著者と私は年齢が15歳程度離れているので、本書に最初に登場する幾つかのバンドは私が中学生にな
った頃に後から体験した。ロックが大衆ポップに慣れ親しんだ若い層に衝撃を与えたのは1950年代半
ばのプレスリー、そして1960年に入ってからのビートルズになると思う。勿論私はその頃の熱狂を知
らない。「ミュージック・ライフ」も存在としては知っていたが、私が主に買っていたのは「ロッキ
ング・オン」「ニューミュージック・マガジン」だった。
編集者として数多のミュージシャンとの関りがあった著者は天才、異才である彼らの行状を目の当た
りにして、その奇行の数々に振り回され、自らも巻き込まれた経験が記されている。ロックの黎明期
は物凄い勢いでミュージシャン本人にも信じられないほどのマネーが流れ込み、売れ続けるためのプ
レッシャーで猛烈なストレスを抱えて、自分を見失いそうになるロック・スターが多数いたことは想
像に難くない。
今では考えられない時代だったことはよくわかる。日本のバブルが今の若い人にピンとこないのと一
緒で何でもありという環境だったはずだ。強烈な体験をした著者は幸運だった。ただロックも表層を
捉えていると、音楽体験としては寂しいものがある。私は今でも当時の音楽を聴いている、ノスタル
ジーに浸るわけではない。ビリー・アイリッシュがその系譜を継いだり、クリムゾンは変化しながら
未だに活動を続けている。サブスクで聴ける音楽とは違う経験が出来る。
わが青春のロック黄金狂時代 東郷かおる子 角川SSC新書
った頃に後から体験した。ロックが大衆ポップに慣れ親しんだ若い層に衝撃を与えたのは1950年代半
ばのプレスリー、そして1960年に入ってからのビートルズになると思う。勿論私はその頃の熱狂を知
らない。「ミュージック・ライフ」も存在としては知っていたが、私が主に買っていたのは「ロッキ
ング・オン」「ニューミュージック・マガジン」だった。
編集者として数多のミュージシャンとの関りがあった著者は天才、異才である彼らの行状を目の当た
りにして、その奇行の数々に振り回され、自らも巻き込まれた経験が記されている。ロックの黎明期
は物凄い勢いでミュージシャン本人にも信じられないほどのマネーが流れ込み、売れ続けるためのプ
レッシャーで猛烈なストレスを抱えて、自分を見失いそうになるロック・スターが多数いたことは想
像に難くない。
今では考えられない時代だったことはよくわかる。日本のバブルが今の若い人にピンとこないのと一
緒で何でもありという環境だったはずだ。強烈な体験をした著者は幸運だった。ただロックも表層を
捉えていると、音楽体験としては寂しいものがある。私は今でも当時の音楽を聴いている、ノスタル
ジーに浸るわけではない。ビリー・アイリッシュがその系譜を継いだり、クリムゾンは変化しながら
未だに活動を続けている。サブスクで聴ける音楽とは違う経験が出来る。
わが青春のロック黄金狂時代 東郷かおる子 角川SSC新書