労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

令和7年(2025年)4月からの労働法令の改正点

2025-03-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係

障害者雇用促進法関係
◇除外率の引き下げ
 障碍者の就業が困難であると認められる業種に対する除外率を一律10ポイント引き下げる

高年齢雇用安定法関係
◇高年齢雇用確保措置の経過措置の終了

職業安定法関係
◇紹介手数料に関する情報開示
 情報開示時効に職種ごとの平均手数料率の実績を追加

育児・介護休業法関係
ブログ記事2024-07-11➽「改正育児介護休業法(基本的に2025年4月1日施行)の内容、前向きな改正ではあるが、企業(特に中小企業)には負担が大きくなるかな…
ブログ記事2025-03-06➽「【再確認 令和7年4月1日施行】改正育児介護休業法の施行が迫っている❕

◇子の看護休暇の見直し(子の看護等休暇)
 小学校就学の始期達するまで⇒小学校第3学年修了まで、取得理由に感染症に伴う学級閉鎖・入園(入学)式・卒園式を追加
◇所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
 3歳未満の子⇒小学校就学前の子
◇育児休業等の取得状況公表義務の適用拡大
 1,001人以上⇒301人以上
◇育児・介護のためのテレワーク(努力義務)
◇短時間勤務制度の代表措置の選択肢拡大
 テレワークを追加
◇介護離職防止のための個別の周知・意向確認
◇介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
◇介護離職防止のための雇用環境整備
◇介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
 継続雇用期間6か月未満の者除外の仕組みの廃止
◇「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直し

雇用保険法関係
◇雇用保険料率の見直し
 1000分の15.5⇒1000分の14.5
ブログ記事2025-03-17 ➽「令和7年度(2025年度)の雇用保険料率について、令和6年度(2024年度)より、1000分の1引き下げられる予定
◇高年齢用雇用継続給付の支給率の変更
 最大15%⇒10%
ブログ記事2025-01-23➽「厚労省は「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」って軽く言うけど、同一労働同一賃金の実効性を放置してこれはあかんやろ…💢(いまさらながら)
◇出生後休業支援給付金の創設
 育児休業給付等に上乗せして支給する給付金を創設
ブログ記事2024-08-01 ➽「雇用保険法・子ども ・ 子育て支援法等の改正
◇育児時短就業給付金の創設
 時短就業中に支払われた賃金の最大10%を支給する給付金を創設
ブログ記事2025-03-17 ➽「4月から 「育児時短就業給付金」がスタートする❕
◇育児休業給付金の延長申請の要件厳格化
◇出生時育児休業給付金の支給申請期間見直し
 休業を終了した日の翌日から申請可能とする

【27🏃Run4-15 5.41km 35:30 湘南海岸公園】

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4月から 「育児時短就業給付金」がスタートする❕

2025-03-17 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 育児時短就業給付金が2025年4月から始まる。
仕事と育児の両立支援の観点から、育児中の柔軟な働き方として時短勤務制度を選択しやすくすることを目的として、2歳に満たない子を養育するために時短勤務した場合に、育児時短就業前と比較して賃金が低下するなどの要件を満たすときに支給される給付金。
なお、今年の4月1日より前から2歳未満の子を養育するために育児時短就業に相当する時短勤務を行っている場合は、5にあるように経過措置として、2025年4月1日から育児時短就業を開始したものとみなし支給されるので、手続きを進める必要がある。


 育児休業等給付には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金がある。
※ 出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金は、2025(令和7)年4月1日から創設される給付金。
※ その他、健康保険から産前・産後休業期間は出産手当金の支給を受けられる。

厚生労働省リーフレット⇒「育児時短就業給付金」を創設します
厚生労働省パンフレット⇒育児時短就業給付の内容と 支給申請手続


育児時短就業給付金

1 支給を受けることができる方(受給資格・支給要件)
育児時短就業給付金は、次の①・②の要件を両方満たす方が対象。
 ① 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者(※1)であること
 ② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて(※2)、育児時短就業を開始したこと、
 または、育児時短就業開始日前2年間に、被保険者期間(※3)が12か月あること

加えて、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給される。
 ③ 初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者(※1)である月
 ④ 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
 ⑤ 初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
 ⑥ 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月


(※1) 雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者をいう。
(※2) 育児時短就業に係る子について育児休業給付の支給を受けていた場合であって、当該育児休業給付に係る育児休業期間の末日
の翌日( 復職日)から起算して、育児時短就業を開始した日の前日までの期間が14日以内のときをいう。
(※3) 賃金支払基礎日数が11日以上ある( ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上ある)完全月。


特別な労働時間制度の適用を受けている場合などの取扱い
◎フレックスタイム制の適用を受けている場合
 清算期間における総労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱う。清算期間における総労働時間は変更せずに、フレキシブルタイムの一部又は全部の勤務を行わないことで、清算期間毎に欠勤控除を受けるときは、育児時短就業と取り扱かわれない。
◎変形労働時間制の適用を受けている場合
 対象期間の総労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱う。対象期間の総労働時間を変更しないときの対象期間中の1週間の平均労働時間を下回る期間(いわゆる閑散期)は育児時短就業と取り扱かわれない。
◎裁量労働制の適用を受けている場合
 みなし労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱いう。
◎いわゆる「シフト制」で就労する場合
 実際の労働時間に基づいて1週間当たりの平均労働時間を算定し、短縮が確認できるときは、育児時短就業と取り扱う。

2 支給額・支給率
加えて、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給される。
 ③ 初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者(※1)である月
 ④ 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
 ⑤ 初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
 ⑥ 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月


原則として育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額を支給。ただし、育児時短就業開始時の賃金水準(※4)を超えないように調整される。
また、各月に支払われた賃金額と支給額の合計が支給限度額(※5)を超える場合は、超えた部分が減額される。なお、次の①~③の場合、給付金は支給されない。
 ① 支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業前の賃金水準(※4)と比べて低下していないとき
 ② 支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額(※5)以上であるとき
 ③ 支給額が最低限度額(※6)以下であるとき


❶支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合
 育児時短就業給付金の支給額= 支給対象月に支払われた賃金額× 10%
❷支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合
 育児時短就業給付金の支給額= 支給対象月に支払われた賃金額× 調整後の支給率
❸支給対象月に支払われた賃金額と、(1)又は(2)による支給額の合計額が支給限度額を超える場合
 育児時短就業給付金の支給額= 支給限度額- 支給対象月に支払われた賃金額

(※4)原則として育児時短就業開始前6か月に支払われた賃金( 臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く) の総額を180で除して得た額(2025年7月31日までは、上限額:15,690円、下限額:2,869円。以後毎年8月1日に改定予定。)に30を乗じた額をいいます。ただし、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児時短就業を開始した場合は、育児休業給付の支給に用いた賃金月額をいいます。
(※5)「支給限度額」:459,000円(20257月31日までの額。以後毎年8月1日に改定予定。)
(※6)「最低限度額」:2,295円(2025年7月31日までの額。以後毎年8月1日に改定予定。)


3 支給を受けることができる期間(支給対象期間)
 給付金は、原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月(以下「支給対象月」という。)について支給される。
ただし、以下の①~④の日の属する月までが支給対象期間となる。

① 育児時短就業に係る子が2歳に達する日(※7)の前日
② 産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日
③ 育児時短就業に係る子とは別の子を養育するために、育児時短就業を開始した日(※8)の前日
④ 子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった日


(※7) 「子が2歳に達する日」とは、2歳の誕生日の前日をいう。
(※8) 同じ月において、子Aの育児時短就業を終了し、別の子B について育児時短就業を開始した場合、その月は別の子B の育児時短就業の支給対象期間となり、子Aの育児時短就業は前月までが支給対象期間となる。

4 申請手続きに関する注意事項
 育児時短就業給付金の支給を受けるためには、被保険者を雇用している事業主の方が育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格確認及び支給申請を行う必要がある。
育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格確認と初回の支給申請を同時に行うことも可能。
 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き(※2)、同一の子について育児時短就業を開始した場合は、育児時短就業開始時賃金の届出は不要。
 支給申請は、原則として2か月ごとに( 2つの支給対象月について)行うようにする。
 被保険者が希望する場合は、被保険者の方が自ら支給申請を行うことや1か月ごとに支給申請を行うことも可能。

5 経過措置( 2 0 2 5 年4月以前から時短就業をされている方)
 2025年4月1日より前から2歳未満の子を養育するために育児時短就業に相当する時短就業を行っている場合は、2025年4月1日から育児時短就業を開始したものとみなして、上記1②の要件や2①の育児時短就業前の賃金水準を確認し、要件を満たす場合は、2025年4月1日以降の各月を支給対象月として支給する。



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【再確認 令和7年4月1日施行】改正育児介護休業法の施行が迫っている❕

2025-03-06 | 書記長社労士 法改正 労働関係

令和7年4月1日施行
❶3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることと、短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワークを追加することが、事業主に努力義務化されます。
※ 短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります。

施行前 ①育児休業に関する制度に準ずる措置 ②始業時刻の変更等
 ⇓
施行後 ①育児休業に関する制度に準ずる措置 ②始業時刻の変更等 ③テレワーク

★今回の改正でテレワークが義務付けられたものではない。

❷所定外労働の制限(残業免除)の請求可能となる労働者の範囲の拡大

施行前 3歳未満の子を養育する労働者
 ⇓
施行後 小学校就学前の子を養育する労働者


❸ 子の看護休暇の見直し
・対象となる子の範囲の拡大
施行前 小学校就学の始期に達するまで
 ⇓
施行後 小学校3年生修了まで

・取得事由の拡大(③④を追加)
施行前 ①病気・けが ②予防接種・健康診断
 ⇓
施行後 ①病気・けが ②予防接種・健康診断 ③感染症に伴う学級閉鎖等 ④入園(入学)式、卒園式

・労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定の廃止
施行前 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満
 ⇓
施行後 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃

・名称変更
施行前 子の看護休暇
 ⇓
施行後 子の看護等休暇

★労使協定による適用除外の規定を設けている場合には、4月1日までに見直しを行う必要がある。
★対象となるこの範囲の拡大と取得事由の追加について労働者に周知しておくことが望ましい。
★3~4月は、卒業式や入園式・入学式が集中するので留意が必要。

❹育児休業取得状況の公表義務の適用拡大
施行前 従業員数1,000人超の企業
 ⇓
施行後 従業員数300人超の企業

★公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」。
★ 年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど、 一般の方が閲覧できる方法で公表する。


❺介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定の廃止
施行前 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満
 ⇓
施行後 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃

★労使協定による適用除外の規定を設けている場合には、4月1日までに見直しを行う必要がある。

❻ 介護離職防止のための雇用環境整備介護休業や介護両立支援制度等(※)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの措置を講じなければならない。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

★ ※ ⅰ介護休暇に関する制度、ⅱ所定外労働の制限に関する制度、ⅲ 時間外労働の制限に関する制度、ⅳ 深夜業の制限に関する制度、ⅴ介護のための所定労働時間の短縮等の措置
★①~④のうち複数の措置を講じることが望ましい。

❼介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
 介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならない。
※ 取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められない。
・周知事項
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)③介護休業給付金に関すること
・個別周知・意向確認の方法
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等、のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ
(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
 労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければならない。
・情報提供期間
① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)、② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間、のいずれか
・情報提供事項
① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)③ 介護休業給付金に関すること情報提供の方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等、のいずれか
注:①はオンライン面談も可能

★情報提供に当たって、「介護休業制度」は介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するものなど、各種制度の趣旨・目的を踏まえて行うことが望ましい。
★情報提供の際に、併せて介護保険制度について周知することが望ましい。

❽介護のためのテレワーク導入
要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化

★今回の改正でテレワークが義務付けられたものではない。


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厚労省は「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」って軽く言うけど、同一労働同一賃金の実効性を放置してこれはあかんやろ…💢(いまさらながら)

2025-02-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とし、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に給付金を支給する制度です。
 このたび、「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第14号)の施行により、令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率が変わりますので、お知らせします。
 具体的には、60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が
令和7年3月31日以前の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給されます。
令和7年4月1日以降の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の10%(変更後の支給率)を限度として支給されます。


 昭和40年4月1日以降生まれの人が対象になるってことで、自分の同級生からや~😂

 この制度見直しの「背景」としては、政府(岸田政権)は、
○2025年度には60 ~ 65 歳未満の労働者の継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し、60 歳以上 65 歳未満の全ての労働者は希望すれば継続雇用制度の対象者となること。
○「働き方改革」による、いわゆる「同一労働同一賃金」によって、今後、高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められていくこと。
 よって、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当である。

とした。

 60歳以降、継続雇用や定年延長で、65歳までの雇用義務が、事業者に課せられているから、雇用形態はいろいろありつつも65歳までは、自分が希望すれば働ける。
ただし、60歳以降の賃金がどうなるのかは、会社によって大きく違う。
定年延長とは言いながら、60歳までの賃金引き上げのピッチが据え置かれていたり、下げられていたりという企業は少ないというのが自分の実感。
60歳定年再雇用では、1年毎の有期雇用になったりで、賃金自体を低い設定にされていたり、役職を降ろされていたりする企業が多い。
働き方改革によって、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)となり、同一労働同一賃金の考え方が基本となったが、是正されているとはなかなか言えない状況であって、さらにそのパート有期法による同一同一は正社員と有期雇用のあいだのことであり、正社員と60歳以降の正社員では、これは適用されない。
ということでは、パート有期労働法改正によって受給できる人が減っているってのは確かながら、この「高年齢雇用継続給付」は、「公正な待遇の確保が求められている」だけであって、60歳前と60歳以降の賃金実態では実現性が足りないことゆえ、そこから漏れている労働者が多くあるならば、この制度はまだまだ必要であるはずなのに…。

 厚生労働省の様々な審議会では、労働保険・社会保険において、支給や補助の見直しが進められているが、大枠としての理屈はそうやけど、その理屈からこぼれている少数者に対しての視点が足りないのではないかと思うことが多い。
自分も労働政策審議会職業安定分科会で「失業認定」について労側の打ち合わせでめっちゃ暴れたことがあったけど伝わらなかって、そのまま改定されたことがあって、「あななたち、失業したことないでしょ!」って叫んだことがあった。
第3号被保険者とか、高額療養費とか、令和7年度の雇用保険料でも、その他いろいろ、労働側の代表である連合が、データで見たらそうなんやけど、数では少数ながらも救ってあげなければならない根本的理由があるのに、そのことは放置したまま、なんでそんな主張するねんって怒りを覚えることが少なくない。
「一人でも泣いている人がいないように」。
自分はそのことを忘れることなく、労働運動・政策運動をこれからも実践していく❕(…が、声に対する扱いは小さいのが悲しい)


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令和7年度(2025年度)の雇用保険料率について、令和6年度(2024年度)より、1000分の1引き下げられる予定

2025-01-23 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 2025年1月23日に開催された第210回 労働政策審議会職業安定分科会にて、令和7年度(2025年度)の雇用保険料率について、令和6年度(2024年度)より、1000分の1引き下げられ、1000分の14.5とされる案について「おおむね妥当」と答申した。

 告示案の概要としては、次のとおり。
〇令和5年度の失業等給付額等を踏まえた変更として、令和7年度の失業等給付費等充当徴収保険率を1/1000 引き下げ、7/1000※4とする。
※4 農林水産業、建設業及び清酒製造業については9/1000
〇令和5年度の育児休業給付額等を踏まえた変更として、令和7年度の育児休業給付費充当徴収保険率を1/1000 引き下げ、4/1000 とする。
(二事業費充当徴収保険率は原則通り)


 これは、令和5年度決算を踏まえ、令和7年度の保険料率を弾力条項の適用による保険料率の変更があるかを確認したところ、失業等給付に係る保険料率と育児休業給付に係る保険料は引下げ可能となっていたからだ。(原則の雇用保険料率=1000分の16.5)

 参考資料1にある「失業等給付及び二事業の財政運営試算」によると失業等給付に係る保険料率について、1000分の6まで引き下げても、弾力倍率は令和12年度まででも2倍を上回る予測となっていたが、本年4月からの失業等給付の給付制限緩和で、どれほどの行動変容があるか予測がつかないので、1000分の2の引き下げは慎重にならざるを得ず、1000分の1の引き下げにとどまったとのこと。
う~ん、今、物価高・原材料費高・物流などのコスト高騰で、労使とも厳しいんやから、せめて1年でも1000分の2まで引き下げて、失業等給付の支出が予想を上回ったら、また来年度戻せばいいやんって思ったんやけどなあ。

第210回労働政策審議会職業安定分科会
議題
(1)労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)
(2)労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)
(3)同一労働同一賃金部会の開催について(報告)

議事次第(第210回)[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381920.pdf
資料1-1労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381923.pdf
資料1-2労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案概要[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381924.pdf
資料2-1労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381925.pdf
資料2-2労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案概要[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381940.pdf
資料3労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案概要[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381941.pdf
参考資料1雇用保険制度の現状について[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381942.pdf
参考資料2同一労働同一賃金の施行5年後見直しについて[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381943.pdf
参考資料3職業安定分科会委員名簿[https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001381944.pdf


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【メモ】フリーランス法と労働法との関係と留意点

2024-12-03 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス法。

(定義)
第二条この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの


〇「特定受託事業者」は、労基法上の労働者を含まないが、「特定受託事業者」は、労組法上の労働者を含む。
⇒ 労組法上の労働者と判断される者には、フリーランス法が重畳的に適用される。
⇒ 形式的に業務委託契約を締結している場合であっても、実質的に見て労基法上の労働者と判断されるならば、フリーランス法は適用されない。

〇「特定受託事業者」は、下請法・独占禁止法の対象となる事業者に該当する。
⇒発注企業側(「業務委託事業者」、「特定業務委託事業者」)の範囲は下請法より広く、事業者が自らの事業のために他の事業者に委託する行為全てが含まれる。

〇「特定受託事業者」なのか労基法上の労働者なのかの区別は、具体的事情をもとに事後的に判断される。
⇒労働法との関係では、労働者を「特定受託事業者」と誤分類することに伴うリスクに注意が必要。
⇒事後的に当該就労者が労基法上の労働者と判断された場合、労働関係法令違反を問われるリスクが残る。

〇「労働者性」が拡大する可能性、「労働者性」の判断が将来的に変化する可能性。

☆就労者の利用形態(雇用かフリーランスか)を、基本に立ち戻って考えることが、経営上の観点から重要。
・労働契約の基本構造=使用者がビジネス全体を設計し、その収益をすべて使用者に帰属させる。
⇒就労者は指揮命令を受けて就労し対価(賃金)を得る一方でビジネスから生じる収益を得ることが出来ずビジネスの全体像についても関与しえない。
・いわゆる業務委託は、まさにビジネスの一部を就労者に委託するもの。
⇒委託先に対して「指揮命令」することが許されず、就労者には委託された部分のビジネスから生じる収益が帰属し、同時にその失敗のリスクも負担する。
➡就労者との契約形態を決める際には、契約構造の基本的な違いを理解することが重要。


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【メモ】2024年の全国の地域別最低賃金の改定について

2024-11-25 | 書記長社労士 法改正 労働関係

【25 💪NAS9-60 LatapullaDown55kg NallowGripLatapullaDown55kg LateralRaise10kg UpLightRow22.5kg AbdominalM45kg】
 2024年の全国の地域別最低賃金の改定についてメモ。

〇引き上げ額の目安は、A、B、Cランクともに一律の50円と決めた。
〇目安50円を上回って引き上げたのが27県に上った。
〇引き上げ額が高いのは都市部ではなく、東北、九州、山陰、四国などCランクの県に多かった。
〇引き上げによって最賃が1,000円を超えたのは、昨年までの8都府県から2倍の16都道府県に拡大した。
〇最高額は東京都の1,163円、最低額は秋田県の951円、最高額に対する比率は81.3%で、10年連続で格差が改善している。

◆目安が昨年度比5.0%増の50円になった背景には、春闘の賃上げ率や物価上昇も影響した。
・今年の春闘の賃上げ率が5%台であったこと、中小企業の賃上げ率が3%後半から4%台であったこと、有期・短時間・契約労働者が5%台後半であったこと
・消費者物価指数は平均が3.2%(2022/10~2023/6)だったが、消費者物価指数のうち生活必需品を含む「頻繁に購入する品目」が平均5.4%であること

◆目安以上に引き上げた背景には、人手不足に加え、隣県同士の人材獲得競争もあった。
・他県よりも1円でも高くし、人材獲得で優位に立ちたいという経営者の思い
・全国最低、地域最低という汚名は回避したいことから「後出しジャンケン」とも揶揄された

◆引き上げる基準を大きく変更し84円引き上げた徳島県
・2023年は全国最低額についで2番目に低く、四国では一番低かった
・県民取得が全国8位であること、4人世帯の生計費や新卒者の所定内給与、パート労働者の募集賃金などを調査した結果、徳島県は全国の中位より上と判断したうえで、全国の中間値930円に目安の50円を上乗せし、980円に決定した。
・四国3県との競争に加え、橋でつながる淡路島や神戸市への人の流出への危機感もあったと推察される

◆2023年の、最賃の企業への影響率は全国平均21.6%
・影響率の低いのは、徳島14.9%、鳥取15.0%、群馬と香川が16.2%、長野16.3%、沖縄16.4%
・影響率の高いのは、神奈川28.6%、兵庫28.3%、千葉と愛知27.5%
・ちなみに東京が17.4%、大阪23.4%、京都24.5%
※厚生労働省「令和5年度最低賃金に関する基礎調査」

最低賃金法
(地域別最低賃金の原則)
第九条 賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう。以下同じ。)は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。
2 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。
3 前項の労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。
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雇用保険法・子ども ・ 子育て支援法等の改正

2024-08-01 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 2024年5月10日に、「多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、『人への投資』の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。」という趣旨で成立した雇用保険法など。
【改正の概要】
1 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
○雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する。
※ これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。

2 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
①自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする 。
※ 自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する。(通達)
②教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる。
※ 教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する。(省令)
③自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。

3 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】(施行期日2025年4月1日)
①育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置を廃止する。
※ 本来は給付費の1/8 だが、暫定措置で1/80とされている。
②育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%⇒0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%⇒0.4%)られるようにする。
※ ①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整 。

4 その他雇用保険制度の見直し 【 雇用保険法 】
○教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%⇒60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する 。

【施行期日】令和7年4月1日。ただし、3①及び4の一部は公布日、2②は令和6年10月1日、2③は令和7年10月1日、1は令和 10年10月1日


 2024年6月5日に、「こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)の『加速化プラン』に盛り込まれた施策を着実に実行するため、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進に資する施策の実施に必要な措置を講じるとともに、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるための子ども・子育て支援特別会計を創設し、児童手当等に充てるための子ども・子育て支援金制度を創設する。」という趣旨で成立した子ども・子育て支援法など。
【改正の概要】
3 共働き ・ 共育ての推進 【 ① 雇用保険法等 、 ② 国民年金法 】
①両親ともに育児休業を取得した場合に支給する出生後休業支援給付及び育児期に時短勤務を行った場合に支給する育児時短就業給付を創設する。


育児休業給付の給付率引上げ
【現状・課題】
○育児休業を取得した場合、休業開始から通算180日までは賃金の67%(手取りで8割相当)、180日経過後は50%が支給。
○若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくため、夫婦ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる。
【見直し内容】
○子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。
※配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
<財源>子ども・子育て支援金を充当 <施行期日>2025(令和7)年4月1日


育児時短就業給付の創設
【現状・課題】
○現状では、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して給付する制度はない。
○「共働き・共育て」の推進や、子の出生・育児休業後の労働者の育児とキャリア形成の両立支援の観点から、 柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できるようにすることが求められる。
【見直し内容】
○被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付を創設 。
○給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
<財源>子ども・子育て支援金を充当 <施行期日> 2025(令和7)年4月1日

【施行期日の整理】
〇交付日(2024年5月17日)
・育児休業給付の国庫負担を引き下げる暫定措置の廃止
・介護休業給付の国庫負担を引き下げる暫定措置は引き続き令和8年度末まで延長
〇2024年10月
・教育訓練給付の給付率を引き上げ(最大70%⇒最大80%)
〇2025年4月
・自己都合離職者が教育訓練等を自ら受講した場合の給付制限解除
・自己都合離職者の給付制限を短縮(原則2か月⇒原則1か月)
・育児休業給付に係る保険料率の引き上げ(0.4%⇒0.5%)および財政状況に応じて料率を0.4%に引き下げることができる弾力的な仕組みの導入
・教育訓練支援給付金の給付率を引き下げ(基本手当の80%⇒60%)および令和8年度末まで延長
・就業手当の廃止
・就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げ
・雇止めの離職者の基本手当の給付日数に係る暫定措置を令和8年度末まで延長
・地域延長給付の暫定措置を令和8年度末まで延長
・出生後休業支援給付の創設
・育児時短就業給付の創設
〇2025年10月
・教育訓練休暇給付金の創設
・教育訓練費用等の融資制度の創設(求職者支援事業)
〇2028年10月
・雇用保険の適用拡大(週所定労働時間20時間以上⇒10時間以上)
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改正育児介護休業法(基本的に2025年4月1日施行)の内容、前向きな改正ではあるが、企業(特に中小企業)には負担が大きくなるかな…

2024-07-11 | 書記長社労士 法改正 労働関係

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要 (令和6年法律第 42 号、令和6年5月 31 日公布)
【改正の概要】
1 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充 【 育児 ・ 介護休業法 】
①3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。
※始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択
②所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
③子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
⑤妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。

2 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】
①育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1000人超)の事業主に拡大する。
②次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握 ・数値目標の設定を事業主に義務付ける。
③次世代育成支援対策推進法の有効期限(現行は令和7年3月31日まで)を令和17年3月31日まで、10年間延長する。

3 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】
①労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
②労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
③介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。 等

【施行期日】
令和7年4月1日(ただし、2③は公布日、1①及び⑤は公布の日から起算して1年6月以内において政令で定める日⇒令和7年10月1日)


①柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務になります。
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日
●3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
●事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

・事業主は、①始業時刻等の変更、②テレワーク等(10日/月)、③保育施設の設置運営等、④新たな休暇の付与(10日/)、⑤短時間勤務制度の中から2以上の制度を選択して措置する必要があります。(※各選択肢の詳細は省令等)
※テレワーク等と新たな休暇は、原則時間単位で取得可とする。詳細は省令。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
・事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
・個別周知・意向確認の方法は、今後、省令により、面談や書面交付等とされる予定です。

②所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大されます。
施行日:令和7年4月1日
改正前:3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能
⇒ 改正後:小学校就学前の子 を養育する労働者が請求可能に

③育児のためのテレワークの導入が努力義務化されます。
施行日:令和7年4月1日
●3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

④子の看護休暇が見直されます。
施行日:令和7年4月1日
【名称 】改正前「子の看護休暇」 ⇒ 改正後「子の看護等休暇」
【対象となる子の範囲 】改正前「小学校就学の始期に達するまで」 ⇒ 改正後「小学校3年生修了までに延長」
【取得事由 】改正前「病気・けが、予防接種・健康診断」 ⇒ 改正後「感染症に伴う学級閉鎖等、入園、入学式、卒園式を追加」
【労使協定の締結により除外できる労働者 】改正前「(1)引き続き雇用された期間が6か月未満、(2)週の所定労働日数が2日以下」 ⇒ 改正後「(1) を撤廃し、(2)のみに」


⑤仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主の義務になります。
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日⇒令和7年10月1日
●妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務づけられます。
・意向聴取の方法は、省令により、面談や書面の交付等とする予定です。
・具体的な配慮の例として、自社の状況に応じて、勤務時間帯・勤務地にかかる配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直し等を指針で示す予定です。
さらに、配慮に当たって、望ましい対応として、
*子に障害がある場合等で希望するときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を延長すること
*ひとり親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること
等を指針で示す予定です。


⑥育児休業取得状況の公表義務が 300 人超の企業に拡大されます。
施行日:令和7年4月1日
●従業員数300人超の企業に、 育児休業等の取得の状況を公表 することが義務付けられます。(現行では、従業員数 1,000 人超の企業に公表が義務付けられています。)

⑦育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務付けられます。
施行日:令和7年4月1日
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。 (従業員数 100 人以下の企業は、努力義務の対象です。)
●計画策定時の育児休業取得状況 (※1)や労働時間の状況(※2) 把握等(PDCA サイクルの実施)
●育児休業取得状況(※1)や労働時間の状況(※2)に関する 数値目標の設定
(※1)省令により、男性の育児休業等取得率とする予定です。
(※2)省令により、フルタイム労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等とする予定です。
・一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。
・施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。


⑧介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業主の義務になります。
施行日:令和7年4月1日
●介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(※面談・書面交付等による。詳細は省令。)
●介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する 情報提供
●仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
(※研修、相談窓口設置等のいずれかを選択して措置。詳細は省令。)
●要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
●介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止
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【雇用・労働関係】2024年(令和6年)4月からの制度変更

2024-03-28 | 書記長社労士 法改正 労働関係

◇障害者の法定雇用率の引上げ ⇒https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001231885.pdf
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主に対して、その雇用する労働者に占める障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけている。
〇令和6年4月1日から以下の法定雇用率となり、今後、段階的に引き上げられる。
・民間企業 2.5%(従前2.3%)
・国、地方公共団体等 2.8%(従前2.6%)
・都道府県等の教育委員会 2.7%(従前2.5%)
〇週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになる。

◇裁量労働制の改正
 令和6年4月から、専門業務型裁量労働制における本人同意の導入や、専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制における健康・福祉確保措置のメニューの追加といった制度の適正化等に関する改正省令等を施行する。


◇労働条件明示事項の見直し ⇒https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf
 無期転換ルールについて、無期転換申込権が発生する契約更新時における労働基準法に基づく労働条件明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加するとともに、労働契約関係の明確化について、労働基準法に基づく労働条件明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲を追加する。

◇時間外労働の上限規制 ⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
 これまで時間外労働の上限規制が適用猶予されてきた事業・業務について、令和6年4月1日から、時間外労働の上限規制を原則適用する。
・工作物の建設の事業
・自動車運転の業務
・医業に従事する医師
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業


◇自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の適用 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
 自動車運転の業務について、令和6年4月1日から、時間外労働の上限規制が適用されるとともに、拘束時間、休息期間等を定めた自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)を適用する。

◇労災保険の介護(補償)等給付額の改定
 業務上の事由等により一定の障害を負って介護を要する状態となった労働者に対して支給される介護(補償)等給付の額について令和5年4月から、介護を要する程度の区分に応じ、以下の額とする。※()内は令和5年度の額
(1)常時介護を要する方
・最高限度額:月額177,950円(172,550円)
・最低保障額:月額81,290円(77,890円)
(2)随時介護を要する方
・最高限度額:月額88,980円(86,280円)
・最低保障額:月額40,600円(38,900円)

◇労災保険率等の改定 ⇒https://www.mhlw.go.jp/content/leaflet_r06.pdf
 業種毎の労災保険率等について、令和6年度から改定する。

厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年4月)について⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659_00017.html


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雇用保険法等の一部改正について ④教育訓練受講のための新たな融資制度 ⑤高年齢雇用継続給付 ⑥男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備(職業安定分科会雇用保険部会報告の報告を受けて)

2024-01-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係
4 教育訓練給付等について
(1)教育訓練給付金について
〇雇用形態に関わらず、職業能力の開発・向上は、労働者の雇用や職業の安定のために不可欠であるとともに、我が国経済の発展に資するものであり、今後ともその促進を図っていくことが重要である。このため、引き続き、労働者の教育訓練を実施又は支援する事業主への助成措置等を講ずるとともに、労働者の主体的な能力開発を支援していくことが必要である。特に、後者については、自ら教育訓練を実施又は支援する余力のない企業の労働者についても、企業の状況等によることなく、自らのキャリア形成のために必要な訓練が受けられるよう、環境整備を行っていくべきである。

〇 労働者の主体的な能力開発を支援するため、雇用保険制度における給付として教育訓練給付金が設けられているが、自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、令和6年度中に、より訓練受講の効果を高める観点で、教育訓練給付金の対象訓練の内容等に応じ、拡充を行うべきである。

〇具体的には、労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を対象とする専門実践教育訓練給付金について、現行の資格取得等を実現した場合の追加給付に加えて、教育訓練の受講前後を比べ、賃金が一定(5%)以上上昇した場合には、現行の追加給付を受けていることを前提として、更に受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給することとすべきである。このため、教育訓練給付金の給付率を最大で受講費用の80%とすべきである。

〇また、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練を対象とする特定一般教育訓練給付金について、新たに、資格取得等した場合には、受講費用の10%(上限年間5万円)を追加で支給することとすべきである。

〇その上で、制度趣旨に沿ったより効果的な給付や講座指定の在り方の検討が可能となるよう、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析に努め、本部会で議論を行うべきである。また、地域ごと・類型ごとに指定講座数に偏りが見られることも踏まえ、制度の周知・広報を積極的に進めるべきである。

(2)教育訓練支援給付金について
〇平成26年改正で5年間の暫定措置として講じられ、現在は令和6年度末までの暫定措置とされている教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を修了した者のうちこの給付金を受給していない同じ対象年齢の者と比較して、給付金受給者の就職率や追加給付受給率は高くなっていることが確認された一方、一人当たりの支給額は平均約290万円となっており、失業者に対する基本手当の支給額の平均を大きく上回っている状況にある。
 令和4年改正においては、 コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえて3年間延長されたところであるが、引き続き、非正規雇用労働者の自発的な能力開発を支援することが必要である一方、一人当たりの支給額等も踏まえて、給付率を基本手当日額の80%から60%とした上で暫定措置を令和7年度から2年間延長すべきである。

〇その上で、教育訓練支援給付金受給者が受講する教育訓練の分野が著しく偏っている現状について、引き続きその実態の把握に努め、制度の見直しにつなげるべきである。

(3)訓練期間中の生活を支えるための新たな給付について
〇労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには、比較的長期間の教育訓練を受ける場合にあっても、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにすることが重要である。

〇このため、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図ることを目的とした給付として、雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、訓練受講を支援するため、新たに教育訓練休暇給付金(仮称)を支給することとし、教育訓練給付の一つとして位置づけた上で、令和7年度中に実施すべきである。その際、現行制度の下では、自らのキャリア形成のために自発的に教育訓練に専念するために離職した場合、基本手当を受給しながら教育訓練を受けることが想定されることを踏まえ、在職中に教育訓練を受けるために休業等を行う場合においても、教育訓練に専念するために自己都合により離職した場合と同視しうることから、基本手当に相当する給付を支給するという考え方に基づき、制度設計を行うこととすべきである。

〇具体的には、支給対象者としては、企業の制度を利用して、無給で、自主的に教育訓練のための休暇を取得した一般被保険者とすべきである。ただし、基本手当に相当する給付を支給することから、①休暇開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上ある者とし、自ら保険事故を生じさせることができるという給付の性格や、学び直しのために教育訓練を受けるための支援であるということ等を踏まえ、②被保険者であった期間が5年以上あることを求めるべきである。

〇給付額は、前述の本給付の制度設計の考え方に鑑み、基本手当と同様に賃金日額の45%~80%とし、給付日数は正当な理由なく自己都合により離職した者に対する基本手当の所定給付日数と同じ(被保険者期間に応じて90日、120日又は150日)とすべきである。また、基本手当を受給した場合の被保険者であった期間の取扱いと同様に、教育訓練休暇給付金(仮称)の受給後に離職した場合は、休暇取得前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格の決定や所定給付日数の算定に用いる期間から除くこととすべきである。ただし、この場合においても、労働者が失業した場合にその生活の安定を図るという雇用保険の目的を果たすために、新たな給付の受給に伴い基本手当の受給資格を満たさなくなる場合、倒産、解雇により離職した者等に限り、最低限の基本手当(所定給付日数が90日等)を支給することとすべきである。

〇また、教育訓練中の生活を支える教育訓練休暇給付金(仮称)は、基本手当に相当する給付を支給するものである、という考え方に基づき、基本手当に対して国庫による負担がなされていることも踏まえ、同様の国庫による負担を行うこととし、その負担割合は、基本手当と同様の基準を用いて、財政状況等に応じて1/4又は1/40とすべきである。

〇さらに、教育訓練休暇給付金(仮称)の創設に併せて、教育訓練休暇制度の周知や企業への導入支援など、企業の教育訓練休暇制度の普及促進にも取り組むべきである。



○ 雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金(仮称)を創設する。
○ 雇用保険の被保険者ではない者を対象に、教育訓練費用や生活費を対象とする融資制度を創設する。
<施行期日>2025(令和7)年10月


(4)教育訓練受講のための新たな融資制度について
〇個々の労働者が生活費等への不安なく、学び直しのために教育訓練に取り組むことができるようにする必要性は、雇用保険の被保険者ではない者でも同様である。このため、令和7年度中に、これらの者が、自らが選択した教育訓練を受けるに当たって必要な費用について融資を受けられる制度を設けるべきである。

〇具体的には、雇用保険被保険者や受給資格者ではない者(雇用保険の適用がない雇用労働者や離職者、雇用保険の受給が終了した離職者、雇用されることを目指すフリーランス等など)であって、一定年数(3年)以上就業したことがあるものを対象に、自らが受ける教育訓練に関してその受講費用と訓練期間中の生活費用を対象に融資を行うものとすべきである。

〇多様な教育訓練を対象としつつ、制度の趣旨を踏まえた適切な利用が行われるよう、融資の対象となる教育訓練の範囲をあらかじめ設定するとともに、より教育訓練の効果を高めるためのインセンティブとして、訓練受講後に賃金が上昇した場合に一定額の返済を免除する措置を設けるべきである。

〇また、この融資制度は、雇用保険被保険者ではない者を対象として、その就職を促進し、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資するものとして、求職者支援制度に基づく事業(財源は、労使が拠出する保険料と国庫負担(原則1/2。当分の間は原則的な負担割合の55% ))として実施すべきである。

5 高年齢雇用継続給付について
〇高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的に平成6年に創設されたが、高齢者雇用の動向等を踏まえ、これまで当部会において累次の議論がなされ、その議論を踏まえ、令和2年の雇用保険法改正において給付率を各月の賃金の15%から10%に引き下げることとされ、令和7年4月から施行することとされている。

〇まずは、改めて十分な周知等を行い、円滑な施行を図るべきである。その上で、令和元年12月25日の雇用保険部会報告書にあるように、高年齢雇用継続給付の在り方については、その施行の状況等も見つつ、廃止も含め、引き続き検討を行うべきである。


○ 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。
※ 配偶者が専業主婦の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
<財源>子ども・子育て支援金(仮称)を充当<施行期日>2025(令和7)年4月


6 男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備について
(1)育児休業給付の給付率引上げについて
〇少子化対策の観点からは、若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくため、両親ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる。また、両親ともに育児休業を取得することを促進することは、片方の親に育児の負担が偏る結果として雇用の継続が困難になるような状況になることを防ぎ、もって労働者の雇用と生活の安定にも資するものである。

〇ただし、少子化対策という要素が強い施策を追加で実施する場合には、これに要する財源については、雇用保険料以外の財源によりまかなうべきである。

〇こうした認識に立った上で、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、令和7年度から、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合には、産後パパ育休期間と同じ期間である28日間を限度に、休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給するようにすべきである。

〇具体的には、育児需要が高い、子の出生直後の一定期間(具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額を出生後休業支援給付金(仮称)として給付することとし、既存の育児休業給付(給付率67%)と併せて休業開始前賃金の80%相当額の給付とすべきである。

〇また、原則として被保険者とその配偶者の両者が育児休業(産後パパ育休を含む。)を取得していることを要件とし、配偶者がいない場合や、配偶者が雇用労働者以外の働き方で就業している場合など、配偶者が育児休業を取得することができない場合や、配偶者が産後休業を取得している場合は、配偶者の育児休業の取得を要件としない取扱いとすべきである。

〇また、出生後休業支援給付金(仮称)に要する財源については、前述の通り、その目的等を踏まえ、雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきである。

〇なお、男性の育児休業取得が実質を伴ったものとなるよう、育児休業給付の給付率引上げの実施と併せて、男女がともに育児を担うことの重要性や共働き・共育ての意義が広く認識されるような取組も求められる。


○ 被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付(仮称)を創設。
○ 給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
<財源>子ども・子育て支援金(仮称)を充当<施行期日>2025(令和7)年4月


(2)育児時短就業給付(仮称)について
〇「共働き・共育て」の推進や、片方の親に育児の負担が偏る結果として雇用の継続が困難になるような状況を防ぐこととともに、子の出生・育児休業後の労働者が従前の勤務水準に早期復帰することで育児とキャリア形成の両立を支援し、もって雇用の継続を図る観点からは、柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できるようにすることが求められる。

〇このため、育児休業給付とは別に、被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、令和7年度から、育児時短就業給付(仮称)を創設することとすべきである。

〇具体的には、現行の育児休業給付と同様、時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間(時短勤務開始日を被保険者でなくなった日とみなして計算される被保険者期間に相当する期間)が12箇月以上ある被保険者を対象者とし、また、2歳未満の子を養育する場合に給付することとすべきである。さらに、給付対象となる時短勤務の労働時間又は労働する日数について、制限は設けないこととすべきである。

〇また、給付率については、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%とし、その上で、高年齢雇用継続給付と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、一定の賃金額を超えた場合には給付率を逓減させることとすべきである。

〇併せて、この給付の創設に伴い、雇用保険法の目的規定において、労働者について子を養育することを容易にするために所定労働時間を短縮した場合に必要な給付を行う旨を明確にすべきである。

〇また、出生後休業支援給付金(仮称)と同様、その目的等に鑑み、育児時短就業給付(仮称)は、雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきである。

〇加えて、育児休業の取得や時短勤務制度の選択を推進することに併せて、職員の追加配置や、業務の効率化等の体制整備を行う中小企業への支援の充実等を通じて、より一層、職場における両立支援の取組を推進していくべきである。
 なお、労働者代表委員からは、育児休業給付の給付率引上げや育児時短就業給付(仮称)の創設が、労働者間の分断をもたらすことや、受給者のキャリア形成を阻害することを懸念するとの意見や、これらの措置は時限措置として行うべきであるとの意見があった。

7 財政運営について
8 その他


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雇用保険法等の一部改正について ①雇用保険制度の適用拡大 ②基本手当 ③就職促進給付(職業安定分科会雇用保険部会報告の報告を受けて)

2024-01-24 | 書記長社労士 法改正 労働関係
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○ 雇用保険の適用対象を週の所定労働時間が10時間以上の労働者まで拡大。(R4年度末時点の被保険者数は約4,457万人)
※ 給付は別基準とするのではなく、現行の被保険者と同様に、基本手当、教育訓練給付、育児休業給付等を支給。
<施行期日>2028(令和10)年10月


1 雇用保険制度の適用拡大について
〇現在、週の所定労働時間が20時間以上の雇用労働者を適用対象としている雇用保険制度について、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028(令和10)年度中に施行することとすべきである。
 施行に向けては、雇用保険制度適用の意義や重要性、メリット等について十分な理解を得られるよう、労使双方に対して丁寧な周知を行うべきである。また、新たに雇用保険制度の適用対象となる労働者のより安定的な就業が促されるよう、能力開発や雇用管理改善等に取り組む事業主への支援を行うとともに、中小企業の事業主をはじめとして追加的な事務負担が生じることを踏まえ、事業主の負担軽減に資する申請手続きの簡素化やオンライン化を一層進めるなど、受給資格者の増加に対応すべく業務効率化等を着実に進めるべきである。

〇新たに適用拡大により被保険者となる者は、適用要件を満たした場合、現行の被保険者と同様に、失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象とすることとし、給付水準も同じ考え方に基づき設定すべきである。現行の被保険者と同様の給付等の仕組みとすることを踏まえ、保険料率、国庫負担割合についても現行の被保険者と同等の水準として設定すべきである。

〇また、適用範囲の拡大後の基本手当の支給等に関する基準等については、基本的には現行の取扱いとその考え方を維持しつつ、従来の週の所定労働時間が20時間以上という適用基準が、その半分の10時間以上となることを踏まえて、以下のとおり、必要な見直しを行うべきである。

① 被保険者期間の算定基準 基本手当をはじめとする失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間については、現行のとおり、離職日から2年間に被保険者期間が12箇月以上(特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、1年間に6箇月以上)とすべきである。その上で、1箇月として被保険者期間に算入されるための基準について、現行の「離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある場合」を、「離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が6日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が40時間以上ある場合」へと見直すべきである。

② 失業認定基準及び自己の労働により収入がある場合の取扱い 基本手当の支給に当たっては、受給資格者が失業状態にあることの確認(失業認定)をするため、4週間に一度公共職業安定所に来所を求め、過去28日間の各日に就業していたか否かを申告させているが、その日の労働時間が4時間(週20時間相当)以上であるか否かを基準として、原則として、労働した日のうち、労働時間が4時間以上の日については失業認定を行わず、4時間未満の日については、自己の労働によって得た収入額に応じて減額した上で基本手当を支給することとしている。
今般の適用範囲の拡大に併せ、この失業認定の基準となる労働時間を、1日当たり2時間(週10時間相当)とすべきである。
 また、現行の減額の仕組みを維持した場合、適用拡大後は、1日2時間未満の労働によって得た収入に基づき調整を行うこととなるが、2時間未満の労働で得られる収入は一般的には少額であることも踏まえ、簡素化等の観点からこれを廃止すべきである。

③ 賃金日額の法定の下限額、最低賃金日額 現在、法律で定められている賃金日額の下限額は、週所定労働時間20時間以上という現行の適用基準が労働基準法(昭和22年法律第49号)の法定労働時間(40時間)の2分の1であることを踏まえ、下方の屈折点(給付率が80%から逓減し始める点)の額の2分の1とされているが、今般の適用範囲の拡大の施行に合わせて、下方の屈折点の額の4分の1(週所定労働時間10時間が法定労働時間週40時間の4分の1であるため)とすべきである。また、雇用保険法(昭和49年法律第116号)第18条に基づき毎年賃金日額の範囲等を変更する際に比較する最低賃金日額(現在は、最低賃金(全国加重平均)で週20時間労働した場合を基礎として設定)についても、最低賃金(全国加重平均)で週10時間労働した場合を基礎として設定するよう見直すべきである。

〇複数の事業所で雇用されている労働者(マルチジョブホルダー)への雇用保険の適用については、現行では、複数の事業主との間で雇用保険の適用基準を満たす場合には、主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ被保険者とすることとされている。適用の範囲を週所定労働時間10時間以上に拡大することに伴い、複数の雇用主との関係で被保険者要件を満たすケースが増加することが想定されることから、現場における取扱いに混乱が生じることのないよう、例えば賃金日額の高い方の事業所を主たる事業所とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を施行までに明確化し、周知すべきである。

〇また、令和2年の雇用保険法改正により、65歳以上の労働者を対象に、2つの事業所での週所定労働時間がそれぞれ20時間未満であって合算して20時間以上となる場合に本人の申出を起点として雇用保険を適用する仕組みが設けられ、令和4年1月から施行されており、施行後5年を目途として検討を加えることとされていることから、給付の支給状況等この仕組みの実施状況の把握と検証を行い、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方等について引き続き検討すべきである。
 この点について、労働者代表委員からは、その検討の際には、雇用保険において「失業状態」をどのように捉えるかについても合わせて検討する必要があるとの意見があった。
 なお、週所定労働時間10時間以上で雇用保険が適用されることとなることにあわせて、この65歳以上の労働者の適用の特例についても週所定労働時間の基準を見直すとともに、適用拡大の施行前にこの特例の適用を受け始めた労働者が不利とならないよう、所要の経過措置を設けるべきである。

〇さらに、雇用保険制度の適用範囲の拡大に伴い、結果として、雇用保険制度の対象とならない者を対象とする求職者支援制度でカバーされていた者の一部が同制度の対象者から外れることとなるが、第二のセーフティネットである求職者支援制度の果たすべき役割・機能を踏まえて、所要の措置を講ずるべきである。

〇なお、労働者代表委員からは、当分の間、任意適用事業とされている農林水産業の個人事業で常時5人未満の労働者を雇用する事業について、暫定任意適用事業の撤廃を含めて検討を行うべきとの意見があった。


○ 原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする。
○ 離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除。
<施行期日>2025(令和7)年4月


2 基本手当について
(1)自己都合離職者の給付制限期間等について
〇正当な理由がなく自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限については、令和2年10月からその期間を3箇月から2箇月へ短縮しているところであるが、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、令和7年度から、さらに1箇月へと短縮すべきである。その際、給付を目的とした早期退職行動を誘発しないよう、現行の5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3箇月とする取扱いは維持すべきである。

〇また、自ら教育訓練を行って再就職を目指す労働者が円滑に求職活動を行えるよう、離職期間中や、離職日から遡って一年の期間内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、令和7年度から、給付制限を解除して基本手当を受けられることとすべきである。

〇なお、基本手当の給付水準(給付率や給付日数等)については、基本手当受給者の再就職状況等に大きな変化が見られないこと等から、現時点で改正を行うこととはしないこととすべきである。
 この点に関し、労働者代表委員からは、セーフティネットの充実という観点に鑑み、給付水準を平成12年の雇用保険法改正前の水準に戻すことを検討することが必要であるという意見があった。


○ 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付を2年間延長する。
○ 教育訓練支援給付金の給付率を基本手当の60%とした上で、2年間延長する。
※ そのほか介護休業給付に係る国庫負担割合を1/80(本則:1/8)とする暫定措置を2年間延長する。
<施行期日>2025(令和7)年4月


(2)令和6年度末で期限が到来する暫定措置について
〇リーマンショック時に講じられた措置に端を発する、雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置等と、雇用情勢が悪い地域に居住し、かつ、重点的に再就職の支援が必要であると公共職業安定所長が認めた特定受給資格者等に対する所定給付日数を延長する措置(地域延長給付)は、いずれも時限の暫定措置とされており、累次の延長を経て現在は令和6年度末までの措置とされている。

〇このうち、雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置等については、暫定措置の対象者の基本手当支給終了までの就職割合が、特定受給資格者全体と比べて低くなっており、その要因に関する更なる分析及びその分析のための支給状況等の検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきである。
 この点に関し、労働者代表委員からは、この暫定措置の対象者の再就職の状況は変化しておらず、取り巻く環境も大きくは改善していないことから、恒久化も含めて検討すべきとの意見があった。

〇また、地域延長給付については、対象地域が固定化しつつあり、対象者もわずかとなっている。地域によって産業構造や経済情勢が様々である中、地域ごとに生じる雇用の変化への臨機応変な対応が求められる一方で、地域ごとの雇用失業情勢の悪化に対しては、地方自治体による取組も含めた産業政策や雇用機会の開発を進めるとともに、広域での就職支援により対処していることや、他の延長給付により災害や個別の事情に配慮して所定給付日数を延長することが可能であることも踏まえ、その必要性も含め、地域延長給付の在り方に関する更なる検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきである。
 この点に関し、使用者代表委員からは、今後の検証の際には、廃止も含め検討すべきであるとの意見があった。

(3)その他
〇雇用保険法第18条に基づく賃金日額の上限額等の改定等に当たって用いる、毎月勤労統計調査を基礎として算定する平均給与額の前年度からの上昇又は低下の率について、分かりやすさ等の観点から、公的年金制度の改定に用いられている数値や毎月勤労統計調査で公表されている数値の取扱いを参考に、令和6年度から見直すべきである。


○ 就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。
<施行期日>2025(令和7)年4月


3 就職促進給付について
(1)就業手当について
〇就業手当は、求職活動中に短期間就労することは、受給者の労働習慣が維持され、求職活動への意欲や再就職先への適応力の向上に効果があることから、基本手当の受給資格者が安定した職業以外の職業に就いた場合に基本手当の3割相当額を支給するものとして平成15年改正により創設された給付である。しかしながら、受給者数が極めて少数であり、さらに減少傾向にあることや、我が国が直面する人手不足の状況下においては安定した職業への就職を促進していくことが求められることを踏まえ、令和7年度から廃止すべきである。

(2)就業促進定着手当について
〇就業促進定着手当は、再就職後賃金が離職時賃金より低下する者を対象として、再就職6箇月後に離職時賃金と再就職後賃金との差額の6月分を一時金として追加的に給付することにより、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すとともに職場への定着を促すことを目的として平成26年改正により創設された給付である。人手不足の状況が今後も一層深刻化することが見込まれる中、賃金の低下が見込まれる再就職にインセンティブを設ける必要性が薄れている一方で、早期再就職を行った者への支援として一定の役割を果たしていることを踏まえ、制度は継続した上で、令和7年度から、その上限(現在は、再就職時の基本手当支給残日数に応じてその40%相当額又は30%相当額)を、一律、基本手当支給残日数の20%相当額とすべきである。


○ 専門実践教育訓練給付金(中長期的キャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座を対象)について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合には、現行の追加給付に加えて、更に受講費用の10%(合計80%)を追加で支給する。
○ 特定一般教育訓練給付金(速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象)について、資格取得し、就職等した場合には、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給する。
<施行期日>2024(令和6)年10月



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【整理】「時間外労働の上限規制と適用猶予事業・業務について」と「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」

2023-07-06 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 労働時間は原則1週40時間、1日8時間(法定労働時間)以内の必要があると労働基準法で定められている。
これを超えて働く時間(残業時間)の上限について、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律により改正された労働基準法により、以下の通り定められている。(2019年4月(中小企業では2020年4月)から適用)
〇原則として月45時間、年360時間(限度時間)以内
〇臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度

 一方で、以下の事業・業務については、長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、また、一部特例つきで適用されることとされている。
【適用猶予事業・業務】
工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業


◇工作物の建設の事業
(2024年4月以降の上限規制)
○2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用される。
○災害時における復旧及び復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されない。

◇自動車運転の業務
(2024年4月以降の上限規制)
○2024年4月以降、自動車運転者は、特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となる。
○一般の労働者と異なり、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制及び、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。
※自動車運転の業務に従事する労働者は、別途、運転時間や勤務間インターバルについて定めた「改善基準告示」を遵守する必要がある。
 令和6年4月1日以降の内容  自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)
 通達 令和4年12月23日付け基発1223第3号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」
 Q&A 令和5年3月31日付け基発0331第49号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正による改正後の解釈等について」

◇医業に従事する医師
(2024年4月以降の上限規制)
2024年4月以降、医業に従事する医師には、以下の上限規制が適用される。
○特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(※)となる。
○時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されない。
○時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。
○医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがある。
※医業に従事する医師の一般的な上限時間(休日労働含む)は年960時間/月100時間未満(例外的につき100時間未満の上限が適用されない場合がある)。地域医療確保暫定特例水準(B・連携B水準)又は集中的技能向上水準(C水準)の対象の医師の上限時間(休日労働含む)は年1,860時間/月100時間未満(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合がある)。

◇鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業
(2024年4月以降の上限規制)
2024年4月以降、鹿児島県・沖縄県における砂糖を製造する事業では、時間外労働の上限規制が原則通りに適用される。
(適用猶予期間であっても、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、複数月平均80時間以内とする規制以外は適用される。)


働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)➡https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html

【概要】
 2024年4月1日から、建設業、運送業、病院等、砂糖製造業といった、適用猶予業種等へ時間外労働の上限規制が適用される。
このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援する。

【支給対象となる事業主】
 支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。
(2)交付申請時点で、「成果目標」1から4の設定に向けた条件を満たしていること。
(3)全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
(4)以下のいずれかに該当する中小企業事業主であること。
常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等については5,000万円以下)の、建設業、運送業 病院等 砂糖製造業

【締め切り】
 申請の受付は2023年11月30日(木)まで(必着)。
(なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月30日以前に受付を締め切る場合がある。)

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「私鉄文化」に改正される自動車運転者の労働時間等の改善基準告示について寄稿した

2023-05-10 | 書記長社労士 法改正 労働関係

改善基準告示とは
 自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため、その業務の特性を踏まえ、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間(始業から終業までの時間(休憩時間を含む))、休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)、運転時間等を「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示、以下「告示」)」として定め、改善をはかってきた。2019年には、「働き方改革関連法」により労働基準法が改正され、罰則付きの時間外労働上限規制が施行されたが、自動車運転者については、上限規制の適用が5年間猶予されたことに伴い、改善基準告示の見直しについては、2022年12月23日付けで改正され、2024年4月1日から改正内容が適用されることとなる。

経過
 昭和30年代、車社会の進展に伴い、自動車運送事業による重大事故の増加が社会問題となり、自動車運転者の労働時間等の労働条件を改善し、交通事故の激増に対処するため、労働基準法に加えて、1967年に「2・9通達」という規則が定められ監督指導が行われた。その後、昭和50年代に一般道や高速道路が整備されると、自動車輸送のシェアはさらに拡大。自動車運送事業による重大事故が増加したことや、国際的にも路面運送における労働時間・休息期間に関するILO条約が採択されたことなどが背景となり、1979年に「27通達」として改正。1989年には、労働時間短縮という時代の流れにともない「改善基準告示」として通達から告示に格上げされることになった。その後、法定労働時間が週48時間から週40時間に短縮される労働基準法の改正の際に、告示について大幅な見直しが行われたが、今回の改正は1997年以来の大幅な改正となる。

重要視する観点
 今回の改正に向けて、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会に「自動車運転者労働時間等専門委員会」が設置され、さらにハイヤー・タクシー、バス、トラックについてそれぞれ作業部会を設置、私鉄総連からも、ハイタクとバスに労働者側委員として参画し、改正内容について精力的に議論してきた。今回、改正するにあたっては、自動車運転者については2024年4月以降、年960時間の時間外労働上限規制が適用されること、脳・心臓疾患による労災支給決定件数において「運輸業・郵便業」が全業種において最も多い業種であること、脳・心臓疾患に係る労災認定基準の2021年改正で「勤務間インターバルが短い勤務」についても評価対象に加えられたこと、などを念頭に置き議論を行ってきた。また、自動車運転者の過重労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要な要素であることは言うまでもない。


改正ポイント
Point 1 拘束時間
 拘束時間とは、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間、すなわち、始業時間から終業時間までの使用者に拘束されているすべての時間をいう。タクシー運転者の日勤勤務者の1カ月の拘束時間は、過労死等の防止の観点から、月80時間の時間外労働を前提とした275時間の拘束時間に、月1回の休日労働として1日13時間の拘束時間を加えた「288時間」を超えないものとした。隔日勤務(始業及び終業の日が同一の日に属さない業務)は現行どおり「262時間」とした。バス運転者は、原則として、1カ月の拘束時間が「281時間」を超えず、かつ1年の拘束時間が「3300時間」を超えないものとした。旧告示では、4週間を平均して1週間当たり「65時間」と定めてきたが、賃金等の労務管理を1カ月単位で実施する事業主もあることから、いずれかを選択することが出来るように見直した。月「281時間」は4週平均1週の「65時間」と同水準であり、1年の拘束時間「3300時間」は、過労死等の防止の観点から、月80時間の時間外労働を前提とした275時間の拘束時間に12カ月を乗じたものである。
 タクシーの日勤勤務者、バスについての1日の拘束時間は、「13時間」を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、1日の拘束時間の限度は「15時間」とした。使用者は14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるとし、通達において1週間に3回以内を目安とした。この場合、14時間を超える日が連続することは望ましくないともした。
 タクシーの隔日勤務者の2歴日の拘束時間は「22時間を超えないもの」とし、かつ2回の隔日勤務を平均し隔日勤務1回当たり21時間を超えないものとした。これは旧告示と同水準に抑えつつ、突発的な顧客需要や交通事情等に柔軟に対応する観点から見直しを行った。

Point1 2 休息期間
 休息期間とは、勤務と次の勤務との間にあって、使用者の拘束を受けない時間をいう。休息期間の直前の拘束時間の疲労回復を図る時間であり、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、その時間の使い方は労働者のまったく自由な判断に委ねられる時間である。
 タクシーの日勤勤務者、バス運転者の休息期間は、勤務終了後、「継続十一時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続九時間を下回らないもの」とした。旧告示では「継続八時間以上」とされていたが、十分な休息期間の確保が重要であり、また、脳・心臓疾患の労災認定基準で過重業務の判断にあたって勤務間インターバルがおおむね十一時間未満の勤務の有無等について検討評価することとされていることを踏まえ、「継続十一時間以上」与えるよう努めることが原則であることとし、下限を一時間延長し「九時間」とした。したがって、単に下限九時間を遵守することにとどまらず、十一時間以上の休息期間が確保されるよう取り組むことが要請される。
 タクシーの隔日勤務者の休息期間は、勤務終了後、「継続二十四時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続二十二時間を下回らないもの」とした。旧告示では「継続二十時間以上」とされていたが、前述の休息期間の重要性に加え、隔日勤務は二労働日の勤務を一勤務にまとめて行うため運転者の身体的負担を伴うものであることを踏まえ、「継続二十四時間以上」与えるよう努めることが原則であることとし、下限を二時間延長し「二十二時間」とした。

Point1 3 予期しない事象への対応時間の取扱い
 運転者が、災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合において、その対応に要した時間についての拘束時間等の例外的な取扱いを新たに定めた。これによって、一日の拘束時間、運転時間(二日平均)及び連続運転時間の規定の適用に当たっては、予期し得ない事象への対応時間を、これらの時間から除くことができるが、この場合、勤務終了後、通常どおりの休息期間は与えなければならないとした。また、この例外的な取扱いは、一カ月の拘束時間等、告示の他の規定の適用に当たっては、その対応時間を除くことができないとした。

Point1 4 その他
 バスの休息期間の分割の特例については、業務の必要上、勤務終了後に継続九時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(一カ月を限度とする)における全勤務回数の二分の一を限度に、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過後に与えることができ、この場合において、分割された休息期間は、一日において一回当たり「継続四時間以上」、「合計十一時間以上」とすることとした。さらに、分割休息は本来好ましくないという観点から、旧告示では三分割が認められていたが、新告示においては二分割のみとし、三分割以上の分割は認められないこととした。
 バスの運転時間について、運転時間を延長することができる対象に「乗合バスに乗務する者(一時的な需要に応じて追加的に運行を行う営業所において運転業務に従事する者に限る)」を追加した。
 連続運転時間について、「高速バスおよび貸切バスの交替運転者の配置基準」の内容を踏まえ、新たに「高速バスの運転者および貸切バスに乗務する者が高速道路等を運行する場合における連続運転時間は「おおむね二時間」までとするよう努めることとした。また、交通の円滑を図るための軽微な移動を行う必要が生じた場合、一の連続運転当たり「三十分」を上限として、連続運転時間から除くことができることとした。


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【メモ】障害者雇用率は2.7%に(令和8年(2025年)7月から)

2023-04-28 | 書記長社労士 法改正 労働関係

1.新たな雇用率の設定について
▶令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。
 ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3 %で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。
▶国及び地方公共団体等については、3.0%(教育委員会は2.9%)とする。段階的な引上げに係る対応は民間事業主と同様とする。


※障害者雇用率の引き上げにより、障害者を一人以上雇用する義務が生じるのは、令和6年(2024年)4月以降が40人以上、令和8年(2026年)7月以降が37.5人以上の労働者を雇用する企業となる。
※自社の法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率
(小数点以下の端数は切り捨て)


2.除外率の引下げ時期について
▶除外率を10ポイント引き下げる時期について は、昨年6月にとりまとめられた障害者雇用分科会の意見書も踏まえ、 雇用率の引上げの施行と重ならないよう、令和7年4月とする。



1 障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のため、法定雇用率を設定している。
2 一方、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていた。
 除外率は、それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められていた。
3 この除外率制度は、ノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正により、平成16年4月に廃止した。
 経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされている(法律附則)。


3.障害者雇用における障害者の算定方法が変更となる。
▶精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)。⇦※の部分
 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになる。
▶一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)。
 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになる。



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