今日も刺激的な表題、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』。
久しぶり?に読んだ新書の紹介です。
もちろん、「法令遵守」という極めて当たり前のことが“日本を滅ぼす”わけではなく、
「法令遵守」という物事の単純化、一面的・対症療法的な視点や対応への警鐘の本です。
書いているのは、今、話題?の郷原信郎さん。
民主党の小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題等で、大衆・マスコミ受けしにくい(失礼!)、
本質的な論じ方をされています。
この本の裏表紙でボクも同郷、「島根県出身」と初めて知りました。何だか嬉しいことです。
さて、この本の内容・・・肝は「まえがき」に書かれています。
日本は、戦争による経済の崩壊の危機から僅か四半世紀余りで、世界第2位の経済大国へと奇跡の経済復興を遂げました。しかし、それを支えてきた官僚統制的経済は、一方で「市民社会・経済社会と法令との乖離」「法令と実態の乖離」という副産物を生じさせました。
それが「非法治国家たる法令国家」という、他にはほとんど例がないであろう奇妙な組合せを生じさせたのです。このような状況の下で、「法令を守れば良い」「法令にしたがって物事の是非を判断すれば良い」という、通常の法治国家においては当然の法令遵守を単純に推し進めていけば、社会の混乱と矛盾が極限に達することは確実です。
その結果もたらされる国家の衰退は、第二次世界大戦後の奇跡の経済復興と同程度に、歴史上稀な出来事として後世に語り継がれることになるかも知れません。
どんな風に感じられましたか。
個人的には、つい今日も、こうした法令対応と行政指導(官僚統制)の対応検討の中で、本質的な原因(問題)対応ではなく、表面的な「法令遵守!」的な掛け声で乗り切ろうなんて話が、当然のごとく進んでしまう場面に遭遇しました。
悪くはないんですよ。「法令遵守」。
でも、法令遵守することは最低限のことであって、それが最低限なものとして進められるような体制をつくることが本当の仕事なんじゃないかな、と。
一方で、別の場面ではセキュリティ、セキュリティと・・・
これも一種の“コンプライアンス”なんでしょうが、個人の悪意まで全て排除出来るようなセキュリティが本当に必要なのか???
その手間隙、コストがあれば、もっとできることもあるような、、、
そんなこともありました。
どこまでいっても、法令遵守は基本であって、コンプライアンスに完璧はないんですが、
要は本質、原因、未来への誠実な対応だとボクは思うんですよね。
この本では、郷原さんは以下の5要素を、法令遵守/コンプライアンスのあり方としてまとめられていました。
いわく「フルセット・コンプライアンス」。(P152)
- 社会的要請を明確に把握し、その要請に応えていくための組織としての方針を具体的に明らかにすること。
- その方針に従いバランスよく応えていくための組織体制を構築すること。
- 組織全体を方針実現に向けて機能させていくこと。
- 方針に反する行為が行われた事実が明らかになったりその疑いが生じたときに、原因を究明して再発を防止すること。
- 法令と実態とが乖離しやすい日本で必要なのが、一つの組織だけで社会的要請に応えようとしても困難な事情、つまり組織が活動する環境自体に問題がある場合に、そのような環境を改めていくこと。
一人ひとりの意識も当然大切なんですが、基本はやっぱり組織なんですよね。
「法令遵守」だとか、「コンプライアンス」だとか、言えばいうほど、
その組織は表面的な会社になっていっている気がします。
大事なのは、会社としてどういう風に社会的存在意義を発揮するのか、
そして、そのための社会的要請は何なのかを把握し、それに応えるか。
そうですよね?
「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書) 郷原 信郎 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
<目次>
まえがき
第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終 章 眼を持つ組織になる
あとがき
私は賞味期限は無視していますよ。(笑)
いずれは、やり過ぎと多くの方が気がつかれ
ますから元に還るのでは。
実はタバコが値上がりしますから一年分購入
予定です。(笑)
賞味期限はタバコは七ヶ月。
賞味期限の話・・・
以前もここで、moto金田浩さんと話した覚えがあるんですが、気のせいでしょうか(笑)。
何でも行き過ぎや、表面的な話は良くないですよね~
タバコも・・・1年分といわず・・・
ちなみに、ボクも法令遵守/コンプライアンスは大好きです。
さらに道徳や正義、そんな考え方も大好き。
でも、それを言っちゃおしまい、身も蓋もない話なので、出来るだけ、そういう錦の御旗・葵の紋章は出さないように心がけています。思考停止になっちゃいますから。
昔、昔ですが今は亡き山本夏彦様が
正義は言ってはいけないといわれていました
かな、思考停止になるから、自由な意見が
言えなくなるからなんて。(笑)
懐かしく想い出しましたよ。
>山本夏彦様・・・
いいですね~
身も蓋もない話は嫌ですよね~
なるべく、脇の甘い話をして、お互いに言いたいことを言うことも大事ではないかなと思ったりしました。
御存知とは嬉しいです。
「世の中笑うしかない」とか
「寄せては返す波の音」とか
まだまだ山ほど、、、、(笑)