競爭的機會,因此,台灣算是成功把Uber馴化在合法運輸業框架下營運的範例。
(曾紅儀・事務総長は、3年以上が経ち、日本の国会に報告された当時の台湾のウーバーの状況は現在とは異なっており、ウーバーは台湾の政策や規制の下でタクシー業界の一部となり、ウーバーの運転手も「タクシー業界の一部となっている」と述べた。タクシードライバーの資格も取得しているため、タクシーのナンバープレートの総数を遵守することを前提に車両数を増やし、運賃も政府が認可した料金範囲に準拠する必要があり、その可能性は大幅に減少します。そのため、台湾はウーバーを合法的な運送業界の枠組みの下で運営することに成功しました。)

 曾弘義也提到,台灣適度鬆綁了原有的計程車法規,透過多元化計程車機制來納管原先的Uber車輛,降低參與計程車業的門檻,有利於兼職人士投入計程車駕駛行列,為台灣計程車產業注入新血,對照近期各國處理Uber的做法,台灣算是執兩用中順勢推動計程車產業的更新,值得各國參考,而Uber在台灣也發展成市佔率大約13%左右的第二大車隊,不像其在歐美等主要市場市佔率都超過六成以上的壟斷地位,可見在公平競爭環境下,各國本土運輸業也有機會與國際巨獸抗衡。
(曽宏毅氏はまた、台湾が当初のタクシー規制を適度に緩和し、多様化したタクシーメカニズムを通じてオリジナルのウーバー車両を管理し、タクシー業界への参加の敷居を下げたことにも言及した。台湾のウーバーは、公正な競争環境の下、タクシー業界の新陳代謝を促進するデュアルユース都市と言え、欧米などの主要市場で6割以上のシェアを誇る独占的地位を誇っている。 、さまざまな国の地元の輸送業界にも、国際的な巨大企業と競争する機会があります。)

2023/06/25 ITF東京主催で台北出張Day1 今日はとりあえず打ち合わせと九份観光と結団式(?)
2023/6/26 ITF東京主催で台北出張Day2 中華民國汽車運輸業駕駛員全國總工會と中華民国労働部に訪問して意見交換
2023/06/27 ITF東京主催で台北出張Day3(自分だけ水曜の業務の都合でLast Day) 中華民国交通部と台湾大車隊に訪問して意見交換


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ITF東京主催で台北出張Day3(自分だけ水曜の業務の都合でLast Day) 中華民国交通部と台湾大車隊に訪問して意見交換

2023-06-27 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

《意見交換の際のベタ打ちメモなので数字など正確でない部分があります、後ほど確認して修正予定》 ITF東京主催で台北出張Day3。
公式行事の二日目の午前中は、中華民国交通部に訪問。
ここは日本で言うと、国土交通省で、国交省から国土の方を分離したようなものなんだが、実は日本も昔は交通省だった(国土は別組織だった)。
交通部路政司 王基州 簡任技正から、「本日お越しくださりましてありがとうございます。たいへん歓迎しております。本日の交流と意見交換で、台湾と日本のタクシーなど交通事業の状況をお互いに勉強出来るよう願っています。」と挨拶を受けたのち、事前にお願いしておいた我々の質問について回答を受けた。


①ライドシェアをどのような見地から違法と判断したのか。
 ウーバーのライドシェアが違反しているかの判断の仕方について。ライドシェアとして参入した当時は白地黒のナンバープレートである自家用車を使っていたから違法だった。最初は白タクで、次は運転手が借りたレンタカーと提携してやっていたが、レンタカーの業務内容ではやはりそれはタクシーとは違うので違法と判断した。今は多元化タクシーとして法の範囲内となっている。

 もちろん自家用か白タクかを区別する際には、白ナンバーの自家用車が、そもそも友達を乗せたりするのと同様で、営業として運送しているかどうかの証拠が明確ではないので、交通部はそこを判断するためにガイドラインを作った。もちろん、営業ではなくて、例えば家から走るときに知人を便乗させて、ガソリン代を分け合うというのは、ライドシェアではないし、タクシー事業ではないので違反でない。違反かどうか見るときはいくつかの観点からみなければならない。違法の定義は、自家用車のナンバーを使って事業としてやっていたらだめということだ。自家用車のナンバープレートで営業していたらすべて違反。
一方で、事業用自動車のライセンスを取得してくれていたら営業の方法には制限がない。ちゃんと営業車のライセンスを持っていたらどのようにやっていても問題がない。多元化タクシーを創設したのは、運転手の賃金を増やすためでもあった。

 不況の中で、運転者の収入を増やす、利用者の運賃を低廉化すること、そういう意味でライドシェアはいいのかもしれないが、弊害は大きい。従来から台北でよくあげられるライドシェア的な事例は、地下鉄駅から山の上にある文化大学まで、ライセンスを持ったタクシーが、メーター制ではなくて、学生が相乗りして、運賃を分け合うというものがある。しかし、これは学生のバイク事故がとても多い地域だった背景があって、台北市がタクシーの相乗り運賃を定めた。このようにきちんと申請してくれれば行政が判断している。政府の立場としては合法的で運転者の収入が増やせればいいので、違法でない現在の多元化タクシーはいいと思っている。自家用車の使用を減らせて渋滞を解消したいし、路線バスは時間が掛かるが、タクシーある程度増えれば早く目的地へ行けるので、利用者にもメリットがある。



②タクシーサービスの発展についてどのように考えるか。日本のように法律で公共交通と位置付けているか。
 タクシーについては交路局の管理下に置かれている。鉄道やバスと同様に公共交通機関として認められているので、燃料税とライセンス税は免除されている。地下鉄やバスと同様に政府の補助金の対象になっている。

 現状は、台北では、ニーズより供給が余っている状態。台北のタクシーの台数はライセンス数の管理下でコントロールしている。ライセンスの登録地について、台北市外の移籍も認めて、需給調整も進めている。通用タクシー(UDタクシー)についても助成し、福祉を担ってもらっている。山村などでバスの営業が成り立たない地域では、はタクシーに路線バスの役割を担ってもらっている。防疫タクシーとして、コロナ禍では、病院に行かれる方、入国した感染疑い者の運送を担ってもらった。

 台湾ではタクシーは公共交通だと法律に書いている。発展大衆交通条例で2005年に初めて位置付けた。燃料税とライセンス税は恒久的に免税しており、毎年度の政府予算では、政府の政策的な要請により必要な補助金などを確保している。最近、通年的にやっているのは通用タクシーへの補助金。交通部としてやるべきことは、利用者の権利を守らなければならないことと、運転者の報酬も守らなければならない。最近では、燃料費が高騰しているので、本来なら運賃を上げる必要があるが、利用者のために運賃を抑える必要があるため、燃料費への補助金を創設している。

 台湾のタクシーは、個人事業主という形態である。法律的には1台のタクシー自体が会社(法人)なので、過疎地輸送など、その単位で仕事を受注してもらい政府や自治体が運行の補助をしている。乗合バスを代替する場合、補助金が運行コストに足りなければ、時刻表による運行の時以外は、自由に営業してもらってもいいことにして、運行コストを償ってもらっている。
一方で、交通空白地はやはりバスもタクシーもなかなかやりたがらない。地域によってバスタクシーがどうしてもやってくれなければ、地元の個人を訓練して資格を取ってもらいタクシーライセンスは取らないが、有償で運送できる資格を与えて運行してもらう事例がある。

 交通部は、地方の交通機関としては、原則としては路線バス優先、補助金はバス会社に支払うが、利用者が少なく運行コストが償えない場合は、バスタクシーとして、乗合タクシーやデマンドタクシーとして補助金で運行してもらうお願いをしている。それでも駄目なら地元の人にお願いする特別のライセンスでの自家用運送としている。しかしすべてが政府の管理下にある。その場合、まずはルートを定めて事業者に入札を求め、入札がなければ政府から地域にお願いすることになる。



③AIオンデマンド交通が世界的に広がっている。どう対応すべきと考えているか。
 アプリを使った新しい旅客サービスについては、2016年から新しいテクノロジーに関して法改正で対応してきた。事業者は事業計画書を政府機関に必ず提出しなくてはならないこと、運賃は、その地域の相場の範囲に収まっていることを確認し、政府はそれを公表している。アプリで配車を受注する場合は、その運賃を利用者に明示する必要がある。アプリでは、車のメーカー、車種、使用年数、ドアの数、運転者のライセンス、利用客の評価、ルートとその概算料金を明示しなくてはならない。さらにシートベルト着用の呼びかけを音声が文字でお願いする。そして最近では、電子決済の内容も明示させている。運行記録などの保存は最低2年間となっている。多元化タクシーの運賃はメーターでなく距離による概算になるので、爾後に、運賃の範囲内に収まっているか、交通部からの点検を受けることになる。

 新しいアプリなどの多元化タクシーのテクノロジーは、現行のタクシーにとっては脅威になる。従来のタクシーは運賃の設定やキャンペーンが行えないので、その点についてもアプリがやりたい放題にならないように、アプリ会社から適時、情報を提供させて点検している。

 PF自体はIT事業者という位置づけなので、交通部の管理下ではないので、PFと提携しているタクシー会社(車台)に、交通部はデータ提供を求めるが、そうすると、けっきょく、会社(車台)はウーバーなどのPFにデータ提供を求めることになる。いずれにしてもデータの提供は必須だ。タクシー会社(車台)をアプリ使用するとすれば、そのアプリの点検を交通部に受け許可を受ける。現状では、事前に許可できなかったアプリ事業者はない。


④台湾におけるタクシー事業の現況
 台湾全国でタクシーの登録は9万両、台北だけで56,000両で62%占めている。タクシーライセンス数の上限があって総量規制をしている。総量規制が出来たのが1998年で、そのときがライセンス数の最大であった。現在の車両数は1986年と同等。うち、多元化タクシーは22,600台で20%くらい。運賃については、自治体に申請し審査、許可されることになれば公表することになる。ライセンスは役所に申請し、テストを受けて合格すれば受けることが出来る。殺人などの前科がある方は、12年以内は申請できない。猥褻とか婦女暴行などセクシャル的な前科があれば一生ライセンスは取れない。ライセンスの上限年齢は70歳。以前は65歳だったが段階的に変更、現在の70歳は7年前に設定。60歳から毎年適性検査、65歳から毎年健康検査も加わる。通常のタクシーも多元化タクシーもライセンスは同じ。地理関係の知識、一般常識、整備の知識などの筆記試験がある。




 いやはや、タクシー事業の根本的位置付け(法人が前提か個人が前提か)、政策的な交通への考え方の絶対的優先的な考え方が、台湾政府としては、徹底的な国民視点(供給を担うのも国民)を前提とした交通政策だということがわかった。
公共交通として法的には位置付けられながら、タクシーやバスは、民間企業であって、しかし「公共交通」と法的に位置付けられてはいるが、管理的にも支え方にしても、一次的には企業責任で、二次的に法的補助という点でかなり違う。
と言うことに思いを噛みしめつつ、台湾大車隊の皆様が設定してくれたランチは、「阿美飯店」(No. 98號, Section 2, Minquan Rd, West Central District, Tainan City,)




 もう何が何かわからんが、なんでお昼御飯では付きだし以外に、デザート含めて15品はおかしくないか~😅
セコセコと、一口程度だけ箸を付けて、めっちゃ食べてる感を醸し出して、なんとかこの場を乗り切る…💦
この全部の中で一品、おこげ御飯だけでお昼御飯は成立する気がするのは、勘違い?


 そして午後は、台湾大車隊に訪問。
55688集團 楊榮輝 総経理から「本日はようこそお越しいただきました。お互い仕事に繋がる情報交換が出来たらと思います。」と挨拶を受けた。


 台湾大車隊55688の紹介
成立は2002年8月29日に創設、資本額5.9億、2020年から様々な賞を獲得してきた。(台湾大車隊董事長 林村田)

交通 タクシー・運転代行・オーダーメードのビジネスサービス
生活 住宅クリーニング、旅行手配、自動車修理、クリーニング、引っ越し
物流 ネットショッピングの物流、書類運送
マスメディア 広告(車体広告、車内モニターによる広告)

願景 Make Your Life Easier。



 アプリ登録者数 680万人以上、コラボ企業7万社、従業員6万人
対応できる電子決済アプリが32種類、年間電子決済金額186億元
車隊規模 市場占有率25%、車両数は2.3万台(うち多元化Taxiは6500台)
年間乗車回数 8000万人、提携して送迎を受けている企業が1.35万社
オーダーメードタクシー アプリで必要なサービスや条件を選択して、それに合った車両・ドライバーを配車するサービス(無音、無会話、充電などのリクエストが多い)
IT技術者が100人程度在籍していて、自社でシステムを開発している。
日本の大和交通と業務提携していて、お互いのアプリでそれぞれの国で配車できる。
タクシーによる貸切旅行サービス(ガイド付きタクシー)。



 台湾大車隊でこれからがんばっていきたいのは、海外各国の有名なTaxiアプリと提携できれば、台湾に来てくれたときにそのアプリを使って配車を受けられることが出来る。
うちは大きな会社なのでその提携に自信がある、アジアの大手と提携して連合したい。
日本でもGoと提携できたら規模が大きくなると思っている。


 アプリによる優先配車や高級車配車などがあるが、その場合の追加料金は運転者の取り分としている。台湾は日本と違って個人タクシー的なものなので、その追加で支払った料金はモチベーションとして運転者の取り分としている。
コールセンターのスタッフは全国で100名くらいいるが、配車業務からカスタマーサービスが主体となってきている。


 Uberなどの黒船に対抗するために、各国のタクシー事業で手を携えて対抗していく必要がある。
タクシー産業は、国内で内向的に事業を行っていることが多いが、これからのテクノロジーが進展していく時代には、国境を越えた取り組みが必要になっていくことを実感している。
自国で使い慣れているアプリで、他国でタクシーを予約できれば、ライドシェアなどにも対抗できるはず。
これからも情報交換をしていきたい。



 台湾大車隊の施設を見学している途中で、皆とは別れて自分は台北(松山)空港へ。
明日、労働保険審査会が朝からあるから、どうしても自分一人だけ先に帰らなあかんねん。
帰りの中華航空がJALとのコードシェア便ではないので、羽田でラウンジ使えなくて、台北松山空港でも、プライオリティもラウンジもだめやねんて。
そういうことか。



 搭乗口で17時25分の搭乗を待っていたら、中国語のアナウンスあと日本語で「機材の到着が遅れたので搭乗が遅れまして19時35分になります」と流れた。
「えt⁉2時間遅れる💦羽田空港からの終電🚃に間に合わんっ💦💦空港に泊まるんか😨」ってなっていたが、その後、その修正はなく普通に17時35分から搭乗が始まった、言い間違いやたのか…焦った。
ちなみに帰りの飛行機では🍺5本でした。

 台湾の労働部、交通部、意見の交換をしているときに「国民の安全」「国民の利益」「国民の…」「国民の…」と両行政ともとても国民目線だということを感じた。
通訳の何さんに「台湾の投票率ってどれくらい?」って聞くと「80~90%くらいです。台湾人、政治好きですから~っ😏」とのこと。
そこか~。

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ITF東京主催で台北出張Day2 中華民國汽車運輸業駕駛員全國總工會と中華民国労働部に訪問して意見交換

2023-06-26 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

【26🏃Run6-37 5.63km 38:32 シーザーパーク台北➡中華民国総統府➡和平西路一段➡自由広場➡シーザーパーク台北】【21 💪4-31 台北凱撒大飯店 ChestPressM66kg SitUp】  《意見交換の際のベタ打ちメモなので数字など正確でない部分があります、後ほど確認して修正予定》ITF東京主催での台北出張Day2。
午前中、まずは中華民國汽車運輸業駕駛員全國總工會を訪問。
ここでは、2019年11月に、交通の安全と労働を考える市民会議. ―「ライドシェア」問題を考える―が開催した「「院内シンポジウム『ライドシェア』の問題点について~台湾の取組みから考える~」を開催した」のために台湾から招聘した台北市職業総工会 鄭力嘉理事長と、台湾運輸業移動科技派遣平台協會 曽弘義秘書長に再会❗


台北市職業総工会 鄭力嘉理事長挨拶
 みなさまおはようございます。自動車運転者労働組合の代表として歓迎します。今日は時間が限られているが有効に使いたいし、質問があれば聞いていただき、意見交換したい。


溝上全自交労連委員長
 台湾のタクシー労働者の皆さんと友好を深めるためにITF東京の架け橋で訪問させていただいた。我々は今回参加している全自交労連、私鉄総連、交通労連なの多くの産別組織と共に10年間、ライドシェアを阻止するために闘ってきた。日本は、いまだ、ライドシェアは水際で阻止してきた。しかし、この3年間のコロナ禍の中で、多くのタクシーのドライバーが産業から退出してしまい、タクシー車両が足らない状態になっており、需要に応えられていない状況もあって、一部ではライドシェアを導入しろという動きもある。しかし私たちはそれを許さない。本日の意見交換を今後の運動に役立てていきたい。


台湾運輸業移動科技派遣平台協會 曽弘義秘書長
「UBER在台湾的轉變興發展」
 コロナが落ち着いて皆さんに再び会えたことをうれしく思います。2019年にも日本に訪問して台湾の現状をお話しさせていただいたが、改めて、台湾の状況をお話ししたい。もともとタクシーの配車が業務だったが、現在はプラットフォームに修正した。

 2020年に台湾でもフードデリバリーが拡大してきたので、デリバリーの委員会も創設した。テクノロジーの発展でアプリを使った事業が拡大しているのでアプリを使ったデリバリーなどのメンバーを対象としている。タクシーの他に、フードパンダと宅配便の全国快適がメンバーで、フードパンダは4万人をメンバーにしている。ウーバーがやっている形態はうちとも似ているので、ウーバーについて話したい。

 台湾にウーバーが進出したのは2013年4月で、当初は高級ハイヤーとして、その後ライドシェアを行った。3年くらい、ウーバーとタクシー会社との抗争が起ったが、2017年1月修正公路法が出来てウーバーには違法的行為に対して加重罰則として、罰金が何度も科せられてウーバーは台湾から撤退となった。しかし2017年4月に再上陸、レンタカーを使っての配車を行い、それはタクシーと同じことをやっているわけで、そこから再びタクシーとの抗争が起った。結果として、2019年10月、ウーバーは多元化タクシーとして運営することになった。

汽車運輸業管理規則
1.1時間・1日の計算となり割引とかキャンペーンなどは出来ない
2.流し営業は出来ない。一度仕事が終わると車庫に回送しなくてはならない。
3。運営計画書を政府機関に提出して査定
4.レンタカーによるタクシーとして表示しなくてはならない。

 タクシーと区別することが重要、一般人には違いがわからない。
多元化タクシーとは
1.タクシーとしての事業者ライセンスが必要、運転者も運転手免許を取らなくてはならない。タクシー車両数に制限があるためにこれでウーバーの車両数を限定することが出来る。
2.多元化タクシーは車両色を黄色にしなくてもいいし、タクシー情報を車体に書かなくても良い。
これによって、自分の車をそのままでタクシー業が出来るので、タクシーに参入したい人が増えてくる。
3,流し営業も、ホテルや駅での待機も、禁止されていて出来ないので、営業はアプリ配車のみ。
4.料金についてはフレキシブルになる、メーターがないので自分で料金の設定が出来る。しかしタクシーのメーター運賃より安くは出来ない。

 多元化タクシーにより7千人、新しい運転者が増えた。多元化タクシー会社としてウーバーも運営を始めた。現在はウーバーと共存している状態で、運賃はタクシーより安く出来ないし、台数の管理が出来ている状況。ウーバーは多元化タクシーによって12000台で2番目になっている。台湾大車体23000台。

 タクシー業界は政府と協力して、公正な競争を確保、運賃ダンピング競争を禁止、総量規制を制度化した。ウーバーの問題としては、今は合法的になっているし、タクシーと共存している状態ではあるが、ウーバーの配車アプリは、台湾に会社設立していないのでトラブルの際に問題となる。それとアプリ手数料を25%徴収していて、これがドライバーの営業コストから考えると高すぎる(15%が上限だろうと試算している)。ウーバーは、車両を黄色にしたくない、メーターを付けたくない、ダイナミックプライシングをやりたい、と3つ、政府との交渉で主張をしてきた。業界は反対したが、政府は調整した。多元化タクシーの運転者の平均年齢は若く、利用者も若い。値段競争はしてはいけないが、アプリ手数料は、キャンペーンや割引で、消費者還元するので結果的にタクシーより安い運賃で多元化タクシーに乗れている実態があり、結果、ウーバーを利用する若者が増えている。

 台湾では最大で11万台だが実際に92000台のタクシーライセンスを発行している。ウーバーはIT事業者として台湾国内に会社設立しているので税金は払っているが、運送事業者として営業しているわけではない。しかし提携している派遣会社がライセンスを持っていたら法律上の問題はない。利用者や運転者への賠償責任などはウーバーが負わず、間に入っている運転者の派遣会社が負っている。アプリのアカウント停止は問題になっているが、運転者はライセンスを持っているので、他の会社に移転するので、それがウーバーの運転者が増えない実態に繋がっている。



 「台北市のオンラインプラットフォームにおける配達員の専門労働組合からの説明」として鄭力嘉理事長がプレゼン。
台北市網路平台外送員職業工會は、「ユニオンサービスエグゼクティブ」として組合員に、 保険、疾病の緩和、労働健康保険、法的なアドバイス、特殊グリッドなどを提供している。
台湾における配達員の数は2022年145000人とされているが、しかし退出した人の数はカウントしていないので現状の数はわからない。半分くらいが妥当な数字ではないか。
Foodpanda2012年、Foodomo2015年 Ubereats2016年 honestbbとdeliverooは撤退。FoodpandaとUbereatsが2強。
外送員の育成の厳しさ 専門運転免許証、貨物の返送、自動車事故、雇用契約書、トータルコントロール
配車側の難しさ 行動の競争、値段の競争、飲食業とのコラボレーションの関係、配車の効率、従業員の権利
コントロール、配達員の収入の不安定(当初は一回80元、今は45元)、利用者と飲食店とのはざまの難しさ 
配達員は合理的な待遇、労働保険、社会的地位を求めている。
政府に待遇の確保を求めているが、そこまで法律が整っていない。




 お昼は皆様のご招待で「欣葉台菜 創始店」(No. 34之1號, Shuangcheng St, Zhongshan District, Taipei City)に連れて行ってもらった。
台湾のカラスミ、鶏肉料理、エビチリソース、豚の角煮、台湾のタケノコ煮、切り干し大根の炒飯…これで終わりかと思いきや…😅



 白身魚の煮物、牛レバー焼きとホタテ貝柱とエリンギ添え、なんだったかの揚げ物、この店の売り料理である切り干し大根のオムレツ、スープにタロイモの餅。
お昼からこれだけの量を、奨められてしまうので手を付けないのは失礼かと思い、必死で箸を付けたが(可能な限り少量ずつ)、実は炒飯くらいから気を失っていた…💀
しかしこここでも、ざっくばらんにいろいろなディスカッションが出来てとても有意義な会食となった。


 そして午後は、中華民国労働部へ。
ここは日本で言うと、厚生労働省で、厚労省から厚生の方を分離したようなものなんだが、実は日本も昔は労働省だった(厚生省は別組織だった)。


 まずは、総合規制司 王厚誠 司長からご挨拶を受けた。
 労働部を代表して、お越しいただいたことに感謝申し上げます。皆様の仕事上、タクシーという公共交通の規制については気になるところだと思う。コロナ期間中に、サービスのデジタル化によって出来たフードデリバリー業界が著しく発展しているので、気になる問題は台湾でもあります。台湾も2019年からプラットフォームと配達員との間で問題が生じてきた。けっこう、こちらもプラットフォームによる雇用形態や保険などいろいろ疑問が生じてきた。ここに来られるまでに皆さんは、いろいろなフードデリバリーのバイクを見てきたと思う。
 労働部もプラットフォームといろいろ話し合ってきた。台湾は台風や様々な厳しい環境があり配達員の安全確保が重要だ。PFと配達員との、雇用関係では世界中で同じ問題が起っている。台湾も5月から労働者保険に入られることになったが、この制度は日本に似てると思う。一番多い問題は、交通ルール違反の問題、配達員は短時間で稼ごうとするために交通事故を起こす。こういった問題は労働部だけでなく、交通部とも話し合っているし、第三者責任も発生する。
 これからの課題は技術の発展によって、無人のタクシーや乗合バスも開発が進んでいるが、これは労働者の権利の問題にも直面する新しい問題だ。そしてPFの配達員の労働者保険に入っていない者についてどうすればいいか、意見を聴かせてください。



①タクシードライバーの賃金と労働条件
 台湾では労働基準法があるので、雇用者であれば労基法の対象となる。タクシーの会社所属であれば労基法に基づいて最低賃金と労働時間は守らなければならない。現状の労基法は、労働時間は週40時間、超えたら残業代の支払いが命じられる。最低賃金としては、月給ベースで2万6,400台湾元(約12万1,440円、1台湾元=約4.6円)、時給ベースでは176元。
 しかし台湾のタクシー運転手は個人事業主で、自分の車を使ってタクシー会社への所属だけで、したがって労基法の対象は少ないと言うことになる。現状は、雇用者ではないので労基法の基準に従わなくても違反ではなく、労働時間に制限はない。
 運賃に関しては最低運賃が1.25km85元、200m5元加算される、深夜はプラス初乗り20元で計算される。輸送業界では労働基準法の対象になるのは路線バスと観光バスの運転手になる。基本的に雇用されているので。バスの運転手の労働時間については毎年点検されている。観光バスに関しては、雇用者と持ち込みの個人事業主もいる。雇われている方は問題はないが、個人事業主によく問題が起る。路線バスと宅配運転手は問題がないと思う。労働部からも交通部にも課題についてはいろいろと働きかけている。



②プラットフォーム労働者の労働実態
 配達員が、労働基準法に準じるかどうかは雇用者かどうかがはじめのポイント。プラットフォームと配達員の法律上の関係がはっきりしなくてはならない。昔は保険の営業マンも同じような問題があって、はっきりしないことがある。労働関係をはっきりするために、2019年にはガイドラインを作り雇用者かどうか区別できるようにした。Cutawayも同様であるが、ガイドラインに基づいて査定する。あとは、配達員とPFでトラブルがあった場合は関係をはっきりしなくてはならない。だから、労働部と交通部とPFとで、しっかり議論してトラブルがあったときの申告するルート、仕組みを作らなくてはならない。配達員と企業が揉めてまとまらないときは、地方の労働局に申告して調整に回る、これが労働部として出来るサポート。

 職業安全衛生部では労働者の安全の保障を担当している。2020年3月、配達員の労働環境、労災とか安全対策とかの職業安全衛生規則を整備し、ヘルメットや反射板のついた服を着用させる法律を作った。法律以外に、交通事故防止対策と熱中症対策と、各自の配送配分の合理性も求めている。配達員は労働者保険の加入(300万円)ができる。法律も毎年毎年修正され、配達員には第三者責任保険が必要であるとして、今、検討している。2022年8月21日、対象は食品配達員だけでなくすべての産業に拡大された。毎月、PF事業者に点検に入る。事業者には安全対策や、気象状況によって配車停止などについての対策が求められている。仕事の振り分けも合理的に、一人に集中せず、公平に振り分けられるようにする必要もある。点検に関しては、労働部だけでなく交通部も一緒におこなう。
 本来、交通安全や配達員の安全の管理責任はPFにある。労働者保険の加入が難しいのは、オンラインは労働時間、オフラインにしたら労働時間ではないので、労働時間の計算が難しいことで、保険の適用の範囲をどうするかが問題になっている。現在、保険会社とPFの議論が続いている。



 労働者保険 雇用関係を確定が出来れば、PFに保険加入の責任がある。雇用関係が確定した上で、労働保険金の加入と退職金の申告をしていなければ、保険では通常の4倍の保険料が課せられる。今回のCutawayを点検した結果、6名の保険の加入と退職金の申告がされていなかったので、罰金を科して企業名の公表を行った。Cutawayは労働部に不満で提訴していたが、最高裁で判決が出た。Cutawayには、掲示されている、手順や指示、組織図などによって労働者性を判断した。台湾では初めての裁判だったので、他のPF事業者は横にらみしていたが判決が出たので、他の事業者にも指導している。配達員の保険の加入は、コンビニやネットで、または労働組合から加入できるが、保険金は自己負担となる。過去に配達員が連休中に連続して3名の死亡者が出て、しかし誰も責任を取らないという状態だった。配達員の安全を守るために労働部は様々に手を打っている。

 専属性、指揮命令、労働条件の決定の3つ揃わなければ労働者性を判断できず、配達員が複数のPFに登録していたら雇用者性は認められない。台湾では雇用者でないと労働部が管理できる対象とならない。タクシードライバーは個人事業主で労働時間などを規制する基準はない。一方で、台湾のタクシードライバーは、実態として過重労働になるような働き方はしていないという実態もある。



 午前・午後の意見交換を終えて一度ホテルに帰り、一服してから🍺、今夜は仲間うちだけで晩御飯。
すぐ近くだったけど、台湾のタクシーにも乗ってみたいってことで、流しの普通のタクシーの乗車。
左ハンドルってことくらいで、特段日本のタクシーと使用や装備が変わることはないようで、日本で言う乗務員証、こちらで言うライセンスの表示項目は日本よりかなり多いようだ。



 今夜は通訳さんに予約してもらった「金品茶樓」( No. 16號, Changchun Rd, Zhongshan District, Taipei City)、小籠包と中華の数々の定番料理が味わえて、特に小籠包が最高に美味しいとのこと。
空心菜の炒め物、そして小籠包は評判通りにめっちゃ美味しくて、全員が大満足だ❗


 牛肉と中華揚げパン炒め物、ガーリックアンチョビ炒め、海老蒸餃子、高菜と豚肉入りラーメン、そしてもう一度小籠包はタロイモ味で。
とっても日本っぽい味で、台湾にいるのか日本にいるのかわからんくらい。



 しかもけっこう観光客には見えない日本人客が多かったが、このあたりは日本企業も多く駐在員が多く住んでいる地域だってことで納得。
家族で駐在している日本人が住む家族向けの賃貸マンションの家賃は30万円以上するのが相場だそうで。
日本円が弱いのと、特に台北の中心部は住宅相場が高いからだそうだ。


 その後、寧夏夜市を散策して…。



 臭豆腐の匂いが強烈に漂いすぎて、のんびり楽しんでる場合ではなく、すごすごと中心部からは退散して、台北ロコガールズを愛でてただけか~😅

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ライドシェア解禁は認められない!6月13日にタクシー政策議員連盟総会を開催

2023-06-15 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 超党派の国会議員で組織する「タクシー政策議員連盟」は6月13日(火)、参議院議員会館講堂で総会を開き、タクシー業界をめぐる諸課題について意見を交わした。総会には、衆・参国会議員42人、交運労協、ハイタクフォーラム、全国ハイヤー・タクシー連合会など関係者約140人が出席した。

 議連総会は、森屋隆事務局長が進行を務め、辻󠄀元清美会長は、「お客さまが都市部を中心に戻っているが、一方で乗務員の不足、コロナ禍で借りたお金の返済など、新たな問題に直面している」「ライドシェアを解禁すれば、経済が伸びていくような幻想が飛び交っている」「ライドシェアの問題について、各方面から掘り下げて、変な方向に行かないようにしたい」「議員連盟は、労働組合、事業者、国土交通省が三位一体となり進めたい。議員も、政治状況がどうなろうと結束を保ちたい」などとあいさつした。


 続いて、全タク連が「4月段階のタクシー業界の現状とタクシー事業の維持・再生のための支援要望(ライドシェア断固阻止、乗務員不足対策支援、運賃改定の速やかな実現など)」、交運労協からは「限定付きライドシェアの話が聞こえてきたが、軽井沢スキーバス事故や知床旅客船事故などをふまえ、安全の原点に立ち返り、信頼できるタクシー産業をめざしていくべき」、ハイタクフォーラムは「直近の運賃改定で活性化・適正化に明るい兆しが見えてきた。人手不足解消に向けた一手と、法律を守る事業者とそこで働く労働者が報われる制度政策の実現を進めてほしい」などとあいさつした。
また、岡野まさ子国土交通省自動車局審議官と森哲也旅客課長から「ラストワンマイル・モビリティ検討会の方向性とライドシェア問題」、浦田誠国際運輸労連政策部長から「ライドシェアをめぐる世界情勢と日本での解禁への動きへの批判」、津田光太郎全自交労連書記次長から「ライドシェア解禁派との闘い」「二種免許の重要性」「賃金・労働条件の改善」「営業所や遠隔点呼の緩和」などで説明を受けた。

 意見交換では、吉田統彦衆議院議員が「二種免許を持たない者による旅客の輸送を考えていることは事実か。安全対策上、一種免許より厳格な更新時視力検査があるのが二種免許だ」などと国交省に質した。これに対して森課長は「二種免許の件は、全タク連で検討と認識。報道レベルで知るのみ」「ライドシェアはその都度、斉藤国交大臣や堀内自動車局長から『安全や責任の点から認められない』『特区でも考えていない』と明確に申し上げてきた。この点について何ら変わるところはない」などと応えた。

 辻󠄀元清美会長は、「衆議院解散が、いつあるか分からない状況。日本維新の会がライドシェアを推し進めており、これ以上、維新を増やすと大変なことになる。タクシー業界にとっても超党派の野党議員の議席を守り切らないといけない。野党が減らないように、各都道府県タクシー協会へ議連名簿を回し、都道府県タクシー協会の懇親会に議連議員を呼んでほしい」など団体へ釘を刺した。


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ニューヨークでのタクシー・ライドシェアの賃上げ差し止めに対する抗議のメッセージ  「ライドシェア」問題を考える市民会議

2022-12-19 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

Forum for Traffic Safety and Labor - a Japanese alliance of taxi unions, labor lawyers, researchers + NGOs against ridehailing is fully behind @NYTWA drivers protesting #Uber
greed on Monday.
Drivers in Tokyo just won a fare hike.
So should all our colleagues in NYC.
Solidarity!

市民会議は、日本のタクシー労組、労働弁護士、研究者、NGO等の連合体でライドシェアに反対する者ですが、NYTWAのドライバーが行う月曜の抗議行動を全面的に支援します。
東京の運転手は運賃引き上げを勝ち取ったばかりです。
NYCの仲間にも認められるべきです。
共に闘おう!


 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― https://www.forumtsl.org は、ニューヨークでのタクシー・ライドシェアの賃上げ差し止めに対する抗議と、行動への支援のメッセージを、ニューヨーク・タクシー・ワーカーズ・アライアンス(NYTWA)に送った。

 ニューヨーク・タクシー・ワーカーズ・アライアンス(NYTWA)が闘ってきた成果として、11月に、NYCのタクシー・リムジン・コミッション(TLC)が、インフレーションや生計費の急上昇を受けて、10年ぶりの賃上げ認め、12月19日施行が予定されていました。Uber運転手にも適用される内容で、時間当たりの賃金(報酬)が7.18%、マイル当たりのそれが16.11%上昇予定だった。
ところがUberがこれを差し止めるべく裁判所に申し立てを行い、これにより上記賃上げの施行が一時凍結され、この一時凍結に対して、TLCが異議申立中も、次回の裁判期日が1月31日とのこと。
Uberは、「運転手の行う仕事は大切なものですし、公正に報酬を受け取るべきですが、運賃は透明性・一貫性・予測可能性が確保されるように計算される必要があります。」などと言っているそうだ。
これを受けて、NYTWAは19日に抗議行動を行う。


関連記事
Court temporarily blocks NYC Uber drivers' scheduled pay raise
The rate increase was scheduled to go into effect on December 19th.

New York City Uber drivers won’t get a raise before the holidays after all. On Tuesday evening, a Manhattan Supreme Court justice granted Uber’s request for a temporary restraining order on drivers’ rate hikes scheduled to go into effect on December 19th. New York City’s Taxi and Limousine Commission (TLC) voted on the pay raise in November.

As part of the TLC’s new rules, Uber drivers’ per-minute rates would go up by 7.18 percent, and per-mile rates would increase by 16.11 percent. So, for example, a 7.5-mile trip taking 30 minutes would earn a driver at least $27.15 — $2.50 higher than the current rate. An inflation-based pay raise is also scheduled for March 2023.

Uber’s lawsuit suggests it would pass the extra costs onto riders while framing the worker raise as bad for business. It also claims the TLC’s hikes use flimsy calculations to lock in temporarily inflated gas prices. “Such a significant fare hike, right before the holidays, would irreparably damage Uber’s reputation, impair goodwill and risk permanent loss of business and customers,” the lawsuit said. In its response, TLC acknowledged that Uber charges 37 percent more today than in 2019, but it said the company is keeping money earned from fare hikes to itself rather than passing it on to drivers.

“This is a nasty stunt for Uber to pull on its drivers — especially right before the holidays. Even this would make Scrooge blush,” said Brendan Sexton, President of the Independent Drivers Guild, a Machinists Union affiliate representing the drivers. “While Uber has been recording record profits on its rideshare business, the drivers who make the service work have been stuck shouldering soaring expenses on their own. We fought hard to win this desperately needed increase to the minimum pay — and we will not let a billion dollar corporation snatch that victory from the 80,000 rideshare drivers who keep our city moving.”

The parties are due back in court on January 31st.

裁判所はニューヨーク市の Uber ドライバーの予定されていた昇給を一時的に差し止めた
利上げは12月19日に実施される予定だった。

結局、ニューヨーク市の Uber ドライバーは休暇前に昇給することはありません。火曜日の夜、マンハッタン最高裁判所の判事は、12 月 19 日に発効する予定のドライバーの値上げに対する一時的な差し止め命令を求める Uber の要求を認めました。ニューヨーク市のタクシーおよびリムジン委員会 (TLC) は、11 月に賃上げを可決しました。

TLC の新しい規則の一環として、Uber ドライバーの 1 分あたりの料金は 7.18% 上昇し、1 マイルあたりの料金は 16.11% 上昇します。たとえば、7.5 マイルを 30 分で移動すると、ドライバーの収入は少なくとも 27.15 ドルになり、現在の料金より 2.50 ドル高くなります。インフレに基づく昇給も2023年3月に予定されています。

Uber の訴訟では、労働者の昇給はビジネスに悪いと見なし、余分な費用を乗客に転嫁することを示唆しています。また、TLC の値上げは、一時的に高騰したガス価格を固定するために薄っぺらな計算を使用していると主張しています。訴訟は、「ホリデーシーズン直前のこのような大幅な料金の値上げは、Uber の評判を取り返しのつかないほど傷つけ、信頼を損ない、事業と顧客を永久に失う危険を冒すだろう」と述べた。これに対して TLC は、Uber が 2019 年よりも 37% 多い料金を請求していることを認めたが、同社は運賃値上げで稼いだお金をドライバーに転嫁するのではなく、内部に留めていると述べた。

「これは、Uber がドライバーを引っ張る厄介なスタントです。特に休暇の直前です。これだけでもスクルージは顔を赤らめるだろう」と、ドライバーを代表する機械工組合の加盟組織である独立ドライバーズ・ギルドのプレジデントであるブレンダン・セクストンは語った。「Uber はライドシェア事業で記録的な利益を記録しているが、サービスを機能させているドライバーは、高騰する費用を自力で背負っている。私たちは、この切実に必要とされている最低賃金の引き上げを勝ち取るために懸命に戦いました — そして、私たちの街を動かし続けている 80,000 人のライドシェア ドライバーから、10 億ドル規模の企業がその勝利を奪うことは許しません。」

両当事者は、1 月 31 日に法廷に出廷する予定です。


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11月18日(木)17時~19時 オンラインシンポ「交通の公共性を脅かす現下の諸問題」 『ウーバーイーツの光と影』予告編上映します❗ 交通の安全と労働を考える市民会議-ライドシェア問題を考える-

2021-11-10 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 世界では、プラットフォームのもとで働く人たちを保護する立法や政策が日に日に広がりつつあります。他方、ウーバーをはじめとするプラットフォーム企業が旅客運送市場への参入の機会を窺う日本はどうでしょうか。コロナ禍で急速に広まったウーバーイーツなどを題材に、現状について確認します。また、その多数がグローバルな大企業であるプラットフォーム企業において問題となっている租税回避の実態とその問題点について学び、それがプラットフォームのもとで働く者、そして社会にどのような影響を与えうるかについて考えていきます。

オンラインシンポ「交通の公共性を脅かす現下の諸問題」 
2021年11月18日(木)17:00~19:00
主催:交通の安全と労働を考える市民会議-ライドシェア問題を考える- オンライン(Zoom)開催
※事前予約必須です。以下のリンクまたはQRコードよりお申し込みください。
https://forms.office.com/r/Rvg9ci4eRc

【報告者】
〇諸富徹教授 グローバル企業の租税回避 京都大学大学院経済学研究科教授。グローバル企業の租税回避問題とその対案としてのグローバル課税に詳しく『グローバル・タックス国境を超える課税権力』(岩波新書)等著書多数。
〇川上資人弁護士 急増するギグワーカーとこれに対応する国内政策の欠如
〇棗一郎弁護士 労働者性を否定するウーバーの主張の問題点と、あるべき労働者性判断
〇浦田誠国際運輸労連政策部長 ギグワークに関する海外の最新の動向

【予告上映】
『ウーバーイーツの光と影』予告編上映

【参加方法】
https://forms.office.com/r/Rvg9ci4eRc  から参加申込
②イベント開催前に、当日参加用の Zoom リンクと資料をメールにて送信します。

【連絡先 】
交通の安全と労働を考える市民会議 事務局
連絡担当 弁護士山口広、同木下徹郎
Tel 03-3341-3133
東京共同法律事務所
【10 💪部屋5-45 BentOverRaw40kg DSwing20kg Situp】

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オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」

2021-06-15 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 6月10日、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourは、日本労働弁護団共催にて、オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」を開催した。
今年2月19日、イギリス最高裁判所は、Uberドライバーが労働者であり、最低賃金・有給休暇などの保護がなされるべきとの判決を出したが、このシンポでは、今回この裁判の原告ジェームズ・ファーラーさんをお呼びし、裁判の内容や経過について報告を受け、ギグワーカーの保護のあり方等について考えた。

 開会にあたり、代表世話人の一人、宮里邦雄氏(弁護士、日本労働弁護団元会長)は、「新型コロナウイルス感染症の拡大は、2008年のリーマンショック以上に、多くの雇用を奪っているが、一方で、ウーバーイーツをはじめ、ギグワーカー、プラットフォームワーカーと言われる『雇用によらない』働き方が急速に拡大している。しかしこれら雇用によらない働き方をする人は、我が国では個人事業主とされ、労働基準法、最低賃金法、労災も適用されず、すべてが自己責任となっている。さらに労働者に保証されるべき労働団結なども否定されているが、諸外国ではこれら労働者を保護する判決が相次いで出され、法改正も行われている。今日のシンポジウムではこうした働き方、働かせ方についてどのような取り組みが行われているが、諸外国の先進的な取り組みを学ぶ機会にしたい」と呼びかけた。



 James Farrar(ジェームス・ファーラー)さん
「UBERは単なる予約業者であって運送事業者ではないと主張する。
労働者の権利に責任は負わないし、乗客の権利に対する責任も負わず、乗客に対する責任はドライバーが負う。
税金もUBERは払わず、ドライバーに払わせるが、ドライバーも収入が10万ポンド以下なら払わない、UBERは税金を回避している。
プラットフォームは供給を過剰にする、ドライバーの数が多くなると料金を下げる、ドライバーは収入が下がるが、UBERは規模の拡大で稼ぐ。
イギリスの最低賃金は7ポンドだが、1時間に5ポンドしか稼げないが、キャッシュフローに気付いていない労働者は多い。
自動的に配車されることは、ミニキャブよりも公平だと思っているドライバーも多い。
UBERはフレキシビリティ(柔軟性や融通性を有している)と思われているが、アルゴリズムによる管理にフレキシビリティなどない。
自分の自由の時間に自由な場所で働けるというのは『幻想』だ。
何処でも働けるのではない、アルゴリズムに働かされているし、90時間働いて500ポンドなら、500ポンドで90時間という人の時間を奪っているのであって、UBERで無ければ500ポンドを45時間で稼げるかも知れず、UBERに自由はない。
ギグワークというのは、余った時間に働いているのではない、その時間は労働している時間だ。
私たちの運動によって労働者としての権利を獲得すると、同時に自由を失うという人もいるが、そもそも自由は幻想であって、ないのだ。
UBERは、仕事の割り当て(Work Allocation)、パフォーマンス、監視(Surveillance)をすべてマネージメントコントロールしている。
①自分は本当ならいくら稼げたのか、②自分の時間と車両は本当ならもっと活用できたのではないか、③与えられた仕事の質や量はほんとうならどれほどの価値があったのか、④契約解除された本当の理由は、これが、UBERのデータの価値評価を行う重要な鍵だ。
オランダで係争中の裁判では、アクセスの基準を設定する、アルゴリズムの透明性、自動化された決定を不服申し立ての根拠とすることなどが争点となった。
私たちがこの闘いで学んだことは、抵抗を乗り越えるのには時間と忍耐、そして良好な計画が必要であること、また、法廷闘争で足りることは決してないということだ。
成功に必要なのは、継続的なプレゼンス・組織化、恒常的なコミュニケーションとアドボカシー(一人ひとりが問題について知り、その原因について声をあげ、 解決のためにできることを訴えていくこと)、行動・法廷闘争、ストライキ、抗議であるが、それぞれが複合的になっていなければならない。
私たちは一貫性を失わなかった、5~6年、一貫性を持って闘ってきた、そのことによって信頼を勝ち取った。
常に存在感を発揮することが重要だ。
ウーバープラットフォームは世界各国ですべて共通している。一つの国の組織として闘うのではなく、皆で共にアプローチしていく必要がある。イギリスの仲間として共に頑張っていきたい。」



 背景を解説しておく。
英国のタクシーは「ブラックキャブ」の愛称で親しまれているが、そのライセンス取得は世界一難しく、試験に合格するものは受験者の3割に過ぎない。運転手は独立事業主だ。これに加え、予約専用の配車サービス・PHV(プライベート・ハイヤー車)がある。ブラックキャブより割安で、通称「ミニキャブ」と呼ばれている。タクシーの供給が不足していたロンドン郊外で1960年代から普及し全国へ広がった。長年白タク同然だったが、2001年から規制を設け、5年毎の更新を要する営業免許制とした。こちらも運転手は独立事業主扱いだが、ブラックキャブのような厳しい資格審査はない。
 ウーバーは世界中でタクシー業界に殴り込みをかけ、一般運転手が自家用車を使うライドシェアを強引に広め、「法律は後からついてくればよい」とうそぶき、違法サービスを正当化してきた。だが、英国では規制のゆるい「ミニキャブ」として営業する道を最初から選んでいたのだ(だからこそ、ロンドン交通局から2回もその免許更新を拒まれたことは大問題なのだ)。
 典型的なミニキャブ運転手は、週単位で会社に仲介料を払う見返りに、コントローラーと呼ばれる係から配車を受ける。ブラックキャブと大きく異なる点だ。運賃は事前に会社が設定しており、運転手は運賃収入から、仲介料、ガソリン代、車両保険などを負担する。車両はマイカーの持ち込みが一般的だが、会社からリースできる場合もある。仕事の始めと終わりを自分で決められるなど、好きな時間に働けることが魅力だと言われる。

 英裁判の原告は、元ウーバー運転手のジェームズ・ファラー氏とヤシーン・アスラム氏を筆頭とする 25人。ファラー氏は 2015年3月に乗客から暴行を受けた際、「仲介サービスのウーバーは事件と無関係」という会社の主張に納得せず、10週間かけて加害者の情報を警察に提出させた体験が、ウーバーとの雇用契約を考えるきっかけとなった。アスラム氏は同じ頃、安全問題に関わる会社のシステム不備をマスコミに告発したところ、アカウントを一時停止された。この前後にも組合運動に関わり、ウーバーからアカウントを一時停止されているが、英労働法では独立事業主は内部告発から保護されないため、労働者(就労者)として認定される必要性を感じていた。
 ウーバーは同年9月、英国で初めて一方的に手数料を引き上げたが、両氏はこれに抗議する集会などに参加していく。それ以前から会社は運転手をどんどん増やしたり、運賃を引き下げており、収入が法定最賃に達しない運転手が続出していたからだ。ファラー氏の場合、諸経費を差し引いた収入が時給換算で5.03ポンド(約755 円)だっ た月もあるという。当時の英最賃は、7.20ポンド。
 こうした経験を経て、ファラー・アスラムの両氏は、大手組合GMB(全国都市一般労組)の支援を受けながら、「ウーバー運転手は独立事業主ではなく、最低賃金や有給休暇を享受する権利を有している」という訴訟を起こす。雇用裁判所の審理は、2016年7月20日に始まった。
 それから4年半、2月19日、ウーバー運転手の労働者性を認める判決を下した。6人の判事は全員一致で、「運転手は就労者( worker )」という原告の主張を支持し、運転手がアプリにログインしている間を勤務時間とみなすべきと結論付けた。
ウーバーは、2016年10月に雇用裁判所で敗訴して以来、4連敗となった。「運転手は独立事業主」とか「事業は予約代行サービス」という同社の主張は、初審から「ばかげたもの」と退けられ、裁判で一度として認められることはなかった。判決は、運転手が会社に従属している根拠として、改めて次の点を挙げている 。
〇 ウーバーが運賃を決め、運転手が稼げる金額を設定している。
〇 ウーバーが契約条件を設定し、運転手側に発言権がない。
〇 乗車リクエストはウーバーに制約されている。ウーバーは運転手があまりにも多く乗車拒否した場合にペナルティを課すことができる。
〇 ウーバーは5つ星評価を通して運転手のサービスを監視し、警告を繰り返しても改善されない場合は契約を終了する権限を持っている。
 英裁判で原告が認定を求めた「就労者(worker )」とは、 労働者( employee )と 個人事業主( self employed )の中間に位置づけられる英国独自の雇用類型だ。英裁判で原告が従業員ではなく就労者の地位を追求したのは、「それが組合員の求めたことだったから」とファラー氏は解説する。背景には、多くのウーバー運転手が「ミニキャブ」出身者だったという英国独自の事情があるという。


 シンポジウムではその後、市民会議事務局の木下徹郎弁護士の進行で、ウーバーイーツユニオンを支えている川上資人弁護士、日本労働弁護団の管俊治弁護士、ITF(国際運輸労連)の浦田誠部長が、参加者の質問なども踏まえて、ジェームスさんとディスカッションを行った。
今回のシンポジウムでは、全体で160名、内訳として、事業者や労働組合関係以外に、国会議員7人、労働弁護団から37人、大学関係者や学生が25人、マスコミ関係10人などの参加があった。

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オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」を開催します❕❕

2021-06-10 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourは、日本労働弁護団共催にて、以下のオンラインシンポを企画しました。
是非ご参加いただき、また参加を広く呼びかけていただけますと幸いです。【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/611879/

イベント名:『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~

集会の趣旨:今年2月19日、イギリス最高裁判所は、Uberドライバーが労働者であり、最低賃金・有給休暇などの保護がなされるべきとの判決を出しました。今回この裁判の原告ジェームズ・ファーラーさんをお呼びし、裁判の内容や経過について質疑討論を行い、ギグワーカーの保護のあり方等について考えていきます。

日時:2021年6月10日(木) 18:00~20:00

内容:
1 Uberイギリス最高裁判決獲得までの闘いとその後
   ジェームズ・ファーラー(Uberイギリス裁判原告)
2 討論 
 ジェームズ・ファーラー
 浦田誠(国際運輸労連政策部長)
 菅俊治(弁護士 日本労働弁護団常任幹事 UberEats労働委員会事件代理人)
 川上資人(弁護士 日本労働弁護団常任幹事 UberEats労働委員会事件代理人)
3 参加者質疑     

開催場所:Zoom(ウェビナー予定、事前申込必須)
参加費:無料
参加方法:下記URLをクリックすると、申し込みフォームに繋がります。必要事項を回答し、お申し込みください。

【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/611879/

お申し込み後、ご登録いただいたe-mailアドレス宛に登録確認のメールが送信されます。
イベントの接続先URL及び事前配布資料等は、登録いただいたe-mailアドレス宛に事前にお送りいたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。

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オンラインシンポジウム「コロナ禍で交通の安全が危ない!~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」を開催した

2021-02-18 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 2月16日、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― www.forumtsl.org は、「コロナ禍で交通の安全が危ない!~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」をテーマに、初めてのオンライン集会を開催した。

 オープニングは少しもたついたが、予定通り17:30に開会、主催者として、代表世話人の宮里邦雄弁護士(日本労働弁護団元会長)がオープニングの挨拶をおこなった。

 最初のスピーカーは、「コロナ禍による公共交通への影響」について、戸崎肇桜美林大学航空マネジメント学群教授。
コロナ禍前の公共交通では、路線バスでは、地方は人口減少とマイカー社会の進展⇒公共交通に対する需要の減、都市部は運転者不足⇒収益が見込まれても運行便数の削減、貸切バスはインバウンド需要の急増⇒供給体制の逼迫化、コミュニティ・バスは運転者不足による事業継続性の困難化、という問題を抱えていた。
コミュニティの重要性と地方交通の限界性が課題となっていて、住民による自主的取り組み(顔の見える助け合い)、地方交通会議の機能性、交通行政の在り方(継続性、行政機関間の連携性)、首長の取り組み姿勢の重要性をいかに克服するかが課題であった。


 しかし、コロナ禍は、インバウンド需要の激減(2019年3188万人⇒2020年411万人)、外出自粛による移動需要の減少⇒特に夜間外出の制限は、タクシー、鉄道に大きな影響を与える、テレワークやオンライン会議など「働き方改革」の推進、「巣ごもり需要」⇒「ウーバーイーツ」などギグ・エコノミーの躍動、スマートシティ、MaaSなどの動き、GO TO キャンペーンの評価などの事態をもたらした。
そういった中で、「混乱の中で、拙速な対応がとられないように注視すること。」「今だからこそ、公共交通の存在意義について問い直し、その維持・向上のための体制を再構築すること。」「公共性、安全性」「他の政策目的との連動性」について取り組まなければならないと述べた。

 続いて、市民会議事務局で、日本労働弁護団常任幹事・本部事務局次長、ウーバーイーツユニオン法律顧問の川上資人弁護士が「『ライドシェア』の問題点について~コロナ禍のギグエコノミーから考える~」についてスピーチ。


 私たち市民会議は、2016年8月に発足以来、🔼のように運動を展開してきた。
私達は、世界で展開し、日本にも入ってこようとしているライドシェアは、①一般ドライバーが旅客運送をすることの安全上の問題、②「ライドシェア」企業(ウーバー、リフト等)が法律上の責任を一切負わないという問題、③ドライバーに労働法が適用されない(契約の一方的変更、解約が横行。労災不適用。労働組合の否定。)問題、④「ライドシェア」企業は、利用者、ドライバーの両者に対して一切責任を負わない問題、⑤法定の安全管理義務を履行するタクシー業者との不公正競争の問題、があるとして、交通の安全と労働を考える、「ライドシェア」問題を考えるために運動を展開してきた。
ライドシェアが世界中でもたらしてきた問題、具体的には、①対ドライバー⇛雇用責任の不在、②対利用者⇛運送責任の不在等、③度重なる違法行為、④公共交通の破壊、⑤交通渋滞による環境破壊、⑥必要性の欠如、⑦誰のため?、という問題点について指摘してきた。


 今、コロナ禍で明らかになったギグエコノミーの実態(ウーバーイーツ)は、①多数の配達員が配達市場に流入、②仕事量の減少と賃金の低下、③事故の増加(労災不適用、休業補償なし)、④被害者の放置、⑤プラットフォーム企業は労働者、利用者のどちらに対しても一切法的責任を負わない。
そして、このことで、ギグ・エコノミーがどのような結果をもたらすかが明らかになった。
ひとつは、労働組合の否定と賃金の低下。
「団体交渉は、先進国において、包括的成長をもたらす重要なツールである。アメリカにおいては、賃金格差を縮小させるのに重要な役割を果たしていた。」「労働者の賃金において、組合賃金プレミアム(union wage premium)は大きな割合を占める。特に低中所得者層にとってその割合が大きい。- “Report of the Commission on Inclusive Prosperity”, Center for American Progress, 2015年1月」「『シェアリングエコノミー』は、労働者を個人事業主とすることで、労働組合を排除する。」、ハーリー・シェイクン教授(カリフォルニア大学バークレー校)、「『シェアリングエコノミー』は、多くの場合、組合を回避するための経営者の戦略だ。ウーバーやリフトは労働者を個人事業主と位置付けることで組合の結成を回避している。」ということ。
そして、労働法、社会保険の不適用。
「『シェアリングエコノミー』の働き方は、リスクを企業から個人の肩の上に移すものだが、往々にして労働者はどのようなリスクを引き受けているのかを正しく理解していない。」(2015年1月26日ワシントンポスト)、社会保障費の増大
「社会保障のない『シェアリングエコノミー』で得る仕事が唯一の収入源の場合、労働者と国家が社会保障のコストを負担することになる。」(“Report of the Commission on Inclusive Prosperity”, Center for American Progress, 2015年1月)
だから、同じルールの下で、「不公正な競争⇛劣悪な労働条件⇛利用者の危険」ではなく、「公正な競争⇛健全な労働条件⇛利用者の安全」を求めていかなくてはならないと訴えた。

 最後に、浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長が「世界各国のギグエコノミー・ライドシェアの現状」について報告。
昨年1月、カリフォルニア州は配車サービスなどで単発的に働く、いわゆる「ギグワーカー」を請負業者ではなく従業員として扱うよう義務付ける新法「AB5(Assembly Bill 5)」を施行したが、11月3日行われた住民投票で、同州の運転手を社員とみなす取り組みから両社のビジネスモデルを守る措置が承認された。
カリフォルニア州の新しい労働法「AB5」はギグエコノミー企業の運転手に社員と同じ福利厚生を提供することを目指したものだが、こうした企業は自社の運転手をAB5の対象外にするためプロポジション22を立案し、これに関連して数億ドルを投じてキャンペーンを展開してきたが、ウーバーやリフトの主張が通ったという結果だ。

 一方で、ギグ労働者の労働者性をめぐる裁判では、フランスの2つの裁判、イタリア、スペインでは、最高裁で労働者性を認める判決が出、オーストラリア連邦裁では詳細は非公開だが和解、イギリス最高裁では、2月19日に判決が出る予定だが、これまでの下級審では原告が勝訴している。


 また、ノルウェー、オーストラリア、韓国、デンマーク、スウェーデンでは、ギグワーカーが加盟する労働組合との労働協約が締結された事例を紹介。
特に、ウーバーマン(ウーバーを、デンマークから完全撤退させる運動の起爆剤となった映像クリップ Uberman på plejehjem)を作ったデンマークの合同労連と商工会議所が締結し、ジャストイートが直ちに調印した中央労働協約の内容について詳細に報告した。



 今回のオンラインシンポは、全体では100名の参加で、国会議員も衆議院・参議院合わせて、27名が参加してくださった。
参加していただいた議員を代表して、道下大樹衆議院議員(北海道1区)、小沼巧参議院議員(茨城県)から、今回のシンポであぶりだされた政策課題について発言していただいた。
参加者からの質問を受けた後、最後に事務局の山口広弁護士(内閣府消費者委員会元委員)の閉会挨拶で、シンポジウムを終了した。

 シンポジウム終会後、デジタルデバイドの関係もあって、発信基地とした田町の交通会館(連合東京会議室)に集まったメンバーでの総括では、初めてのオンラインシンポジウムが、運営的にはぎくしゃくしながらも、多くの皆さんに、そして地域を越えて参加していただけたことに手応えを感じ、味を占め、オンラインならではの企画を議論。(各地方で開催する、海外から招聘する等に比較すると、いや、比較するまでもなく費用が掛からない、日本中、いや世界中の皆さんと共有出来る、などなど、たいへん企画側としては自由度が上がった!もっと工夫すれば時間的制約も超えられそうだ)
ということで、今のところざっくりながら、
■市民会議がこれまでにギグワークについて示した懸念が、コロナ禍の中でウーバーイーツなどで現実化していることをクローズアップしたイベント
■イギリスの元ウーバー運転手で労働者性を裁判で争っている原告を招いて、お話を聞くイベント
■地域の公共交通の現状と、その対策について考えるイベント
などがアイディアとして挙がったので、しっかりと練り込んでいきたい。

 反省点も大いにあった。
うちの組織からの参加者が少なかったことが痛恨、告知が弱かったことを反省しつつ、縦はもちろんのこと、横についても、次はもっと工夫をしたい。

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開催告知 オンラインシンポジウム「コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」

2021-02-09 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― www.forumtsl.org は、「コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」をテーマにオンライン集会を以下の通り開催する。

集会名:コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題

集会の趣旨:各分野の公共交通機関の危機・衰退が深刻化する中で、ギグエコノミー・ライドシェアの増大による雇用社会の崩壊の危機が進行しつつあります。そこで3氏の話を聞き、国会議員にもご参加いただいて一緒に考えましょう。

日時:2021年2月16日(火) 17:30~19:00

内容:
1 コロナ禍による公共交通への影響 戸崎肇桜美林大学教授・市民会議代表世話人
2 雇用によらない労働者の現状と課題 川上資人弁護士 早稲田リーガルコモンズ法律事務所・市民会議事務局
3 世界各国のギグエコノミー・ライドシェアの現状 浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長

開催場所:Zoom(事前申込必須)

参加費:無料

参加方法:下記URLをクリックすると、申し込みフォームに繋がります。必要事項を回答し、お申し込みください。

 【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/608207/

お申し込み後、ご登録いただいたe-mailアドレス宛に登録確認のメールが送信されます。

そちらに集会の接続先URLが記載されていますので、必ずご確認ください。

また、追って事前配布資料等をお送りいたします。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。


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ITF(国際運輸労連)発 ライドシェア・2020年「10大ニュース」

2020-12-23 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

1. 病は治るが癖は治らぬ
 数年前まで世界中でタクシー業界に殴り込みをかけていたウーバーが、「最近はかわった」と評価する声を今年あるところで耳にしました。本当でしょうか。日本では、「違法ライドシェアはやらない」と優等生ぶりを発揮して東京などでタクシー会社との協業を進めています。けれどもそれは、ライドシェアが日本で合法化されても導入しないということなのでしょうか。ドイツでは、「法律は守るが、古い交通法規は改めるべき」と主張しています*1。日本の未来も、この言葉から映し出される気がします。
事業の根幹である雇用によらない働き方(ギグ労働)を改める姿勢はまったく見られません。米カリフォルニア州では今年、ギグ労働者の保護をうたう州法「AB5」が施行されましたが、ウーバーを筆頭とするギグ企業の連合軍はこれに猛反発。2億ドル(206億円)の資金を投じて、AB5を骨抜きにしました。11月の住民投票で6割の賛成票を獲得し、ライドシェアやフードデリバリー(食事配達)を適用除外としたのです*2。法律が金によって書き換えられた歴史的瞬間でした。



 その後、ウーバーは別件でカリフォルニア州の公共事業委員会(CPUC)から5900万ドル(61億円)の制裁金を命じられ、30日以内に支払わなければ、同州での営業免許は来年1月中旬に取り消されます。CPUCは、過去2年間に全米で5981件の性暴力事件があったことを2020年に認めた同社に対して、同州で起きた事件の詳細報告を求めたのですが、ウーバーはこれに従わなかったのです。
平均で一日8人以上の被害者が出たことについてウーバーは、その間の配車件数は23億件だったので、サービスの99.9%は安全面で問題ないと居直っています。日本のタクシー労使のように「公共交通の使命を果たす」という意識はそこにないのです。規制機関の監督を嫌い、ルールを破って金で決着するというその傲慢な態度は今も変わらぬままです。
 過疎地の輸送を支援するともアピールしてきたウーバーですが、目立った成果は今年あったのでしょうか。イニスフィル(カナダ、人口3.6万人)の交通空白地帯ではこの3年間、バスに代わる相乗りサービスを提供しています。利用者は増えましたが、行政のコストはかさみ、データの共有もないため、これなら地元企業で良かったという中間評価が出ています*3。
*1. Uber’s Khosrowshahi Calls for Changes in German Law (Bloomberg, 2020/10/18)
*2. ギグ労働者保護法が骨抜きに/米加州の住民投票で/ウーバーなどの作戦が成功(連合通信、2020/11/10)
*3. Is Uber the future of public transit in rural communities? (Now Magazine, 2020/11/8)


2. ロンドンをめぐる攻防
 ロンドン交通局(TfL)は一年前、「顧客を危険にさらすような失敗が繰り返されている」とウーバーの営業免許を更新しませんでした。2017年に続く2回目の重大ペナルティです。前回は、「企業責任に欠けている」ことが理由でした。このときウーバーは謝罪文を公表して会社の改革を誓うという謙虚な姿勢を見せたのですが、わずか2年で再びTfLから問題視されたのです。今回もウーバーはこの措置を裁判で覆し、18ヵ月という期間限定の免許更新を得ました。
 インドのオラは今年2月にロンドン市場に参入しましたが、無認可サービスがすぐに1000件を超え、同社も10月にTfLから免許を取り消されました。オラは現在抗告中で、この間の営業は認められます。
 ウーバーはまた、英歳入関税庁に付加価値税(VAT)の未納金15億ポンド(2000億円)を支払うことで同意しました。運転手と乗客を結ぶマッチングサービスだから、運賃のVATは運転手の負担だという主張は認められなかったのです*4。
*4. Uber UK forced to Pay Up £1.5bn in VAT - Why Competition Laws are Necessary? (Business Recorder, 2020/10/23)

3. 進む欧州のハイタク規制緩和
 ノルウェーでは、11月からタクシーの台車規制や無線配車のルールが緩和されました。ライドシェアが違法のこの国で、ここ数年は有資格運転手によるハイヤー営業に限定していたウーバーですが、今回の規制緩和により事業を拡大すると見られています。ベルギーのフランドル地方でも台車規制が取り払われた上、会社ごとに運賃が設定できるため、ウーバーが再進出しています。
 オーストリアは、タクシーとレンタカーを同じ法律で規制する方向に進んでおり、「割を食うのはわれわれだ」と反発するタクシーの労使は、数千台の車両を動員して首都ウィーンで2回の大抗議行動を展開*5。ドイツでは、旅客輸送法の規制緩和が議論される中、ウーバーのコスロシャヒ最高経営責任者(CEO)が、「この国で法律を守って事業を定着させたい。だが、古い交通法規は改めるべきだ」と発言したのでした。
*5. Taxi-demo in Wien Gegen Ein „Gesetzlich Verordnetes" Lohn-Und Sozialdumping (Taxi Times, 2020/11/26)

4. ライドシェア規制の動き
 南米コロンビアで政府から営業停止命令を受けたウーバーは、ライドシェア事業を中断したわずか20日後には、乗客が一時間単位で運転手付きレンタカーを利用できるサービスとして再登場しました。過去に台湾などで使ってきた手法です。その後、国はウーバーのデータ保護方法が不十分だと4ヵ月以内に改善するよう命令。怠れば、46万ドル(4800万円)の罰金となります。
 ウーバーの違法営業を争う裁判が続いていた香港で、最高裁にあたる終審法院は9月、同社の上告を棄却しました。韓国では、旅客自動車運輸事業法が改正されたことにより、配車サービスのタダは、ライドシェアをやめ、タクシー事業へ進出することを決めました。インドでは国が初めて、ライドシェア企業が運転手から徴収する手数料を乗車料金の最大20%に制限。米シアトルで来年1月から、ニューヨーク市に続いてライドシェア運転手に最低賃金が適用されます。

5. 労働者性を認める最高裁判決
(1) ライドシェア関係

 フランスの最高裁判所にあたる破毀院は3月、「ウーバーとその運転手の間には雇用関係がある」と判決しました。判決文は、「デジタルプラットフォームを介してつながっている際、両者の間には従属関係が存在する。運転手は独立事業主だという主張は、フィクションだ」と記しています。特筆すべきは、英国やイタリアには労働者と独立事業主との間に中間的な類型があるとしながらも、「フランス法においては、独立事業主と労働者という2つの地位しかない」ことを再確認している点です。この決定が直ちにフランスですべてのウーバー運転手に適用されるものではありませんが、最高裁が初めて判断を示したケースであり、2017年に欧州司法裁判所(ECJ)が下した「ウーバーは運輸業」と言う判決に次いで重要なものです*6。
 米ペンシルバニア州の最高裁は7月、元ウーバー運転手が失業給付の支給を求めて起こした裁判で、原告支持の判決を下しました。ニューヨークのタクシー労働者連盟(NYTWA)は裁判闘争を通じて、同州のライドシェア運転手がコロナ禍の下で失業給付を受けられるよう運動に取り組んでいます。ウルグアイでは今年、労働裁判所が元運転手の労働者性を認めました*7。
 いっぽう気になるのはECJが12月に出した「タクシー運転手と乗客を直接マッチングさせるだけのアプリサービスは、運輸業として規制しなくてよい」という判決です。こうしたサービスを提供するルーマニアのスタータクシーにブカレスト市が罰金を課したことが事件の発端でした。「ウーバーは運輸業」というECJの司法判断が覆るものではありませんが、今回の判決をウーバーなどライドシェア各社が歓迎しています*8。
*6. フランス最高裁がウーバー運転手に雇用関係を認める判決(月刊労働組合2020年4月号)
*7. Tribunal confirmó un fallo que obliga a Uber a pagar aguinald y salario vacacional a un exchofer (El Observador, 2020/6/3)
*8. EU court ruling delivers win for Uber, ride-hailing apps (Politico, 2020/12/3)


(2) フードデリバリ―関係
 イタリアとスペインでは、誤分類を争った食事配達員の勝訴が最高裁で確定しました。カナダのオンタリオ州労働委員会は3月、フードラの配達員は依存的契約労働者(dependent contractor)であるという判決を下しましたが、同社はその後カナダから撤退しています。ジュネーブの裁判所もウーバーイーツ配達員の労働者性を認めましたが、これを不服とする同社は連邦裁判所に控訴。フィンランドでは労働委員会が、食事配達員は労働者であり個人事業主ではないという見解を発表。「拘束力はないが、重要な指針となり、プラットフォーム経済で働くものに影響を与える」と労働大臣が評価しました。

 ウーバーで働くものが同社を訴えた場合、どの国の法律が適用されるのか。カナダ最高裁は6月、「カナダのウーバー運転手や食事配達員は、同社が海外事業本部を置くオランダの法律の下で争う必要はない」と、業務委託契約に記された「オランダでの仲裁」は無効としました。優越的な立場にある大企業が、交渉力で圧倒的に不利な者に、そうした契約を求めるのは不当だと断定したのです。メキシコなど多くの国で配達員が交通事故で死傷していますが、遺族らは補償を求めたくてもオランダまでの渡航費用はなく、泣き寝入りしています*9。
*9. ウーバーの労働者が勝訴/カナダ 最高裁/オランダ国内法の適用を否定(連合通信、2020/7/21

6. アルゴリズム裁判はじまる
 裁判関係ではまた、人工知能(AI)が労働者の労務管理や人事査定に関与することに挑む訴訟が起きたのが今年の特徴です。
 欧州連合が2年前に施行した「一般データ保護規則(GDPR)」は、インターネットを介して個人情報の商業利用が急速に広まる中、個人の権利と企業活動のバランスをはかることをめざした新法です。個人情報開示請求権とも呼ばれています。今年は、ライドシェア運転手を組織する英国のアプリ運転手・配達員労組(ADCU)のメンバーらが、このGDPR違反でウーバーとオラを訴えました。理由を明示されずに会社からアカウントを停止(解職)されたり、報酬の計算方法が不明瞭であることがしばしあるため、原告らはウーバーに乗務記録などの情報開示を求めてきたのですが、回答は不十分かつ不誠実だったのです。
 働く仲間たちは今年、AIというブラックボックスをこじ開けようと闘い始めたのです*10。
*10. AI評価の全容を明かせ~見えない労務管理に立ち向かう(私鉄新聞相鉄版、2020/10/13)

7. 台頭したフードデリバリー労働者の運動
(1) 名ばかりのヒーローたち

 5年前に遡ると、世界中でライドシェアの進出に反対するタクシー運転手の抗議行動が起きていました。その後こうした反対運動に代わり、ライドシェア運転手が「儲かったのは最初だけ」と、一方的に諸条件を切り下げる各社に各地で抗議するようになりました。2020年の特徴は、一連の抗議行動の「主役」がライドシェア運転手ではなく、同じギグ労働者であるフードデリバリーの配達員だったことです。
 南米では一斉ストが3回続き、台湾、タイ、ベトナム、イタリア、南アフリカなどでも収入減に抗議したり、事故補償の改善を求める運動が起きています*11。南米の仲間たちはソーシャルメディアを使って欧州やアジアの組合に呼びかけ、10月8日に国際抗議行動デーを実現。日本からは全国ユニオンが連帯のメッセージを発し、ウーバーイーツユニオンもエールを送りました。
 オーストラリアでは9月以降、5人の配達員が2ヵ月の間に交通事故死しました。シドニーのウーバー社前で抗議集会を開いた運輸労組によれば、コロナ禍の下、食事配達員たちは「ヒーロー」と称賛されてきましたが、その手取りは時給換算でわずか10豪ドル程度(800円)。最賃の保障がないため、配達回数を増やして稼ごうとし、先を急いで事故に遭うのです。
 試行錯誤を伴いながら、各地で組合・運動づくりも進んでおり、1月には世界16ヵ国からライドシェア運転手やフードデリバリー配達員の組合がロンドン近郊に集まり、国際アプリ運輸労働者連合(IAATW)の結成を宣言しました。
*11. 論考-食事配達員の国際労働運動と労働者性をめぐる海外の判例動向 (前編)(労働者の権利、2020年秋号)

(2) 例外的な労使の対話
 欧州では先駆的にこうしたフードデリバリー労働者の運動が国境を越えて広まる中、英ジャストイートは配達員を時給制で雇い、最賃、年休、年金などを保障すると発表しました。これは、今春に同様の措置をとる蘭テイクアウェイと合併したためであり、ウーバーイーツなど他社も欧州で変更を迫られることになると言われています。ただ、関係組合は「些細なミスでもすぐ配達員をクビにする会社」*12と指摘しており、組合づくりをさらに進め、働くものの保護をめざします。
 韓国では、食事配達の業界団体、大手3企業と2労働組合が、「プラットフォーム経済発展とプラットフォーム労働従事者の権益保障に関する協約」を結びました。任意の社会協約であり、労働者を直ちに従業員と認める内容ではありませんが、「労使関係が対立的と言われている韓国で、労使が自律的に協約を結んだこと」に意義があるとされています*13。オーストラリアでは、ドアダッシュが運輸労組とコロナ感染対策に関する協定を結び、コロナ陽性と判定された配達員に対する財政援助などを取り決めました。
*12. Gig economy is en route to deliver on pay: Food delivery giant Just Eat offers its drivers an hourly wage piling pressure on rivals to follow suit (Daily Mail, 2020/12/9)
*13. 韓国プラットフォーム配達労働に関する画期的な協約(JILPT統括研究員・呉学殊、2020/10/21


【表2】フードデリバリー会社と海外進出状況

2020年10月現在 *ライドシェア社として起業

8. コロナ禍でライドシェア激減
 フードデリバリー労働者の運動が台頭した背景にあるのは、コロナ禍による社会の激変です。ライドシェア利用者は大きく減りましたが、オンラインによる食事配達の需要は急増しています。ウーバーの4-6月決算では、イーツの売り上げが前年比で2倍となり、3分の1に落ち込んだライドシェアを初めて逆転。コスロシャヒCEOは7月、「将来的にライドシェアは事業の5割を占める程度」と発言しました*14。同時に、ウーバーイーツは「注文1件につき3.36ドル(360円)の損失を出している」という市場調査もあり*15、持続的な事業となりうるのか疑問視する声も強いのです。ウーバーイーツは、地場企業に競り負けたインドや韓国から撤退しました。
 なお、ウーバーは今年初めに、「調整後EBITDA」ベースで黒字化を年内に達成すると宣言しましたが、コロナ禍によりその目標を撤回。その後、ウーバーイーツの好調が続き、ライドシェアの需要減も底打ちしたとして、2021年の黒字化に目標を再設定しました。しかし、専門家の間には、「財務指標として一般的ではない調整後EBITDAを使用した収益の予測は不正確であり、ばかげている」という厳しい指摘もあります*16。
*14. Uber CEO Dara Khosrowshahi says ride-hailing will make up only 50% of the company's business moving forward as food delivery growth surges (Business Insider, 2020/7/11)
*15. ウーバーは競合買収をいつまで続けるのか?(Forbes Japan, 2020/7/17)
*16. バフェットの側近がダメ出し…ウーバーが業績予測に使う指標には意味がない (Business Insider, 2020/2/19)


9. 事業の再編と合併が加速
 コロナ禍で大きな打撃を受けた各社は、社員の大幅削減を断行しました。事業再編も加速しています。ウーバーは電動スケーターのシェアサービスを売却したのに続き、自動運転部門と「空飛ぶタクシー」事業も売却すると12月に発表しました。いっぽう欧米でオンデマンドのバスやハイタク事業を買収し、米シカゴ、豪シドニーやNZのオークランドでは、自社アプリで公共交通とライドシェアの料金を比較できる機能を加えました。南米では従来の戦略を転換し、タクシー会社との協業を進めるとのことです。
 このように、これまで敵対・排除の対象だった公共交通事業を自ら担う側にウーバーが回り始めたのも今年の特徴です。米国ではまた、食事や日用品を配達するポストメイトを買収。厳しい取り締まりに音を上げて撤退した韓国では、SKテレコム社と共同事業を立ち上げ、再進出の機会をうかがっています。
 ライドシェア専業だった米リフトも、デンバーで公共交通を同じアプリで利用できるようにしたほか、食事や日用品の配達を本格的に検討しています。2020年はまた、リフトの筆頭株主である楽天が経営から手を引いた年でもありました。
 東南アジアの2強、グラブとゴジェックは、両社の統合を協議中です。オラは、2年前に進出したオーストラリアで苦戦しており事業を縮小。ドイツ鉄道(DB)のライドシェア「クレバーシャトル」には三井物産が資本参加していますが、ベルリンなどから撤退し、残す営業は独2都市となりました。ゼネラル・モーターズの「メイブン」は、サービスを終了。3年前に起業したエジプトのスワブル(Swvl)はヨルダンに進出しましたが、こうした事例は少なく、ライドシェア市場に新規参入者がなかったのも今年の特徴です。


2020年7 月現在

10. どうなる日本の地域・交通と労働?
(1) ライドシェアをめぐる動き

 最後に日本における2020年の主な出来事ですが、1月に経済同友会が発表した「日本版ライドシェアの速やかな実現を求める提言」は、本文わずか8ページ(4000字)の内容で、海外事情には誤記もある拙策でした。
 5月には、充分な審議がないままスーパーシティ法案が国会で成立。竹中平蔵氏は、「一つの典型的なイメージとして、スーパーシティでは車の自動走行、ライドシェア、遠隔医療、遠隔教育などが可能になる」と述べています*17。交通の安全と労働を考える市民会議は7月、「スーパーシティを考える」と題した院内シンポジウムを開催。11月18日に開かれ、ハイタクフォーラム(全自交労連、交通労連、私鉄総連)や全タク連の代表が多くの国会議員と共に参加したタクシー政策議員連盟総会は、改めてライドシェア反対を確認しています。
 タクシー会社との協業では、ウーバーよりも多くの都道府県に進出していた滴滴出行(DiDi)が、7月に全国11県でタクシー配車サービスを一斉に中止。いっぽうウーバーは今年ようやく東京へ進出。クルー(Crew)は、東京の謝礼式ライドシェアも過疎地の実証実験もすべて年内にやめるとのことです。
 大津市は市長の交代に伴い、ライドシェアを含めた国家戦略特区構想を取り下げ、フィンランドのマースグローバル(MaaS Global)は12月に千葉県柏の葉で、MaaSの実証実験を三井不動産と共同で開始しました。
*17. スーパーシティの成否を握る2つの鍵・住民理解の形成と試されるトップの意志(事業構想、2020年11月号

(2) フードデリバリーは戦国時代へ
 ウーバーイーツが30都道府県へ進出を果たす中、ディデイフード、ウォルト、フードパンダや韓国のフードネコが次々と市場に参入し、これを出前館らが迎え撃つという日本の図式は、戦国時代の様相です。各社とも他社との違いを配達員や利用者にリップサービスしており、ウォルトについて朝日新聞(11月10日)は、「配達員に最低報酬、団交OK…ウーバーじゃない宅配代行」という見出しの取材記事を掲載しました。
 しかし、例えばデンマークでは当該労組と協議はするものの、労働(団体)協約の締結は先延ばししているのが実態です。事業開始にあってはどの会社も配達員を厚遇しますが、その後一方的に報酬体系をかえたり、手数料を引上げる実例が世界中で見られます。
 ウーバーイーツユニオンは、運営会社のウーバー・ジャパンなどが団体交渉を拒否しているのは不当労働行為にあたるとして東京都労働委員会に救済を申し立て(3月)、東京労働安全衛生センターと事故調査を実施しました(7月)*18。
*18. 事故調査プロジェクト報告書(ウーバーイーツユニオン、2020/7/21


(3) 未来を見据えた議論を
 アマゾンフレックスなど、ギグ労働が物流分野に広まったのも今年の特徴です。国際運輸労連(ITF)のポスターニュースでも触れているように、人流・物流を問わずインターネットを介した輸送サービスは今後ますます多様化し、人口知能(AI)はどんどん進化していきます。
 そうした時代に私たちの地域・交通と労働はどうあるべきなのか。2021年よりずっと先を見据えた議論がいま必要なのです。
【🏃Run6-86 5.01km 32:02 平塚駅】【23 💪部屋5-59 DShoulderPress15kg UpLightRaw15kg RearDertoidRaize 5kg CrunchBall】

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交通の安全と労働を考える市民会議~ライドシェアを考える~は 「スーパーシティを考える~市民の暮らし方、働き方~」院内学習会を開催

2020-07-30 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議~ライドシェアを考える~は、2020年7月27日、衆議院第二議員会館多目的ホールにて、久しぶりのシンポジウムを開催した。
昨年11月の「院内シンポジウム『ライドシェア』の問題点について~台湾の取組みから考える~」以来の開催となったが、COVID-19の感染が拡大する中、、感染防止対策に慎重を期してのシンポとなった。

 今回のテーマは「スーパーシティを考える~市民の暮らし方、働き方~」。
「スーパーシティとその問題点」について、内田聖子さん(アジア太平洋資料センター事務局長 市民会議代表世話人)、「プラットフォームビジネスとフリーランス」について、山崎憲さん(明治大学准教授)、「ライドシェアの最新の海外動向」について、浦田誠さん(国際運輸労連(ITF)政策部長)からそれぞれ講演をいただいた。
AI(人工知能)とビッグデータを活用し、自動運転やキャッシュレス、遠隔医療や遠隔教育など、生活全般をスマート化した“丸ごと未来都市”を構築する「スーパーシティ法案」が先の国会で成立した。
国会議論で、片山さつき議員が「高齢化が進んだ中山間地の過疎地に、ビッグデータやITやAIや自動運転等、ロボティクスの技術、それを全部まとめてやって、まあまさに桃源郷ですね、お年寄りは多いけどすごいわと、全く安心で大変快適でクリーンで合理的だわという町づくりができる!」などとのたまっていたが…。
当初のスーパーシティ法案は、内閣法制局に「憲法違反」とされた経緯があったが、コロナ禍の中、ほとんど審議されずにあれよあれよと成立してしまった。


 内田聖子さんは、スマートシティについて、
「論点①『住民合意』について、議会の関与は条文上規定がないこと、計画を具体的に議論する『区域会議』に住民参加の規定がない(自治体が必要と考えれば参画させることが出来ることのみ)となっている問題」
「論点②『個人情報の保護』について、データの一元管理はしないと言っているが…、マイナンバーとの連携について政府はその可能性をすべて排除していない…、行政機関個人情報保護法の抜け穴とならないか…、本人同意の必要ないマスデータの扱いは…、オプトイン方式ではサービス受益者は限定的でないか…、データやサーバーのローカライゼーションも事業者に義務づけていない…などの問題」
「論点③『事故・事件やサイバーセキュリティ』の問題」
「論点④「地域主権・自治の視点から』について、参加したくない人の権利は?(行政上の不平等が生じてはならない)、究極は『自治体の民営化』にならないか?、新技術を自治体に実装することは意義はある、ただし民主的なガバナンスと適正な規制が不可欠であり、自治体は企業の実験場ではない」
などの問題点について指摘。
カナダのトロント郊外で「ヒト・モノの動きをセンサーで把握、ビッグデータで街をコントロール」として進めていたが、住民への説明不足、取得したデータ(マスデータ)の扱いが不明瞭などと問題になっている中、コロナの影響もありGoogle関連企業のサイド・ウォーク・ラボ社は2020年5月に突如、完全撤退を表明したという、大失敗に終わったこの教訓から、「民主主義のコストについて学ぶ必要がある、企業は利潤を得られなければ簡単に撤退する」と強調された。


 「プラットフォームビジネス」について、山崎憲氏は、「経済優先か民主主義か、今何をしなければならないか」について解説。
欧米では「①プラットフォームビジネスによる独占と規制(公正な分配)として、下請け・元請け問題、Independent Contractorとしての問題、請負労働者の権利擁護の問題、年金・健康保険財政の問題、②AIの恣意的なアルゴリズムの運用に対する規制、③プラットフォーマーによる情報の独占と民主主義の問題、④技術革新に伴う『ふつうの人』への職業訓練」が、今、議論されていると解説。
しかしながら、経済政策が主導する日本では、プラットフォームビジネスに関して「①社会の隅々まで『実装』を想定していること、②社会的問題を経済政策が解決すると期待していること、③経済政策の下で解決されないもの⇒雇用社会、製造業としての優位性、ものづくり、学校制度や社会の歴史、伝統、地域の暮らし、文化、『ローエンド』と呼ばれる『ふつうの人』についての議論がないこと、④経済利益に利用される市民の情報資源と民主主義の関係」について、などの視点が欠如していると指摘。
日本が特に、欧米の議論と比べて不足しているのは、「①プラットフォームビジネスと公正な社会分配、②AIのアルゴリズム運用と透明性、③プラットフォーマーによる情報の独占と民主主義、④『ふつうの人』を対象とした長期の目標と戦略」であると強く指摘した上で、短期的、長期的な運動の展開について、具体的に我々に示唆された。

 浦田氏は、UBERなどのライドシェア、UBER EATSなどのフードデリバリーのなどプラットフォームビジネスについての世界的な動向を報告。
このようなプラットフォームビジネスが、労働者だけでなく社会にどのようにダメージを与えているかということを、欧米の各級裁判所の判断や、法による規制によって立証されていること、そして、日本の「導入・推進」という竹中平蔵らの主張が、先進国の中でいかに周回遅れになっているのか、について詳細に解説された。

 講師の3者が、共通しておっしゃっていたことは、世界ではすでに「失敗だったかもしれない」という前提で修正しようとしている問題について、経済政策学者や経済界や利権議員らの提言を真に受けて古い理想の政策を進めているってことのようだ。
会場との質疑応答、参加してくれた16名の国会議員の中から、森屋隆参議院議員(私鉄総連組織内議員)は、「COVID-19感染拡大の中、『富める人は富む、貧しい人や搾取される人はさらに追い込まれる』という社会に日本はなっていることがまさに明らかになってきた。『スマートシティ』にしろ、『プラットフォームビジネス』にしろ、それらが推進される社会は、山崎氏が指摘されたとおり『ローエンド』と呼ばれる『ふつうの人』が置き去りにされる社会になっていくのだろうと危惧する。この問題を、今日を契機にさらにしっかりと取り組んでいきたい。」と発言した。

 新しいビジネスモデル、AI等の進化で生活が便利になること、それは否定するべきでなくうまく取り入れていけば良いのだと思うが、「公共」や「安全」という要素は最優先されるべきで、そして「公共」や「安全」を踏まえた上での「持続可能性」の検討が重要だと思う。
そこを踏まえると、古くさいビジネスモデルかも知れないけど、今あるタクシーやバス、鉄道といった公共交通のビジネスモデルは、上手く進化するようにすれば、スーパーシティ政策やコンパクトシティ政策においてもまだまだ主役であり続けられるだろうと、改めて思った。
目新しい「カタカナ語」や「アルファベット」に負けてはならない!

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