よしーの世界

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マイルス・デイヴィス 空白の5年間(2015年米映画)

2021-03-15 06:39:16 | 日記
予告編を観た時に、この映画を観るか迷った。それは監督、主演のドン・チードルがマイルスとは似て

も似つかない為で、確かにドン・チードルは「ホテル・ルワンダ」「オーシャンズ11」「ブギーナイ

ツ」などに出演している大好きな俳優だが、マイルスの傲慢な顔には程遠い優しさが残る顔で、ハード

ボイルドには自ら突き進むというより、巻き込まれる系だからというのがその理由。


映画自体はマイルスの音源をそのまま使ったという音楽のオンパレードで、当時マイルスが嵌ったボク

シング、アルバム「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」を中心に展開され、マイルスを追うロ

ーリング・ストーン誌の記者にユアン・マクレガーとタッグを組み、プロモーターとも戦い、薬にもの

めり込む闇の部分にも切り込む力作。警官に問い詰められ黒人というだけで理不尽な暴力を受ける当時

の様子が余すところなく描かれている。


最初にマイルスの傲慢な顔と書いたが、天才は誰にも理解される優しい顔ではありえないという自分の

持論で、特に日本では天才が庶民にも持て囃される理性と知性の塊のような扱いに疑問を持っているこ

とが底流にあり、それが日本での天才の出現に邪魔をしているように思う。世界中に、日本中に色々な

価値観を持った様々な才能を持つ人が居る。それも微妙に色彩が違う、性質も性格も違う、何より生ま

れ育った環境が違う。きらめく才能はそこから生まれる。


この作品で天才マイルスの埋もれていた5年間を観ることが出来て良かった。ドン・チードルの表現し

たかったこともよく分かる。ジャズはマイルス抜きでは語れない、もう一度ジャズを聴き直すにも、マ

イルスを再認識するのにも有効な映画だ。
コメント
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