考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

企業変革力

2005-07-21 23:00:39 | 

いわゆる“ビジネス本”、本屋に行くと山積みですが、ほとんどが一部のリピーターが読み漁って、多くの人には興味ないでしょうね???
ボクも学生の時には読んだ覚えがないんですが、社会人になって結構読んでいます。
読み方のせいか?記憶力のせいか?結局覚えていることはほとんどないのですが、読み終わった後は実は感化されています。少しずつ自分の糧になっていると信じていますが、どうなんでしょう?

みなさん、ハローです。ホディです。
ジョン・P. コッター氏の『
企業変革力』を読みました。
ビジネス本好きのボクもあまり聞いたことのない本でしたが、結構うなずきながら読み進んでいました。
21世紀型企業として、この変化の早い時代を生き残るために「企業変革」を行うためのプロセスをまとめた本です。
簡単にできない変革をどのように進めていくか、非常に論理的に分かりやすく説明してあります。
また、“リーダーシップ”という取り上げにくい要素を全面に打ち出した特徴があり、なかなか新鮮でしたヨ。

企業変革力
ジョン・P. コッター
日経BP社

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いつものように少し引用しながら感想を書きたいと思います。

大規模な変革は、さまざまな理由から簡単には実現しない。企業のどの規模の変革でも成功に導き得るステップを八つの段階で示している。(上記の8つの過ちのそれぞれに対応する。)その順序でステップを怠らずに実行することが成功の条件となる。

<大規模な変革を推進するための8段階のプロセス>
1.危機意識を高める
2.変革推進のための連帯チームを築く
3.ビジョンと戦略を生みだす
4.変革のためのビジョンを周知徹底する
5.従業員の自立を促す
6.短期的成果を実現する
7.成果を活かして、さらなる変革を推進する
8.新しい方法を企業文化に定着させる

著者は順序だてて長期的な視点と短期的な視点の両面で地道に変革を進めていくことの重要さを訴えています。
本の中では、それぞれのステップのポイントを解説され、そして実例と合わせて“成功の鍵”と“失敗の要因”を説明されているので、とても読みやすいですし、実際に取り組めるような実践的な内容ですので身近なものとして理解ができます。

いかにすぐれた人材を備えていても、単に管理者(マネジャー)の心構え(マインドセット)では変革が失敗に終わる。リーダーシップとリーダーの役割が重要となる。

マネジメント : 人材と技術を管理する複雑なシステムをつつがなく進行させるためのさまざまなプロセス
※このマネジメント行動に含まれる主要な要素には、プランニング、予算策定、組織設定、人材配置、コントロール(統制)、問題解決の活動がある。

リーダーシップ : まず組織を誕生させる、あるいはその組織を激しく変化させる環境に適応させていくさまざまなプロセス
すなわちリーダーシップの発揮により、まず組織の将来はどうあるべきかを明らかにし、そのビジョンに向けて人材を整列させ、さらに待ちかまえる障害をものともせず、必要な変革を実現する方向に人材を鼓舞するというプロセス

成功を収める変革は70~90%はリーダーシップによってもたらされ、残りの10~30%がマネジメントによってもたらされるという事実が浮かび上がる。
しかし企業では、マネジメントを重視する傾向だけが企業文化に定着し、その結果として人材がいかにリーダーシップを発揮すべきかを学ぶ機会を奪ってきた。歴史ある大企業で変革のプロセスを開始するのは難しい。そこにはリーダーシップが欠如し、逆にごう慢さ、狭量、官僚主義が根づいているからである。このような企業では、変革プログラムはマネジメント過剰で、リーダーシップが不足しているという状態に置かれていることが多く、後押しよりは後戻りの力が作用している。
変革プロセスを管理することはもちろん大切である。有能なマネジメントなくしては企業変革はコントロール不能に陥る。しかしほとんどの企業にとっては、変革をリードしていくことがさらに重要な課題である。

企業で最も重要と言われている(?)マネジメントが逆に変革の壁となってしまう。。。
確かに、リーダーシップなきマネジメントが、狭量や官僚主義、前例主義につながるんでしょうね。
マネジメントがマイナス要因になるという話はこの本ではじめて出会った気がします。

リーダシップは天性のものではないか?というボクらの思い込みにも著者は次のように応えてくれています。

21世紀型企業に属する従業員は、20世紀型企業に比べて、リーダーシップとマネジメントの両機能においてさらに広範な能力を備えることが求められる。成功を収める企業においては、このような新しいタイプの従業員を生みだすことが要求される。

ある純利益6億ドルを生むビジネス部門を経営している人の話。
40歳当時には到底偉大なリーダーには見えなかった人物だったが、すぐれたリーダーシップを発揮しているのである。
このような人物は、少数とはいえ、いつの時代にも存在した。彼らは35歳や45歳で自己の成長をスローダウンさせずに、青少年期に見られるようなスピードで学習を続けている。このような基準を外れた例外的人材を見ると、人間に生来備わったDNAは決して人生後半での成長を妨害するものではないということが確認できる。
21世紀に入るとこのような目覚しいリーダー、つまり一生を通じた学習によって自らの能力を向上させるリーダーの数が増加すると考えられる。変化のスピードが速まるにつれて、学習を続ける意思と能力が、個人のキャリア上の成功と、企業の業績上の成功にとって不可欠の要件となる。

<生涯学習を促す習慣的行動>
①リスクを負う : 自分自身を自らの快適ゾーンから敢えて踏み出させる意思
②謙虚な自己認識 : 過去の成功と失敗、特に後者について正直に内省する態度
③他人から意見を求める : 積極的に他人から情報やアイデアを収集する態度
④注意深く傾聴する : 他人の発言に耳を傾ける能力
⑤柔軟である : 変化の激しい状況において、個々人の自主的行動とさまざまな選択を許容する柔軟性を備えている
⑥新しいアイデアをオープンに受け止める : オープンに、能動的に人生を受けとめていく積極性

ここで質問 「このような行動習慣がそれほど簡単なのに、どうしてわれわれの多くはそのような習慣を身につけないのだろうか。」
その答え  「このような行動は、短期的には大きな苦痛を生むからだ。」

リスクを負うことによって、成功することもあれば、失敗することもある。率直な反省、傾聴、他人の意見に耳を傾ける行動、オープンな態度のいずれにおいても、興味深いアイデアと同時に、悪い情報と望ましくないフィードバックがもたらされる。一般的に言えば、失敗や望ましくないフィードバックがもたらされない状況のほうが人生は余程楽しい。
生涯学習を進める人材は、短期的な苦痛を生む行動を避けたり、排除しようとする、われわれに生来備わっている性向をすでに克服している。困難な修羅場を何度も乗り切ってきた経験から、困難な状況に対する抵抗力を身につけている。思考を研ぎ澄ますことを通じて、このような行動と生涯学習の重要性を十分に理解している。しかしもっとも重要な点として、彼らの抱く目標と向上心が、彼らの謙虚な心、オープンな態度、リスクを敢えて負う行動、他人の意見に傾聴する能力を育んできたのである。

企業変革を行うにはリーダーが必要となる。そしてリーダーは育てる必要がある。(ヘッドハンティングという手段もあるが・・・)
もちろん一朝一夕にはできることではないので、企業は腰を据えてリーダーの育成と平行して、企業変革のステップを順序だてて進めていく必要があるということです。

さて自分を省みて、生涯学習を促す行動習慣ができているのだろうか?
「リスクを負う」、「謙虚な自己認識」、「他人から意見を求める」、「注意深く傾聴する」、「柔軟である」、「新しいアイデアをオープンに受け止める」
こうやってあらためて眺めると、当たり前の習慣ですよね?
ボク自身、常々意識しているつもりですが、著者が書かれている通り“大きな苦痛を生む
”ものですので、知らず知らずのうちに逃げているような・・・
リーダーとしてはまだまだですね。謙虚に!(笑)

この6点、時々自らを省みるポイントとしたいと思います。真面目に!

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3 コメント

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認めること (skog)
2005-07-22 11:54:34
hoddyさん よく読書されますねえ。通勤時間の活用でしょうか。とても頼もしい世代が育ちつつある事が嬉しいですよ。



昨夜のNHKクローズアップ現代はロッテのバレンタイン監督の指導力に焦点を当てていました。野球も監督が違えば選手も変わるという

事がよーく分かりました。

要は、よい仕事をした時にチーム全員が「認知」することと語られました。嫉妬ではなく讃える方が子供も大人も嬉しいものね。



私は「自分に厳しくあれ」というのは、日本的発想のように感じています。

他人のミスを攻めれば自分が緊張してミスをする経験からです。



他人がミスをした時に自分はどうカバー出来できるかと、考える方が相手も自分も成長出来るように思いますが社会はそうは甘くない?



長々すみません。つい熱くなるの性格です。



返信する
re:認めること (hoddy)
2005-07-23 11:53:59
skogさん、コメントありがとうございます。



バレンタイン監督の話は「Number」にも載っていました。少しskogさんの話とはずれるかもしれませんが。

バレンタイン監督は今までの日本の監督では考えられない“日替わり打順”を実行されていますが、様々なデータや勘、そして監督自身の自信などで固められたものなんですよね。メジャーリーグでも一流の監督は素晴らしいと思いました。

その記事の表題が「一流は一日にしてならず。」



リーダーが“チーム全員が「認知」する”環境を作ること、そしてそれにはリーダーが“チームから「認知」されること”、これができてこそ一流なんでしょうネ。



さて、「自分に厳しく」・・・

skogさんのおっしゃる通り他人のミスを攻めることに傾斜するとまずいですよね。

要はバランスが大切だと思っています。時には厳しく、時には甘く、突き放したり、包容したり・・・

でも、「自分に厳しく」自分を高められなければ、リーダーとしては資質を失っていく気がしています。

ボクも熱くなる性格です。

返信する
続き (hoddy)
2005-07-23 12:01:51
間違ってEnter押してしまいました。



「他人がミスをした時に自分はどうカバー出来できるか」ということは、とても大切ですよね。これも意識しているつもりでも、つい自分のことが優先しがちですので・・・

勉強になります。



ちなみにボクの読書は、往復の通勤と朝のスタバが主な時間ですね。。。

今は単なる自己満足かも知れません。(笑)

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