著者の話によれば本書の原稿を大手出版社に持ち込んだところ、軒並み出版を断られたという。「この
テーマの本を出すことは出来ない」と言われたそうだ。それがアマゾンでは発売直後から経済学ジャン
ル1位をキープ、5月22日発売から売れ続け半年で13刷のベストセラーだ。私たちが今までにおかしいの
ではないかと疑問を抱いていたことが氷解する、非常に論理的で分かり易い解説に大きく頷きながら一
気に読んでしまった。
著者は財務官僚の最大の特徴は、増税を心の底から「正義」と信じてやまない事だと指摘する。税の徴
収と再分配こそ、国家権力の礎、日本一優秀な我々が、規律を守ってカネを回すことこそが、日本の繁
栄につながるー彼らは本気でそう信じている、そうだ。
財務省はことあるごとに「日本の財政は破綻状態だ」と国民を脅す神話を作り上げてきた。しかし日本
政府は世界で類を見ないほど大きな資産を保有している。財務省の固定資産は売れないという主張にも
キチンと反証している。そして国家公務員住宅、議員宿舎の売却も提案している。そもそもILO(国
際労働機関)は、社宅は労働者の思想統制につながるので、提供しないように呼び掛けているという。
また、政府が抱える資産は、天下り先と結びついていることが多いとも書いている。
ザイム真理教は、財政破綻すれば、ハイパーインフレや国債の暴落が起きると脅し、必要のない増税を
繰り返し、国民生活を破壊する。今や国民負担率は47.5%だ。一般国民が苦しむ一方で、政治家、
国家公務員、大手新聞社、富裕層が過剰に優遇されている事実が列挙されている。
与党はもとより野党の中にも消費税増税に賛成する議員は多い。消費税増税で日本が沈みつつあること
は明白なのにだ。本書を読めばあらゆることに合点がいく。全国民に読んでほしい良書だ。
ザイム真理教ーそれは信者8000万人の巨大カルト 森永卓郎 フォレスト出版